III 調査結果の分析

III
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調査結果の分析
はじめに
0−1 分析の構成
調 査 結 果 の 分 析 は 、 セ ク シ ョ ン 1 ∼ 8に ま と め ら れ 、 1 ∼ 7の セ ク シ ョ ン は そ
れぞれ<分析><まとめ><参考>から構成されています。
<分析>
設 問 ご と に 調 査結 果 の 分 析 を し て い ま す 。 全 体 像 を 概 観 す る の み に と と ど ま
らず、必要に応じて、より詳細に、性別・年代別の分析もしています。
<まとめ>
それぞれのセクションの最後に、そのセクションの分析のまとめ をしていま
す。
<参考>
必 要 に 応 じ て 、そ の セ ク シ ョ ン の 分 析 の 解 説 や 内 容に 関 連 す る 事 項 を 記して
いますので、ご参照ください。
0−2 用語解説
調査結果の分析に際して使用している用語の解説です。ご参照ください。
●M字型曲線
女性の年齢別就労率(労働力人口比率、労働力率)をみた場合、学卒後と子
育 て終 了 後 を 2 つ の 山 と し 、 そ の 間 の 子 育 て 期 が 谷 の よ う に な っ て 、 ち ょ う ど
Mの字のような形になっていることをいいます。
結 婚 ・ 出 産 を機 に 退 職 、 子 育 て 後 に 再 就 職 と い う 、 特 に 日 本 に 顕 著 な 傾 向 で
す。多くの国では子育て期も就労を継続していることから谷間のない台形状の
就労形態になっています。
(女性の労働力率と離職理由)
厚 生 省 『 厚 生 白 書 』 (1 9 9 8 年 )
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(女性の年齢別労働力の国際比較)
(% )
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
スウェーデン
アメリカ
日本
15∼
19
歳
20∼
24
歳
25∼
29
歳
30∼
34
歳
35∼
39
歳
40∼
44
歳
45∼
49
歳
50∼
54
歳
55∼
59
歳
60∼
64
歳
65歳
以
上
韓国
ILO 「Year Book of Labor
S t a t i s t i c s ,1 9 9 8 」・ 総 務
庁 「 労 働 力 調 査 」・ 労 働 省
「平成11年版 女性労
働白書−働く女性の実情
−」より作成・静岡県商
工労働部ホームページ
( http://www.pref.shiz
uoka.jp/syoukou/index.
html)より引用
●参画
「 参 加 」 は 仲 間 と し て 加 わ る こ と で す が 、「 参 画 」 は 、 単 に 参 加 す る だ け で な
く、企画・立案や決定にも自らの意思で関わり、意見や考えを出し、負担も責
任も担い合うという主体的かつ積極的な態度や行動をいいます。
●性別役割分業
文 字 通 り 性 別 を 前 提 に 役 割 を わ け る こ と を い い ま す 。 例 え ば 、「 男 性 は 仕 事 、
女 性 は 家 庭 」な ど と い わ れ る こ と が そ れ に あ た り ま す 。最 近 で は 、
「男性は仕事、
女 性 は 仕 事 も 家 庭 も 」と い う「 新 た な 性 別 役 割 分 業 」の 問 題 も 出 て き て い ま す 。
性別役割分業は、一人ひとりの個性や能力、資質などと無関係に、性別で役
割を固定化させてしまうため、それぞれの生き方や働き方を制約してしまう原
因となっています。
●セクシュアル・ハラスメント
セクシュアル・ハラスメントとは、相手方の意に反したり、また、他の者を
不快にさせる性的な、あるいは性差別的な性質の言動をいい、それにより職務
や学習を遂行する上で一定の不利益を与えたり、環境を著しく悪化させること
を い い ま す 。セ ク シ ュ ア ル ・ハ ラ ス メ ン ト は 重 大 な 人 権 侵 害 で あ る と い え ま す 。
セクシュアル・ハラスメントは、男性から女性に対してなされる場合が最も
多 いの で す が 、 女 性 か ら 男 性 へ の 場 合 、 あ る い は 同 性 間 で も 問 題 と な ります 。
セクシュアル・ハラスメントにはいくつかの類型があるとされています。仕事
上の権限や地位を利用して、労働条件の変更あるいはその暗示と引き換えに性
