XPからの PC置き換え予算で実現した 1人月額5,000円のVDI

山折り
Case Study
導入事例
PowerTerm WebConnect DeskView
PowerTerm WebConnect DeskView
VDI導入直後、見え始めた管理負荷の変化と
仕事の効率化
Case Study
基幹システムで在庫確認してもらっていたことを考えると、仕事のやり
方が変わっていくと思います。また、今までは出張時に新幹線でノート
PCを広げ、よく接続の切れるVPNに繋げて仕事をしていたわけです
神東塗料株式会社
が、今はiPadを片手にメールチェックなどできるようになったので、今
導入から約2ヶ月、神東塗料株式会社企画・経営室（情報システム）
までよりもスマートに仕事ができるようになったと聞きました。
石井潔氏は次のように語る。
防食・道路施設用や工業用塗料の製造を幅広く手がける
塗料メーカー。水性塗料や無溶剤形塗料などの「環境対
応型塗料」の開発に早くから取り組み、タイ、台湾、中国
石井氏まったく普通のクライア
などアジア諸国を中心に海外事業も積極展開している。
今後のVDI展開計画とコスト削減意識の継続
ントP Cを使っているのと同じで
立：1933年4月
設
資本金：22億5,500万円
レイテンシをチェックしようと
pingコマンドを発行して、
「ああ、
今後、同社は当初の計画どおり2014年上半期中に130台のシンクラ
仮想化環境だった」と気づきまし
イアント化を完了させる予定だ。その後、様子を見ながら利用ユーザ
た。それぐらい違和感なく使ってい
の範囲を広げていく。すべてをシンクライアント端末化するのではな
ます。
く、既存PCの再活用も検討している。比較的スペックの高いPCは
従業員数：357名
U
R
L：http://w w w.shintopaint.co.jp/
（取材日：2014年5月15日）
Windows 7 にバージョンアップし、Active Directory のグループポリ
クライアント端末管理に関する運
石井潔氏
用工数については、まだ違いを実
シーでロックダウンした上でシンクライアント端末として使い、端末導
入コストを圧縮する狙いだ。
感できるレベルではありません。しかし、1台あたりのシンクライアン
トの準備工数はPCのキッティングよりも確実に減っているので、今後
シンクライアント端末数が増えれば、工数削減も顕著になるだろうと
技術と知恵を組み合わせれば、それほど多大なコストをかけなくて
見込んでいます。
もスマートなワークスタイルは実現可能だ。神東塗料のServer-VDI導
入は、まさにこれを実地に移したお手本のような事例だと言える。
藤原氏は石井氏を補足してこう語る。
藤原氏今までは物理PCのリプレース時期が来るたびに大掛かりな
XPからの
PC置き換え予算で実現した
1人月額5,000円のVDI
水性塗料や環境対応型塗料で知られる兵庫県の神東塗料株式会社では、Windows XPサポー
作業を実施していました。これからはOSのサポート終了という一大イ
ト終了を契機に、クライアントの管理集中化を目的としてVDI導入を検討した。PC置き換え用
ベントがあっても、システム側とク
に取得していた予算内でVDI導入を実現させるため、同社が着目したのはEricomとServer-VDI
ライアント側の両方を一度に実施
だった。一般的なVDIに必要なMicrosoftライセンスコストを削減し、安価なEricomの仮想化
する必要は無くなり、VDI側のマス
ソリューションを採用したことにより、念願のVDI導入を成功させた。
ターイメージを入れ替えるだけ、と
余裕を持つことができます。今回
課題
のプロジェクトは、まだ道半ばです
が、大きな体制変化の下地が整え
▪Windows XPからの移行
られたという点で意味が大きいと
▪複数拠点に散在するPCのサポート負荷軽減
思っています。
窪田雅明氏
社：兵庫県尼崎市南塚口町六丁目10番73号
本
す。先日、手元の端末とサーバ間の
▪PC管理効率化のためVDIを検討するが導
入コストが予算に合わない
VDIの利用者である営業や技術
P O I N T
クライアント環境の
管理集中化をVDIで実現
Ericomと
Server-VDIの採用で
導入コストを大幅に削減
モバイルユーザの
業務効率化と
モチベーション向上を実現
対策
▪Server-VDIを選択しMicrosoftのVDAライセ
ンスを不要に
効果
▪1人月額5,000円の予算でVDI導入を実現
