講義ノート37~40

基礎物理2/電磁気学
アンペールの法則
電流のまわりには磁場(磁力線)ができることを学んだ。
① どんな形状の導体に電流が流れていても,② 電流が複数あっても,
磁場を求めることができる,一般的に成り立つ法則はあるだろうか。
電流のまわりの磁力線は渦をまき,湧き出し・吸い込みが存在しない。
→ 磁場に関するガウスの法則では,磁場を決められない。
電流が作る磁束密度
B
I
2 r
。
r
2 r … 磁力線の長さに関係していそうだ。
⇒
2 r
I

磁束密度 B の循環
電流が作る磁束密度の式を
B  ( 2 r )   I
と変形し,左辺の量
 B  B  (2 r ) [T・m]=[N/A]

を,磁束密度 B の循環と呼ぶ。循環は“渦の強さ”を表

す量である。直線電流の周りの磁束密度 B の循環  B は,
I
どの磁力線に沿って求めたかに依らず,その磁力線が取
閉曲線 C
り囲んでいる電流の大きさ I に比例する。
r
B  I
ds
A
アンペールの法則
上の関係式は,
① 電流が直線形状でない曲がった電流
② 2本以上の電流が磁力線(向き付き閉曲線 C )の内側を通っている
ような,一般的な場合にも成り立つ。
任意の向き付き閉曲線 C に対して計算した循環  B と,C の内側を通る
全電流を I in の間には,
 B   I in

C
Bs  ds   I in
の関係が成り立つ。
(この法則は,閉曲線 C が磁力線に沿っていなくても成り立つ。)
:アンペールの法則
(アンペアの法則)
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Bs  B
基礎物理2/電磁気学
(参考)
ある向き付きの閉曲線 C について,循環  B を次
B
Bs
の積分で計算する。
B 

C

( B cos )  ds 
C
ds
B s  ds
A


B
このアンペールの法則により,どんな形状の電流でも,そのまわりの磁束密
度(磁力線)が決定される。
例題① 半径 r [m]の円形の磁力線 C に沿って,積分
積分
 ds を計算せよ。
C
 ds とは,半径 r の円周 C の長さ L を,微小な長さ ds(たとえば ds 
C
L
)の部分に区切り,そのすべての微小な長さ ds を,1周分足し合わ
1000
せることである。
したがって,
L
 ds  ds  1000  1000  1000  L
r
C
ds
 2 r
C
この積分は,磁力線の長さ(円周の長さ)に等しい。
閉曲線 C の内側を通る全電流 I in は,
C の向きに回した右ねじが進む向きに流れる電流を正,
その逆向きに流れる電流を負として,
足し合わせで求める。
Bs
正の電流
I2
負の電流
I1
I3
ds
C

B
右手
(右ねじ)
閉曲線
I in 
I1  I 2
[A]
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の向き
基礎物理2/電磁気学
例題②
真空中で次の場合の,閉曲線 C の内側を通る全電流 I in から,閉曲線 C に

沿っての磁束密度 B の循環  B を求めよ。
た だ し , I1  10 [ A ], I 2  20 [ A ], I 3  30 [ A ], I 4  40 [ A ],
I 5  50 [A]とする。
閉曲線 C
閉曲線 C の向きに右ねじをまわすと,
I1
表から裏の向きにねじが進む。
したがって,
向きの電流が正,
I 2 I 4 I3 I5
向きの電流が負
I in   I1  I 2  I 4  (10  20  40)[A]  10[A]
アンペールの法則より,
」
 B   I in  4  10 7 [N/A 2 ]  10 [A]  4  10 6 [N/A]
例題③ 十分に長い直線上の導線に I[A]の電流を流したとき,導線から距離 r[m]
だけ離れた位置にできる磁束密度の大きさ B [T]を,アンペールの法則を
用いて求めよ。
磁力線は円形状にできるから,直線電流 I 上の点を中心とする半径 r [m]の
円周 C を考える。
B
C の向きは電流に対して右ねじを回す向きにとる。
アンペールの法則は,

Bs  ds   I in
C
左辺=

C
Bs  ds 

C
B  ds  B 
ds

C
ds
I
r
 B  2 r
右辺=  I in   I
∴ B  2 r   I
→
C
B
I
2 r
[T]
☆ 直線電流の磁束密度 B の式の分母 2 r は,磁力線の長さである!
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基礎物理2/電磁気学
応用 導線をらせん状に,間隔をあけないで密に巻いた円筒状のコイルをソレノイ
ドという。1[m]あたりの巻き数 が n [1/m]である十分に長いソレノイド
の内部の磁束密度の大きさ B を,アンペールの法則を用いて求めよ。
ソレノイドが作る磁力線は,ソレノイドの内部に閉じ込められ,
B
ソレノイドの内部ではソレノイドに平行で,
S
電流の向きに右ねじを回したときに右ねじが進む向き
ソレノイドの外部ではゼロである。
N
I
閉曲線 C :(長方形)abcda を考える。
ab: Bs  B
,bc: Bs  B cos 90  0
cd: Bs  0
,da: Bs  B cos 90  0
左辺=

C
Bs  ds 

b
a
I
b
Bd s  B   d s  B  L
a
L
閉曲線 abcda の内側を通る導線の数 N  nL
右辺=   I in    N  I    nL  I
B   nI
d
c
外部
a
b
内部
B
アンペールの法則より, B  L    nL  I
∴
B
[T]
真空中(  0  4  10 7 [N/A2]
)で, n  20000 [m-1], I  10 [A]として,
B   nI  4  10 7 [N/A2]  20000 [m-1]  10 [A]  0.25 [T]
S
静電場を決定する法則
①電場に関するガウスの法則:  E 
r
Q in

ある閉曲面 S から出て行く電気力線の数  E は,
閉曲面 S の内部に囲まれた全電気量Q in によって決まる。
②静電場には渦がない:  E  0
点電荷の場合,  E  E  S , S  4 r 2 より E 
1
Q
4 r 2
静磁場を決定する法則
③アンペールの法則:  B   I in
④磁場に関するガウスの法則:  B  0
(磁場には,湧き出し/吸い込みが存在しない。)
40

が得られる。