低学年には音楽に合わせて身体を動かす楽しさを

音楽鑑賞指導の研究と実践
いただきながら、何度も何度も検討し直
ねらいなどを考慮しながら最適なものを
低学年には音楽に合わせて身体を動かす楽しさを
し、シミュレーションの回数を重ねつつ
選んでいた。しかし今年度は、教材も音
ようやく本番を迎えることになった。
源(演奏)も予め助言者がある程度決め
Ⅱ 夏ゼミ本番・研究の流れ
――第 28 回音鑑「夏のセミナー」レポート
(Aグループ)
『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
(J.シュトラウスⅡ世作曲)
神奈川県横浜市立二つ橋小学校教諭 伊藤早苗
Ⅰ 夏ゼミ本番までを迎えるまで
ていく中で、その音源が自分たちの指導
夏のセミナー第1日は開講式の後、渡
のねらいと合わないことがわかった場合
邊先生の講義「音楽を愛好する心情を育
に、他の音源を探していくという方法に
てる鑑賞の指導――音楽鑑賞指導の基本
変えてみた。
的な考え方」に続いて「実際例の提示」
(財団「指導普及部会」委員、A グループ助言者)
ておいたものを提案し、話し合いを進め
ふだんの授業を考えてみても、私たち
が行なわれ、その後、別々の部屋に分か
はたいがい手持ちの音源で間に合わせる
れて「グループ研究」が行なわれた(私
ことが多い。自分の指導したい内容と音
は「実際例の提示」が無事に終わったの
源が合わないとわかって初めて、ねらい
で、このころにはかなり緊張感もとれ、
に合う他の音源を探すことになる。今回
として、まず教師が設定した一つの「ね
あとは受講生より先にダウンしないよう
は「誰にでもできる授業」をめざすとい
らい」に対して、子どもたちに常に新鮮
に頑張ろう! と思うのだった)
。
うことがセミナーのモットーの一つにな
Aグループ
平成 16 年度・音鑑「夏のセミナー」の
な興味を与え強く惹きつけるにはどうし
準備は、昨年までは「助言者」中心に行
たらよいか、という方法の問題が最重点
西田 宰子
北海道札幌市立山の手小学校
みようというのが一つの理由である。も
なわれてきたが、今年は「指導普及部
だからである。
大湊由紀子
東京都目黒区碑小学校
う一つの大きな理由は、音源を探す時間
っていたので、同じような手順を踏んで
会」(昨年度までの「学習指導研究委員
6月後半からは、夏ゼミ本番の「実際
浪口 香織
福島県前原市立南風小学校
を短くし、その分、授業の流れそのもの
会」を改称)全体として、小・中学校部
例の提示」のコマの検討に入った。この
村木 智弘
長崎県有明町立湯江小学校
を考える時間を多くとりたいということ
会の合同で進められた(助言者はこのメ
コマは、セミナーの主旨を受講生に具体
西 おりえ
熊本県錦町立西小学校
だった。
ンバーの中から選ばれる)。昨年度で退
的に説明する最初の、大切な時間であ
小学校A(低学年)班は、5名中4名
任された主管の吉田時雄先生に代わって
る。これも昨年度までのように小・中
が現在学級担任で、全員が幅広い分野で
新たにお迎えした音鑑の研究事業主管、
別々の事前研修ではなく、小・中合同で
の経験をもち、学校や地域でリーダー的
まず、カール・ベーム指揮ウィーン・
渡邊學而先生のもとで、4月以降「音楽
行なうことになった。ところが、「実際
役割を担っている人たちの精鋭グループ
フィルハーモニー管弦楽団の演奏を何回
を愛好する心情を育てる鑑賞の指導」と
例の提示」を担当するのは助言者の中で
だった。その5名に私と、大ベテランの
も聴いてみることから始めた。そして、
いう共通のテーマを掲げて研修を続けて
もいちばん新しい(若い?)者というの
助言者である川越市立芳野小学校、粟飯
思いつくままに感想を述べ合った。そし
きたからである。
が慣例とかで、中学校では宮森ひろみ教
原喜男教諭が加わり、和気藹々とした雰
て、話し合っていくうちに、この曲の音
5月と6月の部会は、渡邊先生から5
諭(江戸川区立瑞江第三中学校)に、小
囲気の中で研究が始められた。
楽的特徴をもっと顕著に(雄弁に)表わ
曲の教材曲例が示され、その中から各委
学校では私に、白羽の矢が立てられてし
員が1曲を選び、その教材性を洗い出し
まった(…本当にわたしでいいの?)
。
て「ねらい」を設定し、実際の「指導の
それ以来、子どもたちにとっていっそ
流れ」を2つの異なる学年で考え、それ
う楽しく、新鮮で、印象深い授業をする
を皆で検討するという形で進められた。
ための発想、発問の文言と仕方、教材の
上記の共通の研修テーマにそって、子ど
もたちが音楽の授業を楽しく感じて、好
1.教材曲は『トリッチ・トラッチ・
ポルカ』(ヨハン・シュトラウス II
世作曲)
2.教材性を探る
している演奏があるのではないか、とい
うことで、他の演奏も聴いてみようとい
うことになった。最初は1∼2種と思っ
ていたが、同じ曲なのに様々な演奏スタ
自己紹介の後、助言者から夏ゼミの主
イルや演奏形態、効果音の違いなどがあ
提示のタイミングなどの詳細にわたって、
旨の再確認と、教材曲についての提案を
ることを知り、だんだんおもしろくなっ
ベテランの先生方の厳しいご指導と渡邊
行なった。これまでは、主教材(曲名)
てきて結局 11 種の『トリッチ・トラッ
きになり、次の授業が待ち遠しくなるよ
先生、夏ゼミ実行委員長の小原光一先生
は決まっていたが演奏はいろいろなもの
チ・ポルカ』の演奏を聴いてしまった。
うな、そんな鑑賞指導を実現する第一歩
(財団常務理事)の温かいアドバイスを
を聴き比べ、その中から教材性や指導の
聴いた後にいろいろな意見が出され、こ
49(16)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
夏ゼミ・レホート① ◆◆――
(17)48
小原、渡邊両先生とともに A 班の先生方 の曲の教材性をまとめてみると次のよう
もたちが楽しめるか、ということが協議
授業の中にどのように具体的に取り込ん
になった。
の中心課題になり、曲を聴きながらメン
でいくか、という視点から進められた。
・トライアングルの音がよく聞こえる。
バーそれぞれに「子どもが音楽と一体と
まず初めに、リズムフレーズを感じ取
・小太鼓やシンバルなどの打楽器の音が
なる楽しい音楽活動」を考えてみた。そ
るために2拍子の『トリッチ・トラッチ・
の結果、
ポルカ』と3拍子のヘンデルの『アルチ
・トライアングルや小太鼓などの打楽器
ーナのメヌエット』の比較聴取から入る
よく聞こえる。
・身体反応や身体表現を入れながら楽し
く聴ける。
・音楽の気分や旋律の変化が感じ取りや
すい。
・歌唱を加えた編曲もあり、中間部を歌
で表現することも可能である。
・物語と音楽を組み合わせて、おはなし
をつくることができる。
の音を聴く。
・最初の部分では音楽の流れに合わせて
リズムを打つ。
・中間部では、音楽に合わせて手の動き
ことにした。この時に、2年生でも表現
できる のリズムを
曲に合わせて打つことにした。3拍子に
いろいろな事柄が一度に出てきてしまう。
は合わないことを全員が身体で感じ取る
そこで今回は、聴く前に必ず「聴く視
ことができる。そして、2拍子感をつか
点」を与えること、そして子どもから引
・拍の流れにのって曲の気分を感じ取る。
ませるとともに、曲に対する興味・関心
き出した意見をそのつど音によって確認
・コーダの部分で指揮をして終わる。
を高めたい、と考えた。
していくこと…この手順を必ず踏むこと
をつける。
というような活動を授業の流れの中に
次に、中間部の特徴的な旋律に身体の
にした。「そのつど音で確認する」こと
入れていこうということになり、ねらい
