Title ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量の - HERMES-IR

Title
Author(s)
Citation
Issue Date
Type
ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のた
めの予備的研究
尾崎, 成子
一橋論叢, 111(3): 603-616
1994-03-01
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/10836
Right
Hitotsubashi University Repository
{135) ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
ポーラログラフィーによる食品中の
臭素酸塩の定量のための予備的研究
尾 崎
成 子
いで、使用基準が小麦粉に対して、臭素酸としてo・冨
の後動物実験を経て一九八二年発ガン作用を示すこと
七六年臭素酸カリウムの遣伝毒性が明らかになり、そ
改良剤として、広く用いられてきた。ところが、一九
を受けて以来、小麦粉改良剤また魚肉練り製品の品質
ることから、一九五三年厚生省から食品添加物の指定
度に抑制したりグルテンの性質を向上させる働きをす
臭素酸カリウムは、タンバク質分解酵素の活性を適
A.O.A.C法では、ヨウ素滴定法が採用されて
法と比色分析法によって定量される。常法、たとえば
小麦粉中の徴量臭素酸カリウムは、主にヨウ素滴定
かつ高精度な分析法が必要とされる。
は、今まで以上により共存物質の妨害の少ない高感度
れた。したがって、食品中の臭素酸カリウムの定量に
ので、﹁最終食品には残存しないこと﹂が条件付けら
過程で臭素酸カリウムは分解され臭化カリウムとなる
胴涛①q以下からo・8oq\斥困以下に引き下げられ、製バン
が報告された。この報告を受けて、臭素酸カリウムの
いる。臭素酸イオンが酸性溶液中でヨウ化カリウムと
1 緒言
魚肉練り製品への弾力保持剤としての使用は禁止され、
反応して生じたヨウ素を、デンプンを指示薬としてチ
︵2︶
^1︺
小麦粉改良剤としての使用もバン以外禁止された。次
603
平成6年(1994年)3月号 (136〕
第3号
一橋論叢 第111巻
検出限界である。一方、鋭敏な呈色反応を利用した比
ムo・冨oq\膏の定量が可能であるが、使用基準はほぽ
分離操作を必要とする。この方法により臭素酸カリウ
化カリウムと反応して正の誤差を与えるから、面倒な
酸塩やヨウ素酸塩が共存すると、これら酸化剤もヨウ
カリウム標準溶液で逆滴定する方法がとられる。過硫
硫酸ナトリウム溶液を加えたあと、過剰分を目ウ索酸
ム含有量は徴量であるから、あらかじめ既知量のチオ
オ硫酸ナトリウム標準溶液で滴定する。臭素酸カリウ
イルコビッチ式が与えられている。
われることによる。拡散電流朴について以下に示す
ずる結果、補給が起こり、補給は拡散によってのみ行
剤が電解され、界面での濃度がOになり濃度勾配が生
グラムが得られる。この現象は、徴小電極界面で復極
と電解電流が流れ、その後定常となるようなポーラロ
電圧を自動的に変化させるとき、一定の電圧に達する
加されている電解液について、徴小電極と対極間の加
電解質︵支持電解質︶が復極剤に比べて十分多量に添
酸化性物質︵復極剤︶と、電極反応に直接関係しない
イルコビヅチ式より、電解液の組成、温度およぴ滴下
朴1−宗・ミ、・O・b長・§芸・、言
色分析法は、適当な発色剤と吸光度の測定波長を選択
することにより、高感度かつ共存塩の妨害も少なくで
きるので、精度のよい迅速法として、徴量成分の定量
に有利である。ヨウ素酸塩をはじめ多くの酸化剤の妨
害を小さくするためのマスキングの方法や発色条件、
および共存塩と区別できる臭素酸塩に特異な呈色反応
を用いた方法が報告されているが、制約によって少な
^ 3 ︶ 人 5 ︶
ポーラログラフ法は一種の電気分解法であって、精
水銀電極の特性など電解条件を一定にすれぱ、拡散電
からず感度が低下する。
度ならぴに迅速性に優れている。被還元性あるいは被
604
1137) ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
能となる。ポーラログラフ法は酸化還元反応を利用し
流朴は濃度oに比例することになり、定量分析が可
