成 膜 大 学 理 工 学研 究 報 告 J.Fac.Sci.Tech,SeikeiUniv. Uo1.48No.2(20--)pp.59-62 (新 任 者 の 論 文) ホ ス ホ リパ ー ゼ を用 い た機 能 性 化 合 物 の リン脂 質誘 導 化 法 に 関す る研 究 山本 幸 弘*1,細 川 雅 史=z,宮 下 和 夫娼 Studyonphosphatidylationoffunctionalcompoundsusingphospholipases YUkihkoYAMAMOTげlMasashiHOSOKAWパ2KazuoMIYASHITA.3 ,,, ABSTRACT:HereIdescribeaboutthephosphatidylationoffunctionalcompoundsusingphospholipases whichiscoveredwithmydoctoralthesis.Physiologicallyactivecompoundsuchasconjugatedfattyacid, terpenesandphenoliccompoundssometimeexerttheiractivitynotfullybecauseoftheirpoorsolubilityin acertainenvironment.Ontheotherhand,phospholipidshavecharacteristicamphiphilicpropertyand biocompatibility.Inthisstudy,severalphysiologicallyactivecompoundswerephosphatidylatedusing phospholipasessuchasphospholipaseA2andphospholipaseD.Theenzymaticreactionwasmodifiedand optimizedfortheyield.Inaddition,thephosphatidylatedcompoundsweretestedfortheirphysiological activityinvitro.Conjugatedlinoleicacidswhichhaveanti-obesityeffectswerephosphatidylatedrnediated byphospholipaseA2.Inthisreaction,itisfundthatwatermimicssuchasformamidewaskeyfactorfor thesyntheticreaction.Severalterpenesandphenoliccompoundswhichhaveanti-cancereffectsor anti-oxidativeeffectswerephosphatidylatedmediatedbyphospholipaseD.Somephosphatidylated compoundswereexertedhigheranti-cancereffectscomparetoparentcompounds. Keywords:phospholipid,phospholipase,conjugatedlinoleicacid,terpenes (ReceivedSeptember21,2009) 1.は じめ に 質 誘 導 化 す る た め の 新 規 反 応 プ ロ セ ス の 開 発 と,得 られ た リ ン脂 質 誘 導 体 の 機 能 性 評 価 に 関 して 研 究 を行 っ た 。 抗 酸 化 作 用 や 抗 癌 作 用 な どの機 能 性 を有 す る化 合 物 を そ の 際,生 体 触 媒 で あ るphospholipaseAZ(PLAZ)や 食 品 成 分 や 化 粧 品 素 材,医 薬 品 と して 用 い る場 合,乳 化 phospholipaseD(PLD)と 剤 等 を併 用 す る こ とで 分 散 性 や 安 定 性,吸 収 性 を高 め る 用 し,温 湘 な 環 境 で 特 異 的 な 反 応 を簡 便 に 進 め る 方 法 に 必 要 が あ る。 しか し,そ れ に よ って利 用 用 途 が 制 限 され っ い て 検 討 した 。 い っ た リ ン脂 質 関 連 酵 素 を利 る こ とも少 な くな い 。 そ の た め機 能 性 化 合 物 に 両 親 媒 性 を付 与 す る こ とが 出 来 れ ば 幅 広 い利 用 が 可 能 とな る。 こ の 様 な機 能 性 改 善 の 手 段 の 一 っ と して,ア 1.共 役 リノ ー ル 酸 含 有 ホ ス フ ァ チ ジ ル コ リン の 合 成 シル 化 や リン 酸 化 等 の 誘 導 化 が 挙 げ られ,そ れ に よ って 分 散 性 や 吸 収 抗 癌 作 用 や 抗 肥 満 作 用 を有 す る こ と か ら機 能 性 脂 肪 酸 性 を大 き く改 善 出 来 る。 と して 近 年 注 目 され て い る 共 役 リ ノ ー ル 酸(CLA)に 着 目 本研 究 で は,優 れ た 生 体 適 合 性 と両 親 媒 性 か ら医 療 品 や し1.司,PLAZを 有 ホ 機 能 性 食Poo,化 粧 品 素 材 と して 広 範 に利 用 され て い る リ ス フ ァ チ ジ ル コ リ ン(CLA-PC)の ン脂 質 の 分 子 構 造 に 着 目 し,種 々 の機 能 性 物 質 を リン脂 PLAZを 用 い た エ ス テ ル 化 反 応 に よ るCLA含 合 成 を 試 み た 。 