動きを付けてみることにした。なかなか
を繰り返すうちに、子どもの耳はだんだ
の 11 時。
「明日のために今日はここまで
を集約していった。
難しい旋律だったが、授業者の西教諭の
んその曲に慣れ、その音楽がしだいに子
にしましょう」という私の意見がすんな
○主な旋律を口ずさんだり、身体反応や
すばらしい歌声に合わせてグループのメ
どもの心に残るようになる、というのが、
り受け入れられ、第1日は終了すること
身体表現をしたりながら、楽曲全体の
ンバーがノリノリで手を「くるん」と動
今回の夏ゼミの方法のもう一つの隠れた、
気分を感じ取る。(第1時)
かすことができた。曲に合わせてやった
しかし実は真のねらいとするところであ
時は、手と一緒に身体まで「くるん」と
った。
・中間部に特徴的な旋律がある。
このような考えが出されたところで夜
になった。「明日もこの刻限には寝られ
るように頑張ろう」を合言葉に、メンバ
○楽器の音色に気をつけて聴く。
(第2
ーはそれぞれの宿泊室に帰った。…と思
時)
動きそうだった。最後は、途中で交代し
試行錯誤の末に…と言いたいところだ
っていたが、中にはさらに遅くまで音源
ここまできて、昼食の時間になった。
た授業者の村木教諭といっしょに「かっ
が、ここまでの話し合いの内容がよかっ
こいい指揮」でしめくくることにした。
たのか進行は大変スムーズで、午後3時
を聴き比べていたり、教材研究に没頭し
たりと、助言者より熱心な人がいたとい
うことを知ったのは、次の日の朝だった。
3.子どもたちが音楽と一体になる楽
しい活動
2日目に入り、話し合いをスムースに
進めていくために作業の分担を決めるこ
とになった。班長は昨年度も夏ゼミに参
4.学習内容の設定と学習活動の展開
午後からは、1時間目の学習の流れを
考えることになった。
○学習内容
①2拍子の基本リズムフレーズを感じ
取る。
②曲全体の気分を感じ取って聴く。
○学習活動
5.文言の精選とシミュレーション
具体的な授業の流れが決まり、いよい
よ実際に発問の文言を考えていくことに
には発問の内容が決まった(第 1 回)。シ
ミュレーションを何回か、発問の仕方や
文言を練り直し、すべてが終わったのは
午後8時半…のはずだった。
なった。鑑賞の授業では、発問の仕方一
午後8時半、今回はオブザーバーとし
つで子どもたちの考えの方向が変わった
て参加された宮下秀邦教諭(東大和市立
り、授業の流れが滞ったりするというこ
第五中学校)に研究発表(模擬授業)の
とを、「実際例の提示」を担当するなか
シミュレーションを見ていただいた。「授
加し、進め方をよく知っている大湊教
①鑑賞・身体反応・身体表現・歌唱な
で痛切に感じていた。ここは十分に吟味
業の流れはよいのだけれど、子どもが先
諭。授業者には自ら立候補してくれた西
どを通して、子どもたちが十分に音
していかなければならない。また、よく
生の動作をまねしているだけ、という感
教諭と村木教諭。機器操作係は機械に強
楽を楽しめるようする。
音楽を聴いて「どうでしたか?」という
じもする。曲を聴いて子どもが感じたこ
単純な発問をすることがあるが、これで
とをもっと自由に表現する場面があって
は子どもたちは何と答えてよいのか分か
もよいのではないか」と、率直なご感想
らない。答えが出たとしても、観点が絞
をいただいた。完璧! と思っていた内
られないから楽器、音色、曲の気分と、
容だが、そう言われるとそんな場面も必
い浪口教諭。記録係はパソコンが得意な
西田教諭に決まり、さっそく班長の大湊
教諭の進行で午前の研究が始まった。
まず、どのような聴き方をすれば子ど
47(18)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
として、具体的な授業の流れを検討す
ることになった。
この検討は、午前中に考えた「子ども
たちが音楽と一体になる楽しい活動」を
夏ゼミ・レホート① ◆◆――
(19)46
◎指導展開例
要だと感じてくる。結局、初めに戻って
も緊張しておとなしかったが、手拍子・
比較聴取のところから話し合いを再開し、
歌・身体反応と、曲を聴きながら活動す
みなが納得できる内容になったのが午前
るうちに、ノリノリになって踊っている
1.教材名 『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
(ヨハン・シュトラウスⅡ世)
2時。やっぱり「夏ゼミ」は簡単には終
人たちが何人もいた。曲の特徴を感じ取
2.指導のねらい
わらなかった。アドバイスをしてくださ
って、音楽に合わせて身体を動かすこと
った宮下教諭に感謝しつつ、記録係の西
がこんなにも楽しいものか、と感じた瞬
口教諭がパソコンを打ち終わり、班長の
間が幾度もある。音楽と一体となって表
大湊教諭とともに内容を確認し終わった
現活動をしながら、こうして当初のねら
のは午前2時半を少し過ぎていた。それ
い通り、何回も繰り返し曲を聴くことが
でも、隣の研修室からはまだ他の班がシ
できた。
ミュレーションをやっている声が聞こえ、
向かいの部屋でも内容を検討している様
子が窺える。「お先に」と言ってこの時
講評
講評は、昨年度まで助言者をつとめ、
小学校 A グループ(2年生)
曲全体の気分を感じ取って聴くことができる。
予想される子どもの反応
指導内容と発問
①2拍子の基本リズムフレーズを感じ取る。
○今から先生が打つリズムをよく聴いてまねをしてください。 全員リズム打ちをする。
(○・○・○○○・)
○じょうずにできました。よく先生に合ってます。
みましょう。(速くする)
○今みんなが打ったリズムは
「○・○・○○○・」でした。
刻に宿泊室に戻れたのは幸運だった。同
今年度はオブザーバーとして参加して下
アと○
イ2つの曲を聴きます。このリズムに合う曲は
○今から○
室の中学校助言者、宮森教諭が戻ってき
さった橋本研教諭(羽村市立羽村西小学
どちらでしょうか。いま打ったリズムを打ちながら聴き
たのは明け方近くだった。
校)と宮下秀邦教諭が担当された。
Ⅲ Aグループの発表と講評
Aグループの発表は第3日の1番目。
橋本教諭からは、低学年の身体表現の
工夫は、まね方やパターンを決めてから
スタートした方がよいこと、比較聴取は
ましょう。
アをかけます。
○まず、○
ア『メヌエット』から(15 秒間)
〈音楽〉○
わからない様子。
イの曲です。
○次に○
イ『トリッチ・トラッチ・ポルカ』から(15 秒間) リズムに合わせて手拍子。
〈音楽〉○
「朝食の前に1回シミュレーションをし
指導したいことに気づかせる有効な手立
てみようね」と決めてあったので、6時
ての一つであること、身体を動かす活動
○どちらが合いましたか。
40 分に研究発表会場の2階に行ってみる
をしている時に教師も一緒になって楽し
イ の曲に合っていたかどうか、もう一度リズムを
○本当に○
と、すでに授業者の西教諭と村木教諭が
そうにやっているのがよかった、など、具
別々の部屋で声高々にシミュレーション
体的な内容に触れたご意見をいただいた。
イ の方がよく合います。
」
「○
打ってみましょう。
イ『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
(15 秒間)
〈音楽〉○
宮下教諭には、昨夜ご指導いただいた
ングを計りつつ音量調節やフェイドアウ
ことが私たちの発表の中でさっそく生か
トの練習に励んでいた(すばらしい!)
。
されていたこと、授業の中での子どもの
いよいよ発表が始まる。目覚めたばか
活動を通して曲のしくみにも目を向けさ
イ の曲の
みなさんがよく聴けるために、これから先生が○
りの(ずっと目覚めていた人もいる?)
