シェルターでの感染症

病源体
シェルターでの感染症
• 病気を起こす微生物
ーウイルス:インフルエンザ、ノロウイルスなど
ー細菌:O157(大腸菌)など
ー原虫:ジアルジアなど
University of California, Davis
Graduate Group of Epidemiology
田中 亜紀
1次感染、2次感染、混合感染
相乗作用
疾患の三角関係
宿主;猫
• ストレス
• ワクチン状態
• 正常な防御機構
• 年齢
細菌
• 二次感染
• クラミジア
• マイコプラズマ
• ボルデテラ
ウイルス
• ヘルペス
• カリシ
• その他?
管理方法
• その他の身体状態
• 過密
• ストレス
環境
病原体
• ストレス
• 感染性因子の用量
• 毒性
• 感染方法
• 相互作用
シェルターに多い感染症
• 猫
-上部呼吸器感染症、真菌症
-猫汎白血球減少症
• 犬
-消化器症状(下痢、嘔吐)、ケンネルコフ
-犬パルボウイルス感染症
-犬ジステンパーウイルス感染症
• 不適切な消毒方法
• 隔離の失敗/不可能
• ワクチンを接種していない
• 空気が悪い
猫の感染症の代表格
• 猫の上部呼吸器感染症
猫の上部呼吸器感染症
急性FVRの原因は?
猫の鼻気管炎で飛沫感染は
重要でない!!
猫の
頭数
カリシウ
イルス
ヘルペス ボルデテ マイコプ
ラ
ラズマ
クラミジ
ア
健康
259
71
(27%)
42
(16%)
30
(12%)
15
(6%)
1
(.004%)
FVR
314
89
(28%)
92
(29%)
25
(8%)
65
(21%)
14
(4%)
1.04
(.7-1.5)
2.15
.99
(1.4-3.2) (.6-1.7)
ヘルペスウイルスとカリシ
ウイルスにおける研究
• しかし、1.5m四方まで飛
沫が飛ぶことはある
• 空気の質が重要
• 人を介した媒介感染
Odds
ratio
• ケンネルコフは飛沫感染
は重要
4.26
12.02
(2.4-7.7) (1.6-92)
病原体保有率は29% (92/314)以下
今までは
ーURIの主要原因ー
• ヘルペスウイルス
• カリシウイルス
• 変異性は低い
• 消毒は簡単
• でも、回復猫の80-
90%に残る
• ストレスで50%の猫で
再発(症状があること
も)
• 変異性が高い
-半安定株が多数
-病原性、伝播力、ワクチ
ンの感受性も多様
• 殺菌しにくい
• 毛を含む全ての分泌物か
ら急激に排泄
• 回復後もストレスに関わ
らず50%で口腔から排泄
• キャリアになることも多い
三春シェルター
2013年9月
でも、実際には・・・
80
•シェルター内での猫風邪流行のほとんどがヘルペ
スウイルスが原因
•カリシウイルスやボルデテラは突発的問題
•クラミジアは稀だが、起こると厄介
•マイコプラズマは非常に多く、二次感染の重要因
子
70
60
50
40
30
20
どの病原体も、症状を出していない
猫も持っている
10
0
FHV
FCV
C. felis
Mycoplasma.felis
B. bronchiseptica
ヘルペスウイルスの排泄
ヘルペスウイルスが出てくる要因?
• 妊娠/出産
• ケージからケージの移動
-収容場所の移動で18-
83%で排泄
• 新しい猫の導入
(グループ飼い)
-特に未去勢
-ステロイド療法を2回やっ
て陰性だった猫で感染が
活性化
ヘルペスの特徴的所見
質問:この猫が臨床回復した後の、他の
猫に対する危険度は?
カリシウイルスが感染する要因?
猫カリシウイルスの特徴所見
質問:この猫が臨床回復した後の、他の
猫に対する危険度は?
