国際セミナー ◆国連気候変動交渉の将来と市場メカニズム◆ 市民から見たカーボンオフセットと市場メカニズム 2014年2月5日 FoE Japan プログラム顧問 小野寺ゆうり 京都議定書CDM∼世界最初の本格的国際オフセット制度 • 途上国の持続可能な開発(途上国への緩和対策投資・資金技術支援) • 先進国の数値目標達成支援(オフセット+) IGES 要約 京都議定書 途上国支援の仕組み - 公的資金を大きく上回る民間投資・市場メカニズム ※此処で言うオフセット制度には純排出削減となるものも含む (国際)市場メカニズムの条件(1) 国連条約の下での市場メカニズムの原則 1/CP.16 パラ80 • 国別の自主的な参加と平等なアクセス • 途上国の緩和行動を補完 • 経済の広範部分に緩和を促す • 環境十全性の確保 • グローバルなネット排出削減/回避の確保 • 補完性(supplementarity) • 市場機能と規制、良好なガバナンス 適応活動への支援義務 1/CMP.8 Annex I J. 12 ter (国際)市場メカニズムの条件(2) 実施国の持続可能な開発への貢献 1/CP.16 III.D.前段 (とりわけ先進国の)緩和行動強化を促すもの 以下の基準を満たす 1/CP.18 パラ43 2/CP.18 パラ42 • 実際(real)の緩和効果 • 永続性 • 追加性 • 検証性 • 重複カウントの回避 • (オフセットに留まらない)ネット排出削減/回避の確保 原子力発電と市場メカニズム • 京都議定書CDMでは運用規則前段で原子力事業を避ける(refrain)こと を明記。第二期2013-2020年もこの方針を継承。 • 制度設計・方針で特定されない限り原発は(国内及び国際)市場メカニ ズムで他の排出削減活動と同様に経済的恩恵を受けることになる 京都議定書市場メカニズムの第二約束期間での問題 • 余剰排出枠の繰り越し (第一約束期間の排出枠割当) • 吸収源(森林管理、REDDなど) • オフセットの追加性 市場メカニズムに特有の視点 ∼ 気候変動対策として • 衡平性 先進国の義務・責任 • 国内緩和努力との補完性(supplementarity) • 排出枠の割当量及び手段 • 余剰排出枠 EU排出量取引制度初期、過剰な排出枠割り当てにより大規模排出源が経済的恩恵 2012年までで11.4GtCO2e (以下見積りはUNEP2011) • 吸収源(森林管理、REDDなど)の定義・役割 -0.2 - +0.6GtCO2の違い • 逆(perverse)インセンティブ わざと事前緩和対策をしないでおく • リーケッジ 対策を施した外に排出が移動する • 検証性 登録と検証を実施する機関の利害衝突の回避の問題などもある • 追加性 2020年で0.4GtCO2e • オフセットの重複カウント • 純排出削減/回避 2020年で1.6GtCO2eの違い 個別方法論の検証が必要 • 永続性(permanence) 吸収源を利用する事業・活動(森林保護、植林など) 森林火災や伐採へ対処しなければならない • 予測(不)可能性(un-predictability) • 適応活動支援義務 CDMクレジット価格の暴落により適応基金が資金不足に陥っている 多様なアプローチ、新市場メカニズムに義務付け 持続可能な開発 開発プロジェクト・政策手段に共通の視点の例 • 環境影響評価、意思決定への反映 ∼ 影響の調査範囲 • 現地生態系の保護 市場メカニズムの緩和活動候補に は様々な形態が挙げられている: 大規模なエネルギープロジェクト、 炭素分離貯留事業(CCS)、森林保 護、産業植林活動、セクター別政 策手段(セクター別排出量取引制度、 固定価格買取制度、REDD+など)、 農業・土壌緩和事業など • 現地政府の法令、基準、計画の遵守 • 情報開示 • ステークホルダーの参加 • 地元住民との同意・補償、非自発的住民移転の回避 • 少数民族、貧困層、老人、女性、こども、社会的弱者への配慮 • 少数民族の権利及び合意 • 代替案の検討 • 環境社会影響のモニタリング(先住民族計画、住民移転計画など) • 異議申立手続 環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン(2012.4)より抜粋 FoE Japan プログラム顧問 小野寺ゆうり [email protected] www.foejapan.org (国際)市場メカニズムの条件(日本) 環境十全性の確保 2/CP.18 パラ46(c) 守るべき基準 2/CP.17 パラ79 • 実際(real)の緩和効果 • 永続性 • 追加性 • 検証性 • 重複カウントの回避 • (オフセットに留まらない)ネット排出削減/回避の確保 2020年以降の国連気候変動対策の枠組 EU、ニュージーランドなどは2015年合意でグロー バルな市場メカニズム環境の整備を目指している
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