原液とし、濃度を−・8H×昌■岨昌o;昌.蜆として使用し
ラスコに移し入れ、標線まで水を加えた。これを標準
物でも被還元性の結合や原子団をもつ化合物は、ポー
塩化カリゥム溶液︵H,o旨o;昌1。︶を調製し、使用し
支持電解質一塩化カリウム特級品を水に溶かして、
た。
ラログラフィーによる定量分析が可能であり、食品中
た方法であるから、ほとんどの金属イオンや有機化合
の徴量分析に広く応用されている。臭素酸塩がその還
して、塩化ランタン溶液︵ω.ω×昌.阯昌o;∋、ω︶を調製
た。また、塩化ランタン︵7水塩︶一級品を水に溶か
^6︶
元反応によって電解還元のポーラログラムを与えるこ
よって定量するための基礎研究として、塩化カリウム
本研究では、臭素酸カリウムをポーラログラフ法に
た方法は確立されていない。
の臭素酸カリウムの定量にポ⊥フログラフィーを用い
とについては多くの研究が行われてきたが、小麦粉中
溶液︵o.H訳︶を調製し、使用した。
極大抑制剤一ぜラチンを温水に溶かして、ゼラチン
液︵O自H曽∼HH。竃︶を調製し、使用した。
はいずれも特級品を用い、ブリトン・ロビンソン緩衝
緩衝液一リン酸、ホウ酸、酢酸、水酸化ナトリウム
し、使用した。
︵7︶−︵17︶
ならびに塩化ランタンを支持電解質に用いたときの臭
その他一塩化カルシウム︵2水塩︶、リン酸ニアンモ
2.2 装置およぴ測定方法
水溶液にして使用した。
ニウム、硫酸アンモニウムはいずれも特級品を用い、
素酸カリウムのポーラログラフ的挙動を調べた。
2 実験
臭素酸カリウム標準溶液一市販特級品H、雪HH①qを
○宙は、o︸メータ東亜電波工業製曽峯−︸>型を使
2.1 試薬
はかりとり、精製水︵以下、水︶に溶かし、HHメスフ
605
平成6年(1994年)3月号 1138〕
第111巻第3号
一橋論叢
極︵ω・O.貝︶を使用した。水銀ダメの高さは8o昌と
カリウム寒天を詰めた。参照電極には飽和カロメル電
した。電解セルはH型のものを用い、液絡都には塩化
ポーラログラフは、島津製作所製肉勺−呂型を使用
化させ、ポーラログラムに与えるo匡の影響を調べた。
用いた場合、緩衝液を加えて勺■Hあ∼畠の範囲で変
タンの、2種類を用いることとした。塩化カリウムを
解還元を活発にし波高の増加が期待できる塩化ラン
支持電解質には、最も一般的な塩化カリウムと、電
2.3 定量条件の検討
し、一定に保った。滴下極の水銀の流出速度§およ
塩化ランタンを用いた場合、極小現象抑制のために添
用し、室温で測定した。
ぴ滴下時間、は、次の2通りであった。
加するぜヲチン濃度をo∼o・昌訳の範囲で検討した。
液︵o.H昌o;昌.o︶一〇二畠﹁o・雷‘閉回路︶。
○昌■阯︶一〇葭H.o。一開回路︶、“1−ドミω︵塩化カリウム溶
を調べた。それぞれ最適条件を決めたあと、臭素酸カ
∼竃dの範囲で変化させて、温度による波高への影響
いずれの場合についても、それぞれ測定温度を旨
︵13︶
A一§1−H.8昌田q﹃、︵塩化カリウム溶液︵PH目o−
B一§HH衰昌①qω、、︵塩化ランタン溶液︵ω.ω×旨,蟷
リウム濃度o∼曽X昌.凸目O;昌,岨の範囲で検量線を
2.4 定量操作
作成した。標準試料による再現性の確認も行った。
畠o;旨.岨︶一〇q①−。o.o冒ぎ開回路︶、、Hべ.竃ω︵塩化ラ
ンタン溶液︵ω1ω×昌.阯昌o;昌.岨︶一①q①−.ob冒渋一1
典型的な定量操作は、次のとおりである。臭素酸イ
9鶉<一閉回路︶。
試料溶液を電解セルに移し入れ、水素を旨分間通
小麦粉からの抽出溶液または臭素酸カリウム標準溶液
オンとしてO∼H,O×旨⊥昌O−︵S.O∼Hω冒Oq︶を含む、
気して溶存酸素を除去し、通気を止めてから、垣温水
槽中でポーラログラムを測定した。波高およぴ半波点
の作図は交点法によった。
を、8旨−メスフラスコにとる。これに塩化カリウム
606
(139〕 ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
で標線まで満たす。支持電解質に塩化ランタンを用い
溶液︵;昌o;旨.蜆︶㎝邑を加えて、o︸−・o。の緩衝液
﹂貞ミ﹂o自︶はo・H鵠<であり、ネルンスト式およぴ
ぴ波高の変化を示す。貞﹃o︸図における傾斜︵1
ことがわかる。雲旧﹄に、o=の変化に伴う畑竜およ
イルコビッチ式から理論的に導かれる傾斜o・冨o。く
る場合は、臭素酸イオンとしてo∼o.−×旨−凸昌〇一︵s.