せることのできる方法など、鑑賞指導を
中からの2つのふしを歌います。みなさんも一緒に歌っ
「おんかん2年生」を相手に授業開始。
実践していく上での有意義なご指示もい
イ のふし8小節
て覚えましょう。一つ目のふしは――(○
ただいた。
音楽の流れに合わせて手
拍子を打つ。
○よく合っていました。
を実行中、機器操作の浪口教諭はタイミ
朝1番の授業のためか“模擬生徒”の方
まねをしてリズムを打つ。
○もう1度同じリズムを打ちます。よく聴いてまねをして
イ の曲をよく聴いてみたいと思います。
○それでは、今日は、○
を歌う。)。
イ のふし8
○それでは、先生と一緒に歌ってみましょう。
(○
・使用教材 『トリッチ・トラッチ・ポルカ』 ヨハン・シュトラウス II 世作曲
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
・音源選択の理由 旋律の流れが自然であり、適切なテンポの設定が身体表現するのに
大変適している。
・関連教材 『アルチーナのメヌエット』 ヘンデル作曲
小節を歌う。
)
○よく歌えましたね。
○今度はこれに手拍子も入れてみましょう。初めに先生の
イ のふし8小節を歌う。
)
リズムを聴いてください。
(○
歌に合わせて手拍子を打
つ。
○では、歌いながらできるでしょうか。――
○じょうずにできましたね。
45(20)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
夏ゼミ・レホート① ◆◆――
(21)44
○では二つ目のふしです。聴いてください。(トリオのふし
8小節を歌う。)
○では、一緒に歌ってみましょう。
(同じふし8小節を歌う。)
○今度は手拍子ではなくて動きを入れてみます。よく見て
下さい。(ア・カペラで歌いやすく移調して歌う。
)
○では、一緒に歌いながらやってみましょう。(トリオのふ
し8小節を歌う。)
歌に合わせて手を動か
す。
○じょうずにできましたね。
②曲全体の気分を感じ取って聴くことができる。
○いま覚えた手拍子と手の動きを、これから聴く音楽に合
わせてみましょう。
〈音楽〉『トリッチ・トラッチ・ポルカ』全曲
○よく合わすことができましたか。そういえば、いまのふ
しは初めて音楽と合わせましたね。もう一度そのところ
を合わせてみましょう。こんな動きでしたね。
〈音楽〉『トリッチ・トラッチ・ポルカ』
トリオ部分
○なかなかいいですね。
音楽を聴きながら手拍子
を打ったり、手を動かし
たりする。
○もう一度曲の最初から聴いてみましょう。
〈音楽〉『トリッチ・トラッチ・ポルカ』全曲
○手拍子や手の動きを入れて音楽に合わせて聴くことがで
音楽に合わせて手拍子を
打ったり、手を動かした
きましたね。それでは、最後にもう一度聴いてみたいと りする。
思います。曲の最後はこんなふうに終わってみたいと思
います。先生の動きをよく見ていてください。
〈音楽〉『トリッチ・トラッチ・ポルカ』コーダ部分
先生の真似をしながら思
○では、最後に全曲を通して聴いてみましょう。動かない い切り指揮をする。
で聴いているところもありましたね。今度はそのところ
を少し体を動かして聴いてみてもいいですよ。
〈音楽〉『トリッチ・トラッチ・ポルカ』全曲
○さあ楽しく聴けましたね。
○みんなと一緒に聴いた曲は『トリッチ・トラッチ・ポル
カ』という曲でした。
○さあ、みんなで言ってみましょう。
43(22)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
身体反応をしながら聴い
ている。
音楽鑑賞指導の研究と実践
Ⅱ 研究経過(夏ゼミ本番)
少数精鋭のグループ研究はラプソディとともに
① 研修のポイントをおさえよう
メンバー4人という“少数精鋭”の中
学校グループは、自己紹介の後、助言者
――第 28 回音鑑「夏のセミナー」レポート(D グループ)
『ハンガリー狂詩曲 第6番』(リスト作曲)その1
から今年度の研修のポイントを次のよう
に提案した。
→それに応じて、発問や、受け答
平成 16 年度の1学期、音鑑では研究
事業主管、渡邊學而先生のもとで、小、
中合わせて11 名の「指導普及部会」のメ
→音楽を繰り返し聴くことによっ
て、自然に曲を馴染ませていく。
・映像に頼りすぎず、音声のみ聴か
②「ねらい」を定め、教材曲を決定
・曲想の変化とテンポの変化。
・曲の構成、しかし全曲を聴くのは長い
決めておき、当日受講者に提示した。今
のパターン――音楽を聴いた生徒の自発
音楽のもつ美しさに触れて感動し、生涯
回、中学校グループはひとつだけだが、
的な発想を第一に生かして授業を展開し
音楽を愛好する人になっていくことであ
教材は独奏曲(ソロ楽器ひとつの曲。今
ていく――と比較して戸惑うところがあ
ろう。そこに至る一歩として、今回の
回はピアノ)とし、「曲想の変化を感じ
ったようだが、あくまでも今回の主旨に
「夏ゼミ」の研修では、ひとつの教材を
取る」という指導の視点から具体的な曲
則して研究を進めていくことを確認して
もとに、1回1回の授業の中で、児童生
名を決めていくことにした。その結果、
スタートをきった。
徒一人ひとりの個性を尊重しながら誰に
いくつかの候補曲の中からリスト作曲
でもわかる「ねらい」を設定し、授業の
『ハンガリー狂詩曲第6番』に決まった。
じる、興味を引く瞬間をできるだけ多く
設定しながらその「ねらい」の実現をめ
ざす、これが第一の課題となった。
特に、鑑賞の授業の成否が、教師の発
問の文言や仕方、タイミング、話す内容
や順序の組み立て方、音楽の聴かせ方、
音の出し方などによって左右されるとい
うことを、事前研修の中で痛感した指導
41(24)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
Dグループ
石神 雅代
神奈川県横須賀市立武山中学校
大和美香子
北海道瀬棚町立瀬棚中学校
小野奈緒美
福岡県田川市立伊田中学校
金本 志秀
宮崎県宮崎市立赤江中学校
助言者
東京都荒川区立第一中学校
宮森ひろみ
東京都江戸川区立瑞江第三中学校
か。曲の冒頭から感じるシンフォニッ
クな響きと、 になって音楽がリズム
を変えて盛り上がっていくところ。
・カデンツァの奏法。曲を構成する4つ
の部分は気まぐれに出てくるので、生
徒にはつかみにくいのではないか。 を別にして聴かせたら、生徒は同じ曲
とは思わないかもしれない。最後の部
分(左手の下降)はアレ? と思うの
では。
② 教材曲を理解しよう
指導法を考えていく時にまず何よりも
このようにそれぞれ挙げてもらい、そ
大切なのは曲を知ること。ということで、
れらを板書し整理してポイントを確認し
リスト作曲『ハンガリー狂詩曲第6番』
た。
を3回聴いてみた。(演奏はアルゲリッ
チ)
・4つの部分に分かれている曲のつ
なぎ
1回目:曲を知るために全曲を通して聴
長谷川要子
デンツの扱い。
る。
とって、これまで実施してきた鑑賞指導
流れの中に彼らが「おもしろいな」と感
もつだろうか。
・ と、その中のつなぎのフレーズ、カ
せて指導していけるように工夫す
教材曲を(どのグループも)あらかじめ
音楽鑑賞の究極の目的は、児童生徒が
・ の部分(第 93 小節から。*注:こ
アノの技法のダイナミックさに興味を
こうしたことはグループのメンバーに
けて準備を始めていた。
っていくところあたりか。ピアノにつ
以下、それぞれを∼ で示す)のピ
かせていく
従来の夏ゼミと少し異なって、今年は
ンバーが、第 28 回「夏のセミナー」に向
そうなところを挙げてもらった。
の曲は大きく4つの部分に分けられる。
ゼミ本番でどのようにしてそれぞれ担当
うかと、検討を重ねていった。
この後、メンバーからポイントになり
えの態勢を大事に考えていく。
普及部会のメンバーは、今回の主旨を夏
のグループの研修の中で具体化していこ
イントを探して聴く。
・「聴くポイント」を明確にして聴
(財団「指導普及部会」委員、Dグループ助言者)
① 指導普及部会(助言者)の事前研修
をとらえ、生徒が興味をもちそうなポ
