10月31日

光通信理論 講義のポイント 10/31
講義 (10/17) の復習
定理 1 シュワルツ(Schwarz)の不等式
内積空間 X に対して,
|hx, yi| ≤ kxk kyk
(∀x, y ∈ X)
定理 2 (3. 3) (グラム - シュミット(Gram-Schmidt)の直交化法)
{xn } ⊂ H を互いに線形独立な元の集合とする。このとき,
e1 =
en =
x1
,
kx1 k
n−1
X
yn
,yn = xn −
hek , xn i ek
kyn k
(n = 2, 3, · · · )
k=1
とおくと,{en ; n ∈ N} は H の ONS である。
定理 3 (3. 4) (1)ピタゴラス:
x⊥y ⇒ kx + yk2 = kxk2 + kyk2
(2)有限な ONS {xk } (k = 1, 2, · · · , n) に対して,
°2
°
n
n
°
°
X
X
°
°
2
kxk = °x −
hxk , xi xk ° +
|hxk , xi| .
°
°
2
k=1
k=1
(3)ベッセル(Bessel)の不等式:ONS{xn } ⊂ H に対し,
X
n
|hxn , xi|2 ≤ kxk2 .
定理 4 (3. 5+α) (展開定理)ONS {xn } ⊂ H と任意の x, y ∈ H に対
し,次は同値である:
(1) {xn } が CONS
(2)フーリエ(Fourier)展開:x =
P
n
hxn , xi xn .
(ここで hxn , xi を x の
フーリエ係数,右辺をフーリエ級数,この等式を CONS {xn } による
x のフーリエ展開という).
(3) {xn } の一次結合全体は H で稠密である。
2
(4)リース - フィッシャー(Riesz-Fischer)の等式:kxk =
(5)パーセヴァル(Parseval)の等式:hx, yi =
P
n
P
n
2
|hxn , xi| .
hx, xn i hxn , yi2 .
証明. (1)⇒(2): 数列
(
m
X
k=1
)
2
|hxk , xi| ; m ∈ N
は,ベッセルの不等式
2
|hx1 , xi| ≤
2
X
k=1
m
X
2
|hxk , xi| ≤ · · · ≤
k=1
2
|hxk , xi| ≤ · · · ≤
∞
X
k=1
2
|hxk , xi| ≤ kxk
2
より,有界な単調増加列であるので収束列である.よって,
ym ≡
m
X
k=1
hxk , xi xk
とすると,
°2
°m
n
°
°X
X
°
°
2
kym − yn k = °
hxk , xi xk −
hxk , xi xk °
°
°
k=1
k=1
°2
° m
°
° X
°
°
=°
hxk , xi xk °
°
°
=
k=n+1
m
X
k=n+1
2
|hxk , xi| → 0
(m > n → ∞)
したがって,{ym ; m ∈ N} は,コーシー列であるから,H の完備性より,y ∈ H
が存在して,
ym → y
(m → ∞)
となる.また,任意の n に対して,
E
D
hxn , yi = xn , lim ym =
m→∞
*
xn ,
∞
X
k=1
hxk , xi xk
+
= hxn , xi
すなわち,
hxn , x − yi = 0
(∀n ∈ N)
ゆえに,{xn } が CONS であるから
x=y
である.
(2)⇒(3): 任意の x ∈ H に対して,
°
°
m
°
°
X
°
°
hxk , xi xk ° → 0
°x −
°
°
k=1
(m → ∞)
より,{xn } の一次結合の全体の中に x に収束するベクトル列 {ym } が存在す
る。よって,{xn } の一次結合の全体は H で稠密である。
2
講義 (10/31) の内容
定理 5 (3. 5+α) (展開定理)ONS {xn } ⊂ H と任意の x, y ∈ H に対
し,次は同値である:
(1) {xn } が CONS
(2)フーリエ(Fourier)展開:x =
P
n
hxn , xi xn .
(ここで hxn , xi を x の
フーリエ係数,右辺をフーリエ級数,この等式を CONS {xn } による
x のフーリエ展開という).
(3) {xn } の一次結合全体は H で稠密である。
2
(4)リース - フィッシャー(Riesz-Fischer)の等式:kxk =
(5)パーセヴァル(Parseval)の等式:hx, yi =
P
n
P
n
2
|hxn , xi| .
hx, xn i hxn , yi.
H の線形部分空間を H の部分空間といい,H のノルム k·k で閉じている
部分空間を H の閉部分空間という.
K を H の任意の部分集合とすると,
K⊥ ≡ {x ∈ H; hx, yi = 0, ∀y ∈ K}
は H の閉部分空間となり,これを K の直交補空間という.
H の二つの閉部分空間 K,L において,
hx, yi = 0
(∀x ∈ K, ∀y ∈ L)
であるとき,K と L は互いに直交するといい,K⊥L で表す.
直和 K ⊕ L ≡ {x + y; x ∈ K, y ∈ L} も H の閉部分空間となる.
定理 6 (3.6) (最短距離定理)K が H の閉部分空間であるとき,x ∈ H に
対して d ≡ dist (x, K) ≡ inf {kx − zk ; z ∈ K} とおくと,y ∈ K が一意に存
在して d = kx − yk となる.
(このとき,x 7→ y を y ≡ PK x とおき,PK を
H から K への射影作用素という.)