Q 古典学習を始める生徒に、古語辞典に親しみ、こまめに引く習慣を付けさせたい と考えています。楽しみながら手軽にできるよい導入はありませんか。 (高等学校) A 辞典の引き方は、小学3年生で学習します。言葉が五十音順に配列されていること や、終止形で掲出されていることなど、基本的な事項については既に学んでいます。し たがって、導入段階では、これまでに使ってきた国語辞典と使い方に大きな差はないこ とを理解させるとともに、生徒にとっては見慣れない「古語の特徴(「歴史的仮名遣い」 や「終止形(面白い→面白し)」など)」について説明しながら、実際に一緒に辞典を引 いて確かめさせるのがよいでしょう。 しかし、ただ引き方を教えただけでは、生徒が辞典を身近に感じるようにはなりませ ん。自分の手で引いて、目で確かめ、ノート等に書き記す(まとめる)経験をとおして、 辞典の引き方という「リテラシー」を身に付け、自分なりに工夫していくことができま す。次に手軽にできる導入例を示しますので、参考にしてください。 【指導例】 「古典単語王☆コンテスト」 ※全体で15分程度 ① 黒板に「あ○○」と板書する。(実際は縦書き。) ② 「自分が知っている古語で○○に当てはまる言葉を、ひらがなでなるべくたくさ んノートに書きなさい。時間は5分間です」と指示する。※外来語や漢語は対象外 とする。 ③ しばらくした(手が止まってきた)ら、「古典の教科書や古語辞典を使ってもよ い。」と指示する。(2分後くらいがよい。) (解答例) ④ あした あひだ あはす あやし あるじ など 生徒に「何個書き出せたか?」と尋ね、最も多く書き出せた生徒に答えさせる。 (板書させても良い。) 「この他にも見付けた人はいますか?」と尋ね、追加させる。 そして、古語辞典に載っている言葉や一般的な和語は正解として1点を与え、自己 採点させる。(ペアでやってもよい。) ⑤ 自己採点を終えたら、「では、それを漢字に直せたら、点数を2倍にします。自 分で考えても、辞典を引いてもよいです。時間は2分間です。」と指示する。 (漢字での解答例) あした 朝 あひだ 間 会はす 怪し(賤し) 主 ⑥ 「では、ペアになって、お互いに採点してください。」と指示をし、最も得点の 高かった生徒を「古典単語王」に決める。 ⑦ 「ふりかえり」を行う。この学習で気付いたことをノートに簡潔に書かせる。生 徒同士で交流すると、より学びが深まる。 学習をとおして「辞典のうまい引き方」に関する意見や「古語と現代語との意味の違 い」や「古語と漢字の結び付き」など「古語の特徴」に関する意見は全体で取上げ、共 有すると古典の学習全体につながり、効果的です。 この他にも「○○し」や「○○む」を探させ、現代語とは形容詞や動詞の終止形が違 うことを考えさせるとよいでしょう。 こうした学びは、学習指導要領における「伝統的な言語文化に関する事項」の指導に つながり、生徒の知識・理解を深め、関心・意欲を高めることに役立ちます。生徒の意 欲を引き出し、生徒の気付きを認めて次の学習につなげることで、生徒が自立した学習 者になっていきます。それぞれの実態に応じて、工夫しながら実践してください。
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