▪PCと変わらないシンクライアントでの使
用感を実現
▪コネクションブローカー、通信プロトコルと
して安価なEricomを選択
1
2
3
▪モバイルユーザの業務効率化
▪TISがコスト対効果の高いシステム構成を提案
の仕事の進め方も変わったようだ。神東塗料株式会社企画・経営室
（情報システム）課長窪田雅明氏は次のように語る。
窪田氏営業担当は、商談中にiPadを使って出荷情報や在庫の照会
E-Mail [email protected]
東
京〒102- 8 1 0 9 東京都千代田区九段北 4 -2 -1 市ヶ谷東急ビル
TEL:03-5276-5862
大
阪〒5 3 0 -0 0 1 1 大阪市北区大深町4- 20 グランフロント大阪タワーA 13F
TEL:06-6373-7113
札
幌〒0 6 0 - 0003 札幌市中央区北 3条西 4 -1 -1 日本生命札幌ビル 1 3 F T E L : 0 1 1 - 2 8 1 - 1 1 6 1
広
島〒7 3 0 -0 0 1 1 広島市中区基町12- 3 COI広島紙屋町ビル 3F
TEL:050-3816-0974
仙
台〒9 8 0 - 0013 仙台市青葉区花京院 1 -1 -2 0 花京院スクエア 1 9 F
TEL:050-3816-0970
福
岡〒8 1 2 -0 0 1 3 福岡市博多区博多駅東2- 6- 1 九勧筑紫通ビル 9F
TEL:092-481-7156
TEL:052-232-8211
沖
縄〒9 0 0 -0 0 1 4 那覇市松尾1 -1 0 -2 4 ホークシティ那覇ビル4 F
TEL:050-3816-0976
名古屋〒460- 0 0 0 3 名古屋市中区錦 1 -1 1 -1 1 名古屋インターシティ 4 F
金
沢〒9 2 0 - 0853 金沢市本町 2 -1 5 -1 ポルテ金沢 8 F
TEL:050-3816-0972
※製品内容は、予告なく変更される場合があります。 ※記載されている会社名､製品は、各社の商標または登録商標です。 ER-009-MAY14
VDI用のOSにサーバOSを利用することで、高額なVDAライセンスが不要になります。
●
CPUライセンスのWindows Server Datacenter Editionを使用することで、1サーバに起動
するWindowsサーバOSの数は無制限になります（ユーザ数分のRDS CALが別途必要）。
●
ハイパーバイザはサーバOSライセンスにバンドルされているHyper-Vを利用します。
●
仮想化ソリューションとしてServer-VDIをサポートした安価なEricomを使用します。
（円）
10 万
５万
VD
A
RD
SC
AL
ランニングコストも
大きなVDA、
Server-VDIは
買い切りのRDS CAL
一度買えば継続利用可能
URL http://www.ashisuto.co.jp/product/category/virtualization/ericom/
仕組み解説
株式会社アシスト
仕組み解説
お問い合わせは
●
３年ごとに買い直しが必要
Server-VDI＋EricomでVDI導入の最大の課題、
「導入コスト」
を大幅削減
がすぐ行えるようになりました。これまでは会社に電話して、他の人に
谷折り
Case Study
神東塗料株式会社
PowerTerm WebConnect DeskView
環境対応型製品に早くから取り組んだ
総合塗料メーカー
藤原氏 PCが手中に無いことが一番の問題でした。事業所、営業所
Server-VDIとEricomでVDI導入に現実味
Server-VDIならではの課題と対応
は日本全国に広がっているのに、サポートする我々は本社にいるの
塗料というと、ハケやローラーにつけて色を塗るというイメージが
で、対応範囲もスピードにも限界があります。そのため、管理性や端末
一般的であるが、素材に美観をもたらすことが塗料の大きな役割で
障害削減の面でシンクライアントやVDIにはかなり前から興味を持っ
ある。地は無機質でも彩りを与えればたちまち魅力を増し、経年によ
ていました。
る退色も再び塗装を施すことによって色鮮やかに甦る。
素材に何も手を加えなければ日光や風雨の影響で徐々に劣化して
いく。鉄は錆び、木は腐り、コンクリートでさえも長い年月で劣化し強
管理負荷軽減の手法としてVDIに着目
度が低下していく。しかし、適切な塗料を施せば、それらを自然の影
響から保護し長持ちさせることができる。また塗料にはモノを保護し
