保存期高リン血症改善剤に新たな選択肢

3
Vol.
The 57th Annual Meeting of the Japanese Society of Nephrology, Luncheon Seminar 21
仮説:インスリン抵抗性とFGF-23の関係
9)Kuro-o, M. Nat Rev Nephrol 9
(11): 650‒60, 2013 推察される。
Y
10)Tomiyama, C. et al. : J Bone Miner Res 25
(3): 499-504, 2010 高リン血症は複数の合併症と関連し、生
命予後に影響を与える疾患である。その中
で、溶解性を高め、効率よくリン吸着作用を
示す新しい鉄含有リン吸着薬のリオナは、
FGF-23を低下させる効果も認められた。
保存期CKD患者に適応を有するリオナは、
11)Cai, Q.Z. et al. : J Am Soc Nephrol 25
(7): 1599‒608, 2014 12)Kovesdy, C.P. et al. : Am J Kidney Dis 56
(5): 842-51, 2010 13)Jamal, S.A. et al. : Lancet 380
(9900): 1268-77, 2013 FGF-23
14)Shimada, T. et al. : Am J Physiol Renal Physiol 289
(5): F1088‒95,
P
Na
インスリン
抵抗性
2005 15)Chue, C.D. et al. : J Am Soc Nephrol 24
(5): 842‒52, 2013 16)Isakova, T. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 8
(6): 1009‒18, 2013
PiT-1
PiT
T-1
心肥大
17)Kazama, J.J. : Clin Calcium 19
(2): 224-8, 2009
18)Yokoyama, K. et.al. : Am J Nephrol 36
(5): 478‒87, 2012
19)Yokoyama, K. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 9
(3): 543-52, 2014 21)Wolf, M. et al. : J Bone Miner Res 28
(8): 1793-803, 2013 なりうると期待している。
23)JTT-751及び静注鉄剤の正常ラットにおける血清中マロンジアルデヒド濃度に
22)Yokoyama, K. et al. : J Ren Nutr 24
(4): 261-7, 2014
演者:横山 啓太郎 先生(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 准教授)
24)Leypoldt, J.K. et al. : Kidney Int 84
(4): 841‒8, 2013 1)Taniguchi, M. et al. : Ther Apher Dial 17
(2): 221-8, 2013 4)Shigematsu, T. et al. : Am J Kidney Dis 44
(2): 250-6, 2004
保存期高リン血症改善剤に新たな選択肢
司会:平方 秀樹 先生(福岡赤十字病院 副院長)
対する作用の検討(日本たばこ産業株式会社 社内資料)
3)Foley, R.N. et al. : J Am Soc Nephrol 20
(2): 397‒404, 2009
第57回日本腎臓学会学術総会 ランチョンセミナー 21
開催日:2014年7月5日(土) 会場:パシフィコ横浜 第11会場(会議センター5階 502)
20)Takeda, Y. et al. : Am J Nephrol 33
(5): 421-6, 2011
高リン血症治療の新たな選択肢の一つに
2)Kestenbaum, B. et al. : J Am Soc Nephrol 16
(2): 520-8, 2005
ma
図7
7)Amann, K. et al. : Kidney Int 63
(4)
, 1296‒301, 2003 8)Faul, C. et al. : J Clin Invest 121
(11): 4393-408, 2011
o ha
6)Yokoyama, K. et al. : Kidney Int 77
(10): 928, 2010 ok
することが、生命予後に好影響を及ぼすと
5)Isakova, T. et al. : JAMA 305
(23) : 2432‒9, 2011 14.07.0
20
5
いても運動療法により筋肉量を増やし維持
25)Montford, J.R. et al. : Am J Nephrol 37
(3): 183-90, 2013 26)Muras, K. et al. : J Clin Endocrinol Metab 98
(12): E1901-8, 2013 27)Yoda, K. et al. : J Clin Endocrinol Metab 97
(11): E2036‒43, 2012 28)Petersen, K.F. et al. : PLoS Med 2
(9)
, e233, 2005
*2014年5月改訂
(第2版)
2014年1月作成
クエン酸第二鉄水和物(Ferric Citrate Hydrate)錠
リオナ®錠 250mg
和 名
商 品 名
®
Riona Tab. 250mg
洋 名
一 般 名
クエン酸第二鉄水和物
(Ferric Citrate Hydrate)
日本標準商品分類番号
87219
注1)注意−医師等の処方せんにより使用すること
承 認 番 号
22600AMX00005000
承 認 年 月
2014年1月
* 薬 価 収 載
2014年4月
* 販 売 開 始
2014年5月
販 売 元
鳥居薬品株式会社
製 造 販 売 元
日本たばこ産業株式会社
貯 法
気密容器、室温保存
(「取扱い上の注意」参照)
使用期限
3年
(外箱等に表示の使用期限を参照のこと)
組成・性状
有 効 成 分 クエン酸第二鉄水和物を無水物として
(クエン酸第
( 1 錠 中 ) 二鉄として)
250mg含有
添
加
物
性 状 ・ 剤 形
外
セルロース、
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコ
ール・グラフトコポリマー、
ポリビニルアルコール・アクリ
ル酸・メタクリル酸メチル共重合体、
ヒドロキシプロピ
ルセルロース、
クロスポビドン、
ステアリン酸Ca、
ヒプロ
メロース、
酸化チタン、
タルク、
ポリエチレングリコール
白色のフィルムコーティング錠
形
上面
サ
イ
ズ
識 別 コ ー ド
側面
長径 約14.9mm、短径 約6.9mm、厚さ 約4.6mm
JTP 751
効能・効果
慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
用法・用量
(4)
血清フェリチン等から鉄過剰が疑われる患者[鉄過剰症を引き
起こすおそれがある。
]
(5)他の鉄含有製剤投与中の患者[鉄過剰症を引き起こすおそれ
がある。]
(6)発作性夜間血色素尿症の患者[溶血を誘発し病態を悪化させ
るおそれがある。
]
2. 重要な基本的注意
(1)本剤は、血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療
法等によるリン摂取制限を考慮すること。
(2)本剤は、定期的に血清リン、血清カルシウム及び血清PTH濃度
を測定しながら投与すること。血清リン、血清カルシウム及び血
清PTH濃度の管理目標値及び測定頻度は、学会のガイドライ
ン等、最新の情報を参考にすること。低カルシウム血症の発現
あるいは悪化がみられた場合には、活性型ビタミンD製剤やカ
ルシウム製剤の投与を考慮し、
カルシウム受容体作動薬が使用
されている場合には、
カルシウム受容体作動薬の減量等も考慮
すること。
また、二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは悪
化がみられた場合には、
活性型ビタミンD製剤、
カルシウム製剤、
カルシウム受容体作動薬の投与あるいは他の適切な治療法を
考慮すること。
(3)本剤は消化管内で作用する薬剤であるが、本剤の成分である
