当 面 の 技 術 対 策 (1月)

当 面 の 技 術 対 策
(1月)
平成26年12月25日
農
林
水
産
部
1
Ⅰ
月
の
技
術
対
策
安全・安心な農産物生産
1 短期暴露評価導入に伴う農薬の適正使用
2 安全・安心な農作物の生産
3 農産物の適切な取扱い
Ⅱ
果
樹
降雪期の雪害対策
おうとうの加温ハウス栽培の管理
厳寒期の剪定の注意点
P3~4
野
菜
果菜類の育苗管理
山菜類の促成栽培
無加温ハウス内の軟弱野菜管理
いちごの管理
P5~6
花
き
施設花きの管理
アルストロメリアの管理
トルコぎきょうの7月出し作型の育苗温度管理
ストックの管理
ビブルナム「スノーボール」の促成管理
春出し花壇苗の播種、育苗
出荷商品の凍害防止
P7~8
1
2
3
Ⅲ
1
2
3
4
Ⅳ
1
2
3
4
5
6
7
P1~2
Ⅰ
安全・安心な農産物生産
【1月の重 点 事 項】
○短 期 暴 露 評 価 に伴 って変 更 登 録 が申 請 された農 薬 については、使 用 方 法 が制 限
(負の変 更)されていることから、指 導 者 及び農 薬 使 用 者は適 切に対 応する。
○農 薬 使 用 時は散 布 前にラベルをよく確 認 し、使 用 基 準の遵 守を徹 底する。
○収 穫 作 業 の前 には、記 帳 した防 除 実 績 と使 用 した農 薬 の使 用 基 準 を必 ず確 認
する。
○収 穫 時 及 び収 穫 後 の農 産 物 は、保 管 中 の農 薬 付 着 や異 物 混 入 等 の事 故 防 止 の
ため、農 薬 、包 装 資 材 、農 業 資 材 及び農 業 機 械 等と明 確に区 分 する。
1 短期暴露評価導入に伴う農薬の適正使用
( 1 ) 食 品 安 全 委 員 会 が 、 平 成 26 年 よ り 全 農 薬 を 対 象 に 参 照 毒 性 用 量 (ARfD) 設
定 を 開 始 し 、 厚 生 労 働 省 は ARfD 設 定 に 伴 っ て 短 期 暴 露 評 価 を 行 う こ と と な っ
たため、一部の農薬は残留基準値及び使用方法の見直しが見込まれる。
( 2 ) こ の た め 、 農 林 水 産 省 は 製 造 者 に 対 し て 、 農 薬 の 残 留 基 準 値 等 の 改 定 前 に、
自 ら 短 期 暴 露 評 価 を 実 施 し て 、十 分 な 時 間 的 余 裕 を も っ て 農 薬 の 変 更 登 録 を申
請するよう指導している。
( 3 )農 薬 製 造 者 が 、十 分 な 時 間 的 余 裕 が な く 変 更 登 録 を 申 請 し た 農 薬( ケ ー ス 1 )
に つ い て は 、変 更 前 の 登 録 内 容 で 使 用 し た 場 合 、今 後 残 留 基 準 値 が 改 定 さ れれ
ば 、残留 基 準 値 を 超 過 す る 場 合 が あ る こ と も 想 定 さ れ る。こ の た め、指 導 機 関
等 は 変 更 後 の 使 用 方 法 を 防 除 基 準 や 防 除 暦 に 記 載 す る こ と 。ま た 、農 薬 使 用者
は変更後の登録内容で使用するように努めること。
( 4 )一 方 、十 分 な 時 間 的 余 裕 を も っ て 登 録 変 更 が 申 請 さ れ た 農 薬( ケ ー ス 2 )に
ついては、指導機関等は変更後の登録内容を防除基準や防除暦に反映する。
( 5 )ケ ー ス 1 に 該 当 す る 農 薬 は 、平 成 26 年 12 月 末 現 在 、有 効 成 分 ア セ フ ェ ー ト 、
カルボスルファン及びベンフラカルブである。
( 6 )ケ ー ス 2 に 該 当 す る 農 薬 は 、有 効 成 分 N A C 、フ ル バ リ ネ ー ト 、フ ェ ナ リモ
ルである。
( 7 )詳 し く は「 や ま が た ア グ リ ネ ッ ト:http://agrin」に 掲 載 し て い る の で 適切
に対応する。
2 安全・安心な農作物の生産
