2014/10/16 実施分問題 1 物理数学の復習と量子論の成立過程 1 1.1 フーリエ級数展開 次の関数の (実) フーリエ級数展開をしなさい f (x) = |x| , −a ≤ x ≤ a, f (x + 2a) = f (x) 1.2 フーリエ変換 次の関数 f (x) = e−ax , (a > 0) 2 のフーリエ変換を求めよ。 1.3 Planck 分布 黒体の壁を持つ空洞内に閉じ込められた輻射の、振動数が ν ∼ ν + dν の間にある、空洞単位体 積当たりの輻射のエネルギーとして、古典的な Wien の式 (1.1)、Rayleigh-Jeans の式 (1.2) は、量 子論的な Planck の式 (1.3) に対してどういう近似になっているか、極限を計算してその近似で式 が一致することを示しなさい。 8π 3 ν dν c3 u(ν)dν = he−hν/κT u(ν)dν = κT (1.2) u(ν)dν = (1.3) 8π 2 ν dν c3 e−hν/κT 8π 3 hν dν 1 − e−hν/κT c3 (1.1) ここで、h は Planck 定数、κ は Boltzmann 定数である。 1.4 光量子 ゼロ等星の照度は 3600Jy = 3.6 × 10−23 W/m2 /Hz である。可視光の波長域を 400nm∼800nm として、また瞳径を 7mm とする (暗視時最大で 7mm 程度とされている)。光が水晶体により 1µm 程度に集光され、さらに細胞内の感光物質 (10−10 m 程度) に対して数 eV(5 × 10−19 J とする) 程度 のエネルギーを与えるには、どのくらいの時間を要するか。 1.5 光子のエネルギー 電磁波の振動数 ν 、波長 λ、エネルギー E の間には、E = hν = hc/λ の関係がある。ここ で h = 6.626 × 10−34 Js は Planck 定数、c = 2.998 × 108 ms−1 は真空中の光速度である。また、 1eV = 1.602 × 10−19 J である。波長 300nm の紫外線 (UV-B)、波長 630nm の可視光線、波長 3000cm−1 の赤外線は、2.1GHz の携帯電話の電波のそれぞれの光量子のエネルギーを、J と eV で 求めよ。 2014/10/16 実施分問題 1.6 2 回折限界 望遠鏡や顕微鏡などの光学系の解像度は、波長 λ と口径 D による限界値がある。係数は開口の 形状などにも依存するが、オーダーとしては、角度分解能で λ/D(radian) 程度である。このこと は、古典的な光学の教科書では、波の重ね合わせ原理から実際に点像分布関数 (PSF) を計算して、 PSF の分散として理解される。しかし、この現象は量子力学的にも簡単に理解できる。 1. 光学系をとおりぬけてくる光子に対して垂直な方向、すなわち開口の面内のある方向に x 軸 をとり、光学系を通り抜けてくる光子の位置の不確定性 ∆x は、開口系 D の半分である。こ の時、横方向の運動量の不確定性 ∆px を不確定性原理で与えるといくつになるか。 2. この時、光子は光速で運動しているとして、縦方向の運動量は波長で書ける。どのようにな るか。 3. (3) 縦方向の運動量に比べて横方向の運動量は非常に小さいという近似を使うと、横方向運 動量の不確定性を角度の不確定性 (= 分解能) に焼直せる。これがオーダーとして λ/D 程度 であることを確かめよ。
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