電子の流れ図
①
②
δ -
C
δ +
+
C
N
+
H
書き方のポイント(教科書p63)
矢印の始点は、結合電子や非共有電子対
原子又は新しい結合の位置を終点にする
(電子は、原子に担われる)
電子を持っていない原子を始点にはできない(③)
収容できる電子の数に注意する(オクッテット則)
-
C
O
○
③
Br -
C+ +
Br
O
+
N
H
×
④
C
Br +-OH
教科書p63-64
C
OH +
Br -
教科書p64
形式電荷
H
ニトロメタン
CH3NO2
H
C
N
O
H
O
H
C
N
O
H
O
形式電荷=価電子数(基底状態の最外殻電子数)
-結合電子数の半分-非共有電子対の電子数
H
H
C
H
+
N
O-
O
H
H
C
H
5-4-0=+1
H
H
C
N
H
O
O
6-1-6=-1
6-2-4=0
+
N
-
O
O
電子を移動させてもその前後で形式荷電の総和は
変わらない(電子がどこかへ行ってしまう事はない)
教科書p43
反応とはなにか?
反応=(共有)結合が切れて、新しい(共有)結合ができる
結合はどのように切れるか?
A B
ヘテロリシス
A
-
+ B
アニオン
δ+
C
+
① 極性反応
結合に関わる2個の電子が
一方の原子に移る
カチオン
C+ + X
X
δ-
-
C
Nu
-
Nu
求核試薬
② ラジカル反応
A B
ホモリシス
+ B
A
ラジカル
X
2X
X
C H
結合に関わる2個の電子が1つずつ
均等に2つの原子に移る
X
C
+ H X
反応の分類(反応のタイプ別)
教科書p66
●置換反応(substitution reaction)
A-B + X
A-X + B (B: 脱離基)
原子や原子団が置き換わる
●付加反応(addition reaction)
A=B + X-Y
A-B
X Y
多重結合に原子や原子団が付加する
●脱離反応(elimination reaction)
A-B
X Y
+
A=B + XーY (or X + HY )
付加反応の逆の反応
X, Y: 脱離基
●転移反応(rearrangement reaction)
A-B
X
A-B
X
分子内で結合の仕方が変わる
反応の分類(反応試薬別)
教科書p67
極性反応: 本質的には、電子の豊富な原子や分子と電子不足
の原子や分子との親和力によって起こる
=
電子不足と電子豊富な原子や分子を認識できることが大切
電子不足の原子や分子=求電子剤(electrophile)=Lewis 酸
H
+
+
CH3CH2 BH3 NH4+ H3O+
電子豊富な原子や分子=求核剤(nucleophile)= Lewis 塩基
HO-
Cl-
CH3NH2 NH3 H2O
求核剤は電子を与え、求電子剤は電子を求める=両者は反応する
教科書p67
置換反応と脱離反応
反応座標図で最も高い山(エネルギーの大き
い遷移状態)が単分子的であるか、二分子的
であるかによって反応の進み方が異なる。
求核置換反応・・・単分子的反応(SN1)、二分子的反応(SN2)
(Nucleophilic Substitution Reaction)
脱離反応・・・単分子的反応(E1)、二分子的反応(E2)
(Elimination Reaction)
求核置換反応
① SN1
C
δ+
+
C
C+
X
δ-
+
教科書p68-69
SN 1
X-
求核剤が関与しないまま炭素-ハロゲ
ン間の結合が不均等開裂してカルボカ
チオン(求電子剤)が生成し、これが求
核剤と反応して置換生成物ができる.