答えはこの猫たちによって違う
猫カリシのリスクアセスメント
FVRの診断
• 群の呈する臨床症状に基づいて個体のリスクを評価:
-最も悪い症状の重篤度
-罹患個体の状態、年齢、ワクチン状態
ー補助因子の有無
-伝播力
• 時間とともにリスクは減少、症状も完解
• きれいな場所で健康な成猫が罹患したら危険度高い
隔離しないで治療
もし・・・・
・スポットクリーニングが出来た
ら
・スタッフが掃除の順番を守り、
猫をケージの外に出さない、着
替えと手洗いが出来たら
• ケージに分かりやすく印
• 軽症例のみ
• 抗生物質 = 隔離・・?
いつもより症状が重く、群内で頻発する場合
•クラミジア疑い、あるいはその他の鑑別診断
•急性症状が少なくとも5-10頭
•IDEXXの呼吸器パネルや定量RT-PCRでワクチ
ン株/キャリアを鑑別
お家でケア
• 普通のヘルペスっぽい
子、慢性猫風邪で同居
猫に危険がなさそう
• 成猫の方が仔猫よりも
同居猫に対するリスク
は低い
• 同居猫にはワクチン接
種(1年1回
• 重篤なカリシウイルス疑
いに対しては禁忌
慢性あるは非反応性URI
どうやったら防げる?
群全体の問題?
•隔離/治療方法?
•隔離から譲渡までの流れ?
•通常では見られない病原体?
個体の問題?
•ストレス、免疫が十分でな
い、+想定外因子?
•Chlamydia, ポリープ, 真菌, 深
部細菌感染 + 構造異常?
•リンパ球形質細胞性鼻炎、腫
瘍、歯科疾患、異物?
URIの原因
• ヘルペスウイルスがシェル
ター内流行感染の主要原
因
• カリシウイルスやボルデテ
ラは突発的発生
• クラミジアは稀だが起こると
厄介
URIの本当の原因?
•
•
•
•
•
ワクチンの効果がない
衛生管理が不十分
栄養が不十分
空気が汚い
隠れ場所がない
• マイコプラズマは二次感染
の主要因子
ワクチン接種の基本
-症状の軽減効果はあっても、感
染防御は出来ない
-ワクチン接種後にも免疫確立
に時間がかかる
• SC MLV FVRCP> 4-6 週齢全頭
収容時 + 2-3週齢追加投与
• 出来れば収容2 週間 前に接
種
• リスクの高い環境ならば、仔
猫には2週間毎に再接種、そ
うでなければ3-4週毎
• 最後のワクチン接種は20週
齢(どこでも)
消毒の基本
カリシウイルス
 塩素系、 オキソン(ペルオ
キシ一硫酸カリウム)、アク
セル(加速化過酸化水素)
 アンモニア化合物やクロロ
ヘキシジンはだめ
消毒順序
健常猫→罹患猫
スポットクリーニング
完全な無菌状態を追及するよ
りもストレスを優先
食事の基本
• 消化吸収の良い、一貫
した食事
• 予め色々と準備
• 食事、トイレを50㎝離す
• 薄暗くして、ケージをカ
バー
• 食事行動を邪魔しない
•臭い、音、Disruption
発症させないためには・・・
• ストレス管理
ー収容の1日目から
-最初の3日間の食欲が発症に影響
-収容環境の改善
-空気の質(ケージ内の)
-エンリッチメント
• 媒介感染の予防
-飛沫感染よりも人や物を介した媒介感染
ケージの掃除の方法
• スポットクリーニング
-汚れたところだけふき取る
-タオル、ベッドはずっと一緒
最初は様子を見る・・? 次の日は隣のケージ?
ケージの移動で約80%の猫がウイルス排泄!
トイレ
• トイレはなるべく小さく
体長の1.5倍
• 砂もなるべく少なく
• 消化管内寄生虫の予防
ストレスを受けると・・・
• 逃げたい→隠れたい!!!
隠れる場所
収容環境と鼻気管炎
変えるには費用がかかる・・
費用がかかる?
ケージがうるさい
静かな留め金
• 金属製ケージの開け閉め(90デシモル以上)
• ステンレスケージ
→消毒には非常に効果的
→猫にはあまり快適ではない?