いて指導するのか悩むところ。
せるか。
Ⅰ 夏ゼミを迎えるまで
3回目:解説書などを参考に、曲の構成
・曲の最後のアレグロからテンポの上が
・楽曲のどこをどういうふうに聴か
東京都江戸川区立瑞江第三中学校教諭 宮森ひろみ
そうなポイントを見つけながら聴く。
・カデンツ
・4つの部分を統一する主題、旋律
く。
2回目:楽譜を配り、生徒が興味をもち
があるか
少数精鋭のグループ研究はラプソディとともに① ◆◆――
(25)40
〔視聴した関連教材候補〕
・曲想の変化
プシー(ロマニー)の歴史的背景も考
・テンポの変化
えながら「ハンガリーの音楽」を、実
曲 名
際に近い形のもので紹介していきたい。
チャールダーシュ
ここで「曲想」、「テンポの変化」が出
てきたが、それについては「チャールダ
ーシュ」というハンガリー・ジプシー
(ロマニー)の舞踊・音楽形式の特徴と
して、助言者が紹介した。
*チャールダーシュ:「ラッサン」と
「フリスカ」の緩急の2部分からなる。シ
ンコペーションのリズムが特徴。
③「ねらい」を考えよう
楽曲の構成や形式を確認したところ
で、次に“鑑賞の学習にいちばん興味を
示さないような生徒にもわかるような
「ねらい」”を考えてみることにした。
・ジプシー(ロマニー)の歴史的背景を
音楽の中から感じてほしい。速度の変
LD
ジプシーの子供の歌
ジプシー楽団
世界民族大系
LD
ジプシーの踊り
〃
〃
LD
〃
〃
LD
ケリマスキティリ
夕べの鐘∼『クリ
スマスツリー』から
ハンガリー狂詩曲
第2番
ジプシー(ロマニー)音楽の特徴をと
らえた上で、いま聴いているような曲
が作られる、という指導をしていきた
い。
・民族音楽の特徴という点でとらえてい
きたい。まず の部分を集中して取り
扱い、最終的に全曲へと広げていって
はどうか。
ジプシー音楽の歴史的背景を全てカバ
ーするような形というのは実際問題、不
な側面から曲をとらえ直してみようと、
可能である。むしろ、今回の楽曲『ハン
アルゲリッチ演奏の『ハンガリー狂詩曲
ガリー狂詩曲第6番』にはラッサン、フ
第6番』全曲を聴いて、意見を出し合っ
リスカというハンガリー・ジプシー(ロ
た。〈段階1〉
マニー)音楽の特徴がよく表われている
その結果、「Ÿ(ラッサン部分)、 ので、そこを柱に、関連教材としてモン
(フリスカ部分)をベースに進めていく
ティの『チャールダーシュ』を用いなが
ような形にしよう」という方向になった。
ら、楽曲の楽しさを生徒に発見させるこ
さらにこの曲をジプシー楽団の演奏やオ
とができるように、Ÿ、 に焦点をあて
ーケストラ編曲版、映像資料も活用して
て「ねらい」を絞っていこう、という結
いろいろ比較鑑賞しながら、関連教材と
論が出たところで、1日目の研修は終
して用いるにふさわしいものを同時に探
了。このとき時刻は 11 時 30 分、日付け
していくことにした。鑑賞した曲は右頁
が変わらなくてよかった。
のとおり 12 曲に及んだが、どれも個性的
な音楽であったため、作業に集中するこ
〈段階2〉 楽曲に新たな発見をしよう
とができた。豊富な資料を一度に鑑賞で
研修2日目。「指導の流れ」を組み立
きることも「夏ゼミ」の特権である、と
てるための話し合いは朝食後8時 30 分か
いうことを改めて実感した。
らスタートした。今日からはメンバーが、
それぞれの役割(班長=司会、機器操
考えてもらい、発表し合った。
作、板書、ワープロ文書作成)を担当し
・中学3年生を想定した指導なので、ジ
て進めていくことになる。さっそく曲の
39(26)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
音 源
1995 /神戸
豊かな即興性、こうしたハンガリー・
まずその取っかかりとして、いろいろ
この後メンバー各自に楽曲の教材性を
備 考
古澤 巌
化、リズムの変化、シンコペーション、
作 曲 者 演 奏 者
モンテイ
リスト
イロナ・セヴェリーニ、 ツィンバロンのデ
イルデイコ・ヴェコニー ュエット
LD
リスト
ベルリンフィルハ
ーモニー管弦楽団
LD
カラヤン指揮
チャールダーシュ∼
ウイーンフィルハ リッカルド・ムー
J・シュトラウス
『騎士パスマ』から
ーモニー
ティ指揮
DVD
ハンガリーの踊り∼
パリオペラ座管弦 ジョナサン・ダー
チャイコフスキー
『白鳥の湖』から
楽団
リントン指揮
LD
ハンガリー狂詩曲
第6番
リスト
ジョルジュ・シフラ
ハンガリー狂詩曲第6
番(オーケストラ版)
リスト
ウィーン国立歌劇 ヘルマン・シェル
場管弦楽団
ヘン指揮
CD
ハンガリー狂詩曲
第6番
リスト
ディグッド・ヘル 映 画 『 シ ャ イ ン 』
の主人公のモデル
フゴット
LD
ハンガリー狂詩曲
第6番
リスト
マルタ・アルゲリ
ッチ
CD
1962 頃の演奏
LD
新たな発見を求めて全曲を通して聴いて
にそれを絞り込むためもう一度全曲を通
みた。このときのメンバーの感想は以下
して聴く。そして についてはここを全
の通り。
部聴かせるべきだということになった。
・ がやはり印象的。
その後フリスカの部分のみを聴き、楽譜
・の装飾音符やリズム(シンコペーシ
を見ながら、この中にすべての生徒が気
ョン)もよかった。 を指導するには
づく変化があるという感触を得た。
Ÿが不可欠だと思うが、 を1回聴い
たとき生徒は好感をもつだろうか。
・最初から聴かせて曲の感じが変化した
ら手を挙げさせる、という方法も面白
〈段階3〉生徒にどういう聴かせ方を
していくか。
のフリスカは4つの部分(Ⅰ、Ⅱ、
Ⅲ、と表わす)に分けられるが、さらに
いかもしれない。
それを 11 箇所に分けて考え、それぞれを
・音楽的にŸに惹かれる。
メンバーの中に、後半の部分を活かし
た指導方法がよいのではないかという気
比較聴取しながら、有効な聴かせ方につ
いての意見が交わされた。
もちが漠然と表われてきたようだ。さら
少数精鋭のグループ研究はラプソディとともに① ◆◆――
(27)38
◎フリスカの組み合わせと、※予想さ
れる生徒の反応
◎Ⅰ- ①∼Ⅱ- ① vs Ⅱ- ①∼Ⅱ- ②
※音が増えているが、これといって大き
な変化はない。
材も関連教材も映像を使用せず、音声だ
気も吹き飛ばす声で快調に進み、無事終
う心強いアドバイスをいただいて、再び、
けで迫っていくことにしたので、この
了することができた。講評では宮下秀邦
関連教材として有効と思われるモンティ
『チャールダッシュ」も曲の性格を十分
先生から、今回の速度の対比(ラッサ
作『チャールダーシュ』を古澤巌のカル
に生かして演奏しているように感じられ
ン、フリスカ)は面白い企画であったが、
テットで鑑賞したり(LD)、ラッサンの
る古澤巌カルテットのものを選んだ。
生徒の発達段階に応じてもう少し「生徒
感じさせていくことは可能だろう」とい
部分のみアルゲリッチとシフラで聴き比
そして、いよいよ「ねらい」は「チャ
から引き出す」こともできるのではない
べたり、ジプシー楽団による演奏も聴い
ールダーシュ(ラッサンとフリスカ)の
か、と、また橋本研先生からは、活動が
たりしながら、「ラッサン」について話し
表現の特徴を感じ取る」に決まった。メ
たくさんあって活気があったが、もう少
合いを進めていった。
インとなる指導の流れと発問の内容は、
しゆとりがあってもよいと思う、と、そ
ラッサンはどのように聞こえてくるの
Dグループが今まで話し合ってきたこと
して渡邊先生からは、いろいろな手立て
か。⇒土くさいところがあり、演歌やシ
の集大成ということで、何度も練り直し
を考えて授業を組み立てても、最後は
ャンソン、ジャズのようにも聞こえる。
た。詳しくは別掲の『指導展開例D案』
「聴くこと」に集中して終わってほしい、
ポイントを置いて聴かせることが可能
ピアノとそれ以外の楽器の演奏では,曲
を参照されたい。(次号掲載)
ではないか。
のもつ「自由さ」という意味が違ってく
◎Ⅰ- ①∼Ⅰ- ② vs Ⅲ- ①∼Ⅲ- ③
※変化が感じられる。メロディーの違い
が大きすぎて無理?