-
+
例:ハロゲン化アルキル
(X=F, Cl, Br, I)
C
Nu
Nu
② SN2
-
Nu
+
C
δ+
X
δ-
C
Nu
求核剤が炭素に近づいて新しい結合が形成されるにつれて
炭素-ハロゲン間の結合が不均等開裂する
+
X-
SN2
反応中間体(平面構造)
-
+
+
SN1
-
X
Nu
求核剤はどちら側から
でも反応できる
Nu
R体とS体両方ができる(いつも完
全ラセミ化するわけではない)
X
δ+
Nu
δ-
Walden 反転
SN2
-
Nu
X
遷移状態
Nu
脱離基が不斉炭素に結合している場合は、立体
配置が反転して一方の異性体のみが生成
SN1反応
CH3
CH3-C+
CH3-C-Br + H2O
水(求核剤)
CH3
CH3-C
CH3
+
CH3-C
OH
CH3 H
+ Br- + H2O
CH3
多くのSN1反応では
臭化tert‐ブチル 溶媒が求核剤として働く
CH3
CH3
CH3
OH
+ H3O+
OH
tert‐ブチルアルコール
H
反応速度=k[臭化tert‐ブチル]
・・・一次反応・・・
律速段階の反応(最も⊿G ‡が大きい反応
段階)には、基質のみが関与している(教科
書67-68ページ参照)。
自
由
エ
ネ
ル
ギ
ー
CH3
CH3-C+
CH3
CH3
CH3
CH3-C
+
OH
CH3 H
CH3-C-Br
CH3
CH3
CH3-C
CH3
反応座標
OH
SN2反応
HO- + CH3Br
ヒドロキシドイオン
(求核剤)
HO- +
CH3OH + Br-
臭化メチル
遷移状態
C
δ+
δ-
Br
HO
C
Br
HO-C
+ Br-
立体配置が反転!
反応速度=k [臭化メチル] [求核剤]
・・・二次反応・・・
自
由
エ
ネ
ル
ギ
ー
律速段階の反応には、基質と求核剤
の両方の分子が関与している。
反応座標
教科書p69-70
求電子置換反応(electrophilic substitution reaction)
芳香族化合物で多く見られる反応(付加と脱離が起こる)
E
H
+
+
E+
H+
求電子剤
求核剤は電子の足りない部分には
直接攻撃しない(芳香核が壊れる)
+
+ E+
H
H
E
E
B
H
+
π電子が求電子剤
を攻撃
塩基
カチオン中間体
E
E
+
+
HB+
教科書p70-71
求電子付加反応(electrophilic addition reaction)
求電子剤が多重結合と反応する
より安定
3級カルボカチオン
H3C
H
C
H3C
+
C
H
2-メチルプロペン
H
H3C
H-Cl
δ+
δ-
求電子剤
①π電子が分極したHを攻撃
②H-Clの結合が切れる
③カルボカチオンの生成
(安定なカルボカチオンは?)
④Cl-がカルボカチオンを攻撃
C
H3C
+
CH
H
>>
1級カルボカチオン
H3C
H3CC
H3CC
Cl
H
CH
H
塩化tert-ブチル
(主生成物)
CH
+
H
Cl-
H3C
H
Cl-
H3C
H3CC
H
H
CH
Cl
塩化イソブチル
教科書p71
求核付加反応(nucleophilic addition reaction)
例:アルデヒド(-CHO)やケトン(-C=O)
ヒドリドイオン(求核剤)
δ-
δ+
H3C
H
O
-
O-
OH
+
C
CH3
アセトン
H3C
H3C
H3O
C
H
アルコシキドイオン
①求核剤が分極したカルボニルのCを攻撃
②C=Oの二重結合開裂
③π電子がO上に移動
④求電子剤とアルコキシドイオンが反応
H3C
H3C
+ H2O
C
H
イソプロパノール
教科書p71-72
脱離反応(Elimination reaction)
E1反応(単分子的反応・SN1とセットで覚える)
δ-
H3C
δ+
B(塩基)
Cl
C
CH3
