第 43 回日本免疫学会総会 (2014 年 12 月 10-12 日、国立京都国際会館) 参加レポート 東京理科大学 生命医科学研究所 老化及び発生部門 博士2年 田代泰之 この度は、BioLegend/Tomy Digital Biology “Travel Award 2014”に採択して 頂き誠にありがとうございました。 2013 年より、英語による発表が基本方針となり、また海外からの招待講演者 が増えたことによって、以前にも増して活気に満ちた議論が展開され、非常に 密な時間を過ごすことが出来ました。しかしながら、日本全体の英語能力は未 だ発展途上にあるとつくづく痛感させられました。 発表の英語化という変化だけでなく、近年は日本がリードするトピックに関 しても大きな転換期を迎えたように感じました。特に、自然免疫に関する研究 は、TLR に始まり、その下流分子、そして ILC に至るまで、日本が先頭に立っ て盛んな研究が繰り広げられているのをひしひしと感じることが出来ました。 また、アレルギーの分野においては、京都大学の椛島先生の素晴らしい review talk を聞くことができ、今まで未知であった部分を分子細胞学的に説明できる までに学問レベルを昇華させている功績に只々驚嘆の念を覚えるばかりでした。 過去においては、免疫担当細胞だけに着目した研究が大部分を占めていまし たが、近年になって、それらの細胞が活動する上で必須になってくる場の研究 も盛んに行われるようになり、発表される内容も斬新なテーマのものが多かっ たように感じました。胸腺における T 細胞分化に重要な上皮細胞はかねてより 日本がリードしてきましたが、それに加えて、リンパ節を形成するストロマ細 胞の研究や腸管などの上皮細胞の研究においても日本は常に最先端を走ってい るように感じました。 以上のように、日本の免疫学研究は、時代をリードする存在であると改めて 認識し、今後の研究生活における大いなる励みになりました。一方で、現在の 免疫学研究は、マイクロアレイや NGS 開発に伴うビッグデータ解析、さらに金 属を使うことによる 30 パターン以上の細胞表現分子解析を可能にする機器の出 現など、さらなる転換期を迎えています。そのような時代の転換期にあって、 日本の研究がどのように推移していくか、今後も非常に期待される学会であり ました。
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