平成27年以後の相続から相続税基礎控除引き下げへ 13.05.15

平成27年以後の相続から相続税基礎控除引き下げへ
マネーコンシェルジュ税理士法人 税理士 今村 京子氏
平成25年度の税制改正は富裕層、資産家への課税強化が目立つようですが、その中で「相続税基礎
控除の引き下げ」というものがあります。
“引き下げ”というと税金が安くなるような印象をもたれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは
"課税が免除される上限額を引き下げる"ということなので、今まで相続税とは無関係だった方も相続税
課税の対象となる可能性が出てきたということです。
実際に今後どのようになるのかということを、今までの基礎控除の変遷等も含め、マネーコンシェル
ジュ税理士法人の今村京子先生に解説していただきました。
ぜひご一読ください。
●平成25年度税制改正に伴い、基礎控除引き下げへ
「平成25年度税制改正大綱」において「相続税については、地価が大幅に下落する中においても、
バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、課税割合
が低下する等、富の再分配機能が低下している。
こうした状況を受けて、課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行う」と書かれていて基本的な
考え方を示しています。
基礎控除の変遷については、
昭和50年改正「2,000万円+400万円×法定相続人数」、
昭和63年改正「4,000万円+800万円×法定相続人数」、
平成 4年改正「4,800万円+950万円×法定相続人数」、
そして平成6年改正から「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」となっています。
これは、物価・地価状況を鑑み改正が行われてきました。
そこで、物価・地価が現在と同等で合った時期(昭和50年代半ば)に適用されてきた水準と同等と
なるよう、あるべき水準に見直しが行われました。
具体的には、平成27年1月1日以後に開始した相続から適用されますが、基礎控除が4割減り、
「3,000万円+600万円×法定相続人数」となりました。
例えば、相続人が配偶者と子2人の場合、基礎控除は、8,000万円なので相続税額は0円です。
しかし、改正後は相続税額が約175万円(法定相続分により相続したものとして相続税額を計算)
となり、今まで相続税の心配をしていなかった家庭にも影響がでる可能性があります。
相続対策の見直しが必要となるでしょう。
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●相続税におけるその他の改正
基礎控除の引き下げとともに、最高税率を55%(現行:50%)に引き上げる等の
税率構造の見直しが行われました。
その際、個人の土地所有者の居住や事業の継続に配慮する観点から、
小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例について、
居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする等の拡充が
行われました。
最後に、「死亡保険金の非課税額の見直し」については、実施しないこととされましたので、併せて覚え
ておいて下さい。
いかがでしたでしょうか?
今まで「相続税なんて関係ない」と思っていた方でも、都心部に自宅を
持っていらっしゃる方や自宅以外に土地を所有している方などは、
何か対策を考えなければならないかもしれないですね。
平成27年以降に発生する相続に対して適用されるようですので、
少し準備期間はありますが・・・。
ところで、あまり話題にはなりませんでしたが、
平成22年にも「実質的な増税」とも言えるような税制改正があったのを
ご存知でしょうか?
相続税法には、相続人の生活基盤にあたる宅地には相続税の大きな
負担を掛けないようにという配慮で「小規模宅地の特例」という制度があります。
これは、被相続人が住んでいた住宅は一定の要件を満たせば評価額を
80%軽減するというものです。
この"一定の要件"が厳格に運用されるように改正されました。
具体的には、改正前は法定相続人の中で一人でも要件を満たす人がいれば、
80%軽減を受けることができたものを、
相続人一人ひとりについて軽減適用か否かを判断し、
要件を満たしていない相続人はまったく軽減適用を受けられなくなりました。
また、要件を満たしていない人だけで住宅の相続を受ける場合にも、改正前は50%軽減されましたが、
改正後はまったく軽減されなくなりました。
“増税”というと税率がアップすることだけが気になりますが、 “実質的な増税”はいろんな形でされて
いるのですね。
また、お役に立ちそうな話題がありましたら、お届けさせていただきます。
このご案内は、2013年4月11日現在の情報に基づき作成しています。
平成25年度 税制改正案が成立したことを受け、平成27年1月1日以降に適用される税制に基づいて説明
しております。
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