1 協働とは (1)調査の背景 今日、少子高齢化や県民意識の多様化に伴い、地域でのつながりが薄れ、地 域コミュニティの機能は低下しています。こうした中、福祉や子育て、環境問 題、安全安心なまちづくりなど人々が公的サービスに求めるものは高度化・多 様化しており、行政だけでは、きめ細やかな対応が難しくなっています。 そこで、様々な領域で活動するNPO・ボランティアと企業、行政がそれぞ れの役割分担の下でパートナーシップを形成し、協働することで地域課題の解 決に取り組み、共に公的サービスの提供主体となる新しい共助社会を作ること が求められています。 福岡県では、この協働について、これまで平成 14 年度に策定した「ボランテ ィア団体・NPOと行政、企業との協働に関する基本指針」 (以下「基本指針」 という。 )に基づき進めてまいりました。 基本指針の策定から 5 年を経過し、新たな社会情勢に対応する必要性から、 平成 20 年 9 月に「NPO・ボランティア団体と企業、行政との協働推進委員会」 を設置し、協働による新しい社会のあり方や協働推進のための方策について、 平成 21 年 3 月「ふくおか発・協働社会づくり -育てよう地域力 つくろう共 助社会-」として提言をいただきました。 これを受け、平成 22 年 3 月にNPOや企業、行政など多様な主体が参加する ネットワーク「ふくおか協働ひろば」を発足するとともに、平成 22 年 7 月には 「NPO・ボランティアと企業、行政との協働実践会議」を設置しました。 協働実践会議では、協働を実践していく上での方策等について検討を重ね、 平成 23 年 3 月、NPO・ボランティアや企業、行政が協働の実践に向けて自ら 取り組むべきことなどを「福岡のかたち、新しい共助社会~NPO・ボランテ ィアと企業、行政との協働実践指針~」として取りまとめました。 平成 23 年度からの 2 年間は、国の「新しい公共支援事業」交付金を活用して 実施した「福岡県共助社会づくり事業」により、NPO・ボランティアの活動 基盤強化を支援する新しい仕組みづくりを進めました。この取組を通じて、N PO・ボランティアと多様な主体との協働による様々な課題解決の手法を県内 各地に広めることができました。 また、平成 24 年 4 月には、特定非営利活動促進法(NPO法)が大幅に改正 され、NPO法人制度について、法人の財政基盤強化につながる措置や、制度 の使いやすさと信頼性向上のための見直しなどが行われており、NPO法人が 県民の身近な存在として、多様化する社会のニーズに応えていくことがますま す期待されます。 これらの状況を踏まえ、新しい共助社会の実現に向けて、NPO・ボランテ ィアや企業をはじめ、あらゆる人々が地域課題の解決のために協働を進め、共 に支え合っていく必要があります。 -1- (2)調査の目的 本調査は、福岡県及び県内の自治体におけるNPO・ボランティアとの協働 事業を把握し、今後の協働の促進に向けた施策の参考とするため、平成 14 年度 から毎年実施しているものです。今回は、平成 26 年 3 月に実施しました。 なお、掲載している事業は、県及び市町村において協働事業と判断され、回 答されたもので、今後の事業実施の参考とするため、協働事業をできるだけ広 く捉えて掲載しています。 (3)用語の定義(基本指針及び提言から) 協働という言葉には、全国的に統一された定義がありません。本県では、 「協 働」を次のとおり定義します。 協働とは、ボランティア団体・NPO、行政、企業のそれぞれの主体性・自発性のも とに、互いの特性を認識・尊重し合いながら、対等な立場で、共通の目的を達成するた め協力・協調すること また、NPOに含まれる団体の範囲についても狭義から広義まであり、使い 方は統一されていません。そこで、本県では、NPO・ボランティア団体を次の とおり定義します。 