資料No.1 選定したベントシナリオ解析条件の妥当性について(東京電力)

資料No.1
選定したベントシナリオ解析条件
の妥当性について
2014年10月7日
ベント時間の不確かさに対する検討
1.ベント時間を前倒しする要因について
・水-Zr反応の不確かさ
2.ベント時間を後ろ倒しする要因について
・格納容器スプレイ量
・水源(復水貯蔵槽)への補給量及び補給開始時間
3.上記を組み合わせた場合の影響評価について
4.まとめ
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2
1.ベント時間を前倒しする要因について(1/3)
シビアアクシデント時にベント時間に影響を与える要因として以下の3つ
(1)崩壊熱により発生する水蒸気の量
(2)水-Zr反応に伴う反応熱により発生する水蒸気の量
(3)水-Zr反応に伴い発生する水素の量
このうち、発生量に不確実さがあるのが(2)及び(3)
(制御棒に含まれるB4Cからの水素発生は無視しうる程度)
MAAPコードで考慮している水-Zr反応について、以下の2点に着目
保守的な設定により、ベント時間への影響の感度解析を実施
【感度解析条件】
ケース①:水-Zr反応に寄与する被覆管表面積
→2倍に変更
ケース②:炉心溶融に伴う炉心内の流路閉塞による炉心内蒸気通過せず
→炉心溶融しても炉心内が流路閉塞せずに蒸気が炉心内を通過
水-Zr反応が継続する設定に変更
注)いずれのケースも水-Zr反応は炉心露
出後から再冠水までに発生。炉心再冠
水後は水-Zr反応は起こらない
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3
1.ベント時間を前倒しする要因について(2/3)
【感度解析結果(ケース①】
○水素発生量は、ベースケースに対して約14%増加
○ベント時間は、事象発生後約25時間後(変更なし)
【感度解析結果の分析(ケース①)】
○水-Zr反応量の増加により、水素及び水蒸気の発生量が増加、格納容器圧力上昇に寄与。
特に水蒸気が格納容器圧力上昇への寄与大
(ドライウェル内ガスのほぼ全量が水蒸気が占める)
○格納容器スプレイの間欠運転により、発生した水蒸気を凝縮させ、格納容器圧力上昇を
抑制。ベースケースの解析上の想定と同流量の格納容器スプレイにより、事象初期の圧
力ピークを限界圧力以下に抑えることが可能
0.8
ケース①
ベースケース
限界圧力
水-Zr反応の増加により事象初期の
圧力上昇が速くなる
0.7
圧力(MPa[gage])
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0
5
10
15
20
事故後の時間(hr)
25
格納容器圧力の時間変化
30
35
40
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4
1.ベント時間を前倒しする要因について(3/3)
【感度解析結果(ケース②】
○ケース②:水素発生量はベースケースに対して約60%増加
○ベント時間は、事象発生後約10時間後(約15時間短縮)
【感度解析結果の分析(ケース②)】
○ケース②では、水素及び水蒸気の発生量がさらに増加し、格納容器圧力上昇に寄与。
ケース①同様、水蒸気が格納容器圧力上昇への寄与大
(ドライウェル内ガスのほぼ全量が水蒸気が占める)
○格納容器スプレイにより水蒸気を凝縮させ、格納容器圧力上昇を抑制するが、ベース
ケースの解析上の想定と同流量の格納容器スプレイでは事象初期の圧力ピークを限界
圧力以下に抑えることができず、約10時間後に限界圧力に到達
0.8
ケース②
ベースケース
限界圧力
ケース②では水-Zr反応の更なる増加により事
象初期の圧力上昇が更に速くなる
0.7
圧力(MPa[gage])
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0
5
10
15
20
事故後の時間(hr)
格納容器圧力の時間変化
25
30
35
40
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5
2.ベント時間を後ろ倒しする要因について(1/2)
○格納容器スプレイ流量は、解析上は130m3/h固定としているが、ポンプ特性から
は流量をさらに増加させることが可能
○事故時における実際の手順としては、格納容器圧力が限界圧力に到達しないよう、ポ
ンプ能力に応じた格納容器スプレイの流量調節を実施
○このスプレイの流量調節により更なる蒸気凝縮効果が期待でき、ベント時間を遅らせ
ることが可能
格納容器圧力2Pd(620kPa)で最
大約160m3/hにてスプレイ可能
代替格納容器スプレイ冷却系流量特性(MUWCポンプ2台)
(ポンプQ-H特性よりシステム抵抗を差し引き算出)
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6
2.ベント時間を後ろ倒しする要因について(2/2)
○炉注水及び格納容器スプレイの水源である復水貯蔵槽への水補給は、解析上は事象開
始12時間後から90m3/hで水補給しているが、実際には補給量の増加及び補給開
始時間短縮が可能 → 十分な水源の確保が可能
○上記より格納容器スプレイをさらに長期間実施することが可能となり、ベント時間を
遅らせることが可能
2500
CSP水量(補給90m3/h,12時間後)
可搬型注水ポンプ
(消防車)
CSP水量(補給130m3/h,12時間後)
淡水貯水池
2000
建屋内
→
MUWCにより原子炉注水開始
↓
CSP水量 [ton]
屋外
復水貯蔵槽
防火水槽
1500
淡水貯水池~防火水槽移送量
「約150m3/h」
復水貯蔵槽(CSP)の補給水量増加により、長
期間CSP水量を維持することが可能
1000
防火水槽~復水貯蔵槽移送量(ライン1)「約90m3/h」 ※
防火水槽~復水貯蔵槽移送量(ライン2)「約130m3/h」
500
↑
CSPへの補給開始
※(ライン1)と(ライン2)の違い
消防車タイプ
小容量
ライン1
大容量
ライン2
PCVスプレイ停止
↓
違
建屋内ルート
1本
2本
0
0
5
10
15
20
時間 [hr]
25
30
35
40
復水貯蔵槽(CSP)の水量の時間変化
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7
3.各要因を組み合わせた場合の影響評価(1/4)
ケース②(ベント時間が約10時間後)について、格納容器スプレイ流量を変更した場合の
感度解析を実施
【感度解析条件】
○ケース②について、格納容器スプレイ流量を以下の通り変更
・事象発生後12時間後まで:135m3/h(5m3/h増加)
・事象発生後12時間後以降:130m3/h(変更せず)
○炉注水及び格納容器スプレイ水源の復水貯蔵槽への水補給流量は変更せず
【感度解析結果】
○格納容器スプレイ流量の増加( 130m3/h→ 135m3/h)により、事象初期の格納容
器圧力制御に成功し、約10時間後の限界圧力到達を回避