→タオルやシーツ
• 掃除の時はなるべく静かにを意識して
犬がうるさい
• 動物のためだけでなく、スタッフ、訪問者にも
• 猫にとって最大の騒音(ストレス)は犬の鳴き
声(存在)
• 騒音の少ない(1/10~1/100)シェルターの方
がFVRも少ない
ストレスと疾患
• 犬がストレス
• 尿コルチゾール値と全
身性疾患の発生率
McCobb E. C., G. J. Patroneck, et al
(2005). “Assesment of stress
levels among cats in four animal
shelters.” Javma-Journal of the
American Veterinary Medical
Association 226(4): 548-555
空気の質
• 飛沫は1.5mほど飛ぶ
• 出来ればコンド型
• 刺激物を抑える
-スポットクリーニング、スプレー×
-掃除後にファン
-ドアや窓を開ける(冊子付)
-屋外スペースを使う
-エアーフィルターを当てにしない
収容環境
ーお住まいー
• 猫のシェルターでの生活の質を最も左右する
•
•
•
•
ストレスレベル
疾患のリスク
食欲
睡眠の質
24時間影響を受ける
換気
•
•
•
•
1時間に10-12回が推奨
頭数が2倍に増えれば気流も10倍必要
部屋が換気されてもケージの中は?
トイレはガサガサと掃除しない→全部捨てる
短期収容お住まい
ー広さー
• 3.30m2の方が2.30m2よりストレス↓
• 猫か正常な姿勢を取れるには70㎝×76㎝
(隠れ場所、トイレ、ご飯や水の場所を除く)
• 全部入れると90㎝×90㎝
• 高さは76㎝、段も付ける
長中期収容(2週間から2か月)
ー1LDK-
• 短期とは違う収容が必要
• 寝床とトイレを別区画
友好的な行動が増え、譲渡↑
• バスルームは30㎝あれば十分(掃除しやすい)
• 大きなワンルームも可(90㎝以上)
• 柔らかいところと硬いところ
• ケージが狭ければ、日中は遊び部屋に
ケージから出す前に
•
•
•
•
身体検査で感染症を除外
内部および外部寄生虫の処置
真菌症の検査(培養、ウッド灯)
複数で遊ばせる場合はウイルス検査も
×過去2週間以内にパルボに暴露された可能性
×パルボ、強毒性カリシから回復したばかり
△免疫抑制疾患(FIV,糖尿病ー徹底した衛生管理)
×5か月未満の仔猫
病気になるかならないか??
ーUCDでの研究ー
• FVRを発症を抑えるキーポイント
•
•
•
•
床面積が274㎠以上(182㎠以下はだめ)
最初の7日間は移動しない
大きなケージは全部2区画(以上)
猫に触れずに管理
猫のストレス管理
ーまとめー
•
•
•
•
•
•
隠れ場所
寝床、ご飯、トイレを50㎝以上離す(棚を作る)
トイレはなるべく小さく、砂は少なく
移動しない、タオルはそのまま
スポットクリーニング
静かに・・・・。
FVRの治療
分類
症状
治療
FVR1
眼や鼻からの透明な分泌物、くしゃみ、口内炎



FVR2
FVR1の症状+発熱、食欲減退、脱水、不活発などの 

全身症状




FVR3a
[呼吸器系]緑色/有色の鼻分泌物+FVR1、2





FVR1と同じ
脱水と体温のモニター
106F度以上ならば解熱剤
栄養サポート(ウェットフード、加熱)
必要に応じて皮下補液
重篤な全身症状の場合は汎白血球減少症の除外
診断
セファロスポリン
ドキシサイクリンン
アモキシリン
クリンダマイシン
クラバモックス
FVR3b
[眼]透明あるいは有色の眼分泌物、中程度から重度 
の結膜炎+FVR1、2。FVR3aとの併発もあり。


眼軟膏(ネオマイシン-ポリミキシン-バシトラシン)
テラマイシン、クロラムフェニコール軟膏
ステロイド入りは避ける
FVR4
眼症状のみ:透明/有色眼分泌物

他のFVR症状なし

-クラミジアやマイコプラズマの原発感染あるいはヘ
ルペスウイルスの慢性感染
嘔吐、発咳、下痢など典型的なFVRの症状以外、ある 
いは治療に反応しないFVR
細菌性;ドキシサイクリン3週間
ウイルス性;特になし、シェルター環境から出す
FVR5
特になし
食欲、便、脱水のモニター
ウェットフードBID
個体管理
シェルターでの下痢
•
•
•
•
•
•
ストレス
コクシジウム
コロナウイルス(8週齢未満)
猫汎白血球減少症
食事の変化
日和見感染
子猫の感染症
ー下痢ー
伝搬経路
猫汎白血球減少症
• 世界中どこででも流行
• シェルターの猫に多い(過密、ワクチン未接種)
• 2-5か月頃の仔猫が重症
-母性抗体が下がった所・・・
• 季節性?
