CITROËN

Co ur i e r
CITROËN
[シトロエン クーリエ]
COMMUNICATION JOURNAL
April 2014
FROM CMAG
DS OU L’ ART
DU GESTE
DSは、
人の手から生まれる
写真家・小川義文スタジオ
シトロエンの印象形成
INSIGHT
DS5
DS OU
FROM CMAG
L’ ART
DU GESTE
DSは、
人の手から生まれる
DSラインのさまざまなモデルたちが、
デザインされ、
生み出される現場は、
シトロエンが持つテクノロジーのみで成立しているわけではない。
ハンドクラフト、
いわゆる職人技が以前にも増して重要になってきているのだ。
その指の動きは軽やかに舞うように、
工具を正確無比に操っていく。
DSラインは人の手から生まれる。
CITROËN DS3
THE DILIGENT DUO
ぴったりと息の合ったデュエット
工業生産の場ではすでに珍しいものとなった
職人による手作業が、
《リセット
(しわのばし
具)》を持ったスキルド・ワーカーの手で行わ
れている。特注のステッカーをDS3のルーフに
専用の機械で貼りつけ、
その後わずかな誤差
も許さない精度で仕上げを施す。
ふたりで行う
この作業はとても繊細で、手先の器用さが要
求される。仕上げるまでに優に15分は必要だ。
ユーザーの好みに応じてDS3をつく
り変えられ
る、
画期的な
「ビークル・パーソナリゼーション」
のコンセプトがよくわかる一場面。
CITROËN DS5
FOCUSED AND FAULTLESS
細部への細心の注意
DS5ディーゼル・ハイブリッドのドライブトレイン
製造最後の工程で、パワートレイン・オペレー
ターが100余りのポイントをチェックしている。
こ
の作業には、
この生産ラインの12の全工程を
完璧に把握していなくてはならない。
その上で
要求されるのは集中力。
ここに配置されるスタ
ッフは、
より
「厳しい目」を保つために2時間ごと
に交代する。検査をパスしたハイブリッド・
ドライ
ソショ
ブトレインは、
ミュルーズで組み立てられ、
ーにあるDS5生産工場(フランス・
ドゥー県)
に
送られる。
アーメド・ウフキルとハキム・ラゼルギ
ポワシー生産工場
(フランス・イヴリーヌ県)
DS3パーソナリゼーション部門
エロディー・レセル
ミュルーズ生産工場(フランス・オー=ラン県)
ハイブリッド・
ドライブトレイン品質管理部門
CITROËN DS4
THE DEVIL IN THE DETAIL
ひとつも見逃さない
DS4のレザーシートはシックでありながら、
とても
スポーティ。
そのシートは細部にわたって綿密
にチェックされる。手で触り、感触を確かめ、
シ
ートパッドの硬さをはかり、
スプリングとフレーム
がしっかり調整されているかを調べる。
シートレ
ザーに少しでも傷や仕上げの不具合があれ
ば、
それを見つけ出す。
どんな欠陥も見逃さな
い。
ミリ単位で調整され、完璧に仕上げられた
シートを覆うのは最高級の本革だ。
このレザー
(フランス・イヴ
シートがつくられるのはヴェリジー
リーヌ県)
のデザインセンター。
その後、
ミュルー
ズ生産工場(フランス・オー=ラン県)
でDS4に
組み込まれる。
パスカル・コルバン
ヴェリジーのデザインセンター
シート開発部門
Yo s h i f u m i O G AWA
写真家、
ラリードライバー。
テレビ局勤務後、
1982年に写
真家の道へ。80年代から自動車写真家の第一人者とし
て活躍。
」
自動車メーカーのオフィシャルフォトグラファー、
広告、雑誌、Webの撮影が主な仕事。広告写真では日
本雑誌広告賞など多数受賞。著書に
『写真家の引き出
し』
(幻冬舎刊)
がある。
エクステリアカラー、
ブルー フィラエは、
きらめく街の光を受けると、
さまざまな表情を見せてくれる。
INSIGHT
DS5
写真家・小川義文スタジオ
シトロエンの
印象形成
DS5の美しいインテリア……。
一枚の写真をじっく
りと眺めてほしい。
あなたの目はこのクルマの
どこを捉えるだろう? あなたは、
どこに注目するだろう?
DS5の見つめ方、
その魅力の受け止め方、
思いの巡らせ方。
写真家の目と最新のカメラは、
それを教えてくれる。
写真/文=小川義文
photographs/text by Yoshifumi OGAWA
ドアを開けた瞬間から語りかけてくるアバンギャルドな雰囲気、派手で
はなく深みのある美しさ、
それでいて従来にはないデザインと質感。
そんな
DS5の魅力的な車内空間を写してみたかった。
写真家は、何を写すのかを確認し、細心の注意を払いシャッターを押
す。
自分の脳裏にファインダーの中の風景を明確に記憶する。
しかし撮影後、
コンピュータのモニターに写し出される画像に、
写真家が
目前にあるさまざ
記憶していない存在を見つけることがある。
「人間の眼」は、
まな事物から自分にとって関心の強いもののみを「視覚情報」
として受け入
れる。言い換えれば、
エゴイスティックな記憶のみを受け入れるのだ。
「自己
中心的で冷酷」
と言えるほどに、人間の眼は、
「見たいと思っているものを取
拾選択している」のである。
人間の印象ほど当てにならないものはないのだ。
一方、
カメラは、
目前にある事物が発した光を機械的にそのまま受容する
だけだ。人間的な関心によって世界を捉えるわけではなく、
カメラは目前に
あるものをすべて鮮明に捉える。
「現実」
をそのまま伝えてくれるのである。
それ
は時に、写真家さえも気がつかなかったものの存在を教えてくれる。
この世
界をありのままに受け入れようとする
「慈悲深い視線」
とも言えるかもしれない。
「見たこと」
と
「見えたもの」の差が「人間の眼」
と
「カメラのレンズ」の基本
的な違いであり、我々の眼が、
いかに不確かなものであるかということをレン
ズは突きつけてくる。
モニターに写し出されたDS5の拡大画像を見る。
大きく寝かせたAピラー
からルーフエンドまでのフォルムも端正な曲線で気持ちよく描かれ、
その空間
には小さいものでも最大限に活かそうとする
「合理性」
を追求したフランス気
質が感じられる。
その車内空間は、乗員が快適な時間を過ごせるであろう
安穏な世界が展開されている。
しかも、
そのデザイン性は機能性と広さを犠
牲にしたものではなく、
日々の暮らしを芸術化するという意味で、
フランス人の
考え方に根ざしたものである。
それは、
日常生活に楽しみや豊かさを見出すこ
夕暮れの東京駅を背景に……。助手席ドアを開け、
少し腰を低くすると、
この光景を目にすることができる。
「この高さがもっとも美しい。
試して欲しいですね」
と小川氏。
とであり、
彼らが慣れ親しんだ環境で培われた美意識でもある。
モニター上には私があらかじめ伝えたかった以上のものが光線的存在
として現出する。写真だからこそDS5の魅力を固定して眺めることができる。
「カメラのレンズ」は、現実を確認するだけのものではない。人間の夢や欲
望を操作し、創り出すためにも機能している。
そしてDS5は、
それに見事に応
えるクルマなのだ。