第 14 回オイドラギットセミナー講演内容

第 14 回オイドラギットセミナー講演内容
メインテーマ
「コントロールドリリース製剤 - さらなる飛躍への挑戦 -」
コントロールドリリースは新規製剤開発のみならず、LCM の観点からも重要性が増してきています。
特に、口腔内崩壊錠化による付加価値製剤の開発は重要な地位を占めていますが、患者様の服
薬コンプライアンスや QOL の向上の為に、経口のみならず非経口製剤へのさらなるコントロール
ドリリース技術の発展が望まれています。当セミナーでは今までの研究・実用例を振り返るととも
に最新の取り組みをご紹介し、積極的なコントロールドリリース製剤開発に挑戦する事で、アンメ
ッドメディカルニーズなど理想製剤の開発に寄与して行きたいと考えております。
講演Ⅰ:医薬品開発のトレンドとこれからの製剤開発研究
石川英司 先生 / 大日本住友製薬株式会社 製剤研究所 治験薬グループ
高齢化社会を迎えている中、医療費抑制政策や開発コストの高騰、創薬シーズの枯渇化など、医
薬品業界は生き残りをかけた世界競争の厳しい環境下にあり、重点領域の絞り込みや新規分野
の開拓など、製薬企業はより効率的で効果的な医薬品開発が求められてきている。その一方で、
グローバリゼーションの流れと共に医薬品品質に対するガバナンスの強化が強く推奨され、科学
とリスクマネジメントを基盤とする合理的な医薬品開発と商業生産活動は現在の潮流となっている。
本講演では、現在の医薬品開発のトレンドとこれからの製剤開発のあり方について議論し、さらに、
Quality by Design に基づいた徐放性製剤の設計に関する事例研究(モック)について紹介する。
講演Ⅱ:Eudragit E を用いた時限放出型苦味マスキング顆粒の設計と口腔内崩壊錠への応用
吉村元靖 先生 / 大塚製薬株式会社 製剤研究所 製剤Ⅰ室
苦味を呈する薬物の口腔内崩壊錠を設計する上で、苦味発現を抑制する確実な溶出制御を施し
た微粒子設計が求められるケースは少なくない。本研究では、Eudragit E を含む一定の脆弱性を
付与させた複合皮膜と水膨潤性の核剤を組み合わせ、一定時間の放出制御の後に pH 非依存的
な速溶性を示す時限放出型の機能性微粒子を設計した。その緻密な溶出コントロールと優れた
苦味マスキング効果及び口腔内崩壊錠への適用も絡めて紹介する。
講演Ⅲ:Formulation Development of Complex Parenteral products
Kevin W. Burton / Evonik Corporation, Global Head Drug Delivery Services
適切な量の薬物を適切な時間に目標とする部位に到達させるため、現代の製剤は従来にも増し
て複雑なデリバリーシステムに依存している。その様なデリバリーは、ポリマーをベースとした製
剤(マイクロ/ナノパーティクル、インプラント)、脂質(リポソーム)、ポリマーミセルやポリマー-薬物
複合体等の技術により可能となる。これらのデリバリーシステムは、薬物の循環半減期を増加さ
せ、能動的および受動的なターゲッティングをもたらし、生体内分布を改善あるいは延長させる。
しかしながら、これらの技術には大きな期待がある一方で、製剤研究者への極めて困難な課題と
なることがある。それにもかかわらず、慢性および急性疾患を対象にしたいくつかの製剤がすでに
上市しており、さらに多くの製剤が臨床開発中である。本セッションでは、これらの複雑な製剤の
開発に関するいくつかの実施例およびケーススタディを含め、上述した技術の概要について紹介
する。
講演Ⅳ:リバロ錠の製剤設計
奥村睦男 先生 / 興和株式会社 富士研究所 所長
リバロ錠は、日産化学工業株式会社が原薬(一般名:ピタバスタチンカルシウム)を合成し、興和
株式会社が製剤開発を行った HMG-CoA 還元酵素阻害剤である。2003 年 9 月より高コレステロ
ール血症治療剤として世界に先駆けて日本で発売された。本邦におけるリバロ錠の用量はピタバ
スタチンカルシウムとして通常 1 日 1~2mg、LDL-コレステロール値の低下が不十分な場合は 1
日最大 4mg であり、リバロ錠 1mg、リバロ錠 2mg の 2 規格にて販売を開始した。その後、2mg 錠
は医療機関等における薬剤の保管スペース等を考慮して割線錠を開発し、その一部変更承認を
2007 年 9 月に取得した。また、最大用量である 4mg を服薬している患者のアドヒアランス向上を
目的とし、リバロ錠 4mg の剤形追加の承認を 2012 年 1 月に取得した。昨年、更なる患者のアドヒ
アランス向上を目的として口腔内崩壊錠(OD 錠)の剤形追加の承認を取得した(リバロ OD 錠 1mg
及び 2mg 2013 年 2 月取得、リバロ OD 錠 4mg 2013 年 8 月取得)。
本報告では、リバロ割線錠とリバロ OD 錠の開発について紹介する。
講演Ⅴ:メタクリル酸コポリマー類の乳化作用を用いた付加価値製剤の調製
藤井まき子 先生 / 昭和薬科大学 薬剤学研究室 准教授
多くの高分子は構造中に親水部分と疎水部分を持つため,界面活性作用を有すると考えられる
が,通常の方法では安定な乳化状態を得ることができない。しかし,高圧乳化機と組み合わせる
ことにより安定な乳化状態が得られ,これを利用して液状薬物の粉末化や,溶出制御能を付加し
た乳剤の調製が可能である。今回は,油状薬物の粉末化とその溶出挙動を中心に紹介する。