2014 順天堂大学医学部 生物 Ⅰ 第1問 [解答] 問1 1 ⑤ 2 ④ 7 ⑪ 8 ⑨ 問2 9 ④ 問3 10 問 4 (1) 11 3 4 ① 5 ⑩ ⑥ 6 ⑫ ② (2) 12 ③ ⑥ (3) 13 (4) 14 ⑦ ④ [解説] ヒトの眼の各部の名称と,視交叉に関する出題である。 問 1 ヒトの眼のレンズに相当するのが水晶体,フィルムに相当するのが網膜である。外から来た光は, 角膜,瞳孔,水晶体,ガラス体を通って網膜に達する。網膜には光に対する感度が高いかん体細胞 と,光に対する感度が低い錐体細胞がある。網膜に到達する光の量は,こう彩により調節される。 問 2 水晶体と網膜をもつカメラ眼をもつのは,イカである。 問 3 水晶体を通った光は上下左右ともに反対の像となって網膜に結ばれる。ただし,上下左右ともに 元の像と逆になるのは,網膜の裏側から見た場合である。 問 4 図を書いて考えるとよい。問題文の条件を満たすには,1から6までのカードは次の図のように 並んでいる。破線は視野,点線は視神経の大脳への接続先が分かれるところを示している 1 2 3 4 5 6 (1) 交叉している神経で見える番号は,左眼の1,2と右眼の5,6である。 (2) 交叉していない神経で見える番号のうち,神経が右視覚野に入るのは,右眼の2,3,4である。 (3) 左視覚野とつながっているのは,左眼の3,4,5と,右眼の5,6である。 1 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 順天堂大学医学部 生物 (4) 右視覚野とつながっているのは,左眼の1,2と,右眼の2,3,4である。このうち,上記の (3)と共通して見える番号は,3と4だけである。 第2問 [解答] 問1 1 ② 問2 2 ⑧ [解説] 3 4 ⑦ 5 ③ ⑩ 6 ① 花の形成を行うホメオティック遺伝子に関する,よく見られるパタンの出題である。 問 1 花の構造は,外側から順に,がく,花弁,雄しべ,雌しべである。 問 2 問題文から,花の外側から順に発現する遺伝子の組合せと構造との対応を見ていくと, 1 番目=A 遺伝子 →がく 2 番目=A 遺伝子と B 遺伝子 →花弁 3 番目=B 遺伝子と C 遺伝子 →雄しべ 4 番目=C 遺伝子 →雌しべ となる。また,A 遺伝子が機能しない場合は C 遺伝子が発現し,C 遺伝子が機能しない場合は A 遺 伝子が発現することをふまえて変異体をみていくと, (1) A が機能しない場合,発現する遺伝子は,1 番目=C,2 番目=B と C,3 番目=B と C,4 番目 =C となり,雌しべ,雄しべ,雄しべ,雌しべとなる。 (2) B が機能しない場合,発現する遺伝子は,1 番目=A,2 番目=A,3 番目=C,4 番目=C とな り,がく,がく,雌しべ,雌しべとなる。 (3) C が機能しない場合,発現する遺伝子は,1 番目=A,2 番目=A と B,3 番目=A と B,4 番目 =A となり,がく,花弁,花弁,がくとなる。 (4) A,B が機能しない場合,発現する遺伝子は,1 番目=C,2 番目=C,3 番目=C,4 番目=C と なり,雌しべ,雌しべ,雌しべ,雌しべとなる。 (5) B,C が機能しない場合,発現する遺伝子は,1 番目=A,2 番目=A,3 番目=A,4 番目=A と なり,がく,がく,がく,がくとなる。 第3問 [解答] 問1 1 ③ 2 ④ 3 ① 問2 5 ② 6 ③ 7 ⑤ 問3 8 ① 9 ③ 問4 10 問5 11 ア ① 12 イ 16 A ③ 17 B ① 問6 19 4 ⑦ ④ ③ 13 ウ 18 C ① ⑨ 14 エ ⑪ 15 オ ④ ④ [解説] 進化の流れとオゾン層の形成に関する知識問題であり,地質時代の特徴や遺伝子に有害な紫 外線の波長など,やや細かい知識が要求されている。 問 1 B と C 以外は連続していないので,地質時代は,生物の変遷や経過年代から推測する。