○事象発生後12時間後以降はベースケースと同じスプレイ流量(130m3/h)で格納
容器圧力制御が可能
○スプレイ流量の増加量はわずかであり、復水貯蔵槽への水補給の流量条件を変更しな
くても、スプレイ用の水源枯渇時間はほとんど変わらず、ベント時間はベースケースと
同じ事象発生後約25時間後となる
なお、復水貯蔵槽への水補給流量を90m3/hから130m3/hに変更すると、スプレイ用の水
源枯渇は発生せず、ベント時間は事象発生後約40時間後まで延ばすことが可能(格納容器ベン
トラインの水没水位がベントのクリティカル条件)
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8
3.各要因を組み合わせた場合の影響評価(2/4)
スプレイ流量の増加により限
界圧力到達を回避
約12時間後からはベースケースと同じスプ
レイ流量で格納容器圧力制御が可能
ドライウェル
サプレッションチェンバ
限界圧力
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9
3.各要因を組み合わせた場合の影響評価(3/4)
ケース①とケース②を重畳させた場合についても感度解析を実施
【感度解析条件】
○ケース①&②について、格納容器スプレイ流量を以下の通り変更
・事象発生後12時間後まで:140m3/h(10m3/h増加)
・事象発生後12時間後以降:130m3/h(変更せず)
○炉注水及び格納容器スプレイ水源の復水貯蔵槽への水補給流量は変更せず
【感度解析結果】
○格納容器スプレイ流量の増加( 130m3/h→ 140m3/h)により、事象初期の格納容
器圧力制御に成功し、約10時間後の限界圧力到達を回避
○事象発生後12時間後以降はベースケースと同じスプレイ流量(130m3/h)で格納
容器圧力制御が可能
○スプレイ流量の増加量はわずかであり、復水貯蔵槽への水補給の流量条件を変更しな
くても、スプレイ用の水源枯渇時間はほとんど変わらず、ベント時間はベースケースと
同じ事象発生後約25時間後となる
なお、復水貯蔵槽への水補給流量を90m3/hから130m3/hに変更すると、スプレイ用の水
源枯渇は発生せず、ベント時間は事象発生後約40時間後まで延ばすことが可能(格納容器ベン
トラインの水没水位がベントのクリティカル条件)
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3.各要因を組み合わせた場合の影響評価(4/4)
スプレイ流量の増加により限
界圧力到達を回避
約12時間後からはベースケースと同じスプ
レイ流量で格納容器圧力制御が可能
ドライウェル
サプレッションチェンバ
限界圧力
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4.まとめ
シビアアクシデント時にベント時間に影響を与える要因として、不確実さがある
のが主として水-Zr反応に伴い発生する水素及び水蒸気
水-Zr反応量を保守的に見込んだ場合、解析上想定している条件下ではベント時
間が早まるケースが存在
一方、事故影響緩和に用いるポンプ能力等については、解析上想定している条件
より余裕あり。実際の事故時における対応では、格納容器圧力挙動等を見ながら、
これらポンプ等の能力に応じた事故緩和操作を実施
感度解析の実施により、解析上のベント時間の不確かさは、圧力上昇の挙動を踏
まえた格納容器スプレイ流量の一部増加や水源補給量の増加等の対応に十分包含
される範囲となることを確認
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参考資料
雰囲気圧力・温度による静的負荷
(過温・過圧破損)
成立性確認
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13
目次(過温・過圧破損)
内容
1
事象の概要及び有効性評価における確認事項
2
対応手順及び事象進展の概要
3
シナリオ及び解析条件の妥当性について
4
重大事故防止設備概要図
5
有効性評価の結果
6
大気への放射性物質の放出量
7
対応時間と所要時間
8
操作の成立性
9
格納容器破損防止対策
10
可搬型等設備設置場所及びアクセスルート
11
7日間における水源の対応
12
7日間における燃料の対応
13
電源の負荷リスト
備考
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14
1.事象の概要及び有効性評価における確認事項
【事象概要と想定】
格納容器内へ流出した高温の原子炉冷却材や溶融炉心の崩壊熱等の熱によって発生
した水蒸気,金属-水反応等によって発生した非凝縮性ガス等の蓄積によって,格納
容器内の雰囲気圧力・温度が緩慢に上昇し、緩和措置がとられない場合には格納容器
が破損に至る。
本事象については,大LOCA及び高圧・低圧注水機能喪失を想定し,かつ全交流動
力電源喪失事象を想定する。
【有効性評価における確認事項 】
全交流動力電源喪失を想定するため,ガスタービン発電機を用いて給電し,低圧代
替注水系(常設)を用いた原子炉注水、代替格納容器スプレイ冷却系を用いた格納容
器冷却、格納容器圧力逃がし装置等を用いた格納容器除熱ができることを示し,設
備・手順の有効性を確認する。
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15
2.対応手順及び事象進展の概要(1/4)
(解析上の時間)
(約0分)
(約10分後)
(約24分後)
(約2時間後)
(約3時間後)
(約25時間後)
(約25時間後)
冷却材喪失(大破断)発生
原子炉スクラム・タービントリップを確認
全交流電源喪失 ※1
原子炉への注水機能喪失を確認 ※2
[回復は解析上考慮せず]
早期の電源回復不能と判断 ※3
非常用ディーゼル発電機または外部電源による
交流電源回復操作を実施
EOP
原子炉圧力-D/W温度による
「水位不明判断曲線」で水位不明を
EOP
判断する。
炉心損傷開始
炉心損傷確認 ※4
PCV薬品注入 ※5
Ⅰ
常設代替交流電源設備
(空冷式GTG)の準備
低圧代替注水系
(MUWCポンプ)準備
Ⅱ
低圧代替注水系
(MUWCポンプ)準備が完了
フィルタ装置排水ライン水張り
可搬型代替注水ポンプ
による格納容器頂部注水
可搬型代替注水ポンプの
準備が完了
可搬型代替注水ポンプの準備
(格納容器頂部注水系準備)
S/P圧力279KPa
維持不可
(約2時間後)
常設代替交流電源設備
(空冷式GTG)による
非常用電源回復操作
※6
低圧代替注水系(MUWCポンプ)による原子炉注水開始
(崩壊熱と注水流量から原子炉水位の上昇率を求める)
※7
原子炉冠水確認
(破断口からの流出をS/P水位上昇傾向変化により確認)
(原子炉水位の上昇率から
「L-1」以上に回復していることを推定する)
損傷炉心冷却成功確認
RPV健全確認
格納容器温度190℃超過確認
低圧代替注水系(MUWCポンプ)による
原子炉注水を停止し、D/Wスプレイを開始する。
※9
※8
原子炉注水停止後の水位低下量を崩壊熱より計算し
