アンリツ株式会社 V-Low 地上マルチメディア放送機器用評価機能を追加 シグナルアナライザ/ベクトル信号発生器で V-Low 対応機器の評価を実現 アンリツ株式会社(社長 橋本 裕一)は、V-Low 地上マルチメディア放送規格である 「ISDB-TSB」(注)に対応した測定機能を開発。既に販売しているシグナルアナライザシ グナルアナライザ MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A シリーズ用の ISDB-Tmm 解析 ソフトウェア MX269037A およびベクトル信号発生器 MG3710A 用の ISDB-Tmm 波形パタ ーン MX370084A に ISDB-TSB 測定機能を追加いたしました。 シグナルアナライザ MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A シリーズに MX269037A をインストールすることにより、従来から対応してきた ISDB-Tmm に加え、ISDB-TSB 放 送設備の変調[※1]解析を含めた送信特性を評価できます。 また、MG3710A に MX370084A をインストールすることにより、ISDB-TSB に対応した 受信端末の受信特性の評価や、中継器および中継器に搭載される電子部品などの送受信特 性評価で必要となる基準信号を出力できます。 アンリツは、今回の計測ソリューションの提供により、V-Low 地上マルチメディア放送 関連機器の円滑な開発・製造に貢献いたします。 (注)ISDB-TSB ARIB STD-B46 に定義された地上マルチメディア放送規格のひとつ。アナログ TV 放送停波 後に空く周波数帯のうち、VHF 帯 99 MHz-108 MHz での使用が予定されている。 [開発の背景] V-Low 地上マルチメディア放送は、2015 年中に国内の主要地域で順次サービス開始が予 定されており、本方式に対応した送信機、中継器および受信機を評価できる測定器のニー ズが高まっています。 そこでアンリツは、シグナルアナライザ MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A およ び ベ ク ト ル 信 号 発 生 器 MG3710A の 機 能 を 強 化 し 、 従 来 か ら 提 供 し て い る MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A 用 ISDB-Tmm 解析ソフトウェア MX269037A と MG3710A 用 ISDB-Tmm 波形パターン MX370084A において、V-Low 地上マルチメディア 放送方式の評価も可能としました。 [製品概要] ■ISDB-Tmm 解析ソフトウェア MX269037A MX269037A は、シグナルアナライザ MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A 用ソフト ウェアです。MS2690A/MS2691A/MS2692A/MS2830A にインストールすることにより、 ISDB-T 信号、ISDB-Tmm 信号、ISDB-TSB 信号の変調解析、位相雑音[※2]測定、スペクト ラムマスク[※3]、スプリアス[※4]測定、MER[※5]など、送信特性評価に必要な各種測定が行え ます。測定結果はグラフィカルに表示でき、送信特性を容易に確認できます。 ■ISDB-Tmm 波形パターン MX370084A MX370084A は、ベクトル信号発生器 MG3710A 用波形パターンです。MG3710A に MX370084A をインストールすることにより、ISDB-Tmm、ISDB-TSB に対応した携帯端末 の受信特性の評価や、中継器・電子部品の送受信特性の評価で必要となる基準信号を出力 できます。 <シグナルアナライザ MS2690A/MS2691A/MS2692A> 50 Hz~6 GHz の周波数範囲において、優れた総合レベル確度[※6]と変調精度、広帯域解析 を実現したシグナルアナライザ。広帯域 FFT[※7]解析が行えるベクトル・シグナル・アナリ シス機能、信号波形をデジタルデータとして取り込めるデジタイズ機能も標準搭載してお り、複雑化するワイヤレス通信システムの研究・開発や、高性能が要求されるデバイス、 基地局の試験が効率よく行えます。 <シグナルアナライザ MS2830A> 周波数切替、掃引、測定結果データ転送の一連の測定動作を約 12 ミリ秒で可能とする高速 測定と高精度測定を低価格で実現したシグナルアナライザ。スペクトラムアナライザのみ から送受信試験を一台で実現するワンボックス構成まで、必要に応じた測定システムを柔 軟に構築できます。 <ベクトル信号発生器 MG3710A> MG3710A は、3GPP LTE FDD/TDD、W-CDMA/HSDPA/HSUPA、CDMA2000 1X/1xEV-DO、 GSM/EDGE、Mobile WiMAX、 ISDB-T ワンセグメントなど各種移動通信システムのデジタ ル変調信号を出力できる信号発生器です。最大サンプリングレート[※8]200M Hz[※9]の任意波 形ベースバンド発生器を標準内蔵しており、各波形パターンファイルを選択するだけで 様々な通信方式のデジタル変調信号を出力できます。さらに 2 つのメモリを内蔵している ことから、希望波[※10]と妨害波[※11]/AWGN[※12]など従来 2 台の信号発生器を必要としていた 作業が、1 台の MG3710A で行えます。 [対象市場・用途] ■対象市場:デジタル放送機器関連メーカー ■用途: ISDB-Tmm 解析ソフトウェア MX269037A: ISDB-Tmm・ISDB-T・エリアワンセグ・ISDB-TSB の送信機、中継器、部品の変調 解析 ISDB-Tmm 波形パターン MX370084A: ISDB-Tmm・ISDB-TSB の中継器の送受信評価、受信機の受信評価 [ ※用語説明] [※1]変調 伝送情報を電波の振幅、位相等に変換すること。 [※2]位相雑音 信号の質を表す指標のひとつ。SSB 位相雑音ともいい、特定のオフセット周波数にてキャ リア(C)とノイズ成分(N)との比で表す。単位は、dBc/Hz。 [※3]スペクトラムマスク 近隣の無線機器への干渉を防ぐために定義されている規格線を意味し、デジタル変調され た信号の品質を計る尺度となる。 [※4]スプリアス 設計上意図されているものとは別の周波数成分のこと。不要波とも呼ぶ。 [※5]MER:Modulation Error Ratio 変調誤差比。デジタル変調信号の質を表す指標のひとつ。コンスタレーションにおいて、 理想コンスタレーションポイントからベクトル誤差の電力換算値と、理想コンスタレーシ ョンポイントの電力比として定義された値で数値が大きいほど質が良い状態。単位は dB。 [※6]総合レベル確度 測定誤差を発生させる要因をすべて含んだシグナルアナライザ/スペクトラムアナライザの 総合的な性能。 [※7]FFT:Fast Fourier Transform 高速フーリエ変換。フーリエ変換とは信号中に含まれている周波数成分を抽出する処理。 [※8]サンプリングレート アナログ信号をデジタル信号に変換する際の 1 秒間のサンプル回数。 [※9]MHz(メガヘルツ) 周波数の単位。1 秒間に 100 万回繰り返される周波数を意味する。 [※10]希望波 受信試験を行う際に、測定対象チャネルとなる信号。 [※11]妨害波 受信試験を行う際に、測定対象チャネルとなる信号とは別の妨害になる信号。 [※12]AWGN: Additive White Gaussian Noise 相加性白色ガウス雑音。通信を阻害する信号を作り出すために使用される。
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