A は地球 2 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 順天堂大学医学部 生物 の誕生を含むので先カンブリア時代である。B は裸子植物が出現した約 4.1 億年~3.5 億年前の時 代であり,これを記憶していない場合に時代の確定は難しいが,B と C が連続しており,クックソ ニアが出現するシルル紀よりはあとなので,B がデボン紀,C が石炭紀と推測できる。D は人類が 出現する新生代であるが,新生代の始まりが約 6550 万年前であることと,D は現在を含まないこ とから,第三期の後半である新第三期であると推測できるだろう。 問 2 地球の誕生は約 46 億年前,原核生物の誕生は生命誕生と同じ時期と見なせるので,約 38 億~40 億年前である。真核生物の誕生は,藻類の最古の化石から約 21 億年前であると考えられている。 問 3 H は石炭紀なので木生シダ類の繁栄である。両生類の出現はデボン紀後期である。I はジュラ紀 なので恐竜の繁栄である。ほ乳類の出現は三畳紀であり,被子植物の出現は白亜紀である。 問 4 人類の出現の時期は,化石の発見とともに修正されてきた。現在,最古の人類と考えられている のは,アフリカ中央部で発見されたサヘラントロプスで,約 700 万年前に出現したと考えられてい る。その後,約 420 万年前にアウストラロピテクスが出現している。 問 5 約 27 億年前に出現した原核生物のシアノバクテリア(ラン藻類)が行う光合成によって生じた 酸素は,最初,海水中に酸化鉄となって沈殿し,縞状鉄鋼層を形成したが,約 20 億年前より大気 中に蓄積を始めた。また,その後の藻類の繁栄でさらに酸素濃度が上昇し,今から約 5 億年前にオ ゾン層が形成された。このオゾン層が,地球に降り注ぐ太陽光のなかで生物の遺伝子に有害な 260nm 付近の波長の紫外線(430nm はヒトの青錐体細胞がよく吸収する青色光)を吸収してくれ るため,約 4.5 億年前の生物の陸上への進出・発展が可能となった。 問 6 40 億年前の二酸化炭素濃度は現在の濃度よりも 1000 倍以上高かったと推定されており,徐々に 海水に溶け込んで炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムとなって海底に沈殿し,減少していった。 3 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 順天堂大学医学部 生物 Ⅱ [解答] 問1 あ 個体の移出入がない い 個体数が十分に多い う 自由交配が行われる -q2 t カ 1+q s+t 問2 イ 問3 遺伝子頻度 q0 0 問 4 (1) [解説] 世代 (2) 20 世代 集団内の遺伝子頻度を一般式から求める計算問題で,時間内に解くことは極めて困難である。 問 1 ハーディ・ワインベルグの法則が成立する条件に関する出題である。教科書に記載されている内 容であるが,条件が満たされないとどうなるかも考えないと正解できない。ハーディ・ワインベル グの法則が成立する条件を,第一学習社の新課程の教科書から引用すると, ➊ 極めて多数の同種の個体からなる。 ➋ 個体によって生存力や繁殖力に差がない。(=自然選択が起きない) ➌ すべての個体が自由に交雑(自由交雑)して子孫を残す。 ➍ 集団内では突然変異が起こらない。 ➎ 他の集団との間で,個体の移入や移出が起こらない。 このうち,遺伝子頻度を一定の方向に変化させるのは,問題文にある➋・➍・ あ であるが, ➊と➌が成り立たない場合は遺伝子頻度の変化の方向は一定ではないので,特定の形質(遺伝子型) をもつ集団が移入や移出を行った場合を考えて, あ には➎を答える。➊が成り立たないと遺伝 的浮動が起こりやすくなり,偶然に遺伝的頻度が変化するので, い には➊を答える。