たり特殊機能を付与する役割もある。シックハウス症候群を引き起こ
データセンター内に自分専用のデスクトップが作られるVDIは、外出
すホルムアルデヒドを吸着／除去する塗料や、菌やカビの発生を抑制
や出張が多い営業職、技術職の社員にどこにいてもデスクトップにア
する抗菌／防カビ塗料、特殊用途に使われる電磁波シールドや帯電
クセスできるという利便性を提供できる。また、1つのマスターOSイ
防止機能を持つ塗料や、遮熱機能を持つ塗料もある。このように塗料
メージをクローニング（複製）して複数のユーザに割り当てられるた
はあらゆるところで使用されている。
め、管理すべきOSイメージの数を限定でき、全員分の仮想デスクトッ
このような塗料業界にあって神東塗料株式会社は工業用、建築
プを管理する必要がない。さらにデスクトップ環境や管理サーバが
用、防食用、道路用などの塗料を幅広く提供している総合塗料メー
データセンターに守られているためBCPの観点でも魅力であった。ク
カーである。同社は本社を兵庫県尼崎市に置き、すでに創業80年を
ライアント仮想化の実現方式はVDIだけでなくWindowsサーバを複
超える歴史を誇るが近年力を入れているのが水性塗料、粉体塗料、無
数ユーザが共有するSBC方式もあるが、自社開発した20以上のシステ
溶剤形塗料などの環境対応型塗料の開発で業界で最も早くから取り
ムすべてをマルチユーザ環境で稼
組んでおり、環境対応型塗料の比率は85％弱に達しておりこの領域
働テストしたり、
マルチセッション
で業界をリードする存在となっている。
対応のために修正を加えるのは現
実的ではなく、選択肢は始めから
VDIに絞っていた。しかしVDI導入
W in d ows XPのサポート終了を契機に
PC 環境刷新を計画
にはコストの壁を超えなければな
らなかった。
神東塗料株式会社企画・経営室
（情報システム）部長湯本廣氏は
2014年4月の Windows XPサポート終了を機にシステム環境の大幅
湯本廣氏
刷新を計画していた神東塗料では、数年前からPC買い替えを一旦停
次のように語る。
止し、2014年上旬に一気に置き換えを実施する予定だった。
同社のIT全体を担う情報システム部門8名のうち、6名が国内拠点す
湯本氏今回のVDI導入にあたっては、VDI用の予算が確保されてい
べての情報システムに関して企画／開発／運用を行っている。これに
たわけではなく、全社約450台のPCリプレース費用が取られていただ
加え全社で約450台あるPCのサポート依頼が毎日発生し、クライアン
けです。そこに5年間のTCOをプラスして考えると、1台あたり30万円程
ト端末管理の管理負荷削減は数年前からの課題となっていた。ハード
度の見積になりました。月額にすれば1台あたり5,000円です。これに
ウェア障害でなければ、リモコン
収まらなければVDIを諦めるしかありませんでした。
ツールでトラブルシュートできる
が、ハードウェア障害の場合はPC
当初、VDIをサービスとして受けるDaaS（Desktop as a Service）を検
本体を本社へ送ってもらい、復旧
討しました。将来的にはすべてをサービス化し、自社でサーバを持た
や交換対応しており、ユーザの業
ずにすべてパブリッククラウドへ移行させたいという構想があったか
務再開にかなりの時間を要してい
らです。しかし、検討時には廉価なDaaSも無く提供業者も少なかった
た。また毎年、PCリプレース時の
ため、要件を満たすものを見つけられませんでした。オンプレのVDI
初期設定やデータ移行作業なども
導入についても数社のベンダーに相談しましたが、概算で1ユーザあ
課題であった。
たりPC数台分の価格になってしまい、それ以上話を進めることがで
神東塗料株式会社企画・経営室
きませんでした。こうした中でアシストから紹介を受けたのがEricom
（情報システム）副課長藤原義規氏は次のように語る。
藤原義規氏
でした。
Ericomが他社の仮想化ソリューションよりも安いことに興味を持
価格の課題をクリアした同社は、TISが構築した検証環境を使って
ち、東京でEricomのセミナーに参加した。その時にServer-VDIについ
Server-VDIの機能検証を実施した。重視したのはクライアントのレス
ても初めて知ることとなる。一般的なVDIには、仮想デスクトップ用の
ポンス、アプリケーションの基本動作、印刷、USBなどの周辺機器接
OSとしてWindowsクライアントOSが使われるが、Ser ver-VDIは
続などである。