o∼H。ω目胴︶を含むように、g邑メスフラスコにと
波形は良好で対称性があるが、傾斜、−﹂畑ミ﹄o①q︵“\
︵曽d︶とは一致しない。波形解析図をヨ閑・ωに示す。
昌−、さらにゼラチン溶液︵o・H訳︶N昌−を加えて、水で
ボー“︶より反応に関与する電子数§を求めると、これ
り、これに塩化ランタン溶液︵簑X昌.蜆昌O−象.蜆︶蜆
標線までうすめる。いずれかの方法で調製した試料溶
らはいずれもs︿Hであり、次式に示す6電子が関与
なわち、臭素酸イオンの還元波は非可逆波である。
する還元反応︵§1−o︶に相当する波とはならない。す
液について、8甘o.Ndの恒温槽中においてポーラロ
グラムを測定し、波高およぴ半波点を交点法によって
求める。
︸﹃O阯.十①“十①=、π団﹃.十ω昌阯O
塩化カリウム溶液︵o,H昌o;昌.阯︶を支持電解質と
る影響
3.1 臭素酸カリウムのポーラロクラムと口■によ
^11︶・︵18︶
型のイオン対が拡散種であるのに対して、b匡ト以下
が正電位の側にずれるのは、o︸︷以上では穴十︸﹃p1
く、大きな過電圧が必要とされる。酸性溶液中で畑忘
卑o。.1←零.の還元は非常に電解還元されにく
し、種々のo︸で得られた臭素酸カリウム溶液のポー
1←卑、の還元は比較的低い電位で起こるからであ
3 結果およ ぴ 考 察
ラログラムを雲帽一−に示す。o=が高くなるにつれて、
ると考えられる。したがって、定量にはなるべく低い
o︸、すなわちo自−.o。を最適条件とした。
では非解離の曽卑O蜆分子が拡散種であり、︸卑O岨
半波電位畑盲は負電位の側に移り、波高は著しく小さ
くなって、o■σ以上になるとほとんど波が現れない
607
- i
l
3
111
)
-
6
(1994
F) 3 j
-
(140)
→・.1・←
pH1.8 pH2.7 口H3−4
⊥
PH4.5
4
Q'
2μ^
T
:-
pH5.
o
o
o
o
D
Fig- l
V vs S.C.E.
Polarograms of Potassium Bromate
4.00X l0-4 mol dm 3 Br03- In KCI (O. Imol
du] 3)
80
-1.0
60
E
E
CJJ
H
u
:1'
40
;>
e,
¥
:>
c:S
LL,
20
-0.5
2
3 4 5 6
plt
Fig* 2
Effect of pll
O Wave height
・ Etl2
4.00x l0-4 mol dm 3 Br03- in KCl(O_ Imol dm 3)
Sens. 20 ,JL A/ 200ilE!
608
(141)
- :
' 7 7 7 4 -}C
'"
(7)
:( ) :J :a)t:d a) Pc 1 f
8
pH3. 4
pH2 . 7
pH4. 5
¥
2v vs S.C.E
Fig. 3
Log Plots of the Wave of Fig. 1
ul
ω
ω
ω 15〕
㈹
q,
::
⊥
5μ^
T
一→O,2剛←
-0.5 -0.5
Fig. 4
-O. 5 -O. 5
-0.5 -0.5 V vs S.C.E.