特 に, 用 い た エ ス テ ル 化 反 応 で は,副 反 応 で あ る加 水 分 解 反 応 を制 御 す る反 応 系 中 の 至 適 水 分 量 の 調 節 が 非 常 *1:理 工 学 部 助 教(yyamamoto@st .seikei.ac.jp) に 難 しか っ た た め,必 :z・ 北 海 道 大 学 大 学 院 水 産 科 学 研 究 院 准 教 授 *3・ 北 海 道 大 学 大 学 院 水 産 科 学 研 究 院 教 授 一59一 須 水 代 替 物 と してformamideを 用 し たCLA-PCの 合 成 を 試 み た 。 ま ず,ブ PLAZ(ppPLAZ)を 用 い て,glycerolを 利 タ膵 臓 由来 分 散 媒 と して用 い た 反 応 系 に てCLAと (と 卵 黄 由 来lysophosphatidylcholin CLA18g,glycerolmg,ppPLA3.3x104,CaC12 formamide,mmol 0.オmol,370C,48の 反 応 条 件 に お い て,酵 化 す る 目 的 で 水50オ1或 い はformamide雌 合 成 を 試 み た と こ ろ,水 率 が 僅 か に201%で 素 を活性 添 力口し 2.機 脂 肪 酸組 成 質 と し て 用 い たCLAの の 脂 肪 酸 組 成 比 で あ っ た こ と よ り,LPCのsn-2位 合 成 率 に 及 ぼ すformamide添 加 量 やglycerol添 加 量 の 影 響 を 検 討 して,至 約 半分 ス フ ァ チ ジル 基 転 移 反 応 を様 々 な機 能 性 化 合 物 に応 用す に特異 る 為 に は,様 々 な アル コール 化 合 物 を基 質 と して用 い て 反 応 特 性 を 明 らか にす る 必要 が あ る。 そ の よ うな観 点 か ら,本 加 量, 研 究 で は これ ま で 報 告 例 の な い テ ル ペ ン ア ル コ ー ル 化 合 物 や フ ェ ニ ル ア ル コー ル 化 合 物 に 着 目 し,そ 適 反 応 条件 を れ ら の ホ ス フ ァ チ ジル 基 転 移 反 応 につ い て検 討 した。 11g,CLAmg,glycerolg,ppPLAz3x104 U,formamideOオ1,CaCl2オmol,370C,6と PLDを し た 。そ の 至 適 反 応 条 件 に お い て は6501%の 記,反 用 い た ホ ス フ ァチ ジ ル 基 転 移 反 応 に よ る機 能 性 ア ル コー ル の リ ン 脂 質 誘 導 化 法 に つ い て 検 討 し た 。 ホ 導 入 さ れ て い る こ と が 示 さ れ た 。 更 に, た 。 し か し,上 能 性 ア ル コ ー ル の リ ン脂 質 誘 導 化 PLDを な り,大 幅 に 合 成 率 が 高 ま る 析 し た と こ ろ,基 ppPLA2添 at°C を 用 い た 系 で は 合成 こ と が 明 ら か と な っ た 。 得 られ たCLA-PCの 的 に 基 質CLAが z,deaction あ っ た 。 そ れ に 対 し,formamide を 用 い た 系 で は4601%と をGC分 cerol,3x104LAz,オ CLA-mixture,50 の エ ス テ ル 合 成 反 応 を 行 っ た 。LPClg, CLA-PCの e:1LPC, ofeaction 合成率を得 応 条 件 で は 反 応 時 間6以 用 い た ホ ス フ ァ チ ジ ル 基 転 移 反 応 は 一 般 に,水 と ク ロ ロ ホ ル ム な ど の 有 機 溶 媒 と の2相 降では 系 に よ り行 わ れ る が7冒ll),そ の よ う な 有 機 溶 媒 の 使 用 は 工 業 的 応 用 を は 合 成 率 の低 下 が 見 られ た 。 そ の 要 因 と して 大 気 中 か ら吸 か る 際,安 全 面 で 問 題 点 と な る 。そ こ で 大 豆PCoypc) 湿 さ れ る 水 分 や,エ と テ ル ペ ン ア ル コー ル と の ホ ス フ ァ チ ジ ル 基 転 移 反 応 で ス テ ル 合 成 反 応 の 進 行 に よ り生 成 し た 水 が 加 水 分 解 反 応 を 充 進 し た と 推 察 し,albuminや は,酢 酸 エ チ ル と0.2M酢 caseinな び,0.2M酢 ど の タ ン パ ク 質 を 添 加 す る こ と に よ りPLA2近 酸 緩 衝 液(pH6)と 酸 緩 衝 液(pH6)に の2相 基 質 を 分 散 させ て 反 応 を 傍 に 存 在 す る 過 剰 な 水 分 の コ ン トロ ー ル を 試 み た 。 そ の 行 う水 系 に て 試 み た 。 反 応 系 に 及 ぼ すgeraniol1の 結 果,前 加 量 の 影 響 と酵 素 添 加 量 の 影 響 を 検 討 し,合 述 の 反 応 系 にalbumingを 添 加 す る こ と で, 合 成 率 の 低 下 を 抑 え る こ と が 可 能 と な っ た(Fig.。 酵素 的 測 定 を 行 い 最 終 的 に 至 適 反 応 条 件 を2相 以 外 の タ ンパ ク質 を 添加 す るだ け で 合 成 率 を維 持 で き る オmol,基 結 果 は,水 Streptomyces.由 分 の 調 節 が 困 難 で あ っ たPLA2を 用 いたエス 質 ア ル コ ー ル5オmol,酢 酸緩 の 調整 や減 圧 下 で の 反応 で は 最 終 的 な 収 率 を 高 め る こ と 基 質 ア ル コ ー ル2000オmol,ssPLDI.6,0.2M酢 は 可 能 で あ る が,反 衝 液(p5.6).81,370C,24と 便 で あ るの み な ら 系;Soypc 酸 エ チ ル1.61, 衝 液(p5.6).81,370C,24,水 タ ン パ ク 質 の 添 加 に よ る 反 応 法 は,簡 添 成 率 の経 時 来PLDPLD)6,0.2M酢 テ ル 化 反 応 に お い て 極 め て 有 用 な