「HPCFノズル」を起点とし「L-1」までの時間を推定する。
「L-1」までの推定した時間経過後、
低圧代替注水系(MUWCポンプ)による
D/Wスプレイから原子炉注水へ切り替える
「L-1」を起点とした原子炉冠水確認まで
注入実施後、D/Wスプレイに切り替える。
※10
CSP水位「MUWCポンプトリップ」水位付近にて
低圧代替注水系(MUWCポンプ)によるD/Wスプレイ停止
「S/P圧力620KPa」にて
格納容器圧力逃がし装置又は
代替格納容器圧力逃がし装置による
W/Wベント実施
低圧代替注水系による原子炉注水を継続し、W/Wベントによる格納容器圧力の
低下傾向を確認する。及び機能喪失している設備の復旧に努める。
格納容器圧力逃がし装置又は代替格納容器圧力逃がし装置のフィルタ装置は、蒸
気凝縮により水位が上昇するためフィルタ装置排水設備により水位を調整し、薬品
の注入を実施する。
機能喪失していた設備の復旧後、W/Wベントが不要であることを確認しW/W
ベントを停止する。
格納容器を格納容器スプレイ冷却モード及びサプレッションプール水冷却モード
により冷却し、格納容器が十分に冷却された後、原子炉注水を低圧代替注水から低
圧注水系へ切り替える。
※1
外部電源が喪失し、かつ全てのD/Gからの受電に失敗することにより、全ての所内高圧系統(6.9kv)の母線が使用不能と
なった場合。
※2
交流電源喪失に伴う、電動駆動ポンプ起動不能及び、タービン駆動の原子炉隔離時冷却系も起動不能。
※3
中央制御室における非常用高圧系統(6.9kv)の電源回復ができない場合に「早期の電源回復不能」と判断する。
※4
CAMS放射線モニタ指示と「SOP導入条件判断図」により炉心損傷を確認する。例えば原子炉停止30分後の場合、CAMS
放射線モニタ指示が「D/W放射線モニタ:6.0E+00Sv/h」「S/C放射線モニタ:7.0E+00Sv/h」を超えた場合、炉心
損傷発生と判断する。
※5
炉心損傷確認後、格納容器pH制御のため薬品(水酸化ナトリウム)注入を実施する。
※6
低圧代替注水量から「崩壊熱除去に必要な注水量(AMG別冊より)」を引いて、圧力容器の単位容量から原子炉水位の上昇
率を求める。例えば、低圧代替注水流量が「300m3/h」、原子炉停止2時間後の必要注水量が「50m3/h」であるため、圧力容
器単位容量「29.34m3/m」より「8.5m/h」の上昇率になる。
※7
BAFを起点とした場合、L-1までは「4310mm」。約30分でL-1に到達すると推定される。
※8
高圧炉心注水ノズル「10312mm(圧力容器基準点より)」と、原子炉水位(L-1) 「9358mm(圧力容器基準点より)」の差か
ら容量を求め、その時の必要注水量から原子炉水位(L-1)に到達する時間を求める。例えば、原子炉停止4時間後の必要注
水量が「40m3/h」であった場合、ノズル~L-1の容量が「約28m3」であるため「約42分」でL-1に到達すると推定する。
なお、 原子炉停止時冷却系出口ノズル「10921mm(圧力容器基準点より)」の場合、「約1時間8分」でL-1に到達すると推
定される。
※9
原子炉注水流量は「90m3/h」とする。
※10
低圧代替注水系(可搬型)によるCSP補給量より、代替格納容器スプレイの流量が多いため、CSP水位がポンプトリップ値付
近にて代替D/Wスプレイを停止する。
Ⅰ
緊急用M/Cが使用できない場合は可搬型代替交流電源設備によるP/C受電を実施する。
常設代替交流電源設備が使用できない場合は可搬型代替交流電源設備による緊急用M/Cを受電する。
(いずれの場合も電源容量により使用できる設備が限られる)
Ⅱ
消火系を代替注水として使用する場合があるため運転状態について確認する。
恒設設備による原子炉への注水が実施できない場合、低圧代替注水系(可搬型)による注水を実施する。
Ⅲ
消火系による屋外または屋内消火栓からのCSP補給も実施できる。
屋内消火栓から補給する場合は、低圧代替注水系(可搬型)と同時に補給することも可能である。
消火系から補給する場合の水源は「ろ過水タンク」であるが、低圧代替注水系(可搬型)の水源は「防火水
槽」の他に「海水」も可能である。
:プラント状態
:操作・確認
(運転員のみの作業)
:運転員と緊急時対
策要員の共同作業
:緊急時対策要員の
みの作業
:判断
:シナリオ上考慮しない操作・判断結果
Ⅲ
大湊側防火水槽への
補給準備が完了
大湊側防火水槽への補給
(適宜実施)
(約12時間後)
貯水池から防火水槽への補給準備
(大湊側防火水槽への補給準備)
Ⅳ
Ⅳ
「ろ過水タンク」からの防火水槽補給も実施できる。その際は貯水池からろ過水タンクへの補給も合わせて実
施する。
凡例
低圧代替注水系(可搬型)の準備
(復水貯蔵槽への補給準備)
(約12時間後)
低圧代替注水系(可搬型)
によるCSP補給
低圧代替注水系(可搬型)の
準備が完了
(適宜実施)
16
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2.対応手順及び事象進展の概要(2/4)
原子炉格納容器
※2
D/Wスプレイノズル
給水系
より
③高圧注水失敗
主タービ
ン系へ
高圧炉心注水系ポンプ×2
原子炉隔離時冷却系ポンプ
①大破断LOCA発生
※1
復水貯蔵槽
②全交流動力電源喪失 S/Cスプレイノズル
非常用ディーゼル発電機×3
原子炉圧力容器
⑤冷却材流出及び無注水に
よりスクラム後0.4時間後から
炉心損傷開始
C
復水移送
ポンプ
高圧炉心注水系ポンプ
※1
A
残留熱除去系ポンプ
④低圧注水失敗 重大事故対策概要図
(低圧代替注水系)
残留熱除去系ポンプ×3
B
残留熱除去系ポンプ
※2
原子炉隔離時冷却水ポンプ
(注)LOCA:原子炉冷却材喪失
ECCS:非常用炉心冷却系
SBO:全交流動力電源喪失
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2.対応手順及び事象進展の概要(3/4)
⑥事象発生から2時間経過した時点でガ
スタービン発電機による電源供給を開始
し、代替注水系による注水開始
原子炉格納容器
※2
D/Wスプレイノズル
主タービ
ン系へ
給水系
より
※1
復水貯蔵槽
S/Cスプレイノズル
原子炉圧力容器
復水移送
ポンプ
C
高圧炉心注水系ポンプ
※1
B
A
残留熱除去系ポンプ
残留熱除去系ポンプ
重大事故対策概要図
(低圧代替注水系)
※2
原子炉隔離時冷却水ポンプ
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2.対応手順及び事象進展の概要(4/4)
原子炉建屋
原子炉格納容器
D/Wスプレイノズル
排
気
筒
耐圧強化ベント系
※1
主蒸気逃がし安全弁
⑧復水貯蔵槽への補給が追い
つかず保有水が枯渇
してスプレイ停止
主タービン系へ
※1
原子炉圧力容器
復水移送
ポンプ
復
水
貯
蔵
槽
フィルタベント
格納容器圧力逃がし装置
又は代替格納容器圧力逃がし装置
⑨格納容器圧力が限界圧力に到達した時
点(事象発生から約25時間後)で、フィルタ
ベントによるベントを実施