Polarograms of Potassium Bromate
1. OOx l0-3 ,uol dm 3 Br03- in LaCi:}(3.3x 10-3mol dm 3)
Conc.of Gel
(4) O. 005%.
609
(1)0.000%. (2)0.001%. (3]0.003%.
(5)0.008%. (6)0.010%
Effect of the Concentration of Gelatin
Conc. of Gel, (%)
id (mm) ')
El'2 (V) a)
0.000
67.5
- O .63
0.001
70.0
- O.64
0.003
68.0
- 0.66
0.005
69.0
- 0.67
0.008
68.0
-O.71
0.010
69.5
-0.72
*) 1.00x 10-3 mol dm 3 Br03- in LaC13 (3.3 x l0-3 mol dm 3)
Sens, 50pAl200 mm, Damp. 3.
オンがつくる電気二重層構造の変化に関係していると
溶液︵ω6×岩ム昌O−
わりに塩化ランタン
の波高を得ることができるので、低濃度の試料を精度
特に低いo■を必要としなくても、定量に十分な感度
指摘されている。塩化ランタンを支持電解質とすると、
︵13︶
庄昌一阯︶を支持電解
よく定量できる。
塩化カリウムの代
質に用いると、緩衝
た。支持電解質に多
ンの還元波が得られ
とおり、臭素酸イオ
ても、雪旧﹄に示す
添加したぜラチンの影響を調べた結果を、■き5−に
かに減少する︵雲閃﹄︶。この極小現象の抑制のために
ラムでは、1箒∼まく<ωω。O.甲で限界電流がわず
塩化ランタン溶液中の臭素酸カリウムのポーラログ
3一2 ゼラチンの添加による影響
液で酸性を保たなく
価陽イオン︵く、。︶
ぜラチン濃度の増加に伴って貞高は負電位の側に
示す。
解還元されやすくな
移る。波高にはほとんど影響がないが、ぜラチン濃度
の塩を用いると、電
ることについては、
いる。特にランタンイオンによって虫ミが正電位の側
︵︸己蟷1︶一、,茗一十が拡散に関与するためと説明されて
チン濃度の最適条件を9oε訳とした。
らないように、塩化ランタン溶液を用いた場合のぜラ
なくなる。極小現象を抑制し、しかし波形が不良にな
度がo.8ω訳以上でIH・蜆く付近の限界電流の減少は
の増加とともに波形の対称性がくずれる。ぜラチン濃
にずれることについては、滴下極表面へのランタンイ
︵19︶
オンの吸着や、ランタンイオンと結びついた臭索酸イ
陽イオンの価数によって形の異なる錯イオン竃、十
Table 1
平成6年(1994年)3月号 (142〕
第111巻第3号
一橋論叢
610
(143) ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
14.7
71.0
-0.55
15.0
71 .O
- o.74
20.2
76.5
- 0.54
20.2
76.0
25.7
82.0
- o .54
25.0
81.5
-0.73
-0.74
29.7
85.5
-0.53
29.5
85.5
- o. 75
35.6
92.0
- o. 53
35.6
92.0
-0.75
3.3 波高に及
た。
であるので、昌片o.Ndにおいて測定を行うこととし
感度はよくなるが、常温付近でも感度、精度とも十分
ぼす温度の影響
度を変えて測定し
3.4 検量線
■■冒−o旧に、温
たポーラログラム
し、o=H.o。で、臭素酸カリウム標準溶液o﹄∼Ho。。o×
塩化カリウム溶液︵;昌o;昌1。︶を支持電解質と
昌.凸昌o−ま1、を用いて、曽1+竃dにおいて検量線を
の波高およぴ貞、
を示す。
作成した︵ヨ①﹃﹄︶。臭素酸カリウム濃度は昌、蜆∼昌.阯
ム濃度をo.N∼8×昌一、昌o;昌.阯に変化させて塩化
波高の温度係数
で−1ω訳であり、
ランタン溶液︵ω。ω×昌よ昌o−ρ昌−阯︶のポーラログラ
ヨOこ昌−阯の広範囲にわたって、波高との間に原点を
これらの値は正常
ムを測定し、得られた検量線を昌甲㊥に示す。濃度と
は塩化カリウム溶
な拡散電流の温度
波高とは厳密には正比例していない。これは、一律に
通る良好な直線関係があることがわかった。
係数の範囲︵H
等しい量のぜラチンを添加したため、臭素酸カリウム
液中でH,N訳、塩
∼N訳︶にある。
の濃度が低いときと高いときとではぜラチンの影響が
ぜラチン濃度をO・O冒訳に一定とし、臭素酸カリウ
温度の上昇ととも
異なり、波形、波高に差が現れることによると考える。
化ランタン溶液中
に波高は増大して
611
Temp. (iC ) b]
id (mm) b)
El/2 (V) b)
E;,2 (V) ')
(mm) ')
Temp ( C ) ')
Effect of Temperature
Table 2
*) 4 OOxl0-4 mol dm 3 BrO3 in KCl(0.1 mol dm 3), pH 1.8, Sens 20 pAl200 mm,
Damp. 2.