( 1 )病 害 虫 の 発 生 し に く い 環 境 づ く り の た め 、耕 種 的 対 策 や 物 理 的 対 策 を 組 み合
わせ、農薬のみに頼らない防除対策を講じる。
( 2 )農 薬 使 用 に あ た っ て は 、農 林 水 産 省 の 登 録 農 薬 を 使 用 し 、か つ 適 用 作 物 、使
用濃度や使用量、使用回数及び収穫前使用日数を遵守する。
( 3 )合 成 ピ レ ス ロ イ ド 剤 等 を 使 用 す る 場 合 は 、市 町 村 農 作 物 有 害 動 植 物 防 除 協議
会等で定めた地区に限って使用し、蚕・魚類に対する被害を防止する。
( 4 )農薬 に 対 す る 耐 性 菌・抵 抗 性 害 虫 出 現 防 止 の た め、同 一 成 分 の 農 薬 の 連 用 に
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 1 -
ならないよう薬剤を選択する。
( 5 )薬 剤 散 布 に あ た っ て は 、周 辺 の 住 民 、河 川 等 の 周 辺 環 境 、周 辺 作 物 に 十 分配
慮 し 、飛 散 防 止 対 策 を 講 じ る 等 地 域 住 民 や 養 蚕 農 家、た ば こ 耕 作 者、養 蜂 業 者
等に損害が生じないようにする。
3 農産物の適切な取扱い
( 1 )収 穫 時 及 び 収 穫 後 の 農 産 物 は 、保 管 中 の 農 薬 付 着 や 異 物 混 入 等 の 事 故 防 止の
ため農薬、包装資材、農業資材及び農業機械と明確に区分する。
( 2 )農薬 は 施 錠 可 能 な 場 所 に 保 管 し、漏 出 防 止 に 努 め る と と も に 、他 容 器 へ の 移
しかえを行わない。
( 3 )コン テ ナ 等 の 収 穫 容 器 は、洗 浄 し た も の を 使 用 し、収 穫 さ れ た 農 産 物 以 外 の
ものを保管したり運搬するために使用しない。
( 4 )ト ラ ッ ク 等 の 輸 送 車 輌 は 、十 分 な 清 掃 を 実 施 す る 。特 に 、農 薬 散 布 器 具 を搬
送した場合は、使用後必ず洗浄する。
( 5 )収穫 後 の 農 産 物 を 保 管、調 製 及 び 包 装 作 業 に 使 用 す る 施 設 は 、十 分 な 清 掃 を
実施する。
(6)衛生的に保つことが困難になった出荷容器は、廃棄する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 2 -
Ⅱ
果
樹
【1月の重 点 事 項】
○積 雪が多い場 合の雪 下ろし、枝の掘り出 し等、雪 害 対 策を徹 底 する。
○おうとうの加 温 ハウス栽 培 は、低 温 遭 遇 時 間 を確 認 しながら加 温 開 始 時 期 を決 め
る。また、ステージごとの温 度 管 理を適 正に行う。
1 降雪期の雪害対策
( 1 )積 雪 が 多 い 場 合 や 多 く の 積 雪 が 見 込 ま れ る 場 合 は 、で き る だ け 速 や か に 樹や
施 設 の 雪 下 ろ し を 行 う 。樹 で は 太 い 枝 や 分 岐 部 、ハ ウ ス や 雨 よ け 施 設 で は 雨樋
やパイプの交差部の積雪に注意し、早めに雪下ろしを行う。
( 2 ) 埋 も れ た 枝 は 、 雪 の 沈 降 が 始 ま る 前 に 抜 き 上 げ る 。 下 枝 な ど 抜 け な い 枝 は、
できるだけ枝上の雪を除き枝下の雪踏みを行う。
( 3 )ぶ ど う 等 の 棚 栽 培 で は 、棚 下 の 雪 と 棚 面( 樹 )に 積 も っ た 雪 が つ な が ら ない
よう、雪下ろしや雪踏みを行う。また、側柱や筋交いの周囲の除雪を行う。
( 4 )お う と う や ぶ ど う の ハ ウ ス サ イ ド に た ま っ た 雪 は 、速 や か に 排 雪 や 消 雪 に努
める。