B
残留熱除去系ポンプ
重大事故防止設備概要図
(低圧代替注水系&代替格納容器スプレイ冷却系&格納容器圧力逃がし装置)
(低圧代替注水系&代替格納容器スプレイ冷却系&フィルタベント)
⑦代替格納容器スプレイ冷却系による格
納容器スプレイと原子炉注水の切り替え
を繰り返し実施
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3.シナリオ及び解析条件の妥当性について(1/5)
ベントシナリオとして、福島第一原子力発電所事故よりも事象
進展が厳しい「大LOCA+高圧・低圧注水機能喪失+全交流動
力電源喪失事象」を選定している
大LOCAを想定することによって、直接D/Wに高温の原子
炉冷却材や金属-水反応等によって発生した非凝縮性ガス等を
放出させ、格納容器の過圧・過温の観点から最も厳しいシナリ
オとしている
更にSBOを重畳させることにより、炉心損傷割合が多くなる
厳しいシナリオとしている
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3.シナリオ及び解析条件の妥当性について(2/5)
項目
条件設定の考え方
条件設定の妥当性
MAAP
-
-
原子炉熱出力
3,926MWt
定格原子炉熱出力として設定
設計値を使用
初期原子炉圧力
7.07MPa[gage]
定格原子炉圧力として設定
設計値を使用
初期原子炉水位
通常水位
通常運転時原子炉水位として設定
設計値を使用
燃料棒最大線出力密度
44.0 kW/m
設計の最大値として設定
設計値を使用
崩壊熱
ANSI/ANS-1979
(燃焼度33GWd/t)
サイクル末期の燃焼度に10%の保守性を考
慮して設定
現実的な崩壊熱に対して保守的な条件とし
て設定
保守的な値を使用
格納容器容積
(ドライウェル)
7,500m3
標準条件として設定
設計値を使用
格納容器容積
(ウェットウェル)
空間部:5,960m3
水:3,580m3
標準条件として設定
設計値を使用
初期サプレッションプール水位
通常水位
通常運転時SP水位として設定
設計値を使用
解析コード
初
期
条
件
主要解析条件
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21
3.シナリオ及び解析条件の妥当性について(3/5)
項目
事
故
条
件
主要解析条件
条件設定の考え方
起因事象
大破断LOCA
残留熱除去系の吸込配管の破断
原子炉内の保有水量の減少が、最も厳しい
箇所として設定
安全機能の喪失に対する仮定
全交流電源喪失
高圧注水機能及び低圧注水機能喪失
全てのECCSの機能を機能喪失を前提条
件として設定
外部電源
外部電源なし
外部電源が喪失するものとして設定
条件設定の妥当性
格納容器過圧・過温の観点
から厳しい事故条件を選定
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22
3.シナリオ及び解析条件の妥当性について(4/5)
項目
重
大
事
故
等
対
策
に
関
連
す
る
機
器
条
件
主要解析条件
条件設定の考え方
条件設定の妥当性
原子炉スクラム信号
応答時間:0.05秒
安全保護系の遅れ時間を考慮した応答時間
を設定。
設計値を使用
低圧代替注水系(常設)
最大300m3/hで注水、その後は
炉心冠水維持可能な注水量
設計値に注入配管の流路圧損を考慮した値
として設定
設計値を使用
代替格納容器スプレイ冷却系
130m3/hにてスプレイ
格納容器雰囲気温度及び圧力抑制に必要な
スプレイ流量を考慮し、設定
保守的な値を使用
(格納容器圧力2Pd(0.62MPa)で
最大約160m3/hにてスプレイ可
能)
格納容器圧力逃がし装置等
弁開口面積50%
配管の流路圧損を考慮し、かつ、格納容器
減圧可能な流路面積として設定
設計値を使用
復水貯蔵槽(CSP)への補給
90m3/hにて補給
消防車によるCSP補給配管の流路圧損を考
慮した値として設定
保守的な値を使用
(多様な手段により、少なくと
も130m3/h以上にて補給可能)
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3.シナリオ及び解析条件の妥当性について(5/5)
項目
重
大
事
故
等
対
策
に
関
連
す
る
操
作
条
件
主要解析条件
条件設定の考え方
条件設定の妥当性
ガスタービン発電機からの受
電
事象発生2時間後
訓練実績を踏まえて設定
保守的な操作条件を採用
(訓練実績等により約50分で
操作可能な見込み)
低圧代替注水系(常設)起動
操作
事象発生2時間後
訓練実績を踏まえて設定
保守的な操作条件を採用
(訓練実績等により約70分で
操作可能な見込み)
格納容器圧力逃がし装置等に
よる格納容器除熱操作
格納容器圧力「0.62MPa[gage]」到達時
運転操作手順書を踏まえて設定
復水貯蔵槽(CSP)への補給
事象発生12時間後
当社の原子力発電所の安全確保に
関する考え方(マスターガイドラ
イン)に基づき設定
ー
保守的な操作条件を採用
(訓練実績等により約4時間
で操作可能な見込み)
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24
4.重大事故防止設備概要図(1/2)
原子炉格納容器
※2
D/Wスプレイノズル
主タービ
ン系へ
給水系
より
※1
復水貯蔵槽
S/Cスプレイノズル
原子炉圧力容器
復水移送
ポンプ
C
高圧炉心注水系ポンプ
※1
B
A
残留熱除去系ポンプ
残留熱除去系ポンプ
重大事故対策概要図
(低圧代替注水系)
※2
原子炉隔離時冷却水ポンプ
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25
4.重大事故防止設備概要図(2/2)
原子炉建屋
原子炉格納容器
D/Wスプレイノズル
排
気
筒
耐圧強化ベント系
※1
主蒸気逃がし安全弁
主タービン系へ
※1
原子炉圧力容器
復水移送
ポンプ
復
水
貯
蔵
槽
格納容器圧力逃がし装置
又は代替格納容器圧力逃がし装置
B
残留熱除去系ポンプ
重大事故防止設備概要図
(低圧代替注水系&代替格納容器スプレイ冷却系&格納容器圧力逃がし装置)
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26
5.有効性評価の結果(1/2)
PCVスプレイ作動
に伴う圧力変化
PCVベント(約25時間)
による圧力低下
RHR配管破断により炉内から流出
する蒸気によるPCV圧力上昇
W/WベントによりD/Wに比べて圧力低下が早い
格納容器圧力
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27
5.有効性評価の結果(2/2)
PCVスプレイ作動により
温度上昇が抑制
PCVベント(約25時間)
による温度低下
RHR配管破断により炉内から流出する
蒸気によるPCV温度上昇
格納容器温度
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28