WindowsサーバOSを利用する。あえてサーバOSを使う理由は、
ほとんどのアプリケーションは問題なく稼動し、レスポンスも満足
WindowsクライアントOSを仮想化して使用する時に必要なVDAライ
がいくものだったが、いくつかの問題もあった。ひとつは、クライアン
センスが不要になるからだ。VDIに使用するサーバOSはCPU単位のラ
トOS上での利用だけを想定し、サーバOSをサポート対象外としている
イセンスであるWindows Server Datacenter Edition を使えば、物理
ソフトウェアがあったことだ。これについてはServer-VDI上で動作検
サーバ1台に展開するゲストOS数は無制限だ。したがって搭載するゲ
証をし、問題無しという判断をした。他には、今まで利用してきたアン
ストOS数を多くするほど利用者あたりのMicrosoft関連ライセンスコ
チウィルス製品がHyper-V環境で稼働しないことが判明したため、新
ストを削減できる（利用ユーザ数分のRDS CALは必要）。
たにHyper-V環境で稼働するエフセキュア製のアンチウィルス製品を
採用した。
藤原氏 Ericom PowerTerm WebConnect はライセンス価格が他社
また、エンドユーザにサーバOSデスクトップの使用を意識させない工
製品よりも安いですが、これ自体はユーザとVDIをつなげるコネクショ
夫も必要であった。サーバOSをクライアントOSの見た目に変えるデス
ンブローカーと、画面転送を効率化する通信プロトコルの機能なの
クトップエクスペリエンスの設定を有効にし、ログインスクリプトで
で、VDI側の仮想化ホストは他社のハイパーバイザを使う必要があり
サーバOS特有のタスクバー・アイコンを消したり、壁紙を変えるなどし
ます。EricomはHyper-Vをサポートしていたので、Server-VDIを使えば
て、見た目をWindows 7と同様にする対応を行うこととした。
VDAが不要になるだけでなく、Windows Serverにバンドルされている
Hyper-Vを利用できるので、vSphereを使うよりもコストを下げること
が出来ます。このようにコストダウンを積み重ねていけば、予算内で
VDI導入の決定とシステム構成
VDIを実現できる可能性が出てきました。
その後、アシストの紹介で、システムインテグレータのTISにシステ
2013年11月、EricomとServer-VDI導入の予算執行が承認された。第
ム提案を依頼することになった。TISはEricom製品の販売／構築を手
一弾として、営業部門、技術部門を中心とした130名程度を対象として
VDIへの環境移行が決定した。シンクライアン
がけ、自社のデータセンター
設備を持ち、VDIの構築実績
ト端末にはHP mt40(mt41) Mobile Thin Client
が豊富なSI e r だ。当初 T ISに
が選ばれ、iPadも導入されている。
Ericom とServer-VD Iを使い1
2014年5月現在、営業部門、技術部門をメ
台あたり月額5,000円でDaaS
インに50台のPCがシンクライアントへと移行
形態で提供をできないかと相
した。
談を持ちかけた。TISで検討を
サーバ側の構成はシンプルにまとめられてお
重ねた結果、定型化されてい
り、クライアントとVDIをつなぐコネクションブ
ローカーのEricom PowerTerm WebConnect、
ないDaaSでこの価格を実現す
るのは困難だが、データセン
Ser ver-VDIの導入に携わったTIS様
仮想デスクトップ、Active
Directory、プリント
サーバ、アンチウィルスサーバなどが3台のラッ
ターにホスティングするIT資産
は神東塗料側が持ち、月額の支払いモデルを組み合わせることでDC
クサーバによるクラスタリングで構成されている。サーバ1台あたりの
設備利用料を含めて予算内の実現が可能という回答を得た。さらに
仮想デスクトップ数は100で、合計200の仮想デスクトップが準備され
TISは予算を縮小するために、特定ベンダー製品にとらわれず、コスト
た。
と機能のバランスの良いハードウェアを選定し、VDI上に展開するデス
クライアント端末と仮想デスクトップ間の通信は、狭帯域ネット
クトップ数を増やすなどユーザ1人あたりの単価を下げるための調整
ワークでも快適な使用感を提供するためにEricom Blaze が用いられ
を行った。
ている。
谷折り
Case Study
神東塗料株式会社