( 5 ) 積 雪 が 多 い 場 合 、 1 月 下 旬 に 融 雪 剤 を 散 布 し 、 そ の 後 さ ら に 20c m 以 上 の
積雪があった時に再度散布を行うことで、早期に消雪できる。
2 おうとうの加温ハウス栽培の管理
( 1 )お う と う の 加 温 ハ ウ ス 栽 培 は 、休 眠 か ら 覚 醒 し た 後 で 加 温 を 始 め る の が 基本
で あ る。「 佐 藤 錦 」が 休 眠 か ら 覚 醒 す る に は 、7 ℃ 以 下 の 低 温 に 1,650 時 間 遭
遇 す る 必 要 が あ る と さ れ て お り 、村 山 地 域 で そ の 時 間 に 達 す る の は 、平 年 で1
月 20 日 前 後 で あ る 。
今 年 の 12 月 22 日 ま で の 7 ℃ 以 下 遭 遇 時 間 は 、 ア メ ダ ス 山 形 で 901 時間 と
前 年 よ り 29 時 間 多 く 、 ア メ ダ ス 東 根 で は 1007 時間 と 前 年 よ り 7 時 間多 い 状
況 と な っ て お り 、前 年 並 ~ 1 日 程 度 早 く 休 眠 か ら 覚 醒 す る 予 想 と な っ て い る。
※各 アメ ダ ス地 点 の低 温遭 遇時 間 は、 各 農業 技術 普及 課 で情 報 提供 して いる 。
※「 やま がた ア グリ ネ ット 」の 会員 は 、あ ぐ りん ウェ ザ ー→ 農 作業 情報 →低 温 遭
遇時 間か ら 確認 す るこ とが でき る 。
( 2 )休眠 か ら 覚 醒 す る 前 に 加 温 を 始 め る 場 合 は、休 眠 打 破 処 理 を 行 う。休 眠 打 破
処 理 と は 、1 2 月 下 旬 以 降 、7 ℃ 以 下 の 遭 遇 時 間 が 1,000 時 間 以 上 と な っ てか
ら、植物成長調整剤を散布し、生育を促進させる方法である。
こ れ ら の 薬 剤 は 、 散 布 時 期 や 濃 度 、 散 布 量 に よ っ て 効 果 に 差 が あ り 、 ま た、
樹勢が弱い樹に散布すると、芽枯れが発生する恐れがあるので注意する。
ま た 、散 布 後 一 昼夜 は 雨 や 雪 に あ た ら な い よ う 注 意 す る 。予 め 被 覆 を 行 っ て
散布しても良い(その場合、サイドは開放して十分換気を行う)。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 3 -
◎休眠打破に効果がある植物成長調整剤
薬剤 名
使用 時期
希釈 倍数
使用 薬量
使用 回数
CX-10
休眠 期
10~30 倍
300~400L/10a
1回
ヒットα10
休眠 期
10~20 倍
300~400L/10a
1回
(3)被覆から開花期までの温度管理
ア 加 温 開 始 時 期 が 早 い ほ ど 生 育 が 不 揃 い に な り や す い の で 、早 い 作 型 ほ ど被
覆後の夜温を低めに管理し緩やかに生育を進める。
イ 燃 料 を 節 約 す る た め 、昼 夜 と も 温 度 を 低 め に 管 理 す る 生 産 者 が 多 い が 、設
定 温 度 を 下 げ 過 ぎ る と 、生 育 が 遅 く なり 早 期 に 加 温 し た メ リ ッ ト が 発 揮 で き
な い。こ の た め 、極 端 な 低 温 管 理 は 控 え 、生育 ス テ ー ジ に 応 じ た 温 度 管 理 を
行う。
ウ 昼 温 か ら 夜 温 、夜 温 か ら 昼 温 に 代 わ る 時 間 帯 の 温 度 は 、多 段 サ ー モ を 利用
して段階的に変え、日の出、日没時刻に応じて時間帯を調整する。
エ 基 本 的 な 温 度 管 理 を 下 表 に 示 し た が 、日 照 を 十 分 活 用 し 、暖 房 機 の 無 駄な
燃 焼 を 少 な く す る よ う 、天 候 に 応 じ て天 窓 や サ イ ド の 開 閉 を 行 う 。日 没 の 1