6.ベント時(炉心損傷後)の大気への放射性物質の放出
【事象の概要】
1.大LOCAが発生し,格納容器内に冷却材が大量に漏えいする。
2.更に非常用炉心冷却系(ECCS)喪失,全交流電源喪失(SBO)を想定し,注水が出来ず炉心が損傷するも,
代替注水を2時間後に開始することで,圧力容器破損は回避。(セシウム-137は,炉心からほぼ全量放出される)
3.事象発生から約25時間後,納容器圧力2Pd到達によりベント実施。
【評価結果】
セシウム-137の総放出量は約0.0025TBqであり,100TBqを下回っており,敷地外の土壌汚染は大幅に抑制される。
セシウム-137を
含む蒸気
セシウム-137総放出量
約0.0025TBq
原子炉建屋
原子炉格納容器
配管破断
炉心から
セシウム-137がほぼ全
量放出
S/Cでセシウム-137
を除去
水
蒸
気
水蒸気
水蒸気
水蒸気
フィルタ装置によるセシウム-137
に対する除線形数(DF)は1000
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29
7.対応手順と所要時間(1/2)
事象発生~120分
経過時間(分)
10
運転員
(中操)
6号
7号
運転員
(現場)
6号
7号
30
40
50
60
70
80
90
100
110
120
備考
事象発生
実施箇所・必要人員数
操作項目
20
重大事故等
対策要員
6号
7号
操作の内容
原子炉スクラム
約2時間
原子炉注水開始
プラント状況判断
約24分 炉心損傷開始
・冷却材喪失(大破断)確認
状況判断
2人
A,B
2人
a,b
・原子炉スクラム・タービントリップ確
認
-
-
-
-
10分
・全交流電源喪失確認
・原子炉注水機能喪失確認
-
-
-
-
-
-
非常用ディーゼル発電機 機能回復
-
-
-
-
-
-
外部電源 回復
-
-
-
-
-
-
・給水系、原子炉隔離時冷却系、高圧炉
心注水系、低圧注水系 機能回復
(2人)
A,B
(2人)
a,b
-
-
-
-
・受電前準備(中操)
-
-
2人
E,F
2人
e,f
-
-
・現場移動
・受電前準備(現場)
交流電源回復操作
(解析上考慮せず)
高圧/低圧注水機能喪失調査、復旧操作
(解析上考慮せず)
・現場移動
・GTG、緊急用M/C健全性確認
常設代替交流電源設備 準備操作
6人
-
-
-
20分
50分
20分
10分
・GTG、緊急用M/C給電準備
-
20分
・GTG起動、緊急用M/C遮断機投入
(2人)
常設代替交流電源設備 運転
(1人)
B
(1人)
b
-
-
-
-
(2人)
E,F
(2人)
e,f
(1人)
A
(1人)
q
-
-
-
-
-
-
適時実施
・GTG 運転状態監視
-
・M/C受電確認
-
-
・M/C 受電
・MCC 受電
-
-
-
・復水移送ポンプ起動/運転確認
・低圧代替注水系ラインアップ
2人
C,D
2人
c,d
-
-
・現場移動
・低圧代替注水系 現場ラインアップ
※CSP吸込ライン切替
(2人)
C,D
(2人)
c,d
-
-
・現場移動
・薬品注入設備起動
5分
常設代替交流電源設備からの受電操作
低圧代替注水系(常設) 準備操作
格納容器薬品注入
10分
5分
20分
(30分)
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30
7.対応手順と所要時間(2/2)
事象発生~30時間
経過時間(時間)
2
運転員
(中操)
6号
7号
運転員
(現場)
6号
7号
操作の内容
(1人)
q
-
-
-
-
・低圧注水系 注入弁操作
代替格納容器スプレイ操作
(1人)
A
(1人)
q
-
-
-
-
・低圧注水系 スプレイ弁操作
2人
2人
※1、※2
※1、※2
※1
※1
1人
1人
-
-
10
12
-
-
22
24
30
備考
・消防車によるCSPへの注水準備
(消防車移動、ホース敷設(防火水槽
から消防車,消防車から接続口),ホー
ス接続)
炉心冠水後は、適宜原子炉注水と格納容器スプレイの切り替えを繰り返し実施
適宜原子炉注水と格納容器スプレイの切り替えを繰り返し実施
60分
・現場移動
・貯水池~防火水槽への系統構成,ホー
ス水張り
-
継続実施
現場確認中断
(一時退避中)
継続実施
現場確認中断
(一時退避中)
一時待避前に防火水槽が枯渇
しないように補給量を調整す
る
適宜実施
中操からの連絡を受けて現場
操作を実施する
90分
※3
・貯水池から防火水槽への補給
(1人)
A
26
-
2人
-
20
約25時間 格納容器圧力 限界圧力到達
・消防車によるCSPへの補給
貯水池から大湊側防火水槽への補給
14
約2時間 原子炉注水開始
約3時間 炉心冠水確認
(1人)
A
-
8
約24分 炉心損傷開始
重大事故等
対策要員
6号
7号
低圧代替注水系(常設) 注水操作
消防車による防火水槽からCSPへの補
給
6
事象発生
実施箇所・必要人員数
操作項目
4
(1人)
q
-
-
-
-
2人
C,D
2人
c,d
-
-
-
-
-
-
・ベント準備
-
-
・ベント準備(F001作動用ボンベ元
弁開)
※2。※3
※2。※3
2人
2人
10分
20分
格納容器ベント準備操作
(1人)
A
(1人)
q
-
-
-
-
-
-
-
-
(2人)
(2人)
-
-
-
-
・FVスクラバタンク水位調整準備
(排水ライン水張り)
(60分)
フィルタベント操作後,
適宜ベント状態監視
・フィルタベント操作
・ベント状態監視
格納容器ベント操作
燃料供給準備
・FVスクラバタンク水位調整
・軽油タンクからタンクローリーへの補
給
タンクローリー残量に応じて
適宜軽油タンクから補給
60分
2人
燃料給油作業
必要人員数 合計
-
-
-
-
2人
A,B
2人
a,b
4人
C,D,E,F
4人
c,d,e,f
・消防車への給油
継続実施
作業中断
(一時退避中)
一時待避前に燃料が枯渇しな
いように補給する
14人
( )内の数字は他の作業終了後、移動して対応する人員数。
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31
8.操作の成立性 (1/2)
作業項目
操作項目
操作の内容
作業環境
有効性評価で想定
する時間
移動経路
温度・湿度
放射線環境
操作性
連絡手段
照明
常設代替交流電源設備 準備操作
・GTG、緊急用M/C健全性確認
・GTG、緊急用M/C給電準備
・GTG起動、緊急用M/C遮断器
投入
事象開始後
10~60分
合計50分
-
車両のヘッドライトの他,
ヘッドライト・懐中電灯を
ヘッドライト・懐中電灯に
携帯しており、夜間におい
より,夜間における作業性
ても接近可能である。
を確保している。
また、アクセスルート上に
支障となる設備はない。
現場操作パネルでの簡易
なボタン操作であり,操
作性に支障はない。
トランシーバもしくは衛
星携帯電話により,本部
(または中操)に連絡す
る。
高線量となることはない
(二次格納容器外のため)
バッテリー内蔵型LED照
明を作業エリアに配備して
