V 1

No.10 復習問題の略解
問 1 式 (10.5) から式(10.7) を導け。
ローレンツ変換の確認である。講義では,行列記法で説明したが,もちろん普通に解いても
良い。式 (10.5) を x と t について解けばよい。例えば,t を消去するのであれば,
(10.5) の第 1 式 + (10.5) の第 2 式 ×V を計算する。γ が
1
γ=√
1 − V 2 /c2
に注意しながら計算すると,
(
V2
V2
x′ + V t′ = γx − γ 2 x = γ 1 − 2
c
c
)
x=
1
x
γ
となるので,(10.7) の第 1 式が得られる。第 2 式も同様。
問 2 静止系に対して光速の 50%で飛ぶロケットから,ロケットに対して光速の 60%で飛ぶ小型ロ
ケットを発射した。静止系からみた,この小型ロケットの速度を求めよ。
相対論的な速度の合成法則
v′ =
v−V
1 − vV
c2
を使う。
c を光速度とすると,V = 0.5c, v ′ = 0.6c である。「静止系からみた,この小型ロケットの速
度」である v を求める。
0.6c =
v − 0.5c
1−
v(0.5c)
c2
→
(1 −
0.5v
) × 0.6c = v − 0.5c
c
→
1.1c = 1.3v
よって
1.1
c = 0.85c
1.3
となる。静止系から見ても光速度は超えない。
v=
問 3 地球にもっとも近い星は Proxima Centauri であり,4.3 光年離れている。一定の速度で飛ぶ
ロケットを考える。(注:本当は加速と減速を考えるのだが,難しくなるので,一定の速さとする。)
乗り組み員の A さんはロケットが地球の位置を通るとき,ちょうど 20 歳になった。以下の
計算では時間の単位は「年」を使ってよい。
(1) ロケットを地球から観測していたところ,地球のそばをとおり過ぎてから 5 年後に星に
たどり着いた。このときのロケットの速度 V は光速の何倍か。
(2) 星にたどりついたとき,ロケット船内で A さんは年齢がいくつであるか。
(1) 光速度を c とする。 Proxima Centauri までの距離は 4.3c である。普通に速度を計算
する。
4.3c
V =
= 0.86c = 2.58 × 108 m/年
5
(2) 地球での座標と時間をを x, t,ロケットの座標と時間を x′ , t′ とする。ロケットが Proxima
Centauri に着いたとき,地球の座標と時間は x = 4.3c, t = 5 である。一方,ロケットの中
にいる人間にとっては常に x′ = 0 であり,t′ を求めればよい。
ローレンツ変換 の式を考える。
x′ = γ(x − V t)
この式は単に,(1) の結果を確認するだけである。
(
Vx
t =γ t− 2
c
′
)
この式に, Proxima Centauri に着いたときの値を代入する。
(
t′ = γ 5 −
0.86c × 4.3c
c2
)
また γ は
1
1
= 1.96
γ=√
=√
2
1 − (V /c)
1 − 0.862
以上から
t′ = 2.55
となるので,A さんは 22.6 歳である。