~2時間前にはハウスを閉めて蓄熱し、燃焼を少なくする。
た だ し 、日 照 の 活用 を 重 視 し 過 ぎ て 換 気 を 控 え る と 、ハ ウス 内 が 高 温 に な
り 生 育 に 悪 影 響 が で る 場 合 が あ る の で 注 意 す る 。特 に 、発芽 期 か ら 開 花 期 に
か け て の 高 温 は 結 実 不 良 の 原 因 に な る の で 、25℃ を 超 え ない よ う に 換 気 を 行
う。
◎ハウス栽培における温度管理の目安
ステージ
昼 温
夜 温
被覆~(10日程度)
15℃
0℃
注 意 事 項
昼温は高くても20℃を超えない。
夜温は作型に応じて調整する。
~発芽期まで
15℃
0~5℃
~開花始めまで
15~20℃
5~7℃
この範囲内で前半は低め、後半は高めに設定する。
開花期~落花期
18~23℃
7℃前後
昼温は25℃、夜温は10℃を超えない。
( 4 )被 覆 か ら 開 花 ま で の 時 期 は 最 も 多 く の 土 壌 水 分 が 必 要 な の で 、十 分 な 灌 水を
行う。また、開花までは早朝に枝散水を行う。
3 厳寒期の剪定の注意点
( 1 )り ん ご は 、寒 さ の 厳 し い 時 期 に 剪 定 を 行 う と 腐 ら ん 病 の 感 染 が 増 え る 傾 向が
あ る の で 、剪 定 は 寒 さ の ピ ー ク が 過 ぎ て か ら 行 う 。早 い 時 期 か ら 作 業 に 入 らな
け れ ば い け な い 場 合 は、粗 剪 定 程 度 に と ど め、切 り 口 に 必 ず ゆ 合 剤 を 塗 布 す る 。
細かいハサミ入れは寒さが緩んでから行う。
( 2 )もも は 、凍 害 防 止 対 策 と し て 厳 寒 期 の 剪 定 は 控 え、寒 さ が 緩 ん で か ら 作 業 を
行う。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 4 -
Ⅲ
野
菜
【1月の重 点 事 項】
○果 菜 類の育 苗 管 理 は、温 度 管 理に留 意し、健 全 苗の育 成に努 める。
○山 菜 類 の促 成 栽 培 では、施 設を効 率 的 に利 用 できるよう計 画 的 な伏せ込 みを行い、
定 量、継 続 出 荷と高 品 質 生 産に努める。
○降 雪に備え、露 地 や施 設での雪 害 対 策 を講じる。
○ハウス軟 弱 野 菜 は、低 温 、少 日 照 下 での栽 培 となるため、灌 水 と温 度 管 理 を適 正 に
行う。
1 果菜類の育苗管理
(1)半促成きゅうり
健 苗 育 成 の た め 良 質 の 床 土 を 準 備 す る 。 培 土 の pH、 EC が 適 正 で あ る か
どうか、使用前にチェックする。
播種後接ぎ木まで、台木と穂木の適正な温度管理に努め、接ぎ木時の生
育 ス テ ー ジ を 合 わ せ る と と も に 、胚 軸 が 太 く し っ か り と し た 苗 を 作 る 。接
ぎ木はさし接ぎ、片葉切断接ぎ、呼び接ぎ等各種あるが、接木後の密閉管
理 と 温 度 管 理 に 留 意 し 、遮 光 等 を 組 み 合 わ せ な が ら 速 や か な 活 着 を 心 が け
る。
(2)早熟トマト
前 年 に 萎 凋 病 、青 枯 病 等 の 土 壌 病 害 が 発 生 し た ハ ウ ス で は 抵 抗 性 台 木 へ 接ぎ
木を行う。台木は病害の種類や穂木との組合せを考慮して品種を選択する。
接 ぎ 木 は 省 力 的 で 成 苗 率 の 高 い「 幼 苗 接 ぎ 木 法」で 行 う 。接 ぎ木 後 は 簡 易 順
化 床 に 入 れ 、25℃ 、湿 度 100% で 管 理 す る 。接 木 後 4日 目 頃 か ら 徐 々 に 換 気 を
始 め 、し お れ な く な っ た ら 通 常 換 気 で 管 理 す る 。幼 苗 接 ぎ 木 の 適 期 は 第 1 花房