-夏の終わりから秋が多い
• 接触感染、胎盤感染、飛沫感染(FVRの併発)
• 環境からの暴露、媒介感染
-媒介物に付着したウイルスは感染猫が
いなくても数か月~数年感染性あり
-ケージ、タオル、ボール、おもちゃ、床など
• 急性期は感染力↑ー全ての分泌物排泄物
• ノミやハエも機械的媒介物
猫汎白血球減少症
• ウイルスが体に入ると→咽頭や腸管リンパ節で
増殖→感染後18時間でウイルス血症
• 48時間以内に全ての組織で著しく高いウイルス
→感染後7日間持続
• 臨床症状発現後3‐4日で血清抗体
• 初期感染4-6日後に白血球最低値→この時に二
次感染
• 臨床症状発現の3日前からウイルス排泄
致死率
•
•
•
•
超急性型であれば100%
急性型は6ケ月未満の仔猫で90%
集中的な治療で50%(>70%回復という報告も)
二次的合併症を起こさずに5日生き延びたら、予後
良好→完全回復には時間がかかる(数週間)
• 治療しても8週齢未満の仔猫は予後不良が多い
(合併症なしでも最初の5日で死亡することも)
• 新生児期に感染→運動失調
• 持続的な下痢→持続感染ではなく、腸管上皮の損
傷と線維症による
超急性型
• 突然死(4-9日後)
• 元気だったのに8-12
時間後に死亡
• 鑑別診断
-中毒
-強毒株カリシウイルス
急性型(典型)
• 発熱(40℃以上)24時間
• WBC↓(2K/ul予後注意)
• 下痢嘔吐、血便
亜急性型(軽症)
• 沈うつ、食欲減退
• 下痢
• 体温はやや高い
• 1-3日後に回復
ELISA検査
• 感度(病気にかかっている動物が陽性になる
確率)==50%-80%(真の陽性)
• 特異度(病気にかかっていない動物が陰性に
なる確率)==100%(真の陰性)
• ワクチン接種による干渉==
Idexxスナップ1/64
Synbiotics13/64
猫汎白血球減少症流行
•
•
•
•
•
•
•
リスク動物の分類
シェルター内での治療の是非
全ての動物にワクチン(収容時)
新入りで健康→暴露/リスク群とは隔離
環境の除染(Vircon、5%塩素)
譲渡時の説明(特に流行前に譲渡した場合)
4-5か月未満の子猫
Isospora属
• 疾患は幼齢動物で症候性-下痢、脱水→死亡
成体は無症候性
• 診断:浮遊法、
オーシストは健常動物にも見られる。
臨床症状のある仔犬/仔猫では大量のオーシストが排泄
→偽陰性の可能性は低い
• 初期はオーシストの排泄がない場合も→偽陰性の可能性
• 治療:自己限定性疾患、シェルター環境ではストレスも多く、環境
中へのオーシスト放出を抑えるためにも治療の効果は高い。
スルファジメトキシン、トリメトプリム サルファ剤、クリンダマイシ
ン、
ポナズリル(殺菌作用あり)もシェルターでは効果的
• 予防:潜伏期間と芽胞形成までに時間→徹底した衛生管理
• オーシスト自体の撲滅は非常に困難で、日常の消毒薬で殺傷×
• 蒸気洗浄
• オーシスト排泄動物は隔離、年齢別で動物を分類
• トイレの砂は最低でも12時間以内に廃棄
下痢ーコクシジウムー
Cryptosporidum spp.