鉄が一部吸収されるため、血清フェリチン等を定期的に測定
し、鉄過剰に注意すること。
また、ヘモグロビン等を定期的に測
定し、特に赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には、過
剰造血に注意すること。
3. 相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
通常、成人には、
クエン酸第二鉄として1回500mgを開始用量とし、1日
3回食直後に経口投与する。以後、
症状、
血清リン濃度の程度により適
宜増減するが、
最高用量は1日6,000mgとする。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
・本剤投与開始時又は用量変更時には、1∼2週間後に血清リン
濃度の確認を行うことが望ましい。
・増量を行う場合は、
増量幅をクエン酸第二鉄として1日あたりの用
量で1,500mgまでとし、
1週間以上の間隔をあけて行うこと。
使用上の注意
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
これら薬剤の作用を減弱 これら薬 剤と結
吸収を減少
させるおそれがあるので、 合し、
併用する場合にはこれら させるおそれが
キノロン系抗菌剤
の薬剤の作用を観察す ある。
シプロフロキサシン等
ること。
テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン等
甲状腺ホルモン剤
レボチロキシン等
セフジニル
1.慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(1)消化性潰瘍、炎症性腸疾患等の胃腸疾患のある患者[病態を
悪化させるおそれがある。]
(2)ヘモクロマトーシス等の鉄過剰である患者[病態を悪化させる
おそれがある。]
(3)C型慢性肝炎等の肝炎患者
[病態を悪化させるおそれがある。
]
種類
胃腸障害
経口アルミニウム製剤注2) 他のクエン酸製剤との併 クエン酸との併用
水酸化アルミニウムゲル 用で血中アルミニウム濃 により、吸収が促
合成ケイ酸アルミニウム 度が上昇したとの報告が 進されるとの 報
あるので、同時に服用さ 告がある。
せないなど注意すること。
注2)透析療法を受けている患者へは投与禁忌である。
2%以上
2%未満
下痢(10.1%)、便秘 腹部膨満、腹痛、十二指腸潰瘍、
(3.2%)、腹部不快感 排便回数増加、
胃腸障害、悪心、
(2.5%)
嘔吐、
便通不規則
γ-グルタミル
臨床検査 血 清フェリチン増 加 血中アルミニウム増加、
トランスフェラーゼ増加、
ヘマトクリッ
(2.7%)
ト増加、
ヘモグロビン増加
その他
赤血球増加症、
肝機能異常、
食欲
減退、
そう痒症、
高血圧
5. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、
患者の状態を観
察しながら慎重に投与すること。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦及び授乳婦には、
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与す
ること。
[これら患者への投与に関する安全性は確立していない。]
7. 小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない
(使用経験がない)
。
8. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用す
るよう指導すること。
(PTPシートの誤飲により、
硬い鋭角部が食道粘
膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を
併発することが報告されている。)
9. その他の注意
(1)本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
(2)腹部のX線又はMRI検査で、
本剤が存在する胃腸管の画像に
未消化錠が写る可能性がある。
(3)
イヌを用いた長期反復投与毒性試験において、最大臨床用量
の鉄として約5倍に相当する用量より、
鉄の過剰蓄積に伴う肝臓
の組織障害(慢性炎症巣、細胆管の増生及び肝実質の線維
化)が認められた。
これらの変化は休薬による回復性はなく、休
薬期間中に病態の進行が認められた。
東京都中央区日本橋本町3ー4ー1
有していることから、保存期CKDにおける高リン血症の治療薬として新た
な選択肢となりうる可能性を秘めている。
リン吸着薬による高リン血症のコントロールが重要となっている。
本セミナーでは、慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
このたび発売された新規のリン吸着薬であるクエン酸第二鉄水和物(製
領域のエキスパートである東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科准教授
品名:リオナ錠 ®250mg)は、溶解性を高めた3価の鉄によってリン吸着
横山啓太郎先生をお迎えし、保存期CKDにおけるリン吸着薬の使用意義
作用を示す薬剤である。慢性腎臓病における高リン血症の改善に適応症を
とリオナへの期待についてご講演いただいた。
包 装
取扱い上の注意
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年
基づき、平成27年4月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされ
ています。
リン濃度が高いほど生存率が低くなることが
2014年11月作成
IF20-1411P
RIO TJ004A
報 告されており2)、透 析 導 入 前 の 段 階で
あっても血清リン濃度の高値は死亡リスク
高リン血症はFGF-23高値を
誘発し、血管石灰化、
心血管合併症を引き起こす
血液透析患者において、高リン血症は
を高めると考えられる。さらに、若年健康
血清リン濃度は、副甲状腺から分泌される
生 命 予 後を規 定する重 要なリスクファク
成人において、血清リン濃度が正常範囲内
副甲状腺ホルモン
(parathormone; PTH)
、
ターの一つである。わが国の透析患者約
であっても高値であるほど冠動脈の動脈
腎臓から分泌される活性型ビタミンD、骨か
13万人に関するデータでも、血清リン濃度
硬化が進展すること3)から、血清リン濃度は
ら分泌されるFGF-23
(fibroblast growth
のコントロールが不良な患者はコントロー
腎機能にかかわらず動脈硬化病変や生命
factor 23:線維芽細胞増殖因子)
によって
ルが良好な患者に比べ、死亡のリスクが2
予後と密接に関連すると考えられる。
互いにフィードバックを受けながら調節され
倍高いことが報告されている1)。
製造販売元
一方、保存期CKD患者においても、血清
血清リン濃度の高値は、
腎機能にかかわらず生命予後
に悪影響を及ぼす
3月19日付、平成18年厚生労働省告示第107号一部改正)に
詳細は添付文書をご参照ください。禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分にご留意ください。
販売元
慢性腎臓病(CKD)の病態においてリンが重要な役割を果たすことが明
らかにされ、現在では、透析患者だけでなく保存期CKD患者に対しても、
リオナ®錠250mg:100錠(10錠×10 PTP包装)
抗パーキンソン剤
ベンセラジド・レボドパ等
エルトロンボパグ オラミン
Keitaro YOKOY
YOKOYAMA
4. 副作用
国内における本剤の主要な臨床試験において、801例中204例
(25.5%)
に副作用が認められた。
主な副作用は、
下痢、
便秘、
腹部不
快感、
血清フェリチン増加であった。
(承認時)
その他の副作用
下記の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異
常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
頻度
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
Hideki HIRAKATA
ている。
3
Vol.
