JBIA NEWS LETTER 2014.12.25

JBIA NEWS LETTER
特集『女性の起業』
2014.12.25
第7号
JBIA2014年度事業
『女性IMネットワーク形成』とその後
■増えてきた女性IM
JBIAは全国のIM研修にノウハウ面で協力していま
すが、各地で女性の受講者が年々増加し、全体数で
はかなりの人数になっております。
■女性の社会進出と課題
一方、経済低迷期以来の所得低下や少子高齢化の労
働力問題等から就労する女性の割合が増えています
がその実態は「活躍」とは言い難い単純労働です。
■女性創業セミナーの問題
国は開業率向上のため女性の創業セミナーに注力し
ブーム化していますが、その内容はかなり高度な専
門知識の講義形式が多く、予備知識の無い方には単に
「受講しただけ」に終わり、効果は疑問です。
■女性起業者には女性IMが良いのでは
このような課題を解決するには、女性の事情が分かる
女性IMが相応しいのではないかとの観点で、JBIA
は2014年度事業で「女性IMネットワーク形成」を
企画しました。
■その後はどうなった
そして今年度初めから様々な活動をしてきましたが、
中間報告以後も検討を継続した結果、女性IM会員の
協力を得て、今回での報告をするに至りました。
『中間報告サマリー』(News Letter 第6号
●先ずは集まってみよう
男性感覚では、最初に趣意
書を作り担当者を選び良く
ても悪くても継続するのが
慣習です。本ケースでは、
IM活動を実践している女性会員に呼びかけ、先ずは
話し合って決める帰納法で開始しました。その結果、
「女性IMサミットin沖縄」が実現しました。
●その結果は
サミットでは沖縄で試行されている女性起業家育成事
例を学び、その後女性IMネットワークの規約設定く
らいはと思っていましたが、僅か9名とは云え、サミ
ットに参加した全国各地で活動している女性IMの問
題意識や経験は様々で、女性起業家育成に特化するよ
り、当面は「ゆるやかなつながり」で様々なテーマを
学ぶ希望が多く、気運の醸成が必要とわかりました。
2014.8.12)
●次は女性IMの実態把握から
JBIA認定女性IM数;60名(調査時点で)
60名の勤務内容;IM活動を実践しているのは約
四分の一
名でその
青:IM活動
内女性支
IM活動実施
茶:BI事務
BI事務職就労
援経験者
緑:産業全般
産業関連就労
は更にそ
その他就労
紫:その他
の四分の
一なので
全国で僅
か4人しかいないという事実が判りました。
●女性IMの必要性と役割(アンケート)
又60名の女性IM会員にタイトルの質問をしたと
ころ「女性の特性を生かし起業を促す上で女性IM
は必要」との回答が圧倒的に多く寄せられました。
『ひよこプロジェクト』4人の女性IM体験から
■「ひよこシート」の作成
「起業」という言葉に関心を持って現れる女性とはど
んな方々なのか、とも角正確な原点把握をするため、
わが国で貴重な体験を持つ4人の女性IMに、これか
ら起業を考える女性群を「ひよこ」と名付け、実態を
記録する「ひよこシート」を埋めていただきました。
■「ひよこプログラム」の必然
調査の結果、起業に関心を寄せるほとんどの女性が、
商品・事業計画を携えて現れる「起業者」と異なり、
白紙状態であることが判りました。それゆえ、男性論
理の相談員からは「門前払い」をされていたわけです
。審査の観点ではそうかも知れませんが、育成の観点
では新たな配慮「ひよこプログラム」が必要です。
■「ひよこ像」
ひよこシートの概要を記述します。
・来訪目的;起業が何かをを知りたかったから
・自分の将来や起業について;具体的な計画はない
・既存事業体験;長期勤続の経験なくあっても補助
■「ひよこ対策」
これらのひよこに対し4人が試みてきたノウハウ。