の 花 芽 分 化 期 に も あ た る の で 、 養 成 中 の し お れ 、 肥 培 管 理 に は 特 に 留 意 す る。
ト マ ト は 特 に 光 を 必 要 と し 育 苗 中 に 花 芽 分 化 が 始 ま る の で 、鉢 ず ら し を 行っ
て 株 元 ま で 十 分 光 が 入 る よ う に す る 。花 芽 分 化 期 の 低 温 は 奇 形 果 の 発 生 を 誘発
す る の で 、 育 苗 前 半 の 最 低 気 温 は 12℃ 以 下 に な ら な い よ う 管 理 す る 。
2 山菜類の促成栽培
(1)うど
貯 蔵 し て い る 根 株 を 促 成 床 に 計 画 的 に 伏 せ 込 む(25 株 / 伏 せ 込 み 床 1 ㎡)。
適 正 な 温 度 管 理( 萌 芽 ま で は 20℃ 、萌 芽 後 は 15~18℃ )に 努 め 、高 温(25℃
以上)による根株の腐敗を防止する。
(2)うるい
半 緑 化 栽 培 で は 、 伏 せ 込 み 直 後 に 十 分 灌 水 し 、 促 成 温度 20℃ で 管 理 す る 。
そ の 後 、芽 が 動 き 始 め た ら 再 度 十 分 に か ん 水 し 、籾 殻 を 2~ 3 回 に 分 け て 充 填
する。なお、1月中に出荷する場合、葉の緑色を鮮やかにするため、日中の
ハ ウ ス 内 温 度 を 15~ 20℃ に 保 つ 。
(3)たらのめ
ア 駒 木 の 促 成 は 深 さ 7cm 程 度 の プ ラ ン ト バ ッ ト に ウ レ タ ン マ ッ ト を 敷 き 、ダ
ンプレート等の資材で十字に仕切って使用すると、促成の入替えが便利で、
病害が発生した場合の対応も容易になる。また、促成床および資材は、消毒
や水洗い等を行い清潔にする。
イ 駒木切り口の糸状菌類発生を抑制するため、充実した駒木だけを促成に使
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 5 -
用する。伏せ込み前に駒木の水浸漬を行い、伏せ込み後も駒木から出る樹液
を水洗いする。
ウ 駒 木 の 水 浸 漬 は 、促 成 前 に 、穂 木 か ら 切 断 し た 直 後 の 駒 木 を 水 に 3 ~ 6時
間 浸 漬 し て 樹 液 を 排 出 さ せ 、そ の 樹 液 を シ ャ ワ ー な ど で 洗 い 落 と し て か ら促
成 を 開 始 す る と 、促 成 中 の 駒 木 の 切 り 口 か ら の カ ビ の 発 生 を 抑 制 す る こ とが
で き る 。た だ し 、穂 木 を 切 断 後 、駒 木 を 速 や か に 浸 漬 し な い と 樹 液 が 固 ま り 、
十分に排出除去できないので注意する。
エ 伏 せ 込 み 後 の 温 度 管 理 は 、 芽 揃 い ま で 20℃ 、 そ の 後 は 15℃ で 昼 夜 一 定 温
度 で 管 理 す る こ と で 、 駒 木 に 発 生 す る カ ビ の 発 生 も 少 な く 収 量 性 も 高 く な る。
なお、収穫までの日数は品種や休眠の覚醒程度で異なるので注意する。
オ 休 眠 が 十 分 に 覚 醒 し て い な い 時 期 に は 、ジ ベ レ リ ン 処 理(50ppm 溶 液 を 100
~200ml/㎡ 、 伏 せ 込 み 時 1 回 駒 木 に 散 布 ) を 行 う と 萌 芽 促 進 が 図 ら れ る 。
カ 厳冬期は、穂木が氷点下におかれた状態からすぐに浸漬処理すると芽が凍
り つ く お そ れ が あ る た め 、穂 木 を 5℃ 以 上 の 場 所 で 順 化 し て か ら 処 理 を 行 う 。
キ 伏せ込み後は、一般管理の換気を組み合わせて耕種的防除に努める。換気
は 1 日 1 回 、駒 木 の 切 り 口 が ほ ぼ 乾 燥 状 態 に な る よ う に 、30 分 程 度 ト ン ネ ル
