佐藤 龍司

第 17 回日本在宅医学会大会
抄録集・ホームページ掲載用原稿
生活リハビリテーションに役立つ技術革新
講演テーマ
開催日
講演
~足こぎ車椅子、ブレース、シーティング、視線入力装置等の新たな技術~
2015 年 4 月 25 日(土)
ふりがな
ご芳名
講師情報
ご所属
姓
時間
15:20-16:50
さとう
佐藤
収容人数
名
300 名
りゅうじ
龍司
医療法人社団心司会
部署
役職
理事長
演題名(80 字以内)
することによるリスク、しないことによるリスク
基本動作→ADL→ IADL→活動、参加→生きがいへ
ご略歴(300 字以内)
H3 日本大学医学部卒業 H3日本大学医学部付属板橋病院精神科勤務 H5 竹田綜合病院精神科勤務
H8 クリニック佐藤開業 院長 H9 医療法人社団心司会設立 理事長
H10 介護老人保健施設しょうわ開設 施設長 クリニックしょうわ開設 院長 現在に至る
埼玉県介護老人保健施設協会理事 全国介護老人保健施設協会研修委員
人間総合科学大学非常勤講師
講演概要(1000 字以内)
「背面解放座位」という言葉に行きついたのはつい最近のことだが、老健施設を始めときから車椅子や介
護用の椅子に座る老人が座面からずり落ちそうになり、何度も座り直しをしなければならない光景を目にし
ていた。現場で座り直しをする職員たちには、その行為が業務の一つであり日常であった。しかし、私には
それに対して違和感を持った。ずり落ちていくことに疑問を感じるようになった。
この疑問をベテランの理学療法にぶつけたときに返ってきた答えは「背もたれがあるから」というものだ
った。
「背もたれがなければずり落ちない」答えは分かったが、では、実際にどのような形にすればよいか。
それが畳台だった。畳台を使用することによって、ずり落ち転落や座り直しをしなくなるという業務効率
化に加え、副次的効果も見られた。車椅子、椅子座位では重心が後方にあるために体圧は仙骨や尾骨周囲に
集中するのに対して、畳座位では前方に重心が移動するために、体圧は坐骨周囲と足底にかかる。畳台座位
は立位準備状態を作るため、特別なリハビリ訓練がなくとも移乗時に前方に支持台があれば軽介助で移乗可
能になる。継続使用により立位が可能になる。歩行能力が向上するといった基本動作能力を改善させる効果
がみられた。さらに、座面がフラットになるために更衣、整容、排泄などの ADL 動作にも改善がみられるよ
うになった。
このような改善に加え、呼吸、摂食、嚥下などの機能にも改善がみられるようになった。ま
た、仮性球麻痺などの器質疾患がなく、入院中に 30 度神話(ファーラー位)による食事介助によって誤嚥性
肺炎を繰り返し胃ろうになっても、早期に介入(廃用が進行する前)すれば畳台座位をとることによって経
管栄養から離脱することが可能となるケースが見られるようになった。
正しく座るということを、することによって ADL が改善し発生するリスクと、安全を優先して正しく座る
ことをしないために、できなくなるというリスクのどちらを選択するか。本人の人生、生きがいを追求する
先に重度障害者の在宅医療、介護が存在すると考える。