2014 年 3 月 28 日 埃沢 賢志 野沢温泉 里山プロジェクト(都市と里山のマッチング) 1.概要 大手不動産会社が開発した都心の分譲マンションの住居者(子ども持ちファミリー)が、野沢 温泉での里山体験を通して、自然環境への理解を深め、かつ、野沢温泉という自然豊な地域への 新たな「故郷アイデンティティ」を持ってもらうフィールドを創造していく取組。 2.背景と目的 大手不動産会社が開発した都心マンション(例:三井不動産→パークマンション、東京建物→ ブリリア)の購入層は、ファミリーが多く、子どもへの教育への関心が高い比較的富裕層が多い。 しかし、そのような都心マンションに住む子どもたちは、日常生活で自然と触れ合う機会が少な く、かつ、自分の住んでいる地域への意識が希薄な人が多い。 一方で、冬のスキーシーズンでは、野沢温泉スキー場を中心に国内外から多くの観光客が訪問 する野沢温泉であるが、シーズン外での観光客誘致への課題が残る。 本 PJ は、スキーシーズン外の期間で、分譲マンションの入居者ファミリーを野沢温泉に招待 し、都市部では体験できない自然との触れ合いを通じて、子どもたち(両親)の自然環境や里山 文化の理解を深めるとともに、野沢温泉での温泉観光を楽しむことで、親子間・入居者同士・野 沢温泉の住民とのコミュニティ形成のフィールドとし、最終的には野沢温泉のファンを増やして いくことを目的とする。 (一方で、不動産会社としては、野沢温泉での里山体験を付加価値として、自社のマンション(ビ ル)の顧客満足度とブランドイメージを高めるのが狙い。) 3.顧客・パートナー(㈱野沢温泉が主体となった場合) 顧客:大手不動産会社が管理する都心のマンションに入居者、及びテナントビルに入居する企 業の社員(双方とも小学生以下の子どもを持つファミリーを対象) パートナー:上記のファミリーが住んでいるマンションを開発・管理している不動産会社、 野沢温泉村(行政) 、野沢温泉の宿・レストラン(観光協会) 、住民 4.プログラムについて 2015 年春に北陸新幹線開通することに伴い、東京都心から野沢温泉までの所要時間は、約2時 間半に短縮。そこで、都心マンションの住居者が野沢温泉で下記のプログラムを通して三面的体 験(レジャー、文化、観光)ができる機会を作る。 ①里山のアドベンチャー体験(レジャー体験) ・里山アウトドア(サマースキー、ゲレンデハイキング・キャンプ、サイクリング等) ・里山バレーボール大会(地元の方との交流) ②里山の暮らし体験(文化的体験) ・里山アクティビティ(採集観察、根曲がり竹の収穫→初夏限定) ・田植え・稲刈り体験、野菜園芸 ・野沢菜漬け・蕎麦打ち体 ③野沢温泉特有の文化・資源の経験(観光的体験) ・①、②の教育的体験後は旅館や温泉街で観光を楽しむ ※上記①~③とも地元の子ども(ファミリー)との交流することが前提 5.仕組 ①費用面 ・東京⇔飯山駅(北陸新幹線)の費用は、エンドユーザー(マンション居住者、テナント)が 支払っている管理料の中から充当(一部、不動産会社が負担) ・飯山駅⇔野沢温泉間のバスについては、野沢温泉側で手配(負担) ・体験プログラムに係る費用及び宿泊料(食事代)は、利用者が負担 ②受入体制 ・野沢温泉村は、里山体験(アドベンチャー、暮らし)を提供できる人材(村のプロフェッシ ョナル)の確保、実施場所の提供・協力、ハード面の整備 ・野沢温泉㈱は、里山体験のプログラム立案及び実施運営、利用者の観光体験をする際の宿泊 先とのマッチング及び里山体験利用者への観光面での情報提供 ・宿泊先(飲食店)は、最高のおもてなしを提供 ③展望 ・不動産会社とのセルフビルドの企画を通して、都心住民が野沢温泉に来て頂くきっかけを作 る。 ・都心住民が、野沢温泉の自然を活かした里山体験(レジャー・文化)と、観光資源である温 泉を楽しむ三面的体験を通して、野沢温泉のファンを増やしていき、来季の体験メニューの リピーターやウィンタースポーツを目的とした新規顧客となる層となるように繋げていく。 6.なぜそう思ったか(きっかけ、ヒント) ・不動産業界に限らず、これまでのビジネスでは、既存の領域(同業界や自社内)での単独的 な開発が多かったが、高齢化に伴う我が国の人口減少(縮小社会)及びビジネス面での変化 の迅速化に伴い、これからは「新たなイノベーションは、他業態とのコラボレーションによ る中間領域で生まれてくる」と考えている。本件は、不動産業界と地方都市を「教育」 「観光」 「コミュニティ」という側面で繋ぎ合わせ、双方にとって成長できるビジネスのきっかけと なっていくように、コンソーシアムを醸成していきたい。 以 上
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