b) 4.00XI0-4 mol dm 3 Br03- 'n LaC13(3.3xl0-3 mol dm 3), gel. 0.004%, Sens. 20
pAl200 mm, Damp. 3.
-
i
i
111
;
f 3
・
6i
(1994 p) 3;
(144)
J 50
(1)
(2)
(3)
E
lOO
to
q,
J::
a'
>(
50
o
O. 5 1. O l. 5 2. O
Con(:. of Br03- (Elmol dm 3)
Relation between Concentration of Brol!!ate and Wave- height
Fig. 5
Supp.elecLr. KCl(0_1 mol dm 3). pfl 1.8.
Sens- (1)5,lA/200mll]. (2)20LLA/200nm]. (3)50,lA/200mm
150
(1)
(3)
(2)
E
s;
lOO
be
e,
e,
/
/
,Q
50
/
/
l ..-
f
O
O. 5 1. O 1. 5
2.0
Conc. of Br03- (mmol dm 3)
Fig- 6
Relation between Concentration of Hromate and Wave-height
Supp.electr. l.aC13(3.3XI0-3 Dlol dp]-3), gel. 0.00496.
Sens. (1)5,LA/200mm. (2)201LA/200m!!1. (3)50,lA/200Rnn
612
(145) ポーラ目グラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
したがって検量線の作成には多数の標準溶液を使用す
硫酸アンモニウム墓訳、炭酸カルシウム竃訳、硫酸
と亭を比較するとわかるように、塩化ランタンを支
直線であると近似できる。この濃度範囲では、雲甲ぎ
アンモニウム、硫酸アンモニウムである。炭酸カルシ
素酸カリウムと共存が予想される水溶性塩は、リン酸
麦芽・こうじ・酵素などが8﹄訳である。そのうち臭
カルシウム鶉訳、臭素酸カリウム冨訳、デンプン・
持電解質とするほうが、塩化カリウムの場合より波高
ウムは酸性溶液中で可溶であるから、カルシウムイオ
る必要がある。しかし、N.O×昌−凸昌O;昌−阯までは、
の測定が容易で有利である。
ンの共存については塩化カルシウムを用いて検討した。
臭素酸カリウム濃度をトo×昌⊥昌◎;旨■阯とした、
昌o;昌.阯、硫酸アンモニウムミ×昌.蜆ヨoこ目−岨、塩
き×昌■、昌Oこ昌−阯、リン酸アンモニウム鶉×昌−阯
組成から算出したモル比をもとに、臭素酸カリウム
o■−・o。の塩化カリウム溶液︵9H昌o;昌.蜆︶、およぴぜ
化カルシウム員蜆XHo、舳旨o;∋.阯となるように混合
3.5 再現性の確認
ラチン9os訳添加の塩化ランタン溶液︵ω.ω×昌.餉
溶液を調製し、支持電解質に塩化カリウム溶液︵o.H
昌o;旨.阯︶を用いて、o曽Hあでポーラログラムを測定
昌o;昌.。︶のポーラログラムを、それぞれ5回繰り返
し測定して、波高の再現性を検討した結果、変動係数
した。リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化
臭素酸カリウムは、単独で用いられるよりもイース
3.6 共存物質の影響
電位の側にずれるが、波形は良好で、波高には影響が
波のみが得られ、員高は共存塩の濃度に影響されて負
液中で波を示さない。共存下では臭素酸イオンの還元
はそれぞれo・s訳とo・3訳であった。
トフードの1成分として使用される。市販のイースト
見られなかった。
カルシウムは、いずれも単独では酸性塩化カリウム溶
フードの組成例を示すと、リン酸アンモニウム①・①訳、
︵1︶
613
! 6i
(1994
) 3 ;
-
(146)
i
(3)
(2)
+)
T
C::
a;
(1)
0'5LIA
l!
