大気プラズマ/微細液滴複合法の開発

SCEJ 78th Annual Meeting (Osaka, 2013)
O301
大気圧プラズマ/微細液滴複合法の開発
-微細液滴のプラズマへの供給方法の検討(リバーベル) ○(正)福岡大輔*・
(千葉工大工)
(正)和田善成
(群馬産技センター)
(正)山本亮一・ 宮下喜好・徳田敬二・河合貴士
(太陽化学工業)牧野聡朗・岩瀬裕実・森 康剛
(リバーベル) 鐘ヶ江正巳・漆島路高・
(千葉工大工)
(正)尾上 薫**
Ar
Tubing
pump
Ar
Carrier
gas
H 2O
②
RF generator
(40.68 MHz)
RF matching
control unit
Plasma
①
0.4
Cooling
gas inlet
③
Plasma torch
RF load coil
(3 turns)
Optical
fiber
Fig. 1 Experimental apparatus
1.2 実験方法 ①から供給する微細液滴キャリアガスのアルゴンモル
流速 FC,および②から供給するプラズマソースガスのア
ルゴンモル流速 FP は,
それぞれ 0.68, 9.52 mmol/s とした.
③から供給する冷却ガスの窒素モル流速は,18.0 mmol/s
とした.微細液滴の液体ソースとして水を用い,チュー
ブポンプにより微細液滴発生部に供給した.操作因子と
して,水の供給モル流速 FMD を 4.63~32.4 µmol/s,RF 照射
出力 Pw を 400~1000 W の範囲でそれぞれ変化させた.石
英トーチに供給される微細液滴径 dMD は,受止液(シリ
コンオイル)に液滴を捕集し,顕微鏡で観察する液浸法
により測定した.また,生成した微細液滴を含むプラズ
マの発光は,マルチチャンネルフォトアナライザー
(Hamamatsu Photonics Inc.)を用いて測定した.
2. 実験結果および考察
2.1 プラズマに導入する水液滴の供給条件の検討 Pw を 1000 W に設定し,①出口に dMD が 50~100 µm の
(H2O)MD/Ar
FC= 0.68 mmol/s
FMD= 14.6 µmol/s
0.3
(dMD)Ave.= 5.12 µm
0.2
0.1
0.0
N2
Minute droplet
generator
Plasma source
gas inlet
水液滴を供給した場合,プラズマが不安定となり維持で
きないことが明らかとなった.これより,微細液滴供給/
発生部に分級槽を付設し,20 µm 以下の水液滴のみを石
英トーチ内に供給することで,プラズマを安定化させた.
FMD を 14.6 µmol/s とした場合における①出口における液
滴径分布を Fig. 2 に示す.dMD は 5.12 µm 付近にピークを
有する単峰性分布が得られた.また,本条件下における
FMD が dMD に及ぼす影響は些少であることが明らかとな
った.
NMD/ΣNMD [-]
本研究では,大気圧プラズマと液相との接触による反応場の構
築に着目している.これまでに,液相を微細液滴として連続供給
し,微細液滴を含む気-液二相流と大気圧プラズマジェットを接触
させることでヒドロキシルラジカル(OH・)が生成されることが
明らかとなっている 1).ここで,微細液滴をプラズマへ安定供給
することができれば,さまざまな成分を反応原料としてプラズマ
内に供給することが可能となり,金属薄膜形成やエッチングなど
への応用が期待される.本稿では,微細液滴のプラズマへの安定
供給方法について検討した.また,生成したプラズマを発光スペ
クトルにより評価した結果についてもあわせて報告する.
1. 実験装置および方法
1.1 実験装置 Fig. 1 に示す反応ガス供給部,微細液滴発生/供給部,
大気圧誘導結合プラズマ(AICP)発生/反応部(Rvbell Inc.)
からなる大気圧流通式反応装置を用いた.プラズマ発生
に用いる石英トーチに①から微細液滴を含む気-液二相
流体,②からプラズマソースガス,③から冷却ガスがそ
れぞれ供給される.また,石英トーチ外周に設置した誘
導コイルに 40.68 MHz の高周波を付与することでプラズ
マを発生させた.
1
10
dMD [µm]
100
Fig. 2 Size distribution of H2O minute droplet
2.2 水液滴を含むプラズマの RF 照射出力依存性
水液滴を供給しない場合のアルゴンプラズマ(Ar*系)
は,Pw を 400 W 以上に設定することで石英トーチから
射出した状態の安定なプラズマが生成した.一方,水液
滴を含むアルゴンプラズマ((H2O) MD*/Ar*系)は,Pw が
400 W におけるプラズマは,ゆらぎを生じる不安定状態
であったが,500 W 以上に設定することでプラズマが安
定化することが明らかとなった. また,(H2O) MD*/Ar*系のプラズマの発光を測定した結
果, Pw が 500 W では 310 nm 付近の OH・に起因するピ
ークが支配的であった.一方,Pw の増加にともない OH・
の発光強度が減少し,656 nm の水素原子(Hα),および
777 nm の酸素原子(O)の発光強度が増すことが明らか
となった.これは,Pw の増加により励起エネルギーが低
い OH・から励起エネルギーの高い Hα,O などの原子発
光へ遷移したことに起因すると考えられる.
Acknowledgment
本研究成果の一部は,経済産業省 H23-24 年度「戦略的基板技
術高度化支援事業(サポイン)
」の受託により研究開発を行った
ものであり謝意を表する.
Literature cited
1) 野沢,福岡,栗島,尾上,化学工学会第 43 回秋季大会講演
要旨集,G217 (2011)
D. Fukuoka*, Y, Wada, R. Yamamoto, K. Miyashita, K. Tokuda,
T. Kawai, T. Makino, H. Iwase, Y. Mori, M. Kanegae, M. Urushima
and K. Onoe**
*Tel: 03-5812-9925, E-mail: [email protected]
**Tel: 047-478-0415, E-mail: [email protected]