品質カイゼン室のスイートピー花のソコが知りたい！編基本データ和名：麝香連理草ジャコウレンリソウまたは麝香豌豆ジャコウエンドウと言われる。（英名：スイートピー）麝香＝香水などに使われるムスクのことマメ科レンリソウ属のつる性 1 年草で収穫の終わりには 4ｍにもなる。原産地：シチリア島こちら→ 日本への渡来は不詳。文久 2 年（1862 年）に写生図が描かれています。明治末期には神奈川県横須賀市で夏咲き系品種の露地切花栽培が行われ、冬咲き系品種の温室栽培は大正時代になってからとのこと。イギリスを中心ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなどでスイートピー栽培が盛んだが、ほとんどが花壇あるいは鉢物用。切花用は日本が最も盛ん。オランダをはじめヨーロッパ各地でも切花栽培されているが、その面積は少ない。宿根スイートピー（マメ科のレンリンソウ属）・・・多年草で 6～8 月にかけて咲き、サマースイートピーとも呼ばれる。一年草のスイートピーとは別物で花が小ぶりで花数も多い。宿根スイートピー～今回は一年草のスイートピーについてご紹介していきます！～栽培ポイント栽培スケジュール（８月下旬播種）ポイント１・・・種子冷蔵（＝春化処理）一般的に春化処理とは、たねや苗、球根を低温にあわせて花芽分化をさせ、春に咲く花を秋や冬に咲かせることをいいます。スイートピーの場合、春化処理として種子冷蔵が行われますが、目的は系統により異なります。(系統は開花時期により 3 系統あり、それぞれに温度や日長に対する反応が違います。) 種子冷蔵により、本来の開花時期より早い冬から連続して花を採花できるようになります。ポイント 2 ・・・つる下ろしスイートピーはつる性の植物ですので成長とともにつるが伸びます。伸びたつるを管理しやすい高さに下ろして留めなおすことを『つる下ろし』といいます。方法はいくつかありますが、以下に代表的な横ずらし法をご紹介します。つる下ろし作業の様子つる下ろし作業伸びたつるを平行移動させ、管理しやすい高さまで下ろします。つるを固定奥から手前につるが平行移動している。ポイント３・・・落蕾・落花対策スイートピーは日射量・日照時間が不足すると蕾や花が落ちてしまいます！落蕾は日射量が少ない日から 3 日後に激しく起こります。花蕾が正常に発達するには比較的低照度で良いのですが、一日数時間以上の日照が連続することが必要であると言われています。このまま落蕾する。茎（花梗）が写真左のようにヘアピンのように曲がらず蕾が起き上がってきている。正常な蕾異常な蕾スイートピーは日射量・日照時間が不足すると光合成が足りず、そのため蕾に届けられる栄養が減少し、落蕾・落花してしまいます。生産者は曇雨天でも落蕾・落花しにくい植物体づくりやハウス内の環境づくりを行い、落蕾・落花を防いでいます。染め色バリエーションが豊富なスイートピーですが作り出すのが難しい色目は生産地で染色液を吸わせてカラーリングしています。花色が黄色やオレンジ色の切花はほとんどが染色されたものです。染めに使われる品種は主に『ステラ』です。染めの様子足元のコップに染色液が入っている。ステラ花もち STS 剤の使用で花もち延長！スイートピーはエチレンに対する感受性が高い花です。切り花栄養剤を使うとさらに日持ちが延長！ほとんどの産地で STS 剤が使用されています。小売店や消費者が後処理として切花栄養剤を利用することで、さらに花もちを延長することができます。常温で一週間以上花もちします！病気市場内で発見された花しみ症状花しみが大敵！花しみはハウス内の湿度が高い状態が続いた時に発生が多く、様々な除湿対策がとられています。除湿のために敷き詰められた換気のためのファンモミガラ良いスイートピーの見分け弊社担当に聞きました！良いスイートピーとは・・・・ステムが硬い！花穂が詰まっている！輪が大きい！香りが強い！生産者さまが丹精こめて作ったスイートピーで一足早く春を感じてみてはいかがでしょうか。参考文献 JA 宮崎経済連営農振興課スイートピー栽培研修会資料黒木潤一『スイートピー栽培のポイント（品質・収量アップ対策資料）』宇多明・桐生進(2013) 『花屋さんが知っておきたい花の小事典』農文協坂本尚（1994）『農業技術大系花卉編第 8 巻 1・2 年草』農文協 (株)大田花き品質カイゼン室