活動レポート 新潟の真木先生より、海外紀行レポートが届きました。 原生植物/固有植物が数多く生息する国、ニュージーランド。そんな魅惑的な国のアロマテラピー事情を調査した、 大変有意義なレポートをご紹介いたします。 海外紀行レポート ~ニュージーランドのアロマ事情!~ 2014 年 1 月、夏のニュージーランド南島を 歩いてきました。現地の人たちから見聞きした植 物と人にまつわるエピソードを皆さまにご紹介 いたします。 成田からクライストチャーチ。そこから国内線 を乗り継いで、クイーンズタウンへ。ここは、NZ 屈指のリゾート地、Wakatipu 湖畔(293k ㎡) にたたずむ壮大な美しさのある街です。飛行機が 小高い山の谷間を、高度を下げながら見事に着陸 する様子を機内の窓から眺めていた私の脳裏に、 映画「風の谷のナウシカ」のワンシーンがよぎり ました。のどかな風景。聴けばやはり宮崎駿監督 も訪れた事が有ると のこと。 到着後、ホッと一 息つくと何処からか 花の甘い香り・・・ 盛りのラベンダーで した。 湖に突き出す半島の全てが公園になっていて、 手入れの行き届いたローズ・ガーデンもあります。 1893 年、世界で一番最初に女性に参政権を認め させた NZ の団体のリーダー、ケイト・シェパー ドに因んで名づけられたバラも栽培されていま す。 1 憶 2 千年以上前に原始大陸から切り離され てから 1 億年以上も無人島だった NZ には、かな り多くの原生植物が生息しています。今でも森林 が太古のままに残され、見た目は枯草なのに生き ているイネ科のタソックや 100 年に 30 ㎝しか 伸びないログパイン、葉が小指の先ほどしかない ブナの木など、古代種の植物が生い茂る中に原始 鳥たちが生息しています。国内で見られる花の約 80%がニュージーランド固有種といわれます。 そんな NZ のアロマテラピーは、18 世紀以降 の移民者が持ち込んだイギリスから受け継いだ ものに加え、自生する植物を使った独自のスタイ ルもあるようです。 南島最大の湖 Te Anau 湖(342k ㎡)の湖岸 にたたずむ静かな町の薬局には、精油や植物油、 ハーブウォーター、アロマスプレー、クリーム、 マッサージオイル類が所狭しと並んでいました。 テ・アナウは「世界一の散歩道」といわれるミ ルフォード・トラックへの滞在基地で世界中から 大勢のハイカーが訪れますが、そのほぼ 100% の人がブユ(ブヨ)のような虫「サンドフライ」 対策の為、現地で購入する虫除けオイルがありま す。「日本のものは効かない、地元の薬局で購入 せよ」とのアドバイスが『地球の歩き方』に掲載 されているくらい、刺されると痒く、腫れ上がる そうです。 このオイル、内容成分は植物油 6 種以上(コ コナッツ、ホホバ、小麦胚芽、アボカド他)、精 油 2 種(レモンバームとゼラニ ウム)と、天然成分で作られて います。NZ$15/100ml です。 実は、少し前にこのアロマ虫除 けオイルの存在を知ったことも、 私が NZ のアロマ事情に興味を 持ったきっかけでした。 NZ は国土の大半にマヌカの森が広がります。 テ・アナウから先、ミルフォード・サウンドへ向 かう国道沿いで、どこまでも続くマヌカの原生林 24 を見ました。湖や海岸線に沿って、さらには活火 山地帯など養分の少ない土地でも生育します。地 域によりケモタイプがあると言われ、特に東ケー プ地域由来の精油は、グラム陽性菌に対してティ ートリー精油よりも強力な殺菌作用があると言 われます。香りはティートリーより穏やかで甘い 薬のよう。 