hama
第57回日本腎臓学会学術総会 ランチョンセミナー 21
ko
Yo
なかでもFGF-23は心血管合併症や生命
FGF-23の作用発現は、Klothoという膜
動物実験から推察されている14)。
量が体内に吸収されるため、NTBIが発生
また、糖尿病を伴うCKD患者では非糖尿
予後を規定するマーカーとして注目されて
貫通型の蛋白質と共役したFGFレセプター
CKD患者では、活性型ビタミンDの低下
(図 3)18)。承 認 時 の 副 作 用 とし て 便 秘
していることが示されており、投与経路の
病CKD患者に比べ、尿中リン排泄量が有
いる。腎機能が悪化しクレアチニンクリア
を介し、リン排泄促進や活性型ビタミンDを
やFGF-23の上昇のために腸管からのリン
(3.2%)よりも 下 痢(10.1%)が 認 めら
違いで鉄動態が異なる可能性が示唆され
意に多いにもかかわらず、血清リン濃度は
ランスが低下すると、FGF-23は急激に上
低 下 さ せ ることから、FGF-23の 挙 動 は
吸収が抑制されており、リン吸着薬による
れ、その多くは軟便傾向であった。適応症
ている。
同等かむしろ高い 26)。また、糖尿病患者に
リン負荷を行うと血清リン濃度は有意に上
4)
9)
3g/日:-2.21mg/dL、
6g/日:- 4.10mg/dL)
昇 す る(図1) 。ま た、ス テ ー ジ2∼4 の
Klothoと関連する 。Klotho遺伝子変異マ
血清リン濃度低下作用がさほど得られない
は「慢 性 腎 臓 病 患 者における高リン血 症
さらに、
リオナは鉄・貧血関連マーカーを
CKD患者において、FGF-23の濃度が高く
ウスは寿命短縮、異所性石灰化、肺気腫、皮
可能性がある。ステージ3の保存期CKD
の改善」であり、保存期 CKD 患者にも使
定期的にモニタリングすることによって、適
昇するが、非糖尿病患者では血清リン濃度
なるほど生命予後が悪化する報告もある5)。
膚萎縮、脱毛、不妊など老化現象が認めら
患者にセベラマー炭酸塩を投与した検討で
用可能である。
切に使用できる薬剤である。
は変化しない(図5)27)。
さらに、2型糖尿病
われわれの研究ではCKD患者において、
れ、高リン血症を呈する透析患者と同様の
は、血清リン濃度の低下は認められなかっ
ま た、リ オ ナ は 保 存 期 CKD 患 者 の
血清リン濃度が4.8mg/dLを超えると高率
病態を示した。そのFGF-23は正常マウス
た15)。そのため、リン吸着薬で血清リン濃
19)
FGF-23を有意に低下させた(図4左)
。
筋肉の代謝や糖代謝が、
血清リン濃度の調節に
関与している可能性がある
を行うと、
インスリン抵抗性を示すと同時に
の両親をもつ小児にグルコースクランプ法
に冠動脈の血管石灰化を生じた6)。また、腎
の1,000倍以上となることが明らかにされ
度を下げるためには、大量に服用する必要
同じ鉄剤でも含糖酸化鉄の静脈内投与で
不全モデル動物に高リン食を負荷すると心
ていることから、リンやFGF-23が老化や生
があり、その場合はコンプライアンス不良
は、FGF-23が上昇していた(図4右)20)。
筋の線維化が生じることから7)、心肥大や心
命現象に極めて重要な役割を果たすことが
をきたしやす い。また、ステージ3∼4の
最近の検討で、鉄欠乏状態ではFGF-23
筋の線維化にもリンが関与するものと考え
示されている。
CKD患者において、炭酸ランタン投与によ
の転写が促進されることが示され、鉄剤
最近、われわれは筋肉組織が血清リン濃
り血清リン濃度は低下したが、FGF-23は
投与によりFGF-23の転写が正常化され
度を調節する緩衝系の役割を果たしている
られる。一方、透析患者ではFGF-23が高
いほど左室肥大の頻度が上昇する ことか
ら、FGF-23は腎不全や高リン血症に関連
する心血管合併症のマーカーであるだけで
クレアチニンクリアランスと
血清FGF-23濃度の関係
図1
(ng/L)
360
FGF-23
=284.75-54.86 x ln(Ccr)
p <0.0001
r 2=0.527
FGF-23
270
ることが 報 告 さ れ た
。た だし鉄 剤 の
可能性について検討している。血液透析中
血清リン濃度が上昇し、FGF-23が上昇す
した場合のみ低下した16)。炭酸ランタンに
種 類によっては、その作用は異なり、カル
のリンのクリアランスは体重が重いほど大
ることで心肥大を誘発するという可能性を
おいては、詳細な影響は明らかになってい
ボ キ シ マ ルト ー ス 鉄 な ど 一 部 の 鉄 が
きいこと24)や、透析患者においてBMIと
想定しても良いかもしれない(図7)。
ないものの、ランタンの蓄積が報告されて
FGF-23の分解を抑制するためFGF-23
FGF-23が逆相関すること25)が報告され
以上のことから、細胞内外へのリンの出
前述のとおり、血清リン濃度のコントロー
いる17)。このような問題を解決するため、
濃度が上昇すると述べられており21)、さ
ており、筋肉がリンを保持する役割を担っ
入りが糖代謝や筋肉代謝と関連する可能
ルは、透析患者だけでなく保存期CKDの
強いリン吸着作用を有し、モニタリング可
らなる検討が待たれる。
ていることが示唆される。
性が示唆され、透析患者やCKD患者にお
段階から重要である。透析導入前のCKD
能な薬剤の開発が期待されていた。
患者でも冠動脈石灰化は6割以上に認めら
ランタン、鉄、アルミニウムといった3価
れており10)、腎不全のステージが進んでい
の金属は2価の金属に比べて強いリン吸着
るほど心機能が低下した患者の割合が高
作用を有する。そこで、生理的な金属であ
く、その低下速度自体も速いことが報告さ
り、食品添加物として既に使用されていた
クエン酸第二鉄の表面積を大きくさせて溶
解性を向上させることにより
(図2)、リン吸
収されることにより静注鉄が減量されてい
着作用を増大させたクエン酸第二鉄水和物
た。また、ヘモグロビンの上昇に合わせ、
善する
。リン吸着薬のなかでも非カルシ
べ透析患者および保存期CKD患者の死亡
率を有意に改善することがメタ解析で示さ
れている13)。カルシウム含有製剤が非カル
0
50
100
150
200
