11. 光マイクロマシンとDMD pp.134-138

光システム工学
11. 光マイクロマシンとDMD pp.134-138
をつくるための層),
11.1 光マイクロマシン
静電駆動のマイクロマシンは,高精度の動きが
その上に光学素子
可能であるが発生力が小さいという欠点があり
(たとえばミラー)
ます.このため,小さな力でも十分に駆動できる
となる Poly-1,そ
ように,微小ミラーによる光制御(光ビーム偏向,
の 上 に 犠 牲 層
スイッチ,チョッパなど)に利用されています.
PSG-2 を作製しま
具体例には,ディジタル・マイクロミラー・デ
す.次に,光学素子
バイス(DMD), 焦点レンズなどがあります.
の押さえ板 Poly-2
また,光インタコネクション用には自由空間微小
を作製し,最後に犠
光集積素子,マトリックススイッチ,導波路スイ
牲層を化学エッチ
ッチ,ニッケルミラースイッチなどがあります.
ングで取り除き,微
小吸引器で光学素
子を吸い付けて立
11.2 擬似立体加工
図 11.1 は犠牲層エッチングによる擬似立体加
工方法を示しています.まず,Si 基板上に犠牲層
ち上がらせて出来
上がりです.
図 11.2
PSG-1(最終的にはエッチングで取り除いて空間
Poly-2(押え板)
押え板
光学素子
PSG-2 (犠牲層)
Poly-1(光学素子)
PSG-1(犠牲層)
シリコン基板
11.3 ディジタル・マイクロミラー・デバイス
DMD も平面マイクロマシニングを利用し(図
11.2)基板上に機械的に動く構造を作っています.
シリコン基板
図 11.1 犠牲層エッチングによる擬似立体加工
DMD は,スタティックランダムメモリ(SRAM)
上に配置した多数のマイクロミラー(一辺が数
10μm)システムです.マイクロミラーのそれぞ
DMD 作製プロセス
れがピクセル(たとえば 768×576 画素)に対応
し,ミラーの角度を変えて反射光の明暗を制御し
ます.アルミ製のマイクロミラーが 2 本の支柱に
つられ,対角線を中心に回転します.支持されて
ないコーナーのどちらかは,基板上の制止部に接
触します.