サ イ ド の 開 放 を 行 う 。ただ し 、換 気 法 や 時 間 は ハ ウ ス 内 環 境 に よ り 工 夫 す る。
ク 伏せ込み後、萌芽までの間に樹液の発生が多い場合、シャワーノズルを用
い 、 水 道 水 を 駒 木 50 本 あ た り 2~3 リ ッ ト ル を 目 安 に か け 流 し て 洗 い 流 す 。
3 無加温ハウス内の軟弱野菜管理
( 1 ) 灌 水 は 、 耕 起 前 に 十 分 に 行 っ て お け ば 3 月 ま で は ほ と ん ど 必 要 と し な い が、
芯葉が暗緑色となるようであれば、晴天日の午前中に少量行う。
( 2 )寒 締 め は 、収 穫 期 に な っ た も の を 1 か 月 程 度 低 温 に 遭 遇 さ せ る こ と に よ り 行
うが、寒締めに際しては、凍害を防ぐため1週間程度の順化を行う。
4 いちごの管理
(1)低温カット栽培
ハウス内の最低気温が0℃以下にならないようにカーテン等で保温する。
なお、外気温が0℃以上の日中はカーテンやハウスサイドを開放し、ハウス
内 温 度 が 15℃ 以 上 に な ら な い よ う 注 意 す る 。
(2)促成栽培
夜間は最低温度8℃を確保する。また、奇形果の発生を防止するため、訪
花 昆 虫 が 活 動 し や す い よ う に 、日 中 は 15℃ 以 上 に な る よ う に 保 温 管 理 を 行 う。
また、草勢維持を図るためには電照が効果的であり、2~3時間の日長延
長とするが、草丈や外葉と中心葉の大きさの差等、草姿を観察して電照時間
等を調整する。
(3)夏秋栽培
収穫終了した株を放置すると、翌年の病害虫の発生源となるため、速やかに
片 付 け る。冬 定 植 を 行 う 場 合 は、1 月 中 旬 ま で 定 植 を 行 う。1 月 下 旬 以 降 の 定
植 は 、根 張 り が悪 く な り 低 温 障 害 を 受 け や す く な る た め、春 定 植 に 切 り 替 え る 。
春 定 植 の 場 合 は 、苗 を 9 ㎝ ポ ッ ト に 移 植 し 、外 気 温 と 同 等 の 低 温 で 管 理 す る。
年 明 け 後 も 、芽 が 早 く 動 か な い よ う に 低 め の 温 度 管 理 を 心 が け る 。休 眠 中 で あ
る た め、越 冬 中 の 低 温 に は 強 く、氷 点 下 に な っ て も 低 温 障 害 は 発 生 し な い。ポ
ットの乾燥に注意して適宜灌水する。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 6 -
Ⅳ
花
き
【1月の重 点 事 項】
○平 成 26年 12月 18日 、仙 台 管 区 気 象 台 発 表 の1か月 予 報 によれば、東 北 日 本 海
側では気 温が低く、降 雪 量は平 年 並または多い予 報となっている。
○近 年 、大 雪 、強 風 等 による気 象 災 害 の発 生 が多いことから、施 設 では被 覆 資 材 の点
検 ・補 修 や補 強 支 柱 の設 置 、枝 物 花 木 では雪 囲 いを行 うなど事 前 の被 害 防 止 対 策
を徹底する。
○ばら、アルストロメリア等 の加 温 設 定 温 度 の高 い施 設 栽 培 品 目 では、省 エネルギー
や暖 房 コストの節 減 を図 るため、温 室 内 の保 温 及 び循 環 扇 等 による温 度 の均 一 化
対 策、暖 房 機の点 検 整 備を行う。
1
施設花きの管理
1 月 は 気 温 が 低 く、日 照 時 間 も 少 な い 時 期 で あ る。そ の た め 、屋 根 部 の 融 雪 を
促 し 透 光 率 を 高 め る と と も に 、好 天 日 に は 天 カ ー テ ン を 開 放 し 、施 設 内 温 度 、地
温 の 確 保 に 努 め る 。ま た 、施 設 内 の 湿 度 が 高 く な り や す い た め 、灰 色 か び 病 等の