250(mL/min)
Ccr
FGF-23が上昇するのは腎不全患者
シウム含有製剤に比べ予後を悪化させる要
(リオナ)
が開発された。
22)
。なお、
リオナの投与28週以降は、ヘモグロビンが
リオナは血清リン濃度を
用量依存的に低下させ、
血清FGF-23濃度も低下させた
なった
(pg/mL)
*
15,000
リオナ群
プラセボ群
1000
800
600
400
10,000
5,000
中央値/第1四分位、第3四分位
から、非トランスフェリン結合鉄(NTBI)が
発生しないことが示されている
23)
。一方、
静注鉄剤ではトランスフェリンを越える鉄
0
0
直ちにトランスフェリンと結合し、安定なト
作用を示した(1.5 g /日:-1.29mg /dL、
スクリー 0
ニング時
4
ベース
ライン
12 試験
終了時
8
治療期間
リオナ群(n) 57 57
プラセボ群(n) 29 29
57
25
食品添加物
プラセボ群(n=44)
リオナ3g/日群(n=44)
リオナ1.5g/日群(n=47)
リオナ6g/日群(n=37)
(%)
110
平均値±標準偏差
100
0
-3
-2
-1
0
リオナ
観察期(Wash Out期)
リオナのクエン酸第二鉄水和物
比表面積(m2/g)
:32.4∼39.9
水へ投入10分後
1
2
3
100
4(週)
投与期
〈試験概要〉
対象:高リン血症を呈する維持血液透析施行中の慢性腎臓病患者192例
方法:3週間の観察期(Wash Out期)終了後、
リオナ1.5g/日、3g/日、6g/日あるいは
プラセボを1日3回、食直後に4週間投与し、血清リン濃度に及ぼす用量反応性と
安全性を二重盲検法により検討した。
Yokoyama, K. et.al.: Am J Nephrol 36
(5)
:478-87, 2012
02
Takeda, Y. et al. : Am J Nephrol 33(5): 421-6, 2011
2型糖尿病の両親をもつ小児におけるグルコースクランプ法実施時の末梢糖取り込み率
および筋肉へのリン取り込み量の変化
(mg/kg・min)
14
p=0.0007
(mmol/L)
0.7
95
95
2
4(h)
2
4(h)
非糖尿病患者
糖尿病患者
(n=10)
(n=10)
Wilcoxon test mean±SEM
Republished with permission of The Endocrine Society, J Clin Endocrinol Metab., from Impaired Response
of FGF-23 to Oral Phosphate in Patients with Type 2 Diabetes : A Possible Mechanism of Atherosclerosis,
Yoda, K.et al., 97(11)2012; permission conveyed through Copyright Clearance Center, Inc.
p=0.03
0.6
リン濃度の変化
4
2
溶解性が
向上し、
リン吸着力が
強力に!
!
図6
10
105
5(週)
p<0.0001
(Wilcoxon 順位和検定)
末梢糖取り込み率
6
3
interquartile range
46 57
23 29
12
105
+90分
*p<0.05
8
水へ投入10分後
表面積を大きくする
技術開発
(%)
110
血清リン濃度の変化
血清リン濃度
10
食品添加物のクエン酸第二鉄
比表面積(m2/g)
:0.62
糖尿病および非糖尿病患者における
リン負荷時の血清リン濃度の変化
図5
1
*p=0.02(Bonferroni post-hoc test, ANOVA)
52
24
Yokoyama, K. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 9(3): 543-52, 2014
(mg/dL)
12
n=27
200
また、
リオナは経口剤のため、吸収の際に
ウム負荷によりFGF-23が上昇することが
リオナのリン低下効果
含糖酸化鉄製剤
リオナ
1200
。
ランスフェリン結合鉄として循環すること
図3
鉄剤投与によるFGF-23への影響
(pg/mL)
22)
リオナは用量依存的な血清リン濃度低下
食品添加物としてのクエン酸第二鉄とリオナの溶解性の違い
図4
安定することで、血清フェリチンは横ばいと
因として、血管石灰化のみならず、カルシ
Shigematsu, T. et al. : Am J Kidney Dis 44(2): 250-6, 2004
図2
リオナの第Ⅲ相試験では、一部の鉄が吸
ESA使用量が調節されていた
ウム含有製剤は、カルシウム含有製剤に比
0
リオナは、鉄・貧血関連マーカー
でモニタリングが可能な薬剤
である
実際、保存期CKD患者においても、リン
12)
90
21)
れている11)。
吸着薬の投与により累積生存率は有意に改
180
関与する可能性が示唆される。そのため、
炭酸ランタン投与に加えリン制限食を実施
保存期CKD患者においても、
非カルシウム含有リン吸着薬が
生命予後を改善する
なく重要なリスクファクターの一つでもある
と考えられる。
(Pit-1)の発現低下にインスリン抵抗性が
FGF-23(中央値)
8)
細胞内へのリン取り込みの低下が認められ
る
(図6)28)。
これらのことから、細胞内への
リンの取り込みを調節するNa-P共輸送体
FGF-23
14.07.0
20
5
8
6
0.5
0.4
0.3
4
0.2
2
0.1
0
0.0
対照群
(n=7)
unpaired t-test mean±SEM
糖尿病の両親
をもつ小児群
対照群
糖尿病の両親
をもつ小児群
(n=7)
(n=7)
(n=7)
Petersen KF et al. (2005) Decreased insulin-stimulated ATP synthesis and phosphate transport in muscle of insulin-resistant offspring of type 2 diabetic
parents. PLoS Med 2(9): e233.
