2014年10月23日 Financial Market Review vol.155 ~量的緩和終了と季節性からみた米国株式の今後の動向~ 過去の10月相場と今回の米国株式市場の下落要因 “Wall Street‘s October Massacre” (10月はウォール街 の大虐殺の月)と言われるように、10月は相場が荒れる月 として知られています。1929年の大暴落や1987年のブラッ ク・マンデー(暗黒の月曜日)、1997年のアジア通貨危機、 2008年のリーマン・ショック時の株価暴落など、これまで何 度も、世界的な株式市場の下落が10月にも生じました。 今回は、一部の米国経済指標の悪化に加えて、中東やウ クライナなどの地政学的リスク、ユーロ圏経済の減速懸念、 原油などの国際商品市況の下落、エボラ出血熱の米国内 での拡散不安などの材料が重なったことが株価下落の主 な要因とみられています。またこの10月に、FRB(米連邦準 備制度理事会)が量的緩和第3弾(QE3)を終了することで、 米国や世界の経済が減速するとの懸念が拡大したことも下 落要因のひとつとして挙げられています。 【図表1:米国株式(NYダウ)とマネタリーベースの推移】 (期間:2007年1月~2014年9月、月次) 20,000 (10億ドル) (ドル) マネタリーベース(右軸) 3,000 10,000 2,000 5,000 1,000 QE1 0 08/1 量的緩和終了と米国株式の季節性 09/1 QE3 QE2 10/1 11/1 12/1 13/1 0 14/1 (年/月) 【図表2:NYダウの月次平均騰落率】 (対象期間:1971年1月~2014年9月) 2.5 (%) 2.2 2.0 1.5 1.7 1.3 1.2 1.2 1.0 0.7 0.3 0.5 0.5 0.2 0.0 ▲ 0.1 ▲ 0.5 ▲ 0.2 ▲ 1.0 ▲ 1.0 ▲ 1.5 1月 米国株式の今後の動向 米国株式の今後を考える上で、以下の点は考慮に値すると 考えられます。 1)過去2回の量的緩和(QE1・QE2)終了時には、ほぼ同時、 あるいは少し遅れて米国株式は底を打っている。 2)10月~翌年5月は上昇することが多い。 3)第4四半期~翌年前半(第1・2四半期)は、上昇しやすい と考えられる。 FRBは、米国と世界の経済動向に留意しながら、今後の金融 政策を慎重に実行していくと思われます。量的緩和の終了は、 “出口戦略”として既定の道筋であり、回復の過程にあると思 われる米国経済への影響は軽微なものに留まると考えていま す。米国株式市場は、今後も様々な内外の要因で過度に変動 する局面もあると思われますが、米国経済の緩やかな回復を 背景に、緩やかな上昇基調をたどると考えられます。 4,000 15,000 07/1 米国の量的緩和(QE)と米国株式(NYダウ)の関係をみて みると、QE1(2008年11月-2010年6月)、QE2(2010年11月2011年6月)終了後は、ほぼ同時もしくは少し遅れて米国株 式は底を打ち、反転上昇となりました。(図表1) また、NYダウの“季節性”をみるために、月次と四半期別 の平均騰落率を調べてみました。 過去のNYダウの月次平均騰落率(1971年1月~2014年9 月)は、6・8・9月はマイナス、10月~翌年5月はプラスとなり ました。10月~翌年5月は、年によりばらつきはあるものの、 上昇した年が多かったことがわかります。(図表2) また、 四半期別に平均騰落率(1971年第1四半期~2014年第3四 半期)を見てみると、第1・2・4四半期はプラス、第3四半期 はマイナスとなっており、第4四半期~翌年前半(第1・2四 半期)は、上昇しやすいと考えられます。(図表3) 5,000 NYダウ(左軸) 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 【図表3:NYダウの四半期別平均騰落率】 (対象期間:1971年第1四半期~2014年第3四半期) 4 3 (%) 3.4 2.9 2.4 2 1 0 ▲ 0.4 -1 1Q 2Q 3Q 4Q (出所:ブルームバーグ、FRBのデータを基にニッセイアセットマネジメント作成) 当資料は市場環境に関する情報の提供を目的としてニッセイアセットマネジメントが作成したものであり、特定の有価証券等の勧誘を目的とするものではあり ません。 当資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。当資料のグラフ・数 値等はあくまでも過去の実績であり、将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。また税金・手数料等を考慮しておりませんので、実質的な 投資成果を示すものではありません。 当資料のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 <審査確認番号H26-TB87>
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