病 害 発 生 に 注 意 し 、好 天 日 に は 換 気 を 行 う と と も に 、暖 房 機 や 換 気 扇 、循 環 扇等
を活用し、施設内の通風に努める。
2
アルストロメリアの管理
最 低 温 度 は 8~ 12℃ を 目 安 に 加 温 す る 。 最 低 温 度 が 5℃ 程 度 に な る と 、 生
育 開 花 が 停 滞 す る だ け で な く 、夜 間 の ハ ウ ス 内 の 湿 度 が 高 く な り 、灰 色 か び
病 が 発 生 し や す く な る た め 、循 環 扇 を 用 い て 通 風 を 図 る な ど 耕 種 的 対 策 を 講
じる。好天日には、施設内の温度が急に上昇するため、土壌水分が十分な場
合 で も 水 分 ス ト レ ス に よ り 葉 が 萎 れ 、激 し い 場 合 に は 葉 先 焼 け の 発 生 に 繋 が
る こ と が あ る の で 、 25℃ を 超 え な い よ う に 換 気 す る 。
株 の 管 理 は 、シ ュ ー ト の 発 生 程 度 に 応 じ て 細 い 茎 や 曲 が っ た 茎 は 摘 心 を 行 い、
黄化した茎を抜き取り、株元まで光が入るように管理する。ま た 、 草 勢 を 維 持
す る た め に 、 シ ュ ー ト の 発 生 程 度 や 茎 の 太 さ 、 葉 色 を み な が ら 適宜液肥を施
用する。
3
トルコぎきょうの7月出し作型の育苗温度管理
電 熱 温 床 等 で 加 温 育 苗 を 行 う 。 発 芽 は 、 日 中 20~25℃ 、 夜 間 15~20℃ に 保 つ
と 、播種 後 約 2 週 間 で 始 ま り、3 週 間 目 に は 発 芽 揃 い と な る 。温 度が 高 い ほ ど 発
芽 は 早 く な る が 、 最 低 温 度 が 20℃ 以 上 で は 高 温 ロ ゼ ッ ト 化 し や す く な る 。 そ の
た め 、 播 種 後 3 週 間 は 、 最 低 温 度 18~20℃ と し て 発 芽 を 揃 え 、 播 種 3 週 目 以 降
は 最 低 温 度 を 15℃ 程 度 で 管 理 す る 。
4
ストックの管理
加 温 は 、一 般 的 に は 最 低 温 度 5 ~ 8 ℃ を 目 安 に 行 う が 、暖 房 機 を 設 置 し て
い な い 無 加 温 ハ ウ ス で は 、小 型 ス ト ー ブ 等 の 補 助 暖 房 機 器 を 活 用 し 、凍 害 を
招かないよう最低温度3℃程度以上になるよう努める。
一 方 、ハ ウ ス の 密 閉 時 間 帯 が 長 く な る こ と か ら 、ハ ウ ス 内 の 湿 度 が 高 く な
り 、灰 色 か び 病 や 菌 核 病 が 発 生 し や す い 環 境 と な る 。好 天 日 は 、日 中 の 換 気
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
- 7 -
を 徹 底 す る と と も に 、病 害 の 予 防 防 除 を 行 う。さ ら に 、結 露 を 抑 制 す る た めに
循環扇等を利用してハウス内の通風を図る。
5
ビブルナム「スノーボール」の促成管理
促 成 に は、コ ン テ ナ 栽 培 ま た は 地 床 栽 培 し た 樹 を 用 い る。休 眠 は 、県 内 の 内 陸
平 坦 部 で は 、8 ℃ 以 下 の 自 然 低 温 に 1,800 時 間 以 上 遭 遇 す る 1 月 下 旬 頃 に 覚 醒 し
て く る。し た が っ て 、そ れ以 前 に 促 成 を 開 始 す る 場 合 は、促 成 期 間 の 短 縮 及 び 商
品枝の確保のために、休眠打破処理を行う。
休 眠 打 破 処 理 は 、 8 ℃ 以 下 の 自 然 低 温に 1,100~1,700 時 間 程 度 遭 遇 し た 立 木
