1.うんちくんの悲しみ 2.うんちくんを探せ 3. 太陽に弱いうんちくん 4. 病気に

1/5
1. うんちくんの悲しみ
うんちくんは困っています。
うんちくんは迷子なのです。
彼は長い間、
自分の居場所を探してさまよっています。
そんな彼も数日前は茶碗一杯のご飯でした。
2. うんちくんを探せ!
そんなうんちくんは、今どこにいるでしょうか?
うんちくんは道にいます。
3. 太陽に弱いうんちくん
うんちくんは太陽が苦手です。
太陽の下にいると、
自分がクサくなってしまうからです。
ハエがうんちくんによってきて、彼に卵を産み付けます。
卵からもっと多くのハエが産まれてしまうのです。
4. 病気になっちゃう
赤ちゃんの顔にハエがとまりました。
その赤ちゃんは病気になり、目が真っ赤になってしまいました。
小さな女の子がうんちくんの上にえんぴつを落としてしまいました。それを拾った
女の子の手はうんちで汚れてしまいました。
その手で女の子が自分の顔を触ると、お腹が痛くて下痢になってしまいました。
© LIXIL Corporation. All rights reserved.
2/5
5. 雨は大敵、うんちくんがお家に!
雨が降ると、
うんちくんは雨と一緒に近くの家へ流されてしまいます。
うんちくんが家の中をさまよっていると、あっちこっちがうんちくんだらけになり、
クサいニオイがしてきます。
汚された家の人たちはとても怒ってしまいます。
すると、家の人たちはモップでうんちくんを追い出します。
そして、怒りながら叫びます。
「もう二度とうちに来るんじゃない!」
6. うんちくんの悲しみ
うんちくんは、独りぼっちです。
うんちくんを好きだと言ってくれる人は、一人もいません。
クサくて汚いヤツ! と彼を嫌います。
誰も彼のそばに近づきませんし、彼の友だちになろうとはしません。
うんちくんには居場所がないのです。
7. 誰かが騒いでる!
「ははは!」
と大きな声が近くの小さな建物から聞こえてきました。
「そこにいるのは誰だい?」
うんちくんは驚いた様子でたずねました。
8. いとこのうんちくん
「ぼくだよ、君のいとこだよ!」
「いとこ? 本当かい? どこにいるんだい?
楽しそうに話しているけど、何をしているんだい?」
「今トイレにいて、僕たちの親せきみんなと一緒にいるんだ。」
と楽しそうに話しはじめました。
© LIXIL Corporation. All rights reserved.
3/5
9. 大はしゃぎ
「そうだよ、僕たちみんなでトイレにいるんだよ。」
「えぇ、
とても楽しいのよ!」
「トイレが楽しいって?」信じられない様子で、
うんちくんがたずねました。
「そうだとも! トイレは楽しいじゃないか。」
いとこのうんちくんは嬉しそうに言いました。
「最高の居場所さ。」
10. うんちくんのショック
うんちくんは、びっくりしました。
「トイレってここみたいな道よりもずっと汚くてニオイがするところじゃないの?」
「ぼくたちがいるここのトイレは違うよ」
と、いとこのうんちくんは言いました。
「ここのトイレはコンポストトイレっていう特別なトイレなんだ。」
「コンポスト? 特別なトイレ?」
と、
うんちくんは興味深々です。
11. トイレを分離すればいい
「うん、
知っていると思うけど、
うんち一族とおしっこ一族は普通のトイレではたいてい
混ざってしまうよね。
でも本当のことを言えば、ぼくたちを混ぜることはあまり良い事ではなくて、一緒に
されてしまうととても強烈なニオイを発生させてしまう原因にもなるんだよ。
ここのトイレはね、おしっこ一族には専用のトイレがあって、
うんち一族にも専用の
トイレがあるんだ。」
と、いとこのうんちくんは説明してくれました。
12. 分けちゃえ
「君たちが混ざり合うことは絶対ないのかい?」
うんちくんは疑わしそうにたずねました。
「うん、まあときどき僕たちの両方が同時に出てしまうというのも事実なんだ
けどね。」と、いとこのうんちくんは笑いながら答えます。
「その場合、
トイレ自体が僕たちが混ざらないように分けてくれて、僕たちを正しい
場所に確実に送り込んでくれるんだよ。僕たちが混ざり合わない限り、ニオイは
発生しないのさ。」
© LIXIL Corporation. All rights reserved.
4/5
13. 空っぽトイレ
「ふーん。」
と、
うんちくん。
そんなに良い話ばかりじゃないはず。
「でもそこって混雑してるんじゃないの?」
と、彼はたずねました。
「そんなことないのさ。」
いとこのうんちくんは嬉しそうにこたえます。
「2、3日に一度僕たちを引き取りに来る人がいて、
リサイクルしてくれるんだよ。」
14. うんちをリサイクル?
うんちくんは自分の耳を疑いました!
「リサイクル???」
と叫ぶ彼。
「一体全体誰がうんちをリサイクルしたいっていうんだい?」
15. 特別な土への変化
いとこのうんちくんが笑いました。
「とても素晴らしいんだよ。」と言って説明を始めます。
「ええとね、ぼくたちは大きなタンクで6ヶ月間眠るのさ。そうしている間に僕たちは
ゆっくりと形を変え、果物、野菜、それに花を育てるのに役立つ堆肥とよばれる特別
な土になっていくんだ。」
「おしっこ一族はどうなるんだい?」うんちくんはたずねました。
「おしっこ一族はもっと簡単さ。適切な量の水を足すと、化学肥料になれるんだ。」
うんちくんは耳を疑い、ずっと黙ったままです。
一方、いとこのうんちくんは興奮した様子でうんちくんに続けて質問します。
「僕たちにとって、一番良いことはなんだか分かるかい?」
16. トイレ大好き
「みんな僕たちのことが大好きだってことだよ。僕たちのおかげで美味しい食べ物
やきれいな花が育つからなんだ。」
© LIXIL Corporation. All rights reserved.
5/5
17. うんちくんの嘆き
「それはいくらなんでも無理だよ。」と、
うんちくんは考えました。
「うんち一族を好きな人なんて誰もいないよ。」
彼はいつもみんなにひどいことを言われてきました。みんなに愛されるなんて、
信じられません。
道にクサいまま一人残されたうんちくんは、これまでにない程の寂しさを感じて
いました。
18. うんちくんを「すくえ」
ちょうどその時現れたトイレ清掃員。
いとこのうんちくんがいたトイレを空っぽにしてしまいました。
うんちくんは、バケツの中で楽しそうにおしゃべりしているいとこの声を聞きました。
清掃員がトイレを去ろうとしたその時、彼はうんちくんを踏みそうになりました。
「ここにもいたのか。」
そう言うと清掃員はさっと動き、
うんちくんをスコップですくい、バケツにポンと
入れました。
うんちくんは自分の幸運が信じられません!
うんちくんはついに居場所を見つけたのです!
彼のいとこたちは温かくうんちくんを迎え入れてくれました。
もう寂しくありません。
19. うんちくんの夢
うんちくんは肥料タンクの中で眠りに落ちそうです。もうすぐおいしい食べ物や
きれいな花を育てる肥料になれると思うとうれしくてしかたありません。
僕、
もうすぐ子どもたちにもっと好きになってもらえる。
うんちくんはまぶたをとじました。
20. おしまい
© LIXIL Corporation. All rights reserved.