PowerTerm WebConnect DeskView
環境対応型製品に早くから取り組んだ
総合塗料メーカー
藤原氏 PCが手中に無いことが一番の問題でした。事業所、営業所
Server-VDIとEricomでVDI導入に現実味
Server-VDIならではの課題と対応
は日本全国に広がっているのに、サポートする我々は本社にいるの
塗料というと、ハケやローラーにつけて色を塗るというイメージが
で、対応範囲もスピードにも限界があります。そのため、管理性や端末
一般的であるが、素材に美観をもたらすことが塗料の大きな役割で
障害削減の面でシンクライアントやVDIにはかなり前から興味を持っ
ある。地は無機質でも彩りを与えればたちまち魅力を増し、経年によ
ていました。
る退色も再び塗装を施すことによって色鮮やかに甦る。
素材に何も手を加えなければ日光や風雨の影響で徐々に劣化して
いく。鉄は錆び、木は腐り、コンクリートでさえも長い年月で劣化し強
管理負荷軽減の手法としてVDIに着目
度が低下していく。しかし、適切な塗料を施せば、それらを自然の影
響から保護し長持ちさせることができる。また塗料にはモノを保護し
たり特殊機能を付与する役割もある。シックハウス症候群を引き起こ
データセンター内に自分専用のデスクトップが作られるVDIは、外出
すホルムアルデヒドを吸着／除去する塗料や、菌やカビの発生を抑制
や出張が多い営業職、技術職の社員にどこにいてもデスクトップにア
する抗菌／防カビ塗料、特殊用途に使われる電磁波シールドや帯電
クセスできるという利便性を提供できる。また、1つのマスターOSイ
防止機能を持つ塗料や、遮熱機能を持つ塗料もある。このように塗料
メージをクローニング（複製）して複数のユーザに割り当てられるた
はあらゆるところで使用されている。
め、管理すべきOSイメージの数を限定でき、全員分の仮想デスクトッ
このような塗料業界にあって神東塗料株式会社は工業用、建築
プを管理する必要がない。さらにデスクトップ環境や管理サーバが
用、防食用、道路用などの塗料を幅広く提供している総合塗料メー
データセンターに守られているためBCPの観点でも魅力であった。ク
カーである。同社は本社を兵庫県尼崎市に置き、すでに創業80年を
ライアント仮想化の実現方式はVDIだけでなくWindowsサーバを複
超える歴史を誇るが近年力を入れているのが水性塗料、粉体塗料、無
数ユーザが共有するSBC方式もあるが、自社開発した20以上のシステ
溶剤形塗料などの環境対応型塗料の開発で業界で最も早くから取り
ムすべてをマルチユーザ環境で稼
組んでおり、環境対応型塗料の比率は85％弱に達しておりこの領域
働テストしたり、
マルチセッション
で業界をリードする存在となっている。
対応のために修正を加えるのは現
実的ではなく、選択肢は始めから
VDIに絞っていた。しかしVDI導入
W in d ows XPのサポート終了を契機に
PC 環境刷新を計画
にはコストの壁を超えなければな
らなかった。
神東塗料株式会社企画・経営室
（情報システム）部長湯本廣氏は
2014年4月の Windows XPサポート終了を機にシステム環境の大幅
湯本廣氏
刷新を計画していた神東塗料では、数年前からPC買い替えを一旦停
次のように語る。
止し、2014年上旬に一気に置き換えを実施する予定だった。
同社のIT全体を担う情報システム部門8名のうち、6名が国内拠点す
湯本氏今回のVDI導入にあたっては、VDI用の予算が確保されてい
べての情報システムに関して企画／開発／運用を行っている。これに
たわけではなく、全社約450台のPCリプレース費用が取られていただ
加え全社で約450台あるPCのサポート依頼が毎日発生し、クライアン
けです。そこに5年間のTCOをプラスして考えると、1台あたり30万円程
ト端末管理の管理負荷削減は数年前からの課題となっていた。ハード
度の見積になりました。月額にすれば1台あたり5,000円です。これに
ウェア障害でなければ、リモコン
収まらなければVDIを諦めるしかありませんでした。
ツールでトラブルシュートできる
が、ハードウェア障害の場合はPC
当初、VDIをサービスとして受けるDaaS（Desktop as a Service）を検
本体を本社へ送ってもらい、復旧
討しました。将来的にはすべてをサービス化し、自社でサーバを持た
や交換対応しており、ユーザの業
ずにすべてパブリッククラウドへ移行させたいという構想があったか
務再開にかなりの時間を要してい
