セラミックス超塑性発泡体-断熱性と剛性の両立-
顔写真
12cm正方形
岡山大学大学院自然科学研究科(工)
岸本 昭
3.実験結果
1.緒言
熱伝導率
超塑性発泡法
高強度・高気孔率の閉気孔を一段階で導入
発泡
焼成
~1400℃
4.0
~1600℃
発泡剤
2.0
熱伝導率(W/mK)
緻密化
結晶相・シリカ添加量
2.5
熱伝導率(W/mK)
マトリックス
従来法によるものと比較
1.5
1.0
従来法
0.5
超塑性発泡法
SF/10-3Y
3.0
SF/30-8Y
2.5
SF/10-8Y
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
多孔体作製
3.5
0.0
0
10
20
気孔率(%)
30
0
40
10
20
30
40
50
気孔率(%)
従来法とそん色ない熱伝導(断熱性)
8Y<3Y,シリカ添加
発泡剤
複合顆粒
弾性率
マトリックス
180
超塑性変形
緻密化
160
従来法
140
超塑性発泡法
5
lnE (GPa)
焼成
弾性率 (GPa)
圧密
5.5
120
100
80
4.5
4
60
40
従来法
3.5
20
超塑性発泡法
0
0.00
0.10
0.20
0.30
0.40
3
0.00
0.50
0.10
0.20
気孔率(-)
0.30
0.40
0.50
P(-)
超塑性の研究におけるマトリックスについて
Spriggsの経験式
b(超塑性発泡法)=1.59
E  E0 exp( bP)
3mol%イットリア安定化ジルコニア(3YSZ)
b(従来法)=2.27
・ 超塑性変形しやすい
・ 熱膨張率(β)が高い (10×10-6(/K))
・ 相転移(M→T)による熱サイクル劣化
熱膨張率
8mol%イットリア安定化ジルコニア(8YSZ)
I. Nettleship, et. al.,
J. High Tech. Ceram., 3 (1987) 1-32
実験目的
超塑性発泡法(超塑性能の付与)
シリカ添加し作製した
8YYSZ多孔体セラミックスの特性評価
線膨張係数(-)
・3YSZに比べ熱膨張率が小さい
・相転移しない
1.80E-05
1.60E-05
1.40E-05
1.20E-05
1.00E-05
8.00E-06
6.00E-06
4.00E-06
2.00E-06
0.00E+00
30-8Y
3Y
10-8Y
8Y
100
300
500
700
温度(℃)
8Y<3Y、シリカ添加で向上
2.実験方法
使用した試薬
900
シリカ添加量を抑えた多孔体は3Yよりも熱
膨張率が小さい
4.結言
8YSZ(東ソー) コロイダルシリカO(日産化学)
β-SiC(ABCRGmbH&Co.KG)
マトリックスの調製
・
ふるいがけ 10mol%SiO 添加8YSZ
2
53μm以下にふるいがけ
複合顆粒の作製
超塑性発泡法を用いて多孔質セラミックスを作製することで、
従来法(気孔形成剤除去法)と比べて
・少ない発泡剤量で、高い気孔率
・同等の断熱性能
・優れた弾性率
マトリックスに発泡剤の噴霧
を持った新しい断熱材料を作製可能となった
成型
焼成
一軸加圧 13.6MPa
静水圧加圧 124MPa
電気炉 1600℃・8時間保持
3.実験結果
1.緒言
マトリックス
従来法より高気孔率・
高強度の発泡体が作製可能
発泡
緻密化
焼成
~1400℃
~1600℃
発泡剤
平均気孔径
SiO2の添加
3
1
超塑性変形時にYSZ粉末の間に混合物として存在
利点
5
従来法
SiO2添加
8YSZ
噴霧回数
1
3
5
マトリックス
粒界に分散→粒界滑りを促進
粒成長を阻害→粒径を小さくする
超塑性能の向上
発泡剤が少なく互いに発泡
を阻害する応力が小さい→
大きく発泡・気孔が凝集
問題点
導電率の低下
耐熱負荷温度の低下
30mol%
SiO2添加8YSZ
より小さい気孔径→弾性率向上
断熱性能の向上も期待
SiO2
SiO2の添加なしで
超塑性能を向上させることが求められる
弾性率の低下
弾性率の低下
SEM像観察
従来法
3回噴霧
3YSZ
結晶相 正方晶
超塑性能
大
熱伝導率
大
熱膨張率
大
導電率
小
混合粉 → 発泡 → 固溶
約50
発泡剤が過剰→
破裂や亀裂
断熱構造体・・・×
固溶体 → 発泡
平均気孔径
(μ m)
20.14
22.44
32.37
8YSZ
立方晶
小
小
小
大
50μm
50μm
混合粉末を一段階で焼成→発泡後固溶
超塑性
特性
特性は良いが
超塑性能は低い
8YSZ
従来法・・・超塑性発泡法に対して非常に疎
超塑性能は改善されるが
特性が著しく低くなる
SiO2添加8YSZ
熱膨張率
8YSZの特性を維持して
超塑性能を向上
発泡後安定化法
従来法との比較
発泡剤の変更
実験目的
超塑性発泡法×発泡後安定化法
8mol% のY2O3を0YSZに追添加し作製した
8Y0YSZ多孔体セラミックスの特性評価
2.実験方法
マトリックス作製
0YSZ
SiO2の添加・・・300℃付近でクリストバライト
相がα→β転移し熱膨張率増加
Y2O3を8mol%追添加
8Y0YSZ
従来法・・・結合が弱く、膨張を緩和
複合顆粒作製
8Y0YSZ粉末
混合
β-SiC
乾式ボールミル処理
複合顆粒
8Y0YSZ粉末
加圧成形
焼成
AlN・・・ SiO2を生成させずに
超塑性加工が可能
4.結言
噴霧回数で
発泡剤量を操作
β-SiC+メチルセルロー
ス水溶液
SiC・・・ パッシブ酸化しSiO2が生成
発泡
超塑性発泡法・発泡後安定化法を用いて
気孔率41.5% 弾性率61.1GPa 平均気孔径22.4μm
と、従来法・ 30mol% SiO2添加8YSZより作成した発泡体より断熱構造体と
して優秀である多孔体を作製することに成功した
発泡剤としてAlNを用いた場合、SiO2を生成させずに超塑性加工を施す
ことが可能となった