おり,建屋内常用照明消灯
時における作業性を確保し
ている。
また,ヘッドライト・懐中
電灯をバックアップとして
携帯している。
バッテリー内蔵型LED照
明をアクセスルート上に配
備しており近接可能であ
る。
また,ヘッドライト・懐中
電灯をバックアップとして
携帯している。
アクセスルート上に支障と
なる設備はない。
通常運転時に行うしゃ断
器操作と同じであり,操
作性に支障はない。
携帯型音声呼出電話(ブ
レスト)により,中操に
連絡する。
高線量となることはない
(二次格納容器外のため)
バッテリー内蔵型LED照
明を作業エリアに配備して
おり,建屋内常用照明消灯
時における作業性を確保し
ている。
また,ヘッドライト・懐中
電灯をバックアップとして
携帯している。
バッテリー内蔵型LED照
明をアクセスルート上に配
備しており近接可能であ
る。
また,ヘッドライト・懐中
電灯をバックアップとして
携帯している。
アクセスルート上に支障と
なる設備はない。
操作対象弁は通路付近に
あり,操作性に支障はな
い。
操作対象弁には,暗闇で
も識別し易いように反射
テープを施している。
携帯型音声呼出電話(ブ
レスト)により,中操に
連絡する。
高線量となることはない
(屋外のため)
常設代替交流電源設備 運転
電源確保 ・GTG 運転状態監視
常設代替交流電源設備 準備操作
・受電前準備(現場)
常設代替交流電源設備からの受電操
作
事象開始後
10~75分
合計65分
通常原子炉運転中と同程
度
・M/C 受電
・MCC 受電
低圧代替注水系(常設) 準備操作
原子炉
注水
・低圧代替注水系 現場ライン
アップ
※CSP吸込ライン切替
事象開始後
10~30分
合計20分
通常原子炉運転中と同程
度
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8.操作の成立性 (2/2)
操作項目
操作の内容
格納容器薬品注入
・薬品注入設備起動
格納容器ベント準備操作
・ベント準備
(F001作動用ボンベ元弁開)
格納容器ベント準備操作
・FVスクラバタンク水位調整準備
(排水ライン水張り)
消防車による防火水槽から
CSPへの補給
・消防車によるCSPへの注水準備
・消防車によるCSPへの補給
有効性評価で想定
する時間
炉心損傷後
1時間以内
事象開始後
24~25時間
合計20分
事象開始後
24~25時間
合計60分
事象開始後
11~12時間
合計60分
作業環境
移動経路
温度・湿度
・貯水池~防火水槽への系統構成,
ホース水張り
・貯水池から防火水槽への補給
燃料供給準備
・軽油タンクからタンクローリー
への補給
事象開始後
11~12時間
合計60分
連絡手段
照明
高線量となることはない
(屋外のため)
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトによ
り,夜間における作業性を
確保している。
通常原子炉運転中と同程
度
高線量となることはない
(二次格納容器外のため)
バッテリー内蔵型LED照
明を作業エリアに配備して
おり,建屋内常用照明消灯
時における作業性を確保し
ている。
また,ヘッドライト・懐中
電灯をバックアップとして
携帯している。
-
高線量となることはない
(屋外のため)
車両の作業用照明・ヘッド
ライト・懐中電灯・LED
多機能ライトにより,夜間
における作業性を確保して
いる。
-
高線量となることはない
(屋外のため)
車両の作業用照明・ヘッド
ライト・懐中電灯・LED
多機能ライトにより,夜間
における作業性を確保して
いる。
車両のヘッドライトの他,
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトを携帯
しており、夜間においても
接近可能である。
また、アクセスルート上に
支障となる設備はない。
消防車からのホースの接
続は,汎用の結合金具
(オス・メス)であり,
容易に操作可能である。
作業エリア周辺には,支
障となる設備はなく,十
分な作業スペースを確保
している。
トランシーバ,または移
動無線により,本部及び
当直に適宜連絡する。
-
高線量となることはない
(屋外のため)
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトによ
り,夜間における作業性を
確保している。
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトを携帯
しており、夜間においても
接近可能である。
また、アクセスルート上に
支障となる設備はない。
使用するホースの接続部
は,レバーロックカプラ
式(オス・メス)になっ
ており,容易に接続可能
である。
トランシーバ,または移
動無線により,本部に適
宜連絡する。
車両の作業用照明・ヘッド
ライト・懐中電灯・LED
多機能ライトにより,夜間
における作業性を確保して
いる。
車両のヘッドライトの他,
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトを携帯
しており、夜間においても
接近可能である。
また、アクセスルート上に
支障となる設備はない。
軽油タンク予備ノズルへ
のタンクローリー補給用
仮設フランジ取り付け
は、一般的なフランジ取
り付け作業であり,実施
可能である。
作業エリア周辺には,支
障となる設備はなく,十
分な作業スペースを確保
している。
トランシーバ,または移
動無線により,本部に適
宜連絡する。
-
貯水池から大湊側防火水槽への補給
事象開始後
10.5~12時間
合計90分
操作性
放射線環境
-
高線量となることはない
(屋外のため)
ヘッドライト・懐中電灯・
LED多機能ライトを携帯
しており、夜間においても
接近可能である。
また、アクセスルート上に
支障となる設備はない。
使用するホースの接続部
は,レバーロックカプラ
式(オス・メス)になっ
ており,容易に接続可能
である。
バッテリー内蔵型LED照
明をアクセスルート上に配
備しており近接可能であ
る。
操作対象弁は通路付近に
また,ヘッドライト・懐中 あり,操作性に支障はな
電灯をバックアップとして い。
携帯している。
アクセスルート上に支障と
なる設備はない。
消防車からのホースの接
車両のヘッドライトの他,
続は,汎用の結合金具
ヘッドライト・懐中電灯・
(オス・メス)であり,
LED多機能ライトを携帯
容易に操作可能である。
しており、夜間においても
作業エリア周辺には,支
接近可能である。
障となる設備はなく,十
また、アクセスルート上に
分な作業スペースを確保
支障となる設備はない。
している。
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トランシーバ,または移
動無線により,本部に適
宜連絡する。
携帯型音声呼出電話(ブ
レスト)により,中操に
連絡する。
トランシーバ,または移
動無線により,本部及び
当直に適宜連絡する。
33
9.格納容器破損防止対策
有効性評価上期待する重大事故等対処設備