◎Ⅰ- ①∼Ⅰ- ② vs Ⅳ-① ∼Ⅳ- ②
※Ⅰ vs Ⅲの時より、イメージが違う。
・速さの変化が感じられるということに
・楽譜分析のようにでなく、曲の変化を
つかませたい。
るようだ。カデンツァのところはバイオ
リン演奏のほうが雰囲気が伝わってくる。
と、とても大切なご意見をいろいろとい
ただいた。また、発問の意味がよくわか
〈段階5〉シミュレーションで最終仕上げ
らなかった、という受講者からのご意見
夕食後、でき上がってきた指導の流れ
もあり、使用する「ことば」のむずかし
・Ⅳの部分は反復、変化をしながら盛り
このような過程を経て、自由な即興表
(台本)に沿って、1回目のシミュレー
上がっていく、というとらえ方がよい
現、哀愁、情熱というキーワードが登場
ションを始めた。授業者は金本教諭。台
グループ別研究協議では、メンバー1
のでは。
して、ラッサンとフリスカを重点的にも
本を片手に発問内容をしっかりと押さえ
人ひとりがこの3日間の体験を通して得
ってきてこの曲全体を聴かせていこう、
ながら進めていく。途中で使用するワー
た感想を発表し合った。今回の夏ゼミの
い。Ⅲのよさを踏まえてⅣにつなげて
というひとつの方向性が生まれた。昼食
クシートを作成するのは、今回の板書を
内容は今までと少し異なる視点から組ま
いくときに、ジプシー(ロマニー)や
をはさんで、いよいよメンバー各自によ
担当してくれた石神教諭。シミュレーシ
れていたので、そのことに対する戸惑い
その歴史的背景に入っていければよい
る「指導のねらい」と「指導の流れ」の
ョンを繰り返す度にワークシートも書き
がメンバーの中には多少ともあったよう
のではないか。
案を作る段階へと移り、「ラッサンとフ
直された。今回使用する音資料を授業に
だが、ともあれたくさんの音源資料に囲
リスカの速度と拍子の違い」をポイント
沿って効果的に用いるため、機材担当の
まれて研修するうち、ハンガリージプシ
に、指導の流れを各自が作成することに
小野教諭は使用音源を1本のカセットテ
ー(ロマニー)の音楽チャールダーシュ
なった。
ープに編集し、頭出しのタイミングなど
に惹かれてその曲が好きになっていった、
にも注意を払う。それらの総まとめ、研
と、メンバーは異口同音に述べていた。
究報告を作成するのは班長の大和教諭で
こうして今年も音鑑の夏ゼミは、新たな
・ⅢとⅣを直接結びつけていくのは難し
・ⅢとⅣの聴き比べがおもしろいのでは
ないか。
ここまできて、ラッサン(Ÿ)のとら
え方をどうしていこうかと、やや行きづ
まってしまった。そこへ渡邊先生が回っ
てこられたので、この曲を扱う際にハン
ガリージプシー(ロマニー)の音楽のこ
とにどのくらいまで触れればよいかと伺
ってみた。「ジプシー(ロマニー)音楽
の「チャールダーシュ」をとらえさせる
というねらいでこの曲を使うことは有効。
他の関連教材も使ってジプシー(ロマニ
ー)のこと、チャールダーシュのことを
37
(28)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
〈段階4〉 指導の流れと発問の吟味
さを改めて実感した。
午後は、4名のメンバーに書いてもら
ある。何回もの修正、打ち直しを行な
発見と希望を与えてくれながら幕を閉じ
った「指導の流れ」をホワイトボードに
い、3日目の未明に発表の準備が完了し
た。
一斉に書き出し、まとめていった。曲の
た。
フリスカ
強弱、速度の移り変わりにポイントを置
きながら、発問の内容と関連教材の曲選
びにもますます熱が入った。そうした中
で、関連教材はモンティ作曲『チャール
ダーシュ』のフリスカの途中まで、とい
うことが決まった。今回私たちは、主教
(以下次号)
Ⅳ まとめ
研究発表・講評・研究協議から
∼
Dグループの発表は昼食後であったが、
授業者・金本教諭のハキハキとした、眠
少数精鋭のグループ研究はラプソディとともに① ◆◆――
(24)36
音楽鑑賞指導の研究と実践
指導内容
少数精鋭のグループ研究はラプソディとともに
指導内容
〈
「フリスカ」の鑑賞〉
②指導の流れ
――第 28 回音鑑「夏のセミナー」レポート(D グループ)
『ハンガリー狂詩曲 第6番』(リスト作曲)その2
東京都江戸川区立瑞江第三中学校教諭 宮森ひろみ
(財団「指導普及部会」委員、Dグループ助言者)
◎教材名『ハンガリー狂詩曲 第6番』
(リスト作曲)
対象学年:中学3年生(全1時間)
◎指導のねらい「チャールダーシュ(ラッサンとフリスカ)の表現の特徴を感じ取る」
指導内容
発 問
「フリスカ」の特徴をとらえる。 「今から3つの音楽を聴きま
〈Ⅰ- ①②,Ⅱ- ①②,Ⅲ- ①② す。この3つの音楽は強弱が
違います。ちょっと聴いてみ
の聴取 1回目〉
ましょう。では,1つめ――,
2つめ――,3つめ」――
「違いがわかりましたか?」
「それではもう一度聴きま
〈Ⅰ- ①②,Ⅱ- ①②,Ⅲ- ①②
す。今度は強弱の違いに気づ
の聴取 2回目〉
いたことをメモしながら聴い
てみてください。ワークシー
トを配ります。
」
「では聴きます。1つめ―
―,2つめ――,3つめ」―
「じゃあ,一つめは何と書き
ましたか? 2つめは何と書
きましたか? 3つめは何と
書きましたか?」
「他の人はどうでしたか?」
「まとめると,1つめは…,
2つめは…,3つめは…とい
う感じですね」
「これに似たようなことを感
じ取れた人は手を挙げて下さ
い。
」
41(24)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
予想される反応
D フリスカ
∼
記入
○ 1つめ:弱い,少し弱め
○ 2つめ:強い,少し強い
○ 3つめ:とても強い,
もっと強い
挙手
発 問
予想される反応
「実は今の3つの音楽は,つ
ながっているのです。それを
通して聴いてみたいと思いま
す。さっき細かく切っていた
1つめ,2つめ,3つめの変
わり目を合図していきますの
で,こちらを見ながら聴いて
みましょう。
」
「ラッサン」の特徴をとらえる。 「次に,もう1曲違う曲を聴
〈
「ラッサン」の鑑賞 1回目〉 いてみます。今度は,速度に
着目してほしいと思います。
さっきの曲と速度について比
べて聴いてみて下さい。速度
はどう違うでしょうか。気づ
いたことをワークシートに記
入して下さい。
」――
「さて,どうでしたか。さっ
きの曲と比べて,速度は……」
○ おそい,ゆっくり
――
「…ということですが,違っ
たことを書いている人はいま
挙手
せんか?」
「では,同じようなことを書
いた人?」
「たくさんの人が,感じ取れ
ましたね。
」
「今の曲が,ゆっくりした速
度だとすれば,さっきの曲は
…速い速度だったということ
……ですね」
〈
「ラッサン」の鑑賞 2回目〉 「次に,今のゆっくりの曲に
あわせて,指揮をしてみたい
と思います。腕をあげて準備
をしてください。出だしだけ
は,一緒にやってみて,後は,
音楽を聴きながら続けてみま 指揮
しょう。いいですか?」――
「どうですか? 苦労してい
る人が多いようですが…どう
でしょうね?」
〈
