誘電体とコンデンサーの静電エネルギー Q E S

基礎物理学
2014.5.26
誘電体とコンデンサーの静電エネルギー
(20℃, 1気圧)
絶縁体を電場の中に置くと,絶縁体を構成する
物質
比誘電率 μ
原子や分子の中で正電荷は電場ベクトルの向きに, ソーダガラス
7.5
負電荷は反対向きに微小変位する(負の電子分布
雲母
7
の中心が正の原子核の位置からずれる(a))。
パラフィン
2.2
水分子などは,分子自体が極性をもつ。即ち,
水
約80
もともと1個1個の分子の中で,正電荷の中心と チタン酸バリウム
約5000
負電荷の中心がずれている。電場のない空間では
二酸化炭素
1.000922
分子ごとに極性の方向はばらばらであるが,電場
酸素
1.000494
中では極性の方向が揃う(b)。
窒素
1.000547
1.誘導分極と誘電体
→極板間の電場は弱められる:Q/(ε0S)→(Q/μ)/(ε0S)→Q/(εS)
ε=με0
無極性分子
<分極>
極性分子
<極性が揃う>
2.コンデンサーの電位差
コンデンサーに蓄えられる静電エネルギー
W=(1/2)εE2Sd
E
Q
S
=(1/2)(εS/d)(Ed)2
=(1/2)CV2
V=Ed=Qd/εS
コンデンサーの電位差
(+1Cの電荷が極板間の電場によっ
て移動させられることで受ける仕事)
C=εS/d
コンデンサーのキャパシタンス(静電容量)
3.外部の電位差によるコンデンサーの帯電(充電)
帯電していないコンデンサーを電位差Vの電池につなぐと電荷の移動が起き、コンデン
サーは帯電して極板間に電位差が生じる。この電位差が電池の電位差と同じ値Vになっ
たとき,電荷の移動は止まる。
Qd/(εS)=V
このとき,コンデンサーに静電
エネルギーWが蓄えられている。
W=(1/2)CV2
(C キャパシタンス)
4.細胞の膜電位
<ヤリイカの神経細胞>
・Na+-K+ポンプ(Na+,K+-ATPアーゼ)により,細胞膜の外側の電位は内側の
電位に比べて数十mV高くなっている。
・ATPは,呼吸によるエネルギーにより、ミトコンドリア内でADP+無機Pから生成
される。
・ATPは細胞内で加水分解しADP+無機Pとなるが、このとき5.2×10-20Jの
エネルギーを放出し、このエネルギーがNa+-K+ポンプに使われる。このエネルギー
は細胞内で消費されるエネルギーの1/3以上の割合を占める。
・細胞膜に蓄えられる静電エネルギーは,必要時に電流に変換され,刺激の伝達や心筋細
胞の拍動などを生じさせる。