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JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
片岡 亨
Vol.036
先生 (ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科)
Retro grade approach が困難な RCA long CTO 病変に
ATHLETE Wizard78 による Step-down が有効であった一例
80 歳代、女性、Killip type II の心不全を伴う狭心症、心エコー図上 EF 30%
使用デバイス
Guiding catheter :
Guide wire
:
Balloon catheter :
Stent
:
Others
:
6Fr. Mach-1 FR4
① Sion blue, ② XTR, ③ Gaia 1st. ④ Gaia 2nd. ⑤ ATHLETE Wizard78, ⑥ Fileder FC, Extension
① LAXA 3.0x15mm, ② Tazuna 1.25x5mm
① Xience expedition 2.5x38mm, ② Xience expedition 3.0x33mm, ③ Xience expedition 3.5x24mm
Terumo View It, Corsair 135cm, Crusade, Kusabi, Tornus88
ターゲット病変情報
RCA #1 100% CTO、#2 99% CTO、#3 100% CTO (Fig. 1,2)
Fig. 2
Fig. 1
LMCAに90%狭窄があり、High LateralからRCA LADへのコラテラルを供給しており、安全性の高い、RCAのCTO
から最初のPCIを開始した。RCAへのコラテラルはfairであったが、#4PD、4AVまでしか造影されなかったためAnte
grade approachのみでは難易度の高い病変であった(Fig. 3)。
Fig. 3
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手技手順・方法
Right Femoral artery & Right Radial artery approach
GCは大きめであったがエンゲージすれば良好なバックアップが得られた。SION blueとCorsairで#1の狭窄部を通過させ
ようとしたが困難でありSION blueからXTRへ変更した。XTRではなんとか#1、#2を通過できたが#3のCTO部分は非常
に硬く通過できなかった。#1、#2の狭窄が原因でwire操作が制限されていると考え、POBAする方針とした。Extension
wireを使用してCorsairを抜去し、IVUSにてwireが真腔を通過していることを確認した後にLAXA 3.0×15mmにて
POBAを施行した(Fig. 4)。しかしその後も#4へはwire通過できず。このため、XTRからGaia 1st.へ変更したが不通過であり
Gaia 2nd.へ変更した。CTO末梢の#4の3分岐の部分はGaia 2nd.で一旦通過した可能性があったが、3mm程末梢では明
らかな偽腔通過であった(Fig. 5)。
Fig. 4
Fig. 5
更に別のルートを探ったが、#4AV側の頭側にずれる偽腔通過であった(Fig. 6)。本来ならRetro grade approachを考慮す
べき局面であったが、心不全を伴うLMCAを含む3枝病変であり、Ante gradeで手技を完遂させることとした。#4の分岐
部はGaia 2nd.で硬いdistal capの箇所は通過している印象があり、まずはXTRにStep-downしたが、CTO distal capを
通過出来ず、更にプロファイルの小さいtapered wireでStep-downすれば#4のいずれかの枝を選択できる可能性を考え、
ATHLETE Wizard78に交換した。Gaia 2nd.で通過したと思われる3分岐の入口を慎重に選択し、#4AV、 #4PDの間の
小さい枝へ通過した(Fig. 7)。
Fig. 6
Fig. 7
対側造影で真腔を捉えている可能性が高く(Fig. 8)、Corsairでブジーを試みたが通過出来ず、Tornus Proにて3分岐の部
分までブジーした後に、Tazuna 1.25×10mmにてPOBAした。Crusadeを用いて#4PDをFielder FCで選択した。
Torunus Proでブジーし(Fig. 9)、
Fig. 9
Fig. 8
POBA後にIVUSを施行し#4PDからCTO区間は全て真腔を通過している事を確認した。#3-#4PDへXience Xpedision
3.0×38mmを留置した。その後、Xience Xpedision 3.5×23mm、Xience Xpedision 3.0×38mmを#1-#3へ留置
した(Fig. 10)。
Fig. 10
最終造影で#1-#4PDはTIMI3であり良好な拡張を認めた。Jailされた#4AVの分岐部は90%狭窄が残存していたが造影遅
延なく手技を終了とした(Fig. 11, 12)。その後心不全も改善し、後日LMCAからLADにかけてのPCIも成功した。
Fig. 11
Fig. 12
JAPAN LIFELINE TVI MARKETING REPORT
考察
Ante grade approachの制限がある状況で、CTO distal capは穿通出来た可能性があるものの末梢においては真腔を捉
えきれていない場合、Gide WireのStep-downは有効な方法であり、特にGaiaやConquestなどのCTO tapered wireで
穿通した腔は非常に小さく、最もプロファイルの小さいATHLETE Wizard78が有効であった。パラレルワイヤーを試み
る内腔がない場合や、IVUS guideを試みる前に施行すべき価値のある一つの方法と考える。
ATHLETE Wizard78 Specifications
術者紹介
ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科
片岡 亨 先生
所属学会:
1994 年
1994 年
1996 年
2000 年
2000 年
2003 年
2006 年
2011 年
大阪市立大学医学部卒業
大阪市立大学第一内科レジデント
育和会記念病院 循環器内科
多根総合病院 循環器内科
カリフォルニア州 スタンフォード大学
心血管インターベンション・リサーチフェロー
大阪市立大学大学院 循環器病態内科学
大阪市立大学大学院 循環器病態内科学 病院講師 ベルランド総合病院 心臓病センター循環器内科 部長
大阪市立大学大学院 循環器病態内科学 非常勤講師
日本内科学会、日本心臓病学会、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心血管画像動態学会 評議員
日本心血管 OCT 研究会 世話人
2014-07-05-01