らです。しかし、検討時には廉価なDaaSも無く提供業者も少なかった
た。また毎年、PCリプレース時の
ため、要件を満たすものを見つけられませんでした。オンプレのVDI
初期設定やデータ移行作業なども
導入についても数社のベンダーに相談しましたが、概算で1ユーザあ
課題であった。
たりPC数台分の価格になってしまい、それ以上話を進めることがで
神東塗料株式会社企画・経営室
きませんでした。こうした中でアシストから紹介を受けたのがEricom
（情報システム）副課長藤原義規氏は次のように語る。
藤原義規氏
でした。
Ericomが他社の仮想化ソリューションよりも安いことに興味を持
価格の課題をクリアした同社は、TISが構築した検証環境を使って
ち、東京でEricomのセミナーに参加した。その時にServer-VDIについ
Server-VDIの機能検証を実施した。重視したのはクライアントのレス
ても初めて知ることとなる。一般的なVDIには、仮想デスクトップ用の
ポンス、アプリケーションの基本動作、印刷、USBなどの周辺機器接
OSとしてWindowsクライアントOSが使われるが、Ser ver-VDIは
続などである。
WindowsサーバOSを利用する。あえてサーバOSを使う理由は、
ほとんどのアプリケーションは問題なく稼動し、レスポンスも満足
WindowsクライアントOSを仮想化して使用する時に必要なVDAライ
がいくものだったが、いくつかの問題もあった。ひとつは、クライアン
センスが不要になるからだ。VDIに使用するサーバOSはCPU単位のラ
トOS上での利用だけを想定し、サーバOSをサポート対象外としている
イセンスであるWindows Server Datacenter Edition を使えば、物理
ソフトウェアがあったことだ。これについてはServer-VDI上で動作検
サーバ1台に展開するゲストOS数は無制限だ。したがって搭載するゲ
証をし、問題無しという判断をした。他には、今まで利用してきたアン
ストOS数を多くするほど利用者あたりのMicrosoft関連ライセンスコ
チウィルス製品がHyper-V環境で稼働しないことが判明したため、新
ストを削減できる（利用ユーザ数分のRDS CALは必要）。
たにHyper-V環境で稼働するエフセキュア製のアンチウィルス製品を
採用した。
藤原氏 Ericom PowerTerm WebConnect はライセンス価格が他社
また、エンドユーザにサーバOSデスクトップの使用を意識させない工
製品よりも安いですが、これ自体はユーザとVDIをつなげるコネクショ
夫も必要であった。サーバOSをクライアントOSの見た目に変えるデス
ンブローカーと、画面転送を効率化する通信プロトコルの機能なの
クトップエクスペリエンスの設定を有効にし、ログインスクリプトで
で、VDI側の仮想化ホストは他社のハイパーバイザを使う必要があり
サーバOS特有のタスクバー・アイコンを消したり、壁紙を変えるなどし
ます。EricomはHyper-Vをサポートしていたので、Server-VDIを使えば
て、見た目をWindows 7と同様にする対応を行うこととした。
VDAが不要になるだけでなく、Windows Serverにバンドルされている
Hyper-Vを利用できるので、vSphereを使うよりもコストを下げること
が出来ます。このようにコストダウンを積み重ねていけば、予算内で
VDI導入の決定とシステム構成
VDIを実現できる可能性が出てきました。
その後、アシストの紹介で、システムインテグレータのTISにシステ
2013年11月、EricomとServer-VDI導入の予算執行が承認された。第
ム提案を依頼することになった。TISはEricom製品の販売／構築を手
一弾として、営業部門、技術部門を中心とした130名程度を対象として
VDIへの環境移行が決定した。シンクライアン
がけ、自社のデータセンター
設備を持ち、VDIの構築実績
ト端末にはHP mt40(mt41) Mobile Thin Client
が豊富なSI e r だ。当初 T ISに
が選ばれ、iPadも導入されている。
Ericom とServer-VD Iを使い1
2014年5月現在、営業部門、技術部門をメ
台あたり月額5,000円でDaaS
インに50台のPCがシンクライアントへと移行
形態で提供をできないかと相
した。
談を持ちかけた。TISで検討を
サーバ側の構成はシンプルにまとめられてお
重ねた結果、定型化されてい
り、クライアントとVDIをつなぐコネクションブ