03
3
Vol.
hama
第57回日本腎臓学会学術総会 ランチョンセミナー 21
ko
Yo
なかでもFGF-23は心血管合併症や生命
FGF-23の作用発現は、Klothoという膜
動物実験から推察されている14)。
量が体内に吸収されるため、NTBIが発生
また、糖尿病を伴うCKD患者では非糖尿
予後を規定するマーカーとして注目されて
貫通型の蛋白質と共役したFGFレセプター
CKD患者では、活性型ビタミンDの低下
(図 3)18)。承 認 時 の 副 作 用 とし て 便 秘
していることが示されており、投与経路の
病CKD患者に比べ、尿中リン排泄量が有
いる。腎機能が悪化しクレアチニンクリア
を介し、リン排泄促進や活性型ビタミンDを
やFGF-23の上昇のために腸管からのリン
(3.2%)よりも 下 痢(10.1%)が 認 めら
違いで鉄動態が異なる可能性が示唆され
意に多いにもかかわらず、血清リン濃度は
ランスが低下すると、FGF-23は急激に上
低 下 さ せ ることから、FGF-23の 挙 動 は
吸収が抑制されており、リン吸着薬による
れ、その多くは軟便傾向であった。適応症
ている。
同等かむしろ高い 26)。また、糖尿病患者に
リン負荷を行うと血清リン濃度は有意に上
4)
9)
3g/日:-2.21mg/dL、
6g/日:- 4.10mg/dL)
昇 す る(図1) 。ま た、ス テ ー ジ2∼4 の
Klothoと関連する 。Klotho遺伝子変異マ
血清リン濃度低下作用がさほど得られない
は「慢 性 腎 臓 病 患 者における高リン血 症
さらに、
リオナは鉄・貧血関連マーカーを
CKD患者において、FGF-23の濃度が高く
ウスは寿命短縮、異所性石灰化、肺気腫、皮
可能性がある。ステージ3の保存期CKD
の改善」であり、保存期 CKD 患者にも使
定期的にモニタリングすることによって、適
昇するが、非糖尿病患者では血清リン濃度
なるほど生命予後が悪化する報告もある5)。
膚萎縮、脱毛、不妊など老化現象が認めら
患者にセベラマー炭酸塩を投与した検討で
用可能である。
切に使用できる薬剤である。
は変化しない(図5)27)。
さらに、2型糖尿病
われわれの研究ではCKD患者において、
れ、高リン血症を呈する透析患者と同様の
は、血清リン濃度の低下は認められなかっ
ま た、リ オ ナ は 保 存 期 CKD 患 者 の
血清リン濃度が4.8mg/dLを超えると高率
病態を示した。そのFGF-23は正常マウス
た15)。そのため、リン吸着薬で血清リン濃
19)
FGF-23を有意に低下させた(図4左)
。
筋肉の代謝や糖代謝が、
血清リン濃度の調節に
関与している可能性がある
を行うと、
インスリン抵抗性を示すと同時に
の両親をもつ小児にグルコースクランプ法
に冠動脈の血管石灰化を生じた6)。また、腎
の1,000倍以上となることが明らかにされ
度を下げるためには、大量に服用する必要
同じ鉄剤でも含糖酸化鉄の静脈内投与で
不全モデル動物に高リン食を負荷すると心
ていることから、リンやFGF-23が老化や生
があり、その場合はコンプライアンス不良
は、FGF-23が上昇していた(図4右)20)。
筋の線維化が生じることから7)、心肥大や心
命現象に極めて重要な役割を果たすことが
をきたしやす い。また、ステージ3∼4の
最近の検討で、鉄欠乏状態ではFGF-23
筋の線維化にもリンが関与するものと考え
示されている。
CKD患者において、炭酸ランタン投与によ
の転写が促進されることが示され、鉄剤
最近、われわれは筋肉組織が血清リン濃
り血清リン濃度は低下したが、FGF-23は
投与によりFGF-23の転写が正常化され
度を調節する緩衝系の役割を果たしている
られる。一方、透析患者ではFGF-23が高
いほど左室肥大の頻度が上昇する ことか
ら、FGF-23は腎不全や高リン血症に関連
する心血管合併症のマーカーであるだけで
クレアチニンクリアランスと
血清FGF-23濃度の関係
図1
(ng/L)
360
FGF-23
=284.75-54.86 x ln(Ccr)
p <0.0001
r 2=0.527
FGF-23
270
ることが 報 告 さ れ た
。た だし鉄 剤 の
可能性について検討している。血液透析中
血清リン濃度が上昇し、FGF-23が上昇す
した場合のみ低下した16)。炭酸ランタンに
種 類によっては、その作用は異なり、カル
のリンのクリアランスは体重が重いほど大
ることで心肥大を誘発するという可能性を
おいては、詳細な影響は明らかになってい
ボ キ シ マ ルト ー ス 鉄 な ど 一 部 の 鉄 が
きいこと24)や、透析患者においてBMIと
想定しても良いかもしれない(図7)。
ないものの、ランタンの蓄積が報告されて
FGF-23の分解を抑制するためFGF-23
FGF-23が逆相関すること25)が報告され
以上のことから、細胞内外へのリンの出
前述のとおり、血清リン濃度のコントロー
いる17)。このような問題を解決するため、
濃度が上昇すると述べられており21)、さ
ており、筋肉がリンを保持する役割を担っ
入りが糖代謝や筋肉代謝と関連する可能
ルは、透析患者だけでなく保存期CKDの
強いリン吸着作用を有し、モニタリング可
らなる検討が待たれる。
ていることが示唆される。
性が示唆され、透析患者やCKD患者にお
段階から重要である。透析導入前のCKD
能な薬剤の開発が期待されていた。
患者でも冠動脈石灰化は6割以上に認めら
ランタン、鉄、アルミニウムといった3価
れており10)、腎不全のステージが進んでい
の金属は2価の金属に比べて強いリン吸着
るほど心機能が低下した患者の割合が高
作用を有する。そこで、生理的な金属であ
く、その低下速度自体も速いことが報告さ
り、食品添加物として既に使用されていた
クエン酸第二鉄の表面積を大きくさせて溶
解性を向上させることにより
(図2)、リン吸
収されることにより静注鉄が減量されてい
着作用を増大させたクエン酸第二鉄水和物
た。また、ヘモグロビンの上昇に合わせ、
善する
。リン吸着薬のなかでも非カルシ
べ透析患者および保存期CKD患者の死亡
率を有意に改善することがメタ解析で示さ
れている13)。カルシウム含有製剤が非カル
0
50
100
150
200