に 、シ ア ナ ミ ド 液 剤 を 休 眠 覚 醒 期( 促 成 開 始 前 及 び そ の 1 週 間 後 )の 2 回 全 面 散
布 す る 。 散 布 後 は 速 や か に 促 成 を 開 始 す る 。 管 理 温 度 は 、 日 中 20℃ 、 夜 間 13℃
の 場 合 、 促 成 期間 40~50 日 程 度 で 切 り 枝 が 収 穫 で き 、 管 理 温 度 を 低 く 設 定 す る
と 促 成 期 間 は 長 く な る た め 、出 荷 時 期 に あ わ せ た 温 度 管 理 と す る 。処 理 は 、必 ず
隣 接 し た 地 域 の ア メ ダ ス デ ー タ や 実 測 値 で 低 温 遭 遇 時 間 を 確 認 し 、そ の 状 況 に応
じて実施する。
※低温遭遇時間に関するアメダスデータは、「やまがたアグリネット」の会員であ
れば、あ ぐり んウ ェ ザ ー→ 農作 業 情報 → 低温 遭遇 時間 か ら確 認 する こと がで き る。
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春出し花壇苗の播種、育苗
早 い 作 型 で は 年 内 か ら 播 種 が 行 わ れ て い る が 、出 荷 計 画 に 基 づ き 作 業 を 進 める
( 表 1 参 照 )。播 種 後 は 、そ れ ぞ れ の 品 目 の 発 芽 適 温 を 確 保 し て 発 芽 を 揃 え 、そ
の 後 、徐 々 に 温 度 を 下 げ る。日 射 量 が 少 な い 時 期 な の で、好 天 日 は 天 カ ー テ ン を
開放し、光をあてるとともに、換気を行い、苗の徒長を防止する。
表1
春 出 し花 壇 苗の 出荷 まで の 日数 の 目安 と発 芽温 度 、生 育 適温 等の 特性
品目
科名
出荷までの日数(目安) 発芽温度 発芽日数 生育適温
ベゴニア
シュウカイドウ科
90~120日
24~26℃ 7~10日 10~30℃
キンギョソウ
オオバコ科
90~120日
15~25℃
7日 15~20℃
パンジー
スミレ科
90~120日
18~24℃
4~7日 5~20℃
マリーゴールド
キク科
50~ 80日
20~24℃
3~5日
15℃
サルビア
シソ科
60~ 90日
24~26℃
6~7日 10~30℃
デージー
キク科
60~ 90日
20℃
3日 10~13℃
ノースポール
キク科
50~ 80日
15~20℃
4日 15~20℃
ペチュニア
ナス科
60~ 90日
24~26℃
3~5日 15~30℃
アリッサム
アブラナ科
50~ 60日
20~24℃
2~3日 10~17℃
ロベリア
ミゾカクシ科
50~ 60日
21~26℃ 14~20日 15~30℃
シロタエギク
キク科
150~180日
10~15℃ 10~15日 10~20℃
インパチェンス
ツリフネソウ科
90~120日
20~25℃ 7~10日 15~25℃
ニチニチソウ
キョウチクトウ科
90~120日
20~25℃ 7~10日 15~30℃
ガザニア
キク科
90~120日
15~20℃ 7~10日 15~25℃
7
耐寒性
弱
やや強
強
やや弱い
やや弱い
やや強
強
やや弱い
やや強
普通
強
弱
弱
強
出荷商品の凍害防止
出 荷 商 品 の 凍 害 防 止 と 作 業 効 率 を 高 め る た め 、出 荷 調 整 作 業 は 、保温 、加 温 さ
れた場所で行う。
商 品 を 集 出 荷 場 へ 自 動 車 等 で 搬 入 す る 場 合 は 、断 熱 性 の 高 い ビ ニ ル シ ー ト 等で
被 覆 し 、直 接 外 気 に あ て な い よ う す る 。ま た 、出 荷 先 の 気 象 条 件 に も 注 意 し 、荷
受け場所や中継場所で凍害が起きないよう保温対策を講じる。
農薬は使用基準を守り、飛散に細心の注意を払って使用しましょう。
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