「ラッサン」の鑑賞 3回目〉 「なるほど…。じゃあ,もう
1回指揮した曲をかけますの
で,今度は,どうして指揮が
しにくいかを考えてながら,
じっくり聴いてみましょう」
――
夏ゼミ 04 レポート
(2) ◆◆――
(25)40
∼
指導内容
発 問
予想される
反応
指導内容
発 問
「さあ,どうして指揮がしにくいと思 ○ゆ っ く り 過
いますか。?」――
ぎ る ,伸 ば
「つまり,この曲が自由な感じで,揺
す音の長さ
れている感じがするから……というこ
がわからな
と……かな……。それでは,今のとこ
い ,細 か い
ろをワークシートにまとめましょう。
音が突然出
このゆっくりで自由な感じのする曲の
て く る ,拍
方を Aとします。こちらの速くてだん
子がとりに
だん強くなって,勢いよく終わる曲の
くい
方をBとします。ワークシートにA,B
を記入しましょう。
」
記入
〔このA、Bは譜例のŸ、 に当たる〕
「ラッサン」と「フリスカ」の全体像を
とらえる。
〈
「ラッサン」と「フリスカ」の通し鑑
賞〉
「ラッサン」と「フリスカ」の雰囲気の
違いの確認
〈モンティ作『チャールダーシュ』の部
分鑑賞〉
「チャールダーシュ」の説明
「実は,このAとBの曲は,つながっ
ているのです。通して聴いてみましょ
う。その時に,Bの部分,つまり,速
くてだんだん強くなって行く部分が出
てきたことがわかったら、手を挙げて
みましょう。
」――
挙手
「みんな,よく感じ取れていました
ね。
」
「Aは,ゆっくりで自由な感じの演奏
でしたね。だから,指揮も振りにくか
ったのですが……。それに対して,B
は,Aより速くてだんだん強くなって,
勢いのある演奏でした。このような2
つの部分からできている曲を,もう1
曲紹介しますので,聴いてみましょう。
その時に、Bと同じような部分がきた
挙手
ら手を挙げて下さい。
」――
「みんな感じ取れていました。すばら
しいですね。
」
「いま聴いた曲も,最初に聴いたピア
ノ曲も A:ゆっくりで自由な感じの部
分と B:速くて,だんだん強くなって
勢いのある部分の,2つの部分があり
ました。この曲はこういう2つの部分
でできていて,
“チャールダーシュ”と
言います。このカードにある名前を大
きな声で読んでみましょう。――はい,
ワークシートの上の方の2重線の四角
に,書き入れましょう。
」
「Aの,ゆっくりで,自由な感じの部 読む,記入
分をラッサン,Bの,速くて,だんだ
ん強くなって,勢いのある部分を,フ
リスカといいます。
」
39(26)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
〈ハンガリー狂詩曲第6番を全曲鑑賞〉
∼
*)
∼
予想される
反応
「このラッサンとフリスカから成り立
っているチャールダーシュという音楽
の形は,ハンガリージプシーの人々が
よく演奏する音楽の形なんです。最初
に鑑賞したピアノ曲は,このチャール
ダーシュを含んだピアノ曲で,リスト
作曲『ハンガリー狂詩曲第6番』とい
う曲です。では,ワークシートに,こ
の曲名と作曲者名を書き入れましょ
う。
」
記入
「書き入れましたか?…いま,
“チャ
ールダーシュを含んだ”といいました
が,それは,実は A、Bの前に少し曲
があるのです。それでは,
『ハンガリー
狂詩曲第6番』を最初から聴いてみた
いと思います。途中,チャールダーシ
ュの部分が出てきたと感じたら,手を
挙げて下さい。覚えているかな……ち
ょっとピアノで弾いてみますね。Aの
部分は……,Bの部分は…。思い出し
ましたか? では聴きますので,わか
ったらそれぞれ手を挙げて下さい。
」
挙手
「今日は,
“チャールダーシュ”とい
う音楽について勉強しました。皆さん,
チャールダーシュの特徴を感じること
ができましたね。どうでしたか? 機
会があったらまた,聴いてみくださ
い。
」
講師のお2人と D 班の先生方
夏ゼミ 04 レポート
(2) ◆◆――
(27)38
音楽鑑賞指導の研究と実践
1 教材研究
インパクトある旋律と独特のリズムを切り口に
¸
楽曲、及び演奏
Cグループのために選んだドヴォルザ
ーク作曲の『スラブ舞曲第 8 番』は、あ
第 28 回音鑑「夏のセミナー」レポート(小学校高学年)
『スラブ舞曲第 8 番』
(ドヴォルザーク作曲)
まり馴染みのない曲かもしれないが、舞
曲のフリアント形式を基盤に置いたこの
楽曲は、ドヴォルザークの作曲した全
16 曲の『スラブ舞曲』の中でもひとき
東京都世田谷区立松沢小学校教諭 大湊 勝弘
(財団「指導普及部会」委員、C グループ助言者)
わ迫力があり、ダイナミクスの幅が広く、
且つ拍子やリズムの躍動感が心を震わせ
る。
音源(演奏)については、ノイマン指
既に本誌で度々述べられたように、今
感想(発言)からねらいを絞るのでは
揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の
年度の音鑑「夏ゼミ」の趣旨は、従来よ
なく、教師があらかじめねらいを焦点
ものを用いた。全体の音量や楽器・強弱
りもいっそう「音楽を聴く」という原点
化して音楽を提示すること
のバランス、またテンポもほどよく、聴
に立ち返ったものであったと言えよう。
すなわち、研修テーマに掲げられた「音
楽を愛好する心情を育てる鑑賞の指導」
、
つまり音楽を好きにさせる、音楽ってい
⃝誰でも分かる、楽しい授業を展開する
こと
⃝関連楽曲を効果的に取り入れ、主教材
をより際立たせること
いていていちばん心にフィットする演奏
だと考えた。
初めてこの曲を聴くというメンバーも
多い中、ともかくもまず曲を聴いて教材
いなあ、と子どもたちの心情に訴えるた
⃝ねらいに添うよう、使用する音源(演
性を考えることにした。
出された意見は、
めにはどうすればよいか、そのための指
奏)をあらかじめ選定しておくこと
主な旋律の反復や変化その対照、強弱の
導法は…、ということを探る研修会であ
⃝指導案は主に、本時のねらい・学習の
変化を感じ取る、楽器の音色に親しむ、
ったと考える。
研究事業主管、渡邊学而先生の主張さ
流れと、教師の発問、子どもの反応を
きめ細かく記したものとすること(そ
曲想の変化を味わう、などである。
他にもいくつかの演奏を聴いたり映像
この旋律がどのように繰り返され、また
変化していくか、そして対照的な旋律は
どれか、という点に焦点を当て、「旋律
の反復、変化を感じ取ろう」ということ
に「ねらい」が落ち着いた。
º
旋律の感受
鑑賞の指導においては、旋律をどのよ
うに感じ取らせるかが授業の一つのポイ
ントになる。旋律を口ずさむ、旋律を演
奏するなど、実際に音を感じ取ることが
大切であり、その手段として、初めにリ
ズム打ちから入ることにした。
この曲は、一見(一聴?)すると大き
な3拍子で流れているように聞こえる
が、途中から6/8拍子にも感じられる
(実際の演奏では3/4拍子を一つ振り
で感じ取って演奏する)。この「フリア
ント形式」のリズムによる旋律が『スラ
ブ第8番』の大きな特徴である。このフ
リアント形式のリズムを体験してから旋