判断及び操作
手順
常設設備
可搬設備
計装設備
原子炉スクラム確認
大規模なLOCAにより原子炉水位が急激に低下し、原子炉
水位低(レベル3)にて原子炉スクラムすることを確認する。
-
-
平均出力領域モニタ
非常用炉心冷却系機能喪失確認
全交流動力電源喪失により高圧炉心注水系及び低圧注水系が
機能喪失する。また、原子炉圧力が確保できないため原子炉
隔離時冷却系も機能喪失することにより非常用炉心冷却系が
機能喪失する。
-
-
原子炉隔離時冷却系系統流量計
高圧炉心注水系系統流量計
残留熱除去系系統流量計
原子炉圧力計
炉心損傷確認
大破断LOCA時に非常用炉心冷却系の機能及び全交流動力
電源が喪失するため、原子炉水位は急激に低下し炉心が露出
することで炉心損傷に至る
-
-
格納容器内雰囲気放射線レベル計
低圧代替注水系(常設)による原子炉
水位回復確認
ガスタービン発電機による交流電源供給後、低圧代替注水系
(常設)による原子炉注水を開始する。
ガスタービン発電機
復水移送ポンプ
-
復水補給水系流量計(原子炉圧力容器)
代替格納容器スプレイ冷却系による格
納容器冷却確認
格納容器温度が「190℃」到達した場合、原子炉冠水を確
認後、代替格納容器スプレイ冷却系により格納容器冷却を実
施する。
原子炉を冠水維持できる範囲で、原子炉注水と格納容器スプ
レイを交互に実施する。
復水移送ポンプ
-
格納容器内圧力計
復水補給水系流量計(原子炉格納容器)
格納容器圧力逃がし装置等による格納
容器除熱確認
格納容器圧力が「0.62MPa〔gage〕」到達した場合、格
納容器圧力逃がし装置等による格納容器除熱を実施する。
格納容器圧力逃がし装置
代替格納容器圧力逃がし装置
-
格納容器内圧力計
格納容器圧力逃がし装置放射線レベル計
サプレッション・チェンバ・プール水位計
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34
10.可搬型等設備設置場所及びアクセスルート
【T.M.S.L+ 12m】
可搬型代替注水ポンプ(消防車)
荒浜側高台資機材置場【 T.M.S.L+ 35m】
【T.M.S.L+12m】
7号機
タービン建屋
・可搬型代替注水ポンプ(消防車)
・タンクローリー
・常設代替交流電源設備(ガスタービン発電機車)
・ガスタービン発電機車用燃料移送ポンプ
・地下軽油タンク
7号機
原子炉
建屋
6号機
タービン建屋
軽油タンク
6号機
原子炉
建屋
【T.M.S.L+12m】
防火水槽
大湊側高台資機材置場【 T.M.S.L+ 34m】
淡水貯水池【 T.M.S.L+ 35m】
・可搬型代替注水ポンプ(消防車)
アクセスルート
淡水貯水池送水ライン
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35
11.7日間における水源の対応
CSPの水量
○水源
CSP保有水量:約1,700 m3
淡水貯水池:約18,000m3
2500
CSP水量
2000
②MUWCによる代替原子炉格納容器スプレイ
原子炉水位が破断口からL1までの間,代替原子炉
格納容器スプレイを実施(130m3/h)
MUWCによ り原 子炉注水開始
↓
1500
水量 [ton]
○水使用パターン
①MUWCによる原子炉注水
事象発生2時間後から原子炉冠水までは定格流量で
注水(約300m3/h)
冠水後は,破断口~L1を維持できる範囲で注水
(約90m3/h)
1000
50 0
PCVスプレイ停止
↓
↑
CSPへの補給開始
(90m3/h)
0
0
5
10
15
20
time [hr]
25
30
35
40
③淡水貯水池からCSPへの移送
12時間後から,淡水貯水池の水を防火水槽へ移送する。防火水槽からは消防車2台を用いて90m3/hでCSPへ移送する。
○時間評価(右上図)
12時間前まではCSP水源を用いて炉注水及び代替原子炉格納容器スプレイを実施するため,CSP水量は減少する。12時間後からCSPへ
の補給を開始するため,CSP水量の減少割合は低下する。スプレイ停止後にベントし,その後は崩壊熱相当で注水することからCSPの水位
は回復し,以降安定して冷却が可能である。
○水源評価結果
7日間の対応を考慮すると,合計約6,100 m3必要となるが,初期CSP水量及び淡水貯水池,合計で約19,700m3保有することから必要
水量を確保可能であり,安定して冷却を継続することが可能である。(12時間後からCSP補給開始及びCSP補給量90m3/hという保
守的な想定)
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36
12.7日間における燃料の対応
7日間における燃料の対応(格納容器過圧・過温破損)
プラント状況:6,7号機運転中。 1~5号機停止中。
事象:格納容器過圧・過温破損は6,7号機を想定。保守的に全ての設備が、事象発生直後から燃料を消費するものとして評価する。
なお、全プラントで外部電源喪失が発生することとし、免震棟等、プラントに関連しない設備も対象とする。
号機
時系列
合計
判定
7日間の
軽油消費量
約 871,416L
6,7号機軽油タンク
及び地下軽油タンクの
容量(合計)は
約 2,184,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 631,344L
1号機軽油タンク容量は
約 632,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 631,344L
2号機軽油タンク容量は
約 632,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 631,344L
3号機軽油タンク容量は
約 632,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 631,344L
4号機軽油タンク容量は
約 632,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 631,344L
5号機軽油タンク容量は
約 632,000L であり、
7日間対応可能。
7日間の
軽油消費量
約 70,896L
1~7号機軽油タンク
及び地下軽油タンクの
残容量(合計)は
約 1,315,864L であり、
7日間対応可能。
事象発生直後~事象発生後7日間
7号機
空冷式GTG 3台起動。 ※1
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,705L/h×24h×7 日×3 台=859,320L
6号機
CSP給水用 可搬型代替注水ポンプ(A-2級)
2台起動。
18L/h×24h×7 日×2 台=6,048L
CSP給水用 可搬型代替注水ポンプ(A-2級)
2台起動。
18L/h×24h×7 日×2 台=6,048L
事象発生直後~事象発生後7日間
1号機
非常用D/G 2台起動。 ※2
