期末テストの解答と講評

2014 年度春学期 統計学Ⅰ 学期末試験
以下の設問の解答は解答用紙(別紙)を半分に折り左右2段組みにしたうえで問題順に記
しなさい。*印の問題では答えに至る途中過程も記しなさい
数表
標準正規分布 Z について P(Z>1.645)=0.95, P(Z>1.96≒2)=0.975
※解答で 1.96 を利用する際は、2 で概算して計算しなさい。
1 下表は総務省「家計調査」の都市別データからパンと緑茶に関する 1 人あたり支出額の
主な統計量(Excel で計算したもの)を整理したものである。(25)
平均
パン
緑茶
9000
1200
標準偏差
尖度
1200
600
0.212
3.207
歪度
-0.297
1.081 平均と標準偏差の単位は円
(1*)2品目の分布のちらばりを比較するとどのような特徴があるか。5
(2)表記の尖度と歪度を求める計算式を記しなさい(変数 xi, 標本の大きさ n, 平均 x ,標
準偏差 s とする)。10
(3)緑茶の尖度と歪度からどのようなことがわかるか。それぞれ記しなさい。10
(解答)レポート 1 から出題した。非常に出来が悪かった。
(1) 変動係数を比較するとパン 0.13(=1200/9000),緑茶 0.50(=600/1200)なので緑茶の方が
散らばりが大きい 平均に大きな差がある場合は標準偏差による比較はできない
(2)尖度= 1n  ( x i s x ) 4  3 歪度= 1n  ( x i s x ) 3
授業でもやりました
(3)尖度が 3 と大きいので外れ値が存在する(鋭いピークと長い裾を持つ)。歪度が正なので
右裾が長い分布
授業でも言いましたが、尖度は外れ値の検出で利用されます。歪度に
ついて歪みがあるだけだと×
2 大きさnの無作為標本(x1,x2,..,xn)について以下の問いに答えなさい。(15)
(1)母平均μの点推定量として標本平均 x がよく利用される理論的根拠を説明しなさい。(5)
(2)母分散σ2 の点推定量としての標本分散 s2=Σ(xi- x )2/(n-1)が持つ望ましい性質は
何か。(5)
(3*)(2)を証明しなさい。(5)
(解答)必ず出すと言ったから出来は良かったけど、過去問の解答を書く人がいた。
(1) BLUE(最良線形不偏推定量)だから
(2) 不偏性 E(s2)=σ2 でも○とした
(3)E[Σ(xi- x )2]=E[Σ{(xi-μ)-( x -μ)}2]
=E[Σ(xi-μ)2-2( x -μ)Σ(xi-μ)+Σ( x -μ)2]
2
2
=ΣE(xi-μ)2-2nE( x -μ)2+ΣE( x -μ)2=nσ2-2n n +n n =(n-1)σ2 なので E(s2)=σ2
証明をごまかしているものは×
3 発症率 0.1%の新型インフルエンザに対する検査の精度が 99.9%であるという。(10)
(1*)検査で陽性となる 2 つの場合を考慮してこの確率を求めよ。
(2*)検査で陽性であると判定された人が本当にインフルエンザにかかっている確率をベイ
ズの公式を用いて求めよ。
(解答)学習の point/レジュメの問題の数値を少し変えました
インフルエンザに罹患 E1,罹患せず E0。検査の結果が陽性 R1,陰性 R0 とする
(1)P(R1)=P(E1 ∩ R1)+P(E0 ∩ R1)=P(E1)P(R1|E1)+P(E0)P(R1|E0)=0.001*0.999+0.999*0.001=999
×2/106=1998/106
(2)P(E1|R1)=P(E1∩R1)/P(R1)=(999/106)÷(1998/106)=1/2
4 針を投げた時、ある基準線とのなす角 X(0≦X<2π)について以下の問いに答えよ (20)
(1*)確率変数 X の密度関数 f(X)を求めなさい。
(2*)分布関数 F(X)を定義から求めなさい。
(3*)確率変数 X の母平均μと母分散σ2 を定義から求めなさい。
(解答)学習の point/レジュメそのままの問題です。ここでのミスは痛い。
(1)f(X)=
(3)μ= 
2
0
1
2
(2) F(x)=
Xf ( X ) dX 

x
0
1
2
σ2=E[(X-μ)2]=E(X2)-μ2=
X 0x

1
4
4
 

2
f ( X ) dX 
1
2

X
1
2

1
2
1
3
2

2
0
X
3


2
0
2

1
6
x
2
8
3

2

1
3

2
5 400 世帯に対する視聴率調査で、ある番組の視聴率 P が 20%であったという。(30)
(1*)母視聴率がθのとき P はどのような確率分布に従うといえるか(できるだけ具体的に)。
(2*)この番組の母視聴率θを信頼係数 95%で区間推定しなさい。
(3*)この調査で推定誤差を 2%以内にするには、標本数はどれほど確保する必要があるか。
(4*)この番組の目標視聴率が 10%のとき、この番組は目標を達成したといえるか。有意水
準5%で検定しなさい。
(5)(4)の仮説検定ではあるミスが生じるが、それがどの様なミスかを具体的に説明しなさ
い。
(解答) 比率の検定は過去に出題していなかった新傾向問題のためか出来が悪かった。で
も授業では時間をかけて詳しくやりました。
(1)平均θ、分散  ( 1n  ) の正規分布 P~N(θ,  ( 1n  ) ) 5 点 ベルヌイ分布は×。平均・
分散を示さない正規分布は 3 点。2項分布は誤りだが、2 点与えた
(2)θを P=0.2 で近似すると P(0.2-2
0 .2 (1  0 .2 )
400
<θ<0.2+2
0 .2 (1  0 .2 )
400
=P(0.2-2(0.4/20)<θ<0.2+2(0.4/20))=P(0.16<θ<0.24)=0.95
1.96 で計算したものは○。1.645 は×
(3) 2
0 .2 (1  0 .2 )
n
=0.02 より 0.01
)
5点
n =0.4 より n=1600 5 点
(4)H0:μ=0.1, H1:μ>0.1 帰無仮説が正しいとき標本視聴率 P は正規分布 N(0.1,(
0 .3
20
)2)に
従うが、P=0.2 を帰無分布で標準化すると Z=(0.2-0.1)/(0.3/20)=20/3=6.66..>1.645 とな
り棄却域に入るので帰無仮説 H0 は棄却される 10 点(減点法で採点)
(5)本当は視聴率が 10%にすぎないのに視聴率が 10%より高いと判断してしまう誤り(H0 が
真なのに H1 を採択してしまう Type1 Error) 5 点(抽象的、Type1/Type2 両方書いたものは
3 点。消費者リスク/生産者リスクは×)
採点講評
受験者数 333 人
平均 47.3 標準偏差 20.5 最低 0 最高 98
過去問と傾向を変えた為か、想定よりず
っと平均が低かった。予定通り
総点 S=期末試験得点+本レポ得点
A(S≧80), B(60≦S<80), C(40≦S<60),
D(S<40) ただしレポ未提出は D
で成績をつけたが、D の割合は学部ガイ
ドライン内なので得点調整は行わない。