律を感じ取るように考え、加えて、第2
主題の静かな旋律との対照を明らかにす
ることにした。
»
関連楽曲
れてきた、音楽の授業は子ども全員が分
の他の事項は省略)
を見たりしたが、結局この演奏がいちば
また「関連教材」は何がよいかを考え
かるものであること、1時間の授業が楽
などである。
んよいということで落ち着いた。上記の
た。本セミナーでは、関連教材を効果的
しい、また聴きたい! という欲求を満
これまで行なわれてきた、「楽曲を聴
ように、事前に演奏(音源)を絞って本
に活用すること、それによって主教材の
たせるようにすること、そのためのねら
き、自由に子どもが感じ取ったことを述
番に臨むということになっていたため、
魅力をいっそう引き立たせ印象づけるこ
いの焦点化、発問の仕方・タイミング、
べる」のではなく、教師がねらいたい点
これもグループ研究が比較的スムーズに
と、にねらいの重要なひとつがある。こ
加えて、ねらいに迫ることのできるより
を明確にし、それが子どもたちに伝わる
運んだ要因の一つと思う。
の曲選びにも苦労した末、最終的には同
適切な楽曲の選択および関連教材の効果
ためにはどのような手段を講じて学習過
的な活用の仕方など、様々な課題につい
程を組み立てるのか、またねらい達成の
て、助言者一同、事前研究会を重ねて臨
ためのもっとも効果的な演奏はどれか、
んだ今年の夏のセミナー本番であった。
というところが、従来とは異なる点であ
¹
る。
この曲の魅力はなんといっても初めの
今回特に意識して、あるいは準備をし
て臨んだ点は、
⃝(音楽を聴いた後の)子どもの自由な
47(18)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
以下、本番でのグループ研究の経過を
述べたい。
教材性が出された後、指導のねらいを
焦点化する作業が始まった。
ねらいについて
旋律にインパクトがあり、強烈な印象を
心に残す。皆の様々な意見を集約して、
じスラブ舞曲の中から『第5番』を聴く
ことにした。この曲は2拍子の軽やかな
感じの曲で、曲想や、3拍子との対比に
おいても適しているからである。
2 指導の流れ
さて、教材研究を通してねらいと内容
夏ゼミ 04 レポート
(3)◆◆――
(19)46
がある程度定まってきたところで、今度
の旋律をしっかりと歌えるようにするこ
の主題をとらえるために、どのような方
深く聴く。
はそのねらいを達成させるための内容の
とは、大変重要な活動である。この曲の
法が考えられるだろうか。案としては旋
③ 旋律の変化
吟味と学習の流れを組み立てる作業であ
旋律はフレーズも比較的短く、高学年で
律を歌う、指揮をする、リズムを打つな
る。
は覚えやすい。だが、この短い旋律の中
ど、さまざま考えられるが、その進め方
旋律の反復と変化を感じ取るために
にさらに長調と短調の短い部分が交互に
として以下の案が出された。
は、どのような手だてがあるだろうか。
あり、その音の違いが感じ取れるかどう
・第1主題をおさえてから、第2主題を
この曲は大きく分けて激しいフリアント
かということも話題になった。
形式の第1主題と、静かな木管のメロデ
ィーが浮き立つ第2主題とに分かれる。
その対比や変化を感じ取らせるためには
どうしたらよいか。このことが大きなテ
ーマとなった。
○第1主題の主な旋律をAとし、この
いろいろと話し合った結果、主題の旋
律のリズムから入ることにした。初めの
リズムを膝で打つのだが、最初はやさし
いリズム打ち(手拍子)から入り、徐々
にこの主題のリズムへと進む。このリズ
ム打ちは、ある言葉を当てはめて行なう
旋律にしっかり親しむようにしよ
方が子どもたちにとっては覚えやすい。
う。そのための手だては?
そこで、どのような言葉を当てはめたら
○第2主題Bは、その対比を明確にし
よいかを考え、皆の「今年の夏は本当に
て分かるようにしよう。そのための
暑いねえ!」という会話からヒントを得
指導の方法は?
て「なつはおばけやしき すごくこわい
¸
導入の仕方
導入では、この曲の印象的な旋律を聴
かせるところから入る方法と、リズムを
打ってそのリズム・パターンを覚えさせ
る方法とが考えられた。
○いきなり聴かせ、音そのものでイン
パクトを与える。
○リズムを抽出して、たたいてみる。
まとまった意見では、まず、Aの主題
を把握するために、前段階としてフリア
ントのリズムを打つ、その次に主な旋律
ね」という言葉でリズムを打つことにし
た。
な つ は お ば け や し き
す ご く こ わ い ね ・ ・
このリズムに合う曲はどれか、リズム
を打ちながら主教材と関連教材を聴き比
べて、2曲の違いを感じ取るようにした。
¹
主題の反復と変化の感受
を口ずさむ、そして指揮をする、という
――本時の展開として
活動である。主な旋律を覚えるためにそ
この曲の特徴、すなわち対照的な2つ
45(20)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
聴かせる。対比する。
・第1主題のつづきを予想させる。
・第2主題の曲想に気づかせる?
→要素(強弱)に結びつける。
第1主題の反復の中の微妙な変化をど
Bの旋律の感受 →Aの旋律から
Bの旋律(第2主題)に移る。
このように、旋律を口ずさんで音楽を
感覚的に把握する、次に異なった旋律が
出てきたら、その対照を感じ取るように
した。この後の展開をどうするか。
º
ふしの続きは?
これまでA→Bと旋律が出てきたが、
のようにとらえるかについていろいろ検
このあと曲はどう展開していくのだろ
討した結果、あまり細かく分けずに大き
う。子どもたちに、その次はどのような
くとらえるようにしてはどうか、という
旋律が来るか想像させる場面で、ここが
ことに落ち着いた。
授業の一つのポイントである。Aの旋律
※第1主題を提示する際には「Aの旋
律」とした。
展開過程の旋律の感受では、ピアノの
伴奏で旋律を口ずさむことから始める。
ピアノ伴奏にあわせてゆっくりから徐々
に速くして、この楽曲のテンポまで引き
上げる。次にオーケストラと一緒に口ず
さむように流れを設定した。
ここまでをまとめると、次のようにな
る。
を立って指揮をする、Bの旋律では座っ
て指揮をする、それ以外の旋律をCとし、
それぞれ子どもたちに想像させることに
して、授業を組み立てた。
Aの旋律
Bの旋律
?
※この旋律を想像させる(Aの旋律)
※詳しい構成は別掲の図〔ホームペー
ジ掲載〕を参照。A→Bの後、またAの
旋律が出てくる、が正解。当日の模擬授
① 主題の旋律の感受
Aの旋律…リズム打ち(やさしい
リズム、旋律のリズム)→ピアノに
合わせて口ずさむ →オーケストラ
の演奏に合わせて口ずさむ
② 旋律の反復
Aの旋律が何回出てくるか、注意
業でも、受講者扮する生徒たちが様々に
自分の考えを表わしていた。
4 模擬授業と講評
このような展開を考え、研究発表の授
業のシミュレーションを何回も重ねて本
番を迎えた。結局、寝たのが当日の早朝
夏ゼミ 04 レポート
(3)◆◆――
(21)44
二葛西小学校)、そして個性的な(?)