250(mL/min)
Ccr
FGF-23が上昇するのは腎不全患者
シウム含有製剤に比べ予後を悪化させる要
(リオナ)
が開発された。
22)
。なお、
リオナの投与28週以降は、ヘモグロビンが
リオナは血清リン濃度を
用量依存的に低下させ、
血清FGF-23濃度も低下させた
なった
(pg/mL)
*
15,000
リオナ群
プラセボ群
1000
800
600
400
10,000
5,000
中央値/第1四分位、第3四分位
から、非トランスフェリン結合鉄(NTBI)が
発生しないことが示されている
23)
。一方、
静注鉄剤ではトランスフェリンを越える鉄
0
0
直ちにトランスフェリンと結合し、安定なト
作用を示した(1.5 g /日:-1.29mg /dL、
スクリー 0
ニング時
4
ベース
ライン
12 試験
終了時
8
治療期間
リオナ群(n) 57 57
プラセボ群(n) 29 29
57
25
食品添加物
プラセボ群(n=44)
リオナ3g/日群(n=44)
リオナ1.5g/日群(n=47)
リオナ6g/日群(n=37)
(%)
110
平均値±標準偏差
100
0
-3
-2
-1
0
リオナ
観察期(Wash Out期)
リオナのクエン酸第二鉄水和物
比表面積(m2/g)
:32.4∼39.9
水へ投入10分後
1
2
3
100
4(週)
投与期
〈試験概要〉
対象:高リン血症を呈する維持血液透析施行中の慢性腎臓病患者192例
方法:3週間の観察期(Wash Out期)終了後、
リオナ1.5g/日、3g/日、6g/日あるいは
プラセボを1日3回、食直後に4週間投与し、血清リン濃度に及ぼす用量反応性と
安全性を二重盲検法により検討した。
Yokoyama, K. et.al.: Am J Nephrol 36
(5)
:478-87, 2012
02
Takeda, Y. et al. : Am J Nephrol 33(5): 421-6, 2011
2型糖尿病の両親をもつ小児におけるグルコースクランプ法実施時の末梢糖取り込み率
および筋肉へのリン取り込み量の変化
(mg/kg・min)
14
p=0.0007
(mmol/L)
0.7
95
95
2
4(h)
2
4(h)
非糖尿病患者
糖尿病患者
(n=10)
(n=10)
Wilcoxon test mean±SEM
Republished with permission of The Endocrine Society, J Clin Endocrinol Metab., from Impaired Response
of FGF-23 to Oral Phosphate in Patients with Type 2 Diabetes : A Possible Mechanism of Atherosclerosis,
Yoda, K.et al., 97(11)2012; permission conveyed through Copyright Clearance Center, Inc.
p=0.03
0.6
リン濃度の変化
4
2
溶解性が
向上し、
リン吸着力が
強力に!
!
図6
10
105
5(週)
p<0.0001
(Wilcoxon 順位和検定)
末梢糖取り込み率
6
3
interquartile range
46 57
23 29
12
105
+90分
*p<0.05
8
水へ投入10分後
表面積を大きくする
技術開発
(%)
110
血清リン濃度の変化
血清リン濃度
10
食品添加物のクエン酸第二鉄
比表面積(m2/g)
:0.62
糖尿病および非糖尿病患者における
リン負荷時の血清リン濃度の変化
図5
1
*p=0.02(Bonferroni post-hoc test, ANOVA)
52
24
Yokoyama, K. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 9(3): 543-52, 2014
(mg/dL)
12
n=27
200
また、
リオナは経口剤のため、吸収の際に
ウム負荷によりFGF-23が上昇することが
リオナのリン低下効果
含糖酸化鉄製剤
リオナ
1200
。
ランスフェリン結合鉄として循環すること
図3
鉄剤投与によるFGF-23への影響
(pg/mL)
22)
リオナは用量依存的な血清リン濃度低下
食品添加物としてのクエン酸第二鉄とリオナの溶解性の違い
図4
安定することで、血清フェリチンは横ばいと
因として、血管石灰化のみならず、カルシ
Shigematsu, T. et al. : Am J Kidney Dis 44(2): 250-6, 2004
図2
リオナの第Ⅲ相試験では、一部の鉄が吸
ESA使用量が調節されていた
ウム含有製剤は、カルシウム含有製剤に比
0
リオナは、鉄・貧血関連マーカー
でモニタリングが可能な薬剤
である
実際、保存期CKD患者においても、リン
12)
90
21)
れている11)。
吸着薬の投与により累積生存率は有意に改
180
関与する可能性が示唆される。そのため、
炭酸ランタン投与に加えリン制限食を実施
保存期CKD患者においても、
非カルシウム含有リン吸着薬が
生命予後を改善する
なく重要なリスクファクターの一つでもある
と考えられる。
(Pit-1)の発現低下にインスリン抵抗性が
FGF-23(中央値)
8)
細胞内へのリン取り込みの低下が認められ
る
(図6)28)。
これらのことから、細胞内への
リンの取り込みを調節するNa-P共輸送体
FGF-23
14.07.0
20
5
8
6
0.5
0.4
0.3
4
0.2
2
0.1
0
0.0
対照群
(n=7)
unpaired t-test mean±SEM
糖尿病の両親
をもつ小児群
対照群
糖尿病の両親
をもつ小児群
(n=7)
(n=7)
(n=7)
Petersen KF et al. (2005) Decreased insulin-stimulated ATP synthesis and phosphate transport in muscle of insulin-resistant offspring of type 2 diabetic
parents. PLoS Med 2(9): e233.
03
3
Vol.