ローカーのEricom PowerTerm WebConnect、
ないDaaSでこの価格を実現す
るのは困難だが、データセン
Ser ver-VDIの導入に携わったTIS様
仮想デスクトップ、Active
Directory、プリント
サーバ、アンチウィルスサーバなどが3台のラッ
ターにホスティングするIT資産
は神東塗料側が持ち、月額の支払いモデルを組み合わせることでDC
クサーバによるクラスタリングで構成されている。サーバ1台あたりの
設備利用料を含めて予算内の実現が可能という回答を得た。さらに
仮想デスクトップ数は100で、合計200の仮想デスクトップが準備され
TISは予算を縮小するために、特定ベンダー製品にとらわれず、コスト
た。
と機能のバランスの良いハードウェアを選定し、VDI上に展開するデス
クライアント端末と仮想デスクトップ間の通信は、狭帯域ネット
クトップ数を増やすなどユーザ1人あたりの単価を下げるための調整
ワークでも快適な使用感を提供するためにEricom Blaze が用いられ
を行った。
ている。
山折り
Case Study
導入事例
PowerTerm WebConnect DeskView
PowerTerm WebConnect DeskView
VDI導入直後、見え始めた管理負荷の変化と
仕事の効率化
Case Study
基幹システムで在庫確認してもらっていたことを考えると、仕事のやり
方が変わっていくと思います。また、今までは出張時に新幹線でノート
PCを広げ、よく接続の切れるVPNに繋げて仕事をしていたわけです
神東塗料株式会社
が、今はiPadを片手にメールチェックなどできるようになったので、今
導入から約2ヶ月、神東塗料株式会社企画・経営室（情報システム）
までよりもスマートに仕事ができるようになったと聞きました。
石井潔氏は次のように語る。
防食・道路施設用や工業用塗料の製造を幅広く手がける
塗料メーカー。水性塗料や無溶剤形塗料などの「環境対
応型塗料」の開発に早くから取り組み、タイ、台湾、中国
石井氏まったく普通のクライア
などアジア諸国を中心に海外事業も積極展開している。
今後のVDI展開計画とコスト削減意識の継続
ントP Cを使っているのと同じで
立：1933年4月
設
資本金：22億5,500万円
レイテンシをチェックしようと
pingコマンドを発行して、
「ああ、
今後、同社は当初の計画どおり2014年上半期中に130台のシンクラ
仮想化環境だった」と気づきまし
イアント化を完了させる予定だ。その後、様子を見ながら利用ユーザ
た。それぐらい違和感なく使ってい
の範囲を広げていく。すべてをシンクライアント端末化するのではな
ます。
く、既存PCの再活用も検討している。比較的スペックの高いPCは
従業員数：357名
U
R
L：http://w w w.shintopaint.co.jp/
（取材日：2014年5月15日）
Windows 7 にバージョンアップし、Active Directory のグループポリ
クライアント端末管理に関する運
石井潔氏
用工数については、まだ違いを実
シーでロックダウンした上でシンクライアント端末として使い、端末導
入コストを圧縮する狙いだ。
感できるレベルではありません。しかし、1台あたりのシンクライアン
トの準備工数はPCのキッティングよりも確実に減っているので、今後
シンクライアント端末数が増えれば、工数削減も顕著になるだろうと
技術と知恵を組み合わせれば、それほど多大なコストをかけなくて
見込んでいます。
もスマートなワークスタイルは実現可能だ。神東塗料のServer-VDI導
入は、まさにこれを実地に移したお手本のような事例だと言える。
藤原氏は石井氏を補足してこう語る。
藤原氏今までは物理PCのリプレース時期が来るたびに大掛かりな
XPからの
PC置き換え予算で実現した
1人月額5,000円のVDI
水性塗料や環境対応型塗料で知られる兵庫県の神東塗料株式会社では、Windows XPサポー
作業を実施していました。これからはOSのサポート終了という一大イ
ト終了を契機に、クライアントの管理集中化を目的としてVDI導入を検討した。PC置き換え用
ベントがあっても、システム側とク
に取得していた予算内でVDI導入を実現させるため、同社が着目したのはEricomとServer-VDI
ライアント側の両方を一度に実施
だった。一般的なVDIに必要なMicrosoftライセンスコストを削減し、安価なEricomの仮想化