➌の自由 交配が行われない場合,例えば aa の個体どうしが好んで交配したとすると,集団内の遺伝子型 aa の個体の割合が増え,遺伝子型 Aa の個体の割合が減るが,➋が成り立っていれば集団の遺伝子頻 度は変化しないので, う には➌を答える。ハーディ・ワインベルグの法則は自由交配を前提と した理論なので,遺伝子頻度が変化しないからといって➌を条件から外すわけにはいかない。 問 2 問題文に即して,順に空欄を埋めていくことにしよう。 [式 2]に W0=W1=1,W2=1-s を代入して, pq{q(1-s-1)+0} [式 3] Δq′ = = p2 + 2pq + q2(1-s) -pq2s p2 + 2pq + q2(1-s) 4 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。 2014 順天堂大学医学部 生物 [式 3]に s=1,p=1-q を代入して, -(1-q)q2 [式 4] Δq′ = (1-q)2+2(1-q)q+ 0 = -(1-q)q2 (1-q)(1-q+2q) [式 4]に Δq′ = q1-q0,q = q0 を代入して, q0(1+q0)-q0 2 -q0 2 q1-q0 = より,[式 5] q1 = = 1+q0 1+q0 [式 5]を用いて q2 を求めると q0/(1+q0) q0 q0 q1 q2 = = = = 1+q1 1+q0/(1+q0) 1+q0+q0 1+2q0 q0 [式 6] qn = 1+n q0 = -q2 q0+q0 2-q0 2 1+q0 …(イ) 1+q = q0 1+q0 となるので,一般式は, AA と aa で子孫を残す確率が異なる場合,[式 2]に W0=1-t,W1=1,W2=1-s を代入して, pq{q(1-s-1)+p(1-1+t) } pq(pt-qs) [式 7] Δq′ = = p2(1-t) + 2pq + q2(1-s) (p+q)2-t p2-s q2 p+q=1 を利用して整理すると, pq(pt-qs) [式 7] Δq′ = 1-tp2-sq2 a の頻度が一定になる場合は,pt-qs=0 すなわち,(1-q)t-qs=0 より t [式 8] q = …(カ) s+t 問 3 a が劣性致死の場合[式 6]が成立するので,[式 6]の n に順に値を入れて a の遺伝子頻度であ る q の変化を求めると,q1=q0/(1+q0),q2=q0/(2+q0),q3=q0/(3+q0)…となるが,これでは変化 が読みにくいので,仮に q0=0.5 を入れて計算すると,q1=0.33,q2=0.2,q3=0.14,…となる。 これをもとにグラフを書くと,解答例のような曲線となる。 問 4 (1) 問題文より,aa が子孫を残す確率 W2 は 0 とみなせるので s=1 である。[式 8]に q=0.1, s=1 を代入すると t=1/9,AA が子孫を残す確率 W0=1-t=8/9 である。念のためこれを検証 すると, ある世代の AA の遺伝子頻度 0.81,Aa の遺伝子頻度 0.18,aa の遺伝子頻度 0.01 次世代の AA の遺伝子頻度 0.81×8/9=0.72,Aa の遺伝子頻度 0.18,aa の遺伝子頻度 0 より, 次世代の A の遺伝子頻度は,(0.72+0.09)/(0.72+0.18)=0.81/0.9=0.9 となり安定する。 (2) aa の出現率が 1/9 になるためには,a の遺伝子頻度 qn がもとの 1/3 すなわち 0.1/3 になれば よいので,q0=0.1 を[式 6]に代入すると, 0.1 0.1 = これを解いて 3=1+0. 1n qn = 1+0.1n 3 n=20 5 ©創医塾 京都 本サービスに関する一切の権利は著作権者である創医塾京都に帰属します。掲載の全部または一部についての無断複製・転載を禁じます。
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