• 過密、ストレス、免疫抑制で病原体排泄↑
• 臨床症状:無症候性、幼齢動物や免疫抑制唐物では小腸
性下痢
• 診断:浮遊法では偽陰性が多い→糞直接塗沫、抗酸染色
の方が感受性は高い
• 治療:この病原体を効果的に排除する薬物はまだ実証さ
れていない。
しかし、臨床症状の管理にはタイロシン、アジスロマイシ
ン、パラモマイシン、ニタゾキサニドが効果的
• 感染は自己制限性だが、数週間の投薬が必要な動物も
• 予防:便中のオーシストはすぐに感染性を有する
• 唯一つの不活化方法―蒸気クリーニング
―速やかな糞便の処理
―トイレの砂の全廃棄、砂をなるべく少なく
シェルターの子猫の下痢
コロナウイルスとFIPウイルス
• FPVで死亡した子猫の多くでFeCVの混合感染
• 8週齢未満の子猫、収容1週間後でほぼ全頭
にFeCV→5%の仔猫がFIPで死亡
• シェルター環境がウイルス複製を10から100
万倍に増強
• FIPの伝搬性は重要ではない
• 発生率1%以下
群におけるFIP発生の可能性
群におけるFIP発生の可能性
• 遺伝的感受性↑(血統→同腹)
• 感染用量↑(環境中FeCV↑→排泄量↑/複製↑
→FIPへの変異の可能性↑
=ウイルス要因(複製効率、排泄、伝搬)
=宿主要因(消化管感染症の併発、ストレス、
幼齢、FIVなどの免疫抑制疾患)
=環境要因(過密、衛生管理不足、猫砂が汚い)
• FIP誘発ウイルスに変異するコロナウイルスに
感染
=ウイルス株によって変異しやすい
=特定の下部の一過性定着→毒性が消失/
猫が免疫を獲得/毒性の低いウイルスに転移
アウトブレイクの管理==
併発感染症の治療、過密を防ぐ、収容環境の向上
臨床症状
診断検査
• コロナウイルス=軽度、一過性~慢性下痢、
呼吸器症状
• コロナウイルス陽性個体→他の原因でも下痢
• 非常に難しい
• 臨床所見、ヒストリー、身体検査、検査所見
• 抗体価だけは×、推奨→身体検査、CBC(白血球
/好中球↑、リンパ球↓、貧血)、総蛋白(主にグ
ロブリン↑)
• FIP症候群
ウェットタイプ:胸水、腹水(高蛋白、血球↓)
ドライタイプ:臓器に漏出、特に腎臓、消化
管、脳、眼→臨床症状多様
• 子猫の衰弱症候群(発熱、体重減少、発育しな
い)ーーーーFIPの可能性高い
シェルターでの予防策
ー感染症全般ー
治療
• 致死率100%
• 対症療法
•
•
•
•
•
下痢の診断
• diarrnea_flow_chart.pdf
生ワクチン接種
子猫で数時間、成猫でも48時間以内に防御
徹底した衛生管理、環境の除染
曝露猫の同定
トイレの砂を少な目に、毎回捨てる(12時間お
き)
猫の真菌症
•
•
•
•
•
幼齢
ストレス
感染力が強い、環境に強い、殺菌が難しい
集団飼養では完治根絶が難しい
ワクチンがない
猫の真菌症
• 伝搬様式
ー感染被毛、胞子
ー直接接触、媒介物(環境面、タオル、ブラン
ケット、玩具、白衣、人の手)
ー飛沫感染
猫の真菌症
• 隔離
• 検査結果陽性、疑いのある個体、ハイリスク
個体
• 衛生管理ー飛沫感染を防ぐ
• 隔離が出来なければ、徹底した媒介感染、飛
沫感染の予防ー機械的洗浄と消毒の徹底
病源体
ズーノーシス
犬の下痢
• 原因
ストレス
食事の変化
免疫力の低下→日和見感染
====シェルターでの原因特定は困難!!
