Title Author(s) トリプシン及びトリプシン様酵素とカザール型阻害剤と の相互作用 永田, 清 Citation Issue Date Text Version none URL http://hdl.handle.net/11094/34821 DOI Rights Osaka University <29 > なが た きよし 氏名・(本籍) 永 田 ;青 学位の種類 理 .悼 t2- 学位記番号 第 学位授与の日付 昭和 60 年 3 学位授与の要件 学位規則第 5 条第 2 項該当 学位論文題目 • 博 士 6 7 58 τι玉 コ 月 20 日 トリプシン及び卜リプシン様酵素と力ザール型阻害剤との相互作用 郎夫 俊文 井山 福崎 治 徳 中 池 授 教 )授)授 査査 日司教明教 口員 文 委 査 審 調 4 論文内容の要旨 勝臓内で種々の原因により活性化をうけた卜リプシンを制御すると考えられているヒト梓臓分泌性卜 リプシンインヒビター (P8TI)で代表されるカザール型組害剤と卜リプシン型酵素との相互作用をいく つかの系について調べ比較した。 1)ヒト卜リプシンと似た阻害スペクトルを示す放線菌 Streptomyces erythraeus のトリプシン様酵 素 (TLE-8e) の,日本産ウズラ卵白オボムコイド (QO) をリガンドとするアフィニティクロマ卜による, 簡便かっ高収率の精製法を確立した。 2) ヒ卜トリプシンと TLE-8eで=共通のカザーノレ型阻害剤である QO はそのドメイン E とドメイン皿 で;TLE-8e を結合し阻害したが, pH8 ではドメイン E の方が10 5 倍も大きい見かけの会合速度定数 (ka) を 示した。 kaの pH依存性及び大部分のカノレボキシル基をアミド化したドメインの TLE-8eK. 対する挙動 より, QO ドメイン E の場合ある酸性アミノ酸残基が TLE-8e との会合反応に影響をおよぼしている乙 とがわかった。 3) やはりカザ -Jレ型限害剤でミあるニワトリオポムコイド (C 0) は, Green-Work の万法では TLE -8elζ 対する阻害は検出されなかったが,さらに Lineweaver-Burk~法により調べ直したと乙ろ, TLE - 8e を措抗的に阻害し,その時 CO のドメイン I 及びドメイン E の反応部位ペプチド結合が TLE-8e ,とよ り特異的に加水分解される乙とがわかった。 4)ヒト梓液より精製した P8TI と卜リプシンを用い両者の相互作用を調べたと乙ろ,前述の組合せの うち TLE-8e と QO ドメイン E との相互作用と似た傾向を示した。ヒトトリプシンとヒト P8TIの系では, 他の場合と比べると,アルカリ pH においても強い阻害が見られるのが特徴であった口乙の乙とは通常ア -72- jレカリ性である醇液中においても活性化トリプシンを阻害する必要があるということに適合しているも のと思われる。 以上より,カザール型限害剤とトリプシン型酵素の示す相互作用は,安定な複合体を形成する場合と 解離しやすい複合体を形成する場合に分類できる乙とが示唆された。 論文の審査結果の要旨 生体内にはタンパク質分解酵素を阻害するタンパク質の存在する乙とがよく知られているが,その中 でカザール型阻害剤と呼ばれるものは動物体内において, トリプシンのようなセリンプロテアーゼを特 異的に阻害し,勝臓内でのトリプシン活性の制御に関与しているものと考えられている。 永田君は騨臓失患の診断や治療にカザール型限害剤を利用するための基礎として,日本産ウズラ卵白 とニワトリ卵白のオボムコイドを選び,それらと微生物の生産するトリプシン様酵素との相互作用を詳 細に調べ,相互作用に対する種々の因子の影響と構造的な根拠を明らかにした。さらに,それらの結果 から,カザール型阻害剤と卜リプシン型酵素の示す相互作用には少くとも 2 つの型が存在する乙とを示 唆した。 以上のように,永田君の論文は牌臓内での卜リプシン活性の制御に関する基礎的条件を明らかにした ものであり,理学博士の学位論文として十分価値あるものと認める。 円。 可t
© Copyright 2024 ExpyDoc