的 な 要 求 を 行 うよ う な 対 価 型 あ る い は 地 位 利 用 型 と い わ れ る も の や 、 性 的 な 言
動によって仕事が円滑に行えなくなったり、働きにくい職場環境を作ったりす
る環境型といわれるものなどです。ただし、これらの分類は便宜的なもので、
これらが合わさったもの、はっきりと分類できないものなど様々な形で起こり
得るのがセクシュアル・ハラスメントです。
その言動がセクシュアル・ハラスメントかどうかの判断基準は、その言動を
向 け ら れ た 人 が 「 性 的 に 不 快 か ど う か 」、「 性 差 別 的 で あ る と 感 じ る か ど う か 」
と い う 単 純 明 快 な も の で 、 そ の 言 動 を 行 っ て い る 人に 意 図 が あ る か な い か は 問
題にはなりません 。セクシュアル・ハラスメントの対応において最も重要なの
は、被害者が最初にコンタクトをとることになる相談窓口における対応である
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といえ ます。相談した相手に心ない言葉を浴びせられたり、また相談したこと
が口外され風評被害にあったりといった、いわゆる二次被害が被害者に与える
苦痛ははかり知れません。
● ド メ ス テ ィ ッ ク ・ バ イ オ レ ン ス ∼ D V ( Domestic Violence) ∼
夫 や パ ー ト ナ ー な ど 親 密 な 関 係 に あ る 男 性 ( 夫 や 恋 人 、 婚 約 者、 同 棲 相 手、
別れた夫、以前付き合っていた恋人など)から女性に対してふるわれる暴力の
こ と で す 。 社 会 的 、 経 済 的、 肉 体 的 に 優 位 に 立 つ 男 性 が 、 弱 い 立 場 に あ る 女 性
をさまざまな暴力で支配しようとする行為は、
「 夫 婦 げ ん か 」な ど の 個 人 的 事 情 、
個 別 的 問 題 の 範 囲 を 超 え た 重 大 な 人 権 侵 害 で あ り 、明 ら か な 犯 罪 で す 。 身 近 な
間 柄 で あ っ て も 、「 何 を し て も い い 」 と い う こ と は あ り ま せ ん 。
ここで男性から女性への暴力と定義されるのは、社会的な力関係における強
者から弱者に対するものという認識によるからで、個別にはその逆の暴力もあ
り ま す が 、 こ の D V と い う 言 葉 で あ ら わ さ れ る 暴 力 は 、 そ の よ う な 理 由 か ら 、男
性から女性へという方向性が定義されています。
解決のためには、法律に基づく措置の充実( DV 防止法・平成 13 年 10 月施行)
が求められるだけでなく、男女間に存在する社会的不平等の構造を変えること
の 重 要 性 が い わ れ て い ま す。 例 え ば 、 女 性 の 経 済 的 自 立 の 達 成 ( 経 済 的 に 男 性
に依存して生活しているために暴力を受けている状況から逃げ出せないという
事 態 の 克 服 )、 暴 力 で は な く 言 葉 の 交 渉 に よ っ て 問 題 を 解 決 す る 体 験 ・ 教 育 ( =
暴力を問題解決の手段としないという意識の浸透)などさまざまな角度からの
取組が求められています。
●メディア・リテラシー
メ デ ィ ア ・ リ テ ラ シ ー と は 、メ デ ィ ア が 送 り 出 す メ ッ セ ー ジ や イ メ ー ジ が 、
ど ん な 社 会 背 景 の も と で 、ど ん な 意 図 や 方 法 に よ っ て 作 ら れ た も の な の か を
読み解くこと、あるいはそのための力のことをいいます。また、自らメディ
ア に ア ク セ ス し 、多 様 な 形 で コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 作 り 出 す 力 の こ と で も あ
ります。
現 代 社 会 に 生 き る 私 た ち は 、全 く メ デ ィ ア に 接 す る こ と な く 生 活 す る こ と
は で き ま せ ん し 、メ デ ィ ア を 通 し て 毎 日 膨 大 な 量 の 情 報 を 受 け 取 っ て い ま す 。
つまり、私たちとメディアは切っても切れない関係になっています。
したがって、メディア・リテラシーを身に付けて、メディアの単なる受け
手ではなく、主体的な利用者になることが大切なのです。
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