する必要は無くなり、VDI側のマス
ソリューションを採用したことにより、念願のVDI導入を成功させた。
ターイメージを入れ替えるだけ、と
余裕を持つことができます。今回
課題
のプロジェクトは、まだ道半ばです
が、大きな体制変化の下地が整え
▪Windows XPからの移行
られたという点で意味が大きいと
▪複数拠点に散在するPCのサポート負荷軽減
思っています。
窪田雅明氏
社：兵庫県尼崎市南塚口町六丁目10番73号
本
す。先日、手元の端末とサーバ間の
▪PC管理効率化のためVDIを検討するが導
入コストが予算に合わない
VDIの利用者である営業や技術
P O I N T
クライアント環境の
管理集中化をVDIで実現
Ericomと
Server-VDIの採用で
導入コストを大幅に削減
モバイルユーザの
業務効率化と
モチベーション向上を実現
対策
▪Server-VDIを選択しMicrosoftのVDAライセ
ンスを不要に
効果
▪1人月額5,000円の予算でVDI導入を実現
▪PCと変わらないシンクライアントでの使
用感を実現
▪コネクションブローカー、通信プロトコルと
して安価なEricomを選択
1
2
3
▪モバイルユーザの業務効率化
▪TISがコスト対効果の高いシステム構成を提案
の仕事の進め方も変わったようだ。神東塗料株式会社企画・経営室
（情報システム）課長窪田雅明氏は次のように語る。
窪田氏営業担当は、商談中にiPadを使って出荷情報や在庫の照会
E-Mail [email protected]
東
京〒102- 8 1 0 9 東京都千代田区九段北 4 -2 -1 市ヶ谷東急ビル
TEL:03-5276-5862
大
阪〒5 3 0 -0 0 1 1 大阪市北区大深町4- 20 グランフロント大阪タワーA 13F
TEL:06-6373-7113
札
幌〒0 6 0 - 0003 札幌市中央区北 3条西 4 -1 -1 日本生命札幌ビル 1 3 F T E L : 0 1 1 - 2 8 1 - 1 1 6 1
広
島〒7 3 0 -0 0 1 1 広島市中区基町12- 3 COI広島紙屋町ビル 3F
TEL:050-3816-0974
仙
台〒9 8 0 - 0013 仙台市青葉区花京院 1 -1 -2 0 花京院スクエア 1 9 F
TEL:050-3816-0970
福
岡〒8 1 2 -0 0 1 3 福岡市博多区博多駅東2- 6- 1 九勧筑紫通ビル 9F
TEL:092-481-7156
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沖
縄〒9 0 0 -0 0 1 4 那覇市松尾1 -1 0 -2 4 ホークシティ那覇ビル4 F
TEL:050-3816-0976
名古屋〒460- 0 0 0 3 名古屋市中区錦 1 -1 1 -1 1 名古屋インターシティ 4 F
金
沢〒9 2 0 - 0853 金沢市本町 2 -1 5 -1 ポルテ金沢 8 F
TEL:050-3816-0972
※製品内容は、予告なく変更される場合があります。 ※記載されている会社名､製品は、各社の商標または登録商標です。 ER-009-MAY14
VDI用のOSにサーバOSを利用することで、高額なVDAライセンスが不要になります。
●
CPUライセンスのWindows Server Datacenter Editionを使用することで、1サーバに起動
するWindowsサーバOSの数は無制限になります（ユーザ数分のRDS CALが別途必要）。
●
ハイパーバイザはサーバOSライセンスにバンドルされているHyper-Vを利用します。
●
仮想化ソリューションとしてServer-VDIをサポートした安価なEricomを使用します。
（円）
10 万
５万
VD
A
RD
SC
AL
ランニングコストも
大きなVDA、
Server-VDIは
買い切りのRDS CAL
一度買えば継続利用可能
URL http://www.ashisuto.co.jp/product/category/virtualization/ericom/
仕組み解説
株式会社アシスト
仕組み解説
お問い合わせは
●
３年ごとに買い直しが必要
Server-VDI＋EricomでVDI導入の最大の課題、
「導入コスト」
を大幅削減
がすぐ行えるようになりました。これまでは会社に電話して、他の人に

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