(?)ということで、体力的にも心配し
メンバーをスムーズにまとめてくださっ
たが、そこは皆さんベテランの意気ある
た宇城昌里子教諭(広島市立宇品東小学
いは若さで乗り越え、模擬授業に取り組
校)。皆さんの息の合った協力体制で無
教材
んだ(授業の流れは別掲の指導展開例を
事終了した。
指導のねらい
参照)。
授業後の協議会では、リズム打ちから
授業者は、フレッシュな感覚で前半を
入る導入の必要性、Aの旋律の反復時の
担当された才畑紀久代教諭(福岡県前原
指揮などについて質問が出された。講評
市立南風小学校)、落ち着きのある味わ
では、今回はオブザーバーの橋本研先生
い深さで後半を指導された山本明美教諭
から、ねらいに迫るためのステップの示
(千葉県銚子市立興野小学校)の2人で
し方、また同じく宮下秀邦先生から、頭
ある。それぞれが持ち味を生かし、ねら
出しなど音源の提示の仕方などについて
いに引きつけた授業の展開になったと思
ご指導いただいたが、事後の「グループ
う。
別研究協議」において皆でさらに授業を
授業のまとめでは、身体表現で感じ取
った楽曲の構成を押さえて、音楽をじっ
くり味わう場面も必要であったが、時間
の都合で割愛した。
振り返り、検討を行なった。
Cグループのメンバーそれぞれが、学
校をはじめそれぞれの地区で活躍されて
回も挑戦し、バッチリ音出しをして下さ
いる先生方である。いろいろな価値観が
った大塚知子教諭(神奈川県横浜市立吉
飛び交い、グループでの話し合いは活発
原小学校)、全体の流れを的確にまとめ
で、私も大いに触発された。メンバー全
て経過報告をしてくださった柳田加代教
員が今後もこの貴重な経験を生かして、
諭(埼玉県越谷市立花田小学校)、手際
地元で鑑賞指導をはじめ音楽全般にわた
よく簡潔明瞭に話し合いを記録して下さ
る分野でさらに活躍されることを願うも
った松岡敬子教諭(東京都江戸川区立第
のである。
43(22)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践
『スラブ舞曲第8番』ドヴォルザーク作曲
主な旋律の反復と変化を感じ取る。
指導内容と発問
予想される子どもの反応
①主な旋律に親しむ。
○今日はリズム打ちをします。
先生のまねしてね。
〈手拍子、もも打ち〉
少しむずかしくするよ。じゃあ、はやくしてみよう。
ことばをつけて、やってみよう。
(うまくできなかったら)
「なつはおばけやしき すごくこわいね。」
○今から、2つの曲を聴きます。どちらの曲が今のリズムに合
うか聴いてください。音楽が聞こえないといけないから、指
1本で小さくたたくよ。
〈音楽 第8番、第5番〉
5 終わりに
この他に、本番に向けて機器操作に何
講
師
の
お
二
人
と
C
班
の
先
生
方
第6学年 指導展開例 C班
・リズム打ちをする
・えー
・よくわからない。できた。
・口ずさみながら、手拍子をする。
・音楽を聴いて、リズム打ちをする。
8は合う、5は合わせにくい。
○どちらがさっきのリズムにあっていたかなぁ。
そうだね。1曲目だね。もう1度、確かめてみましょう。
〈音楽 第8番〉
・1曲目です。
今度はリズムなしで聴いてみよう。
今日は、このふしをしっかり覚えてほしいんだよね。いま歌
える?
それでは、ピアノで弾いてみるからよく聴いてください。
〈ピアノで単旋律を弾きながら範唱する〉
今度は一緒に歌ってみよう。
○よく歌えたね。では、少しずつはやくするよ。
2回続けていくよ。
〈ピアノ〉
では、上手に歌えたから今度は、オーケストラと一緒に歌っ
てみよう。
〈音楽 16 小節〉
すごくはやいね。
出だしに気をつけて、もう1度やってみよう。
○オーケストラに合わせて、上手に歌えましたね。
いま覚えたこのふしをAとします。(歌って)ここまでで、
1回とするよ。
(板書)
②主な旋律の反復に気づく
○実はね、この曲は、このふしが何回も出てくるんだよ。今か
ら流すから何回でてくるか、数えてね。
〈音楽 16 ×3小節〉
○何回だった?
じゃあ先生と一緒に確かめよう。今度はみんなで数えながら
聞こうね。
〈指で数える〉
4回くりかえされていたんだね。
Aのふしはどんな感じがするかな?
・旋律を聴く。
・一緒に打ち合わせる。
・歌えない、自信ない。
・旋律を歌う。
・歌いにくい、歌えない。
・えー。オーケストラと? やりた
い!
・オーケストラと一緒に歌う。
・指を折って数える。
・2回、4回。
・一緒に指を折って数える。
・激しい、強い、勢いがあるなど。
夏ゼミ 04 レポート
(3)◆◆――
(23)42
同じように感じた人?(板書)
では、もう一度聴いて確認してみよう。
〈音楽 16 小節〉
みんなの言ったとおりだったね。先生もそう思ったよ。
この後も、いま聴いたふしと似たようなふしがでてくるんだ
よ。ちょっと聴いてみてね。
もう一回最初からかけるよ。
〈音楽 第1主題〉
○この続きはどうなるのかな? 聴いてみよう。
〈音楽 第2主題〉
○どんなふしだった? Aのふしと比べてどんな感じがしまし
たか?
○もう1度、今のところを聴いてみよう。
〈音楽 第2主題〉
同じ様に感じた人? 他にはどうかな?(板書)
確かめるために、もう1度聴いてみましょう。
〈音楽 第2主題〉
○いま聴いたふしをBとしましょう。
A、Bと来ましたね、この後も続いていくのだけれど、次は
何がくると思う?
Aだったら、立って歌ってね。 Bだと思った人は、座った
まま手を動かしてみよう。Cだと思った人は、耳をこうして
聴いてみよう。
Bから聴いてみるから、聞こえた音の動作をしてくださいね。
〈音楽 第2主題∼第1主題/図を指す〉
○そうだね。Aがでてきたね。
○この後ももう少し続くのだけれど、最後まで聴いてみようか。
④曲全体の旋律の変化、反復を感じ取る。
○この曲には、AのふしとBのふしがあるんだね。今度はAの
ふしがでてきたら、立って指揮をしてみよう。Bのふしがで
てきたら。座ってください。
〈音楽 全曲〉
○最後は、立ってたね。よくできたね。
みんなAとBのふしを聴き分けることができたね。この曲は
こんなまとまりになっていたんだよ。
〈構成図を提示する〉
このコーダっていうのはね、曲のしめくくりの部分なんだよ。
今日聴いた曲は、『スラブ舞第8番』、ドヴォルザークという
人が作曲しました。では、最後にじっくり味わって聴いてみ
ましょう。
〈音楽 全曲〉
では、今日の学習はこれで終わりにしましょう。
・ふしのくりかえしに気をつけて聴
く。
・よくわからない。
・落ち着いた感じ、なめらか、ゆった
りなど。
・手を挙げる、首を傾げる。
・Bという認識をもつ。
・Cかな? Bかな? Aかな?
・Aがきた
・指揮をまねる。
・立ったり、座ったりする。
・構成図を見る。
・じっくり聴いている。
使用した音源(ディスク)
教材
スラブ舞曲 O p.
46 − 8(4分 25 秒)
関連曲
スラブ舞曲 O p.
46 − 5(3分 16 秒)
ヴェーツラフ・ノイマン指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
41(24)――◆◆ 音楽鑑賞指導の研究と実践