CH3
2-クロロ-2-メチルプロパン
H3C
+C
H3C
H
C H
H
早い反応
H3C
H
C
C
H3C
H
イソブテン
(2-メチルプロペン)
①分極したC-Cl 間でClに電子が引き抜かれ、カルボカチオンが生成
②正電荷を持つ炭素の隣の炭素に結合したHに求核剤(塩基)が攻撃
( SN1では、正電荷を持つ炭素に求電子剤が攻撃した)
③C-Hの電子がC-Cへ移動し、二重結合が生成
教科書p72
脱離反応(elimination reaction)
E2反応(二分子的反応・SN2とセットで覚える)
B(塩基)
R
H
R
C
R
C
B
H
R
H
B
R
C
R
X
R
遷移状態
R
R
C
R
C
X
C
R
+ +B-H
R
+
X-
①脱離基(X)の付いた炭素の隣の炭素を求核剤(塩基)が攻撃
(SN2では、脱離基の付いた炭素を攻撃)
②C-Xの開裂、C-Hの開裂、C=Cの生成が協奏して起こる
( SN2では、立体配置が反転した)
X
Ph =
E2反応の例
H
H
Br
Ph
高順位
Ph
C
C
Ph
メソ-1,2‐ジブロモ-1,2-ジフェニルエタン
Ph 高順位
(E)-1-ブロモ-1,2-ジフェニルエテン
(E,Z異性体については35ページ参照)
Ph
Ph
Br
C
E2脱離によって純粋なE体が得られる
H
Br
H
C
Br
H
Br
脱離は、ほとんど常にアンチ近平面形から起こる(重要!)
(反応に関わる原子(H,C,C,Br)が全て同じ平面(近平面)
にあり、HとBrは分子の反対側(アンチ)から離れる。)
E2反応の立体化学
E2反応では、Hに結合している炭素のsp3軌道とハロゲンに結合
している炭素のsp3軌道が生成物であるアルケンのp軌道になる。
脱離するHとハロゲンは、同じ平面状になければならない
(遷移状態で軌道が重なるように位置していなければならない)
HX
H
60°
0°
重なり型
(不安定)
ねじれ型
(安定)
X
シンペリプラナー
アンチペリプラナー
E2反応の立体化学
H
B
X
シン脱離
電子の豊富な塩基とハロゲン
が同じ側にいる(反発が大きい)
H
X
B
アンチ脱離
電子の豊富な塩基とハロゲン
が反対側にいる(反発が小さい)
章末問題(p73, 74) 2-(a) と 3-(a)
CH3CH2CH2OH + H-Br
δ+
δ-
H
-
CH3CH2CH2OH + Br
+
プロトン化したプロパノール
H
H
CH3CH2C ― OH + Br-
+
H
CH3CH2CH2Br + H2O
臭素イオンの攻撃とH2Oの脱離が同時に起こる
2-(a)の解答・・・OHがBrで置き換えられているので置換反応
(二段目の反応はSN2的に進む)
章末問題(p74) 2-(b) と 3-(b)
δ-
OH
C
δ+
CH3
H
+
触媒
+
H O H
H
+
C
CH3 + 2H2O
H
アルコールがプロトン化し、その後にH2Oが
自発的に脱離してカルボカチオンが生成する
+
C
H
H
C H
H
+ H2O
塩基
+
CH=CH2 + H3O
カチオンの隣の炭素に結合する水素がプロトン
として引き抜かれて、二重結合ができる
2-(b)の解答・・・OHが脱離して二重結合ができているので
脱離反応(E1)
章末問題(p74) 2-(c) と 3-(c)
H3 C
+
CH3
C
+
C
H
Br CH3
-
C C + Br
H
CH3
H3C
Br
CH3
π電子が、臭素と反応
(102ページ参照)
+
Br CH3
-
+
Br
C C
H
CH3
H3C
Br
環状ブロモニウムイオン(中間体)
3員環の炭素はsp3混成
Br
H3C C
H
CH3
C
CH3
Br
臭素イオンは、3員環の反対側から
炭素を攻撃する
2-(c)の解答・・・Brが2つ付加しているので、付加反応