ボランティア団体・NPOとは、不特定かつ多数のものの利益の増進のため、自発的 に社会貢献活動を行う、営利を目的としない民間団体 (4)協働の形態 NPO・ボランティアとの協働には、様々な形態が考えられます。それぞれ の事業に応じ、最も効果的な協働形態を選択することは、協働事業の可否に関わ る重要な要因となります。 ① 協働委託 行政がNPO・ボランティアに対し協働になじむ事業を委託する形態 *本県では、NPO等と協働で委託事業を実施する場合を特に「協働委託」 と呼び、通常の委託とは区別して考えています。 ② 補助 NPO・ボランティアが主体的に行う公益性の高い事業に対し、その事業 等を育成、助長するため金銭等を交付する形態 ③ 実行委員会・協議会 NPO・ボランティアと行政で実行委員会・協議会を組織し、主催者とな って事業を行う形態 -2- ④ 共催 NPO・ボランティアと行政が主催者となって共同で一つの事業を行う形 態 ⑤ 後援 NPO・ボランティアが行う公益性の高い事業に対し、行政の後援名義の 使用を認めて支援する形態 ⑥ 物的支援(公の財産の使用等) 公益性の高い活動を行うNPO・ボランティアに対し、公共の空き施設を 提供することや、活動に必要な物品や用具等を支援する形態 ⑦ 人的支援 NPO・ボランティアが行う活動に対し、職員の派遣等を行うことにより 支援する形態 ⑧ アダプトシステム 地域に密着したNPO・ボランティアがその地域にある道路や河川などの 「里親」になって清掃や植生管理を行う。行政と協定書を結び、行政は必要 な用具の貸与や損害保険の負担、活動団体の掲示などを行う形態 ⑨ 事業計画段階への参加 事業検討の際にNPO・ボランティアから提案を受けるなど県民ニーズや 協働事業に関する意見を求める形態 ⑩ 情報交換・情報提供 双方が持っている情報を積極的に提供し、活用し合う形態 ⑪ 指定管理 公の施設の管理運営を委ねる形態 ⑫ その他 上記の形態に当てはまらない項目 -3- 2 福岡県の現状 (1)認証法人数の推移 福岡県内の認証法人数は、1,730 法人(平成 26 年 3 月末)であり、全国の法人 数 48,992(法人)の約 3.5%を占めています。 都道府県単位で比べると、東京都、大阪府、神奈川県、北海道、兵庫県、埼 玉県、千葉県、愛知県に次いで 9 番目です。 なお、福岡県における認証法人数は、引き続き増加傾向です。 市町村別認証数(平成26年3月末現在) 市町村名 福岡市 北九州市 久留米市 飯塚市 太宰府市 大野城市 大牟田市 筑紫野市 八女市 糸島市 春日市 宗像市 古賀市 直方市 行橋市 件数 697 296 117 49 37 32 31 30 27 27 26 25 18 17 17 市町村名 田川市 筑紫郡那珂川町 小郡市 嘉麻市 朝倉市 柳川市 筑後市 中間市 田川郡川崎町 大川市 福津市 豊前市 みやま市 朝倉郡筑前町 糟屋郡篠栗町 件数 16 16 15 13 13 12 12 12 11 10 10 9 9 9 8 市町村名 京都郡みやこ町 京都郡苅田町 宮若市 糟屋郡新宮町 糟屋郡粕屋町 鞍手郡小竹町 嘉穂郡桂川町 糟屋郡志免町 遠賀郡芦屋町 遠賀郡岡垣町 鞍手郡鞍手町 三潴郡大木町 八女郡広川町 田川郡添田町 うきは市 -4- 件数 8 7 6 6 6 6 6 5 5 5 5 5 5 5 4 市町村名 遠賀郡水巻町 築上郡上毛町 築上郡築上町 糟屋郡宇美町 糟屋郡須恵町 田川郡福智町 糟屋郡久山町 遠賀郡遠賀町 朝倉郡東峰村 田川郡赤村 築上郡吉富町 合計 件数 4 4 4 3 3 2 1 1 1 1 1 1,730 (2) 活動分野 福岡県内の認証法人(1,730 法人)について、活動分野別にみると、 「保健、医 療又は福祉の増進を図る活動」を活動目的に掲げる法人が 994 法人であり、全 体の 57.5%を占めています。 