MRI Daily Economic Points 米国:雇用統計(2014年12月) January 14, 2015 評価ポイント 図表1 非農業部門雇用者数(前月差) (前月差、千人) 今回の結果 400 建設 350 12月の非農業部門雇用者数は、前月差+25.2万人増となった。10月(+ 24.3万人→+26.1万人) 11月(+32.1万人→+35.3万人)も上方修正され、 10-12月期平均で28.9万人増と、7-9月期のペース(23.9万人増)を上回った。 12月は幅広い業種で雇用者数の増加がみられた。内訳をみると、専門・ビ ジネス(同+5.2万人)、教育・医療(同+4.8万人)、建設業(同+4.8万人) 、 レジャー(同+3.6万人)などで増加とした。 12月の失業率は、5.6%と前月(5.8%)から改善し、08年5月以来の水準と なった。労働参加率は62.7%と前月(62.9%)から低下した。 一方、平均賃金は前年比+1.6%と前月(同+2.2%)から大きく鈍化。鉱業 (同▲0.56%)、情報通信(同+0.18%)など幅広い業種で低下がみられた。 製造 300 卸・小売・運輸等 250 専門 200 金融 150 情報通信 100 教育・医療 レジャー 50 政府 0 その他 ‐50 非農業総合 ‐100 13/1 13/4 13/7 13/10 14/1 14/4 14/7 14/10 基調判断と今後の流れ 米雇用市場は改善傾向が続いている。14年の非農業部門雇用者数は月平 均24.6万人増と、13年(同19.4万人増)を上回るペースで増加した。 企業の雇用スタンスを示すISM雇用指数は、製造業、非製造業ともに増減 の分岐点である50を上回っているほか、新規失業給付申請件数も金融危機 前の水準まで低下している。内需は拡大基調を維持しており、今後も雇用市 場の緩やかな改善が続くとみられる。 もっとも、賃金の伸びは緩やかにとどまり、雇用の「質」の改善は遅れている。 賃金が伸び悩む背景として、①ここ数ヶ月の原油価格による物価上昇率低 下の影響や、②オバマケア導入に伴い、企業が負担する医療コスト(福利厚 生費)が上昇し、それが賃金上昇を抑制している可能性が考えられる。 雇用者数の増加ペースの加速自体は、金融政策の正常化を促す要因だが、 FRBは今月の賃金上昇率の低下が一時的なものか否か、今後数ヶ月かけて 見極めることになろう。 図表2 米国賃金上昇率 (前年比、%) 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 時間当たり賃金上昇率 1.5 1.0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 資料:米国労働省 Copyright (c) Mitsubishi Research Institute, Inc. 担当: 政策・経済研究センター 田中康就 TEL 03-6705-6087
© Copyright 2024 ExpyDoc