強い抗菌、抗真菌作用、鎮掻痒、皮膚と粘膜の再 生作用が期待でき、精神安定作用もあることから、 温かなスパイシー香は心の不均衡により皮膚に 発疹が出やすいタイプの方に良い効果が期待で きそうです。現地の薬局では、皮膚のあらゆるト ラブルを緩和するとしてマヌカ精油配合クリー ムが NZ$8.50/20g で販売されていました。ま た、マヌカハニーも有名です。国立ワイカト大学 のモラン教授の研究などにより、この花から採れ るマヌカハニーの効能が注目され、このうち特に 抗菌性の高いアクティブ・マヌカハニーが、 1994 年に胃潰瘍の原因となるヘリコバクタ ー・ピロリ菌などのバクテリアを死滅させること が実験により証明されています。ちなみに収穫量 の 1%未満しか UMF25+のマヌカハニーは存在 しないので、ものすごく貴重です。 現地ガイドから聞いた話です。19 世紀後半、 入植したイギリス人は牧畜農業を盛んにしよう と、原生植物を次から次へと駆逐しそこに牧草を 植え羊を放牧飼育。大半の原生植物が姿を消す中 で、ただ一つ、頑丈で生命力あふれる植物があっ たそうです。それが、マヌカ。入植者たちは最後 の手段として、強力な真菌を持ってきてマヌカに 付着させましたが、それでも枯れることはありま せんでした。ミルフォード・トラックのウェット ランド・ウィークで真菌と戦い黒く変色しつつも 共生している状態がこの写真です。 旅の途中出合う現地女性達に「NZ のアロマテ ラピー事情を教えて」と、聞き続けました。 すると、美と健康維持の為‘植物療法当たり前’ という彼女たちの日常が浮かび上がってきまし た。 虫刺され予防にレモンバーム。風邪予防にペパ ーミント、アニス、ミルラ精油にプロポリス+マ ヌカハニー。ニキビ肌にもマヌカ、ティートリー 精油。ストレスケアに地元のラベンダー精油配合 のクリーム。さらに、紫外線が日本の 7 倍と言わ れる NZ 女性に植物油は必須アイテムの様で、 100%天然ローズヒップオイルが一番人気の美 容液として化粧品コーナーで販売されていまし た。15ml で 3,589 円。 背が低く耐久性のあるマヌカの木は、マオリ語 で Kahikatoa(勇敢な戦士の意)といい、男子が 生まれると「マヌカの木の様にたくましく育つだ ろう」とその子の誕生を祝うそうです。また、こ の島にやって来たイギリス人のキャプテン・クッ クは、マヌカの葉をお茶にして飲んで、ビタミン 不足による壊血病を予防したことから、「NZ の Tea Tree」とも呼ばれています。 太古の森を歩きながら、植物と出会い植生の神 秘と不思議の話を聞き、地球は人間だけのもので はなく、生きとし生けるもの全てのものであるこ とを実感しました。 NZ に人類で初めてマオリ族がやってきたのが 約千年前。それ以前から植物はそこで暮らしてい たのです。 旅から戻り、しばらくしてから・・・「あっ!」 手の甲が真っ黒に日焼けしていることに気がつ きました。早速、ローズヒップ油で美白ケア開始。 NZ の日焼けには、その気候風土に育まれ愛さ れる植物の治癒力が最高でしょうから。 薬局で、マヌカ精油とマヌカハニーからの製品 を多く見かけました。 マヌカ:Leptospermum scoparium は、NZ に自 生するフトモモ科、最高 8 メートルまで伸びる木 です。マオリ族はこの植物を万能薬として使用し てきました。 マヌカの葉を水蒸気蒸留してマヌカ精油が作 られます。成分はセスキ テ ルペン炭化 水 素類 65~68%(主にカジネン)、トリケトン 25%他。 Aroma Reine 真木 美智代 ナード・アロマテラピー協会認定 アロマ・トレーナー アロマセラピスト・トレーナー 25
© Copyright 2024 ExpyDoc