まずパルボウイルス感染症を除外
• 細菌性
-カンピロバクター
-大腸菌
-サルモネラ
• 原虫性
-ジアルジア
-トリコモナス
• コクシジウム
-クリプトスポリジウム
-サイトイソスポーラ
犬の下痢
•
•
•
•
•
衛生管理
ストレス管理
食事の管理
エンリッチメント
治療??
ストレス
健康な犬にも常在
環境の
変化
ケンネルコフ
• 犬同士の感染
• 飛沫感染
•
•
•
•
猫の呼吸器感
染症とは違う
鼻水/眼分泌物
湿性発咳
致死率は低いが感染力が強い
治療よりも予防
• 病源体を持っていても、健康であれば安全
 ジステンパーウイルス感染症を除外
食事の
変化
症例1
動物病院での発生
LAで
• 大規模な専門病院
• 3つの科が通路で仕切られている
-A: 救急病院
-B: 一次診療
-C: 一次および二次診療
• 研修生の受け入れも(6月29日より開始)
6月22日、診療室Aで
• 5歳去勢オス、室内飼
い、ワクチン接種済
• 消化管の手術後のモニ
ターのため入院
• 発熱後、24時間以内に
心不全で死亡
6月30日:診断と介入処置
• カリシウイルスの疑い
• 感染領域だけでなく、
猫の出入り場所は全部
塩素消毒
• 罹患猫は確実に隔離
• 検体を培養
6月22日から30日
• 術後の合併症が増加
• ラッキーの同居猫も発
病
• 院内猫が発病
• 看護師の猫も発病
調査結果
• さらに4つの動物病院
で同定
• レスキュー団体つなが
り
• 症例定義と同定
• リスクファクターの評価
リスクファクター
初発症例
• 6/17-6/24診療室Bで不
妊手術
• 退院時に発熱、軽度の
URI
• レスキューされた暴露
子猫23/25頭(92%)で
FCV
• レスキューされた子猫
で暴露を受けなかった
15頭では発症なし
• 暴露猫の94%が感染
• 感染猫の41%が死亡
-成猫59%、子猫14%
• ワクチンの効果なし
-ワクチン接種した猫で23症例
-経鼻と皮下注射によるワクチンに
有意差はなし
7/23
家
動物病院2
6/26-7/30
7/11
動物病院3
7/1-7/18
• 臨床現場や多数の動物病院が関与した複雑
さから感染が拡大
6/28
レスキュー
団体
家
7/6,
7/18
on譲渡会
6/30
教訓
6/26
1B
6/17-6/24
看護師
家
飼い主
6/21
1A
6/21-8/5
1C
6/22-7/26
猫カリシウイルスのキーポイント
• ワクチンが必ずしも効果的ではない
• 一般的な消毒薬で効果はない
• 軽度の罹患猫や慢性的なキャリア状態の猫
が重症例を伝搬させることがあるー回復猫を
未暴露群に導入する際には注意
• 重症株は時間とともに病原性が消失
• 早期の広範囲なコミュニケーションでもっと命
が救えた可能性も
• 疾患発生時にはスタッフとの話し合いを強
化、報告すべき対象を特定
• 動物を扱うすべてのスタッフは必ず着替える
• 何かが疑われた場合は塩素
猫の強毒全身性カリシウイルス
• 典型的なカリシウイル
ス症状から進行
• 浮腫、広範性脱毛、
潰瘍
• 肝細胞壊死、他の臓
器の関与も
• 致死率およそ50%
• ワクチン接種に関わ
らず成猫も重篤感染
症例2:中型シェルター
一般的なシェルター業務
• 健康な猫は全てワクチ
ン接種
• 負傷および罹患猫はワ
クチンなし
• ステンレスケージの個
別ケージ
• 毎日4級アンモニアで消
毒、週1回塩素消毒
汎白血球減少症が診断
• 治療棟にいる尿閉の猫
-疾患状態のためワクチン接種なし
• 10日後、尿閉の猫は急激に不活発、嘔吐
-血液検査;WBC激減
-パルボスナップ検査陰性
-剖検で汎白血球減少症確定
• さらに治療棟にいる猫10頭(ワクチン未接
種):10日間の検疫
最悪の事態
• 10日後に一般群に移動
• 11日後に2頭が発症、隔離病棟に移動
• 翌日に汎白血球減少症と診断(暴露から12
日目)
• さらに84頭が暴露!