・初期対話で把握する内容と実施要領を工夫
・レクチャーの教材と講義回数・時間の工夫
・講義以外の出店体験等で実施すべき内容と方法
ひよこシートにより、本事業は単なる想像から具体
的なプログラムへ進展を見ることが可能になりまし
たので、貴重な体験例を次ページに掲載しました。
『産業人材の育成』
■人の育成と段階的過程
左図は赤子が社会人に成長するまでにたどる能力と自覚の関連図で、以前
IMインストラクター研修で担当講師が披露したものです。能力と自覚に
ついての細かい定めはありませんが、感覚的に理解しやすい説明図です。
■産業の原則は世界共通
学業を終え就職したり、結婚・出産・育児に携わっていれば、左図では有
能を自覚する「社会人」になります。でも世界共通の産業原則が何である
かを知らず、それを知らずに起業したいと望むなら、こと産業分野につい
ては「赤子」です。そしてこれは女性に限ったことではありません。
■産業人材育成は赤子から
男性優位社会のわが国の起業率は、起業先進国の半分でしかありません。
調査では多くの女性が産業の赤子=ひよこと分類されましたが、起業への
関心や意欲は一縷の望みであり、ひよこプログラムの完成は必要です。
『ひよこ育成』の具体例
■非社会人(高校生など)
高校商業科の生徒希望者で起業グループをつくり、コンテストをゴールとしてプ
ランを作成させ、柔軟性のある世代に正しい起業マインドを植え付けています。
勿論受賞も果たしています。興味あることに女子生徒が圧倒的に多いようです。
■社会人
・女性専属の相談員;女性特有の両脳で話を始めると最初は支離滅裂になるそう
です。そこを回数を重ねうまくリードできるのは女性相談員ならではでしょう。
・テキストの工夫;「ねこシリーズ」のネーミングで解り易くしかも時間をかけ
たレクチャーが効果を上げており、課題は単独ではなく集団で実施とのこと。
・体験出店実践;「商品」を企画・製作し地元のイベントを利用して出店販売す
ることで、ミニ事業体験をさせています。「商品」は顧客に受け容れられたか、
どんなコメントがあったか、事業採算はどうだったかを出店後に整理し、計画の
事業性を体と頭の両面から学ぶ試みです。PDCAはデータで評価します。
右の写真は、上記を実施するウーマノミクスプロジェクトin春日部の風景ですが
これを数回行う内に地元の商店街や県にも知れ渡り、ビジネスで最も必要な事業
主体の存在と知名度が得られてきたようです。想定外の副産物が得られました。
『IM研修でノウハウを次世代へ伝承』
各地で開催されるIM研修でも、次第に話題になるのが女性起業者対象のOJTであったり、受講者が所属する
団体における女性起業家育成事業です。そして男性女性を問わず女性の起業サポートに特化したしたIMを志し
たいという受講者が現れる時代になってきました。そこで未完ながら約一年かけて得られた「ひよこプロジェク
ト」のノウハウを、これからのIMが活用できるようまとめ、今年度開催されたIM研修で伝えました。本事業
出発点の切なる願いに「女性のワーキングプアを無くす」も含めていましたので、役立つ事を期待してます。
■図の解説
・「ひよこプログラム」の位置付けと狙い
今迄の男性優位社会の中で「経済赤子」にならざるを得
なかった普通の女性が、プレ以前のステージで自分の能
力適性を見極める自己確認の場と設定しました。
・女性IMが有効な場面
自己確認はサークル活動などを通して他者と共に学ぶこ
とで自ら悟るようですが、その場の設定には女性リーダ
ーを望む声が多く聞かれました。その後のプレ、メイン
では特に女性IMでなくても良いという意見が多く、む
しろ異性を好む意見も聞かれました。但し、専門に加え
人間関係や生活等の悩みを話せるのは女性が良く、女性
IMは男性では出来ない貴重な存在であることが判りま
した。図下段に女性IM適性内容と範囲と記しました。