そのほか、 「まちづくりの推進を図る活動」 、 「子どもの健全育成を図る活動」 を活動目的に掲げる法人がそれぞれ 776 法人(44.9%)、736 法人(42.5%)となっ ています。 注) ・一つの法人が複数の活動分野の活動を行う場合があるため、合計は認証法人数と一致しません。 ・ 「観光の振興を図る活動」及び「農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動」が平成 24 年度から追加にな りました。 -5- (3) 協働の実施状況 県や市町村では、協働事業の件数が年々増加しており、今後も協働事業件数 が増えていくことが期待されます。 注)平成 26 年度協働事業件数については計画であり、件数が変わることがあります。 -6- 平成 25 年度実績 年度実績 形態別協働事業件数 ~県(本庁)~ 「協働委託」が 30 件(25%)と最も多く、以下「情報交換・情報提供」21 件(18%)、 「後援」が 15 件(13%)となっています。 形態 件数 協働委託 30 情報交換・情報提供 21 後援 15 実行委員会・協議会 14 共催 11 補助 10 事業計画段階への参加 7 物的支援 2 人的支援 2 アダプトシステム 2 指定管理 0 その他 4 合計 118 形態別協働事業件数 ~県(出先)~ 「人的支援」が 23 件(32%)と最も多く、以下「情報交換・情報提供」14 件(20%)、 「共催」9 件(13%)となっています。 形態 件数 人的支援 23 情報交換・情報提供 14 共催 9 実行委員会・協議会 8 後援 4 物的支援 4 協働委託 1 事業計画段階への参加 1 補助 0 アダプトシステム 0 指定管理 0 その他 7 合計 71 -7- 形態別協働事業件数 ~市町村~ 「補助」が 394 件(18%)と最も多く、以下「物的支援」347 件(16%) 、 「協働委 託」293 件(13%)となっています。 形態 件数 補助 394 物的支援 347 協働委託 293 共催 257 実行委員会・協議会 235 情報交換・情報提供 200 事業計画段階への参加 108 人的支援 91 後援 84 指定管理 27 アダプトシステム 14 その他 149 合計 2,199 平成 26 年度(計画) 形態別協働事業件数 ~県(本庁)~ 「協働委託」が 33 件(29%)と最も多く、以下「情報交換・情報提供」20 件(17%)、 「実行委員会・協議会」が 15 件(13%)となっています。 形態 件数 協働委託 33 情報交換・情報提供 20 実行委員会・協議会 15 事業計画段階への参加 11 共催 11 補助 10 後援 5 物的支援 3 人的支援 2 アダプトシステム 2 指定管理 0 その他 4 合計 116 -8- 形態別協働事業件数 ~県(出先)~ 「人的支援」が 24 件(34%)と最も多く、以下「情報交換・情報提供」14 件(20%)、 「共催」9 件(13%)となっています。 形態 件数 人的支援 24 情報交換・情報提供 14 共催 9 実行委員会・協議会 8 物的支援 5 事業計画段階への参加 1 後援 1 協働委託 0 補助 0 アダプトシステム 0 指定管理 0 その他 8 合計 70 形態別協働事業件数 ~市町村~ 「補助」が 395 件(19%)と最も多く、以下「物的支援」340 件(16%) 、 「協働委託」 276 件(13%)となっています。 形態 件数 補助 395 物的支援 340 協働委託 276 共催 244 実行委員会・協議会 222 情報交換・情報提供 198 事業計画段階への参加 87 人的支援 87 後援 69 指定管理 27 アダプトシステム 14 その他 126 合計 2,085 注)一つの事業で複数の形態の協働を行う場合があるため、合計は協働事業件数と一致しません。 -9-
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