U
O
Fig. 7a
-0.5 -L.O V vs S.C.E.
PolarograJ]s of Potassium Bromate
Supp.electr. KCl(0.Imol dm 3), pHl.8,
Conc.of Br03 (1)0.40X 10-4 mol dm s, (2)0.60x 10-4
Mol dn -3, (3)0.80XI0-4 mol dm 3
JL
(4)
(3)
(2)
T
)
,::
Q,
0'5LtA
(1)
:,
U
O
Fig. 7b
-O. 5 -1.0 V vs S.C.E.
Polarograll]s of Potassium Bromate
Supp.electr. LaC13(3.3x l0-3 mol dm 3) . gel.0.004%.
Conc.of Br03
(1)0.40x 10-4 mol dm 3. (2) 0.60X 10-4
mol dn -3. (3)0.80xl0 4 mol dm 3. (4) 1.00X l0-4 mol dm 3
614
1147) ポーラログラフィーによる食品中の臭素酸塩の定量のための予備的研究
塩化ランタンを支持電解質に用いる場合、リン酸塩
る。
が、この方法では必要としないので、操作が簡単とな
︵2一宍ま⋮ぎ一..§︹ミき§き県ト§冨防県
店︶。
顕雄、第6版、D−五二三頁︵一九九二年、廣川脅
−四三五頁︵一九七三年︶、石館守三、鈴木郁生、谷村
︵1︶ 刈米達夫﹃食品添加物公定書解説書﹄第3版、B
参考文献
赦いただきたい。
不都合が生じ、大変読みづらくなっていることを、.こ容
に印刷されたことによって、一部、数値・記号の表記に
[追記] 本稿は横書きで執筆されたものであり、縦書き
幸教授、ならびに御代川貴久夫教授に感謝いたします。
原稿の執筆にあたり、こ指導くださいました、本学矢野敬
さいました、故浅岡博元本学教授に感謝しますとともに、
最後に、本研究を行うにあたりいろいろと,こ教示くだ
分析法として期待できる。
本法は、再現性のよい迅速法として、かつ高感度な
はランタンイオンと沈殿を生じてしまうので、リン酸
塩の除去など試料溶液の調製に検討が必要である。
4 むすぴ
臭素酸カリウムは、o自H.o。の塩化カリウム溶液︵旨
旨o;昌.阯︶中、ならぴにゼラチン9o冒訳添加の中性
塩化ランタン溶液︵ω.ωX昌−呵旨O;冒−阯︶中で、いずれ
も臭素酸イオンの還元波を示すポーラログラムを与え、
それぞれの波に感度の差は認められなかった。特に支
持電解質に塩化カリウムを用いるとき、濃度と波高と
の間に、o∼8X昌.︷昌o;昌■阯、すなわち臭素酸イオ
ンとしてo∼曽、藺目\邑の広い範囲で直線性が得られ
^20︶
た。既報例をもとに小麦粉試料昌oqを採取し被検液
を調製したとすると、定量限界はω昌oq\膏である。
これはヨウ素滴定法の昌倍以上の高感度であり、す
なわち使用基準の−\昌までの徴量臭素酸塩の定量を
可能とする。また、特に支持電解質に塩化ランタンを
用いると、比色法では呈色反応に不可欠なo=の調整
615
一橋論叢 第111巻 第3号 平成6年(1994年)3月号 {148〕
些導εg婁呈葛聖且g且ざ↓⊥王芋亘葛5§王㌣
戸 工貫ミ §♀ヌ孟さ虫ジρ
…警二簑1二崇二琴…婁
窒華薙§;葦曇曼概募泣
616