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,879L/h×24h×7 日×2 台=631,344L
事象発生直後~事象発生後7日間
2号機
非常用D/G 2台起動。 ※2
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,879L/h×24h×7 日×2 台=631,344L
事象発生直後~事象発生後7日間
3号機
非常用D/G 2台起動。 ※2
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,879L/h×24h×7 日×2 台=631,344L
事象発生直後~事象発生後7日間
4号機
非常用D/G 2台起動。 ※2
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,879L/h×24h×7 日×2 台=631,344L
事象発生直後~事象発生後7日間
5号機
非常用D/G 2台起動。 ※2
(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
1,879L/h×24h×7 日×2 台=631,344L
事象発生直後~事象発生後7日間
その他
免震棟GTG 1台起動。(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
395L/h×24h×7 日=66,360L
MP用仮設発電機 3台起動。(燃費は保守的に最大負荷時を想定)
9L/h×24h×7 日×3 台=4,536L
※1 事故収束に必要な空冷式GTGは1台で足りるが、保守的にGTG3台を起動させて評価した。
※2 事故収束に必要なD/Gは1台で足りるが、保守的にD/G2台を起動させて評価した。
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13.電源の負荷リスト(1/2)
6号機の負荷リスト
負荷容量(kW)
ガスタービン発電車の許容容量3600kW
主要機器名称
容量
3500
(1)
直流125V充電器盤6A
約98kW
(2)
直流125V充電器盤6A-2
約56kW
(3)
AM用直流125V充電器盤
約41kW
(4)
直流125V充電器盤6B
約98kW
(5)
交流120V中央制御室計測用分電盤6A
約50kW
(6)
中央制御室送風機(A)
(7)
中央制御室再循環送風機(A)
(8)
中央制御室排風機(A)
(9)
復水移送ポンプ(A)
55kW
(10)
復水移送ポンプ(C)
55kW
(11)
計器類
(12)
その他機器
3000
2500
2000
170kW
11kW
1500
3kW
順次起動
・各充電器
・交流120V中央制御室計測用分電盤6A
・中央制御室送風機(A)
・中央制御室再循環送風機(A)
・中央制御室排風機(A)
・復水移送ポンプ(A)
・復水移送ポンプ(C)
・その他機器
1000
約767kW
(1)~(4)に含む
500
約130kW
合計
約767kW
経過時間(h)
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
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24
26
28
30
38
13.電源の負荷リスト(2/2)
7号機の負荷リスト
負荷容量(kW)
ガスタービン発電車の許容容量3600kW
主要機器名称
容量
3500
(1)
直流125V充電器盤7A
約98kW
(2)
直流125V充電器盤7A-2
約56kW
(3)
AM用直流125V充電器盤
約41kW
(4)
直流125V充電器盤7B
約98kW
(5)
交流120V中央制御室計測用主母線盤7B
約75kW
(6)
中央制御室送風機(A)
(7)
中央制御室再循環送風機(A)
(8)
中央制御室排風機(A)
(9)
復水移送ポンプ(A)
55kW
(10)
復水移送ポンプ(C)
55kW
(11)
計器類
(12)
その他機器
3000
2500
2000
132kW
15kW
1500
順次起動
・各充電器
・交流120V中央制御室計測用分電盤7B
・中央制御室送風機(A)
・中央制御室再循環送風機(A)
・中央制御室排風機(A)
・復水移送ポンプ(A)
・復水移送ポンプ(C)
・その他機器
3kW
1000
約758kW
(1)~(4)に含む
500
約130kW
合計
約758kW
経過時間(h)
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
22
24
26
28
30
負荷積算イメージ
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MAAP概要
米国電力研究所(EPRI)が所有するシビアアクシデント解析
コードであり、軽水炉の炉心損傷、原子炉圧力容器(RPV)破
損、原子炉格納容器(PCV)破損からコア・コンクリート反応、
放射性物質の発生・移行・放出に至る事故シーケンス全般の現
象解析に用いることができる。
コードシステムとしては、各事故過程のプロセスを個別に評価
するモジュールを統合することで、一連の事故シーケンスを評
価する構成となっている
世界で17を超える国で使用されており、日本ではPWRの適
合性審査等、米国では過酷事故戦略の最適化等で使用されてい
る。
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MAAP概要
主要な取り扱い事象(RPV)
あらゆる注水
方法を模擬
任意の個所からの水/蒸
気放出を模擬
水-金属反応
を模擬
エアロゾル発生→
PCVへの移行
RPV内のヒート
シンクへの熱伝達
PCVへの
熱伝達模擬
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MAAP概要
主要な取り扱い事象
(下部プレナム)
○炉心
・燃料、構造材溶融、移行
・水-金属反応
・水-燃料-構造材熱伝達
○下部プレナム
・燃料細粒化、成層化
・クラスト形成
・RPV破損判定
・RPV壁-クラスト間への水進入
・クラスト上部水による冷却
・CRD等構造材溶融
○RPV外壁
・PCVへの熱伝達
・保温材の取扱
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MAAP概要
主要な取り扱い事象(PCV)
建屋/環境への
リーク、放出
水素燃焼・
再結合
デブリ/水のエン
トレインメント
→D/Wへ移行
RPVやコリウムか
らの熱伝達
PCV外への
熱伝達
エアロゾル挙動
・沈降・沈着
・スクラビング
・ヨウ素化学反応
コア・コンクリート
反応
凝縮・水位変化
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<参考>崩壊熱の保守性
崩壊熱
ANSI/ANS-5.1-1979
ORIGEN2
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