• 検疫は不可能、全頭処分も不可能
代替策として
• FPLVの血清値を測定
• 抗体価>1:80であれば防御
• 22/84(26%)が抗体価<1:20
-6/17(35%)子猫
-6/16(38%)若猫
-7/40(18%)成猫
結果
• 防御があった猫は通常
通り譲渡
• 防御がなかった猫は14
日間検疫
• その後、軽症動物も負
傷動物もワクチン接種
その後の発症なし
2004年 シカゴ
症例3:大型行政シェルターでの発生
•
•
•
•
•
•
年間3万5千頭以上
負傷野生動物、犬、猫が同じ車両で運搬
ワクチンを拘留期間の最後に接種
両側に犬舎が並び、1頭ごとに収容
軽症の犬は一般群と混合
譲渡された犬が治療で戻ってくる
初期介入
2004年4月
• 異常なまでに重篤で長
期にわたるケンネルコ
フ
• 譲渡を一時中止
• 譲渡された犬の一部に
神経症状
• 結膜検体のIFAで犬ジ
ステンパーが診断
• 犬舎を徹底的に洗浄、
塩素消毒
さらなる調査
• 全ての罹患および暴露
動物は安楽死
• 特別調査委員会:シカ
ゴ獣医師会、シェル
ター、動物園、大学
• なお、問題は継続
効果的な解決策
• 100症例以上
• 負傷野生動物との隔離
• ワクチン接種数週間後
に発症する例も
• 車両と受付の徹底的な
洗浄消毒
• 導入時にワクチン
• 犬を集団で収容
• シェルター以外で報告
される例も
• 65%の犬は未暴露
• ワクチン耐性株ではな
い
• 隔離病棟にいる犬に対
する治療は制限
犬ジステンパーのキーポイント
症例4: 猫の人での感染流行
• 衛生管理の問題ではない
• 軽度に罹患した犬が疾患の継続に重要
• 潜伏期が長い:検疫が実用的ではにない
• ワクチン接種の効果が絶大、成犬で早急な
防御
問題が起きるようになってた?
• 94 cages: 122 頭
• 猫をケージからケージ
に移動
• 下痢猫の多くは抗生
物質で治療
• 軽症例はそのまま譲
渡
• 未診断の下痢や死亡
例
問題発生
• 2004年1月: 多剤耐性
Salmonella Typhimurium
が入院患者で同定
• シェルターの猫との接
触が関与
• 大多数の猫が培養陽
性、一部臨床症状も
Minimal cattery
supervision
• 抗生物質療法が危険因
子
結果
介入処置
• プラスチックケージは排
除
• 使用するケージを66(36%
削減)
• 滞在中猫は同じケージ
• 罹患猫は速やかに移動
(一時預かり or 安楽死)
• 猫部屋は監視– 手袋必須
ケアした
頭数
譲渡数
Cats
redeemed
安楽死数
4872
1871
(38%)
108
(2%)
1329
(27%)
4708
1965
(41%)
103
(2%)
1223
(26%)
流行前
譲渡や処分に変化は?
人で50症例、10人入院
流行後
Salmonella: キーポイント
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グループ飼いがリスク
抗生物質の多用を避ける
消化管感染症予防
良質な食事を適量与える
捕食させない
慢性キャリア猫の同定
治療したら、培養して確認
スタッフの衛生管理
猫の多剤耐性Salmonella症
• Outbreaks of multidrug-resistant Salmonella typhimurium associated with
veterinary facilities--Idaho, Minnesota, and Washington, 1999. JAMA. Oct
24-31 2001;286(16):1965-1966.
• Van Immerseel F, Pasmans F, De Buck J, et al. Cats as a risk for transmission
of antimicrobial drug-resistant Salmonella. Emerg Infect Dis. Dec
2004;10(12):2169-2174.
• Wall PG, Davis S, Threlfall EJ, Ward LR, Ewbank AJ. Chronic carriage of
multidrug resistant Salmonella typhimurium in a cat. J Small Anim Pract.
1995;36(6):279-281.