The 57th Annual Meeting of the Japanese Society of Nephrology, Luncheon Seminar 21
仮説:インスリン抵抗性とFGF-23の関係
9)Kuro-o, M. Nat Rev Nephrol 9
(11): 650‒60, 2013 推察される。
Y
10)Tomiyama, C. et al. : J Bone Miner Res 25
(3): 499-504, 2010 高リン血症は複数の合併症と関連し、生
命予後に影響を与える疾患である。その中
で、溶解性を高め、効率よくリン吸着作用を
示す新しい鉄含有リン吸着薬のリオナは、
FGF-23を低下させる効果も認められた。
保存期CKD患者に適応を有するリオナは、
11)Cai, Q.Z. et al. : J Am Soc Nephrol 25
(7): 1599‒608, 2014 12)Kovesdy, C.P. et al. : Am J Kidney Dis 56
(5): 842-51, 2010 13)Jamal, S.A. et al. : Lancet 380
(9900): 1268-77, 2013 FGF-23
14)Shimada, T. et al. : Am J Physiol Renal Physiol 289
(5): F1088‒95,
P
Na
インスリン
抵抗性
2005 15)Chue, C.D. et al. : J Am Soc Nephrol 24
(5): 842‒52, 2013 16)Isakova, T. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 8
(6): 1009‒18, 2013
PiT-1
PiT
T-1
心肥大
17)Kazama, J.J. : Clin Calcium 19
(2): 224-8, 2009
18)Yokoyama, K. et.al. : Am J Nephrol 36
(5): 478‒87, 2012
19)Yokoyama, K. et al. : Clin J Am Soc Nephrol 9
(3): 543-52, 2014 21)Wolf, M. et al. : J Bone Miner Res 28
(8): 1793-803, 2013 なりうると期待している。
23)JTT-751及び静注鉄剤の正常ラットにおける血清中マロンジアルデヒド濃度に
22)Yokoyama, K. et al. : J Ren Nutr 24
(4): 261-7, 2014
演者:横山 啓太郎 先生(東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科 准教授)
24)Leypoldt, J.K. et al. : Kidney Int 84
(4): 841‒8, 2013 1)Taniguchi, M. et al. : Ther Apher Dial 17
(2): 221-8, 2013 4)Shigematsu, T. et al. : Am J Kidney Dis 44
(2): 250-6, 2004
保存期高リン血症改善剤に新たな選択肢
司会:平方 秀樹 先生(福岡赤十字病院 副院長)
対する作用の検討(日本たばこ産業株式会社 社内資料)
3)Foley, R.N. et al. : J Am Soc Nephrol 20
(2): 397‒404, 2009
第57回日本腎臓学会学術総会 ランチョンセミナー 21
開催日:2014年7月5日(土) 会場:パシフィコ横浜 第11会場(会議センター5階 502)
20)Takeda, Y. et al. : Am J Nephrol 33
(5): 421-6, 2011
高リン血症治療の新たな選択肢の一つに
2)Kestenbaum, B. et al. : J Am Soc Nephrol 16
(2): 520-8, 2005
ma
図7
7)Amann, K. et al. : Kidney Int 63
(4)
, 1296‒301, 2003 8)Faul, C. et al. : J Clin Invest 121
(11): 4393-408, 2011
o ha
6)Yokoyama, K. et al. : Kidney Int 77
(10): 928, 2010 ok
することが、生命予後に好影響を及ぼすと
5)Isakova, T. et al. : JAMA 305
(23) : 2432‒9, 2011 14.07.0
20
5
いても運動療法により筋肉量を増やし維持
25)Montford, J.R. et al. : Am J Nephrol 37
(3): 183-90, 2013 26)Muras, K. et al. : J Clin Endocrinol Metab 98
(12): E1901-8, 2013 27)Yoda, K. et al. : J Clin Endocrinol Metab 97
(11): E2036‒43, 2012 28)Petersen, K.F. et al. : PLoS Med 2
(9)
, e233, 2005
*2014年5月改訂
(第2版)
2014年1月作成
クエン酸第二鉄水和物(Ferric Citrate Hydrate)錠
リオナ®錠 250mg
和 名
商 品 名
®
Riona Tab. 250mg
洋 名
一 般 名
クエン酸第二鉄水和物
(Ferric Citrate Hydrate)
日本標準商品分類番号
87219
注1)注意−医師等の処方せんにより使用すること
承 認 番 号
22600AMX00005000
承 認 年 月
2014年1月
* 薬 価 収 載
2014年4月
* 販 売 開 始
2014年5月
販 売 元
鳥居薬品株式会社
製 造 販 売 元
日本たばこ産業株式会社
貯 法
気密容器、室温保存
(「取扱い上の注意」参照)
使用期限
3年
(外箱等に表示の使用期限を参照のこと)
組成・性状
有 効 成 分 クエン酸第二鉄水和物を無水物として
(クエン酸第
( 1 錠 中 ) 二鉄として)
250mg含有
添
加
物
性 状 ・ 剤 形
外
セルロース、
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコ
ール・グラフトコポリマー、
ポリビニルアルコール・アクリ
ル酸・メタクリル酸メチル共重合体、
ヒドロキシプロピ
ルセルロース、
クロスポビドン、
ステアリン酸Ca、
ヒプロ
メロース、
酸化チタン、
タルク、
ポリエチレングリコール
白色のフィルムコーティング錠
形
上面
サ
イ
ズ
識 別 コ ー ド
側面
長径 約14.9mm、短径 約6.9mm、厚さ 約4.6mm
JTP 751
効能・効果
慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
用法・用量
(4)
血清フェリチン等から鉄過剰が疑われる患者[鉄過剰症を引き
起こすおそれがある。
]
(5)他の鉄含有製剤投与中の患者[鉄過剰症を引き起こすおそれ
がある。]
(6)発作性夜間血色素尿症の患者[溶血を誘発し病態を悪化させ
るおそれがある。
]
2. 重要な基本的注意
(1)本剤は、血中リンの排泄を促進する薬剤ではないので、食事療
法等によるリン摂取制限を考慮すること。
(2)本剤は、定期的に血清リン、血清カルシウム及び血清PTH濃度
を測定しながら投与すること。血清リン、血清カルシウム及び血
清PTH濃度の管理目標値及び測定頻度は、学会のガイドライ
ン等、最新の情報を参考にすること。低カルシウム血症の発現
あるいは悪化がみられた場合には、活性型ビタミンD製剤やカ
ルシウム製剤の投与を考慮し、
カルシウム受容体作動薬が使用
されている場合には、
カルシウム受容体作動薬の減量等も考慮
すること。
また、二次性副甲状腺機能亢進症の発現あるいは悪
化がみられた場合には、
活性型ビタミンD製剤、
カルシウム製剤、
カルシウム受容体作動薬の投与あるいは他の適切な治療法を
考慮すること。
(3)本剤は消化管内で作用する薬剤であるが、本剤の成分である
鉄が一部吸収されるため、血清フェリチン等を定期的に測定
し、鉄過剰に注意すること。
また、ヘモグロビン等を定期的に測
定し、特に赤血球造血刺激因子製剤と併用する場合には、過
剰造血に注意すること。
3. 相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
通常、成人には、
クエン酸第二鉄として1回500mgを開始用量とし、1日
3回食直後に経口投与する。以後、
症状、
血清リン濃度の程度により適
宜増減するが、
最高用量は1日6,000mgとする。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
・本剤投与開始時又は用量変更時には、1∼2週間後に血清リン
濃度の確認を行うことが望ましい。
・増量を行う場合は、
増量幅をクエン酸第二鉄として1日あたりの用
量で1,500mgまでとし、
1週間以上の間隔をあけて行うこと。
使用上の注意
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
これら薬剤の作用を減弱 これら薬 剤と結
吸収を減少
させるおそれがあるので、 合し、
併用する場合にはこれら させるおそれが
キノロン系抗菌剤
の薬剤の作用を観察す ある。
シプロフロキサシン等
ること。
テトラサイクリン系抗生物質
テトラサイクリン等
甲状腺ホルモン剤
レボチロキシン等
セフジニル
1.慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
(1)消化性潰瘍、炎症性腸疾患等の胃腸疾患のある患者[病態を
悪化させるおそれがある。]
(2)ヘモクロマトーシス等の鉄過剰である患者[病態を悪化させる
おそれがある。]
(3)C型慢性肝炎等の肝炎患者
[病態を悪化させるおそれがある。
]
種類
胃腸障害
経口アルミニウム製剤注2) 他のクエン酸製剤との併 クエン酸との併用
水酸化アルミニウムゲル 用で血中アルミニウム濃 により、吸収が促
合成ケイ酸アルミニウム 度が上昇したとの報告が 進されるとの 報
あるので、同時に服用さ 告がある。
せないなど注意すること。
注2)透析療法を受けている患者へは投与禁忌である。
2%以上
2%未満
下痢(10.1%)、便秘 腹部膨満、腹痛、十二指腸潰瘍、
(3.2%)、腹部不快感 排便回数増加、
胃腸障害、悪心、
(2.5%)
嘔吐、
便通不規則
γ-グルタミル
臨床検査 血 清フェリチン増 加 血中アルミニウム増加、
トランスフェラーゼ増加、
ヘマトクリッ
(2.7%)
ト増加、
ヘモグロビン増加
その他
赤血球増加症、
肝機能異常、
食欲
減退、
そう痒症、
高血圧
5. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、
患者の状態を観
察しながら慎重に投与すること。
6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人、産婦及び授乳婦には、
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与す
ること。
[これら患者への投与に関する安全性は確立していない。]
7. 小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない
(使用経験がない)
。
8. 適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用す
るよう指導すること。
(PTPシートの誤飲により、
硬い鋭角部が食道粘
膜に刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を
併発することが報告されている。)
9. その他の注意
(1)本剤の投与により便が黒色を呈することがある。
(2)腹部のX線又はMRI検査で、
本剤が存在する胃腸管の画像に
未消化錠が写る可能性がある。
(3)
イヌを用いた長期反復投与毒性試験において、最大臨床用量
の鉄として約5倍に相当する用量より、
鉄の過剰蓄積に伴う肝臓
の組織障害(慢性炎症巣、細胆管の増生及び肝実質の線維
化)が認められた。
これらの変化は休薬による回復性はなく、休
薬期間中に病態の進行が認められた。
東京都中央区日本橋本町3ー4ー1
有していることから、保存期CKDにおける高リン血症の治療薬として新た
な選択肢となりうる可能性を秘めている。
リン吸着薬による高リン血症のコントロールが重要となっている。
本セミナーでは、慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
このたび発売された新規のリン吸着薬であるクエン酸第二鉄水和物(製
領域のエキスパートである東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科准教授
品名:リオナ錠 ®250mg)は、溶解性を高めた3価の鉄によってリン吸着
横山啓太郎先生をお迎えし、保存期CKDにおけるリン吸着薬の使用意義
作用を示す薬剤である。慢性腎臓病における高リン血症の改善に適応症を
とリオナへの期待についてご講演いただいた。
包 装
取扱い上の注意
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年
基づき、平成27年4月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされ
ています。
リン濃度が高いほど生存率が低くなることが
2014年11月作成
IF20-1411P
RIO TJ004A
報 告されており2)、透 析 導 入 前 の 段 階で
あっても血清リン濃度の高値は死亡リスク
高リン血症はFGF-23高値を
誘発し、血管石灰化、
心血管合併症を引き起こす
血液透析患者において、高リン血症は
を高めると考えられる。さらに、若年健康
血清リン濃度は、副甲状腺から分泌される
生 命 予 後を規 定する重 要なリスクファク
成人において、血清リン濃度が正常範囲内
副甲状腺ホルモン
(parathormone; PTH)
、
ターの一つである。わが国の透析患者約
であっても高値であるほど冠動脈の動脈
腎臓から分泌される活性型ビタミンD、骨か
13万人に関するデータでも、血清リン濃度
硬化が進展すること3)から、血清リン濃度は
ら分泌されるFGF-23
(fibroblast growth
のコントロールが不良な患者はコントロー
腎機能にかかわらず動脈硬化病変や生命
factor 23:線維芽細胞増殖因子)
によって
ルが良好な患者に比べ、死亡のリスクが2
予後と密接に関連すると考えられる。
互いにフィードバックを受けながら調節され
倍高いことが報告されている1)。
製造販売元
一方、保存期CKD患者においても、血清
血清リン濃度の高値は、
腎機能にかかわらず生命予後
に悪影響を及ぼす
3月19日付、平成18年厚生労働省告示第107号一部改正)に
詳細は添付文書をご参照ください。禁忌を含む使用上の注意の改訂に十分にご留意ください。
販売元
慢性腎臓病(CKD)の病態においてリンが重要な役割を果たすことが明
らかにされ、現在では、透析患者だけでなく保存期CKD患者に対しても、
リオナ®錠250mg:100錠(10錠×10 PTP包装)
抗パーキンソン剤
ベンセラジド・レボドパ等
エルトロンボパグ オラミン
Keitaro YOKOY
YOKOYAMA
4. 副作用
国内における本剤の主要な臨床試験において、801例中204例
(25.5%)
に副作用が認められた。
主な副作用は、
下痢、
便秘、
腹部不
快感、
血清フェリチン増加であった。
(承認時)
その他の副作用
下記の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異
常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
頻度
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
Hideki HIRAKATA
ている。