バーチャルリアリティの業界動向 各社のVRシステム バーチャルリアリティの業界動向 各社のVRシステム 大型映像評論家 川田宏之 バーチャルリアリティ (VR)とは物理的な存在ではないが、機能としての本質は同じであるような 環境を提供し、 ユーザの感覚を刺激することにより理工学的に作り出す技術およびその体系をい う。 日本語では「人工現実感」あるいは「仮想現実」とも呼ばれる。 VRはコンピュータなどによって作り出された世界(サイバースペース)をコンピュータグラフィック スなどを利用してユーザに提示するものと、現実の世界を何らかの方法で取得し、これをオフラ インで記録するか、オンラインでユーザに提示するものとに大別される。 後者は、とくにユーザ が遠隔地にいる場合、空間共有が必要となり、テレイグジスタンス、テレプレゼンス、テレイマー ジョンと呼ばれる。また、ユーザが直接知覚できる現実世界の対象物に対して、コンピューターが さらに情報を付加・提示するような場合には、拡張現実や複合現実と呼ばれる。 1968年にユタ大学のアイバン・サザランドによるHMD(ヘッドマウントディスプレイ:頭部搭載 型ディスプレイ)の提案が最初のVRとされる。視覚のVRとしては、1991年に米イリノイ大学によっ て提案されたCAVE (en:Cave Automatic Virtual Environment:没入型の投影ディスプレイ) が有名である。本稿では各社のVRシステムの1例を紹介する。 1 バルコのVRシステム バルコ株式会社シミュレーション事業部では多く のシミュレーション用プロジェクタをラインナップ している。20 年以上にわたるプロジェクション技 術のノウハウを駆使し、シミュレーション、バー チャルリアリティ (VR) 、トレーニング、プラネタ リウムなどの用途で各種ソリューションの提供も 行っている。同社シミュレーション事業部アジア・ パシフィック統括部長の福里清信氏は「当社は昨 写真 1 バルコが買収したノルウェーのプロジェク ションデザイン社製の DLP プロジェクタ 年ノルウェーのプロジェクションデザイン社(PD) を買収し、シミュレーション用プロジェクタのライ に本社を置く、業務用プロジェクタメーカである。 ンナップを拡大しました」と語る (写真1) 。デジタ その製品は部品単位まで緻密に設計され、高解像 ルプロジェクション社は、ノルウェーのFredrikstad 度、高耐久性に加え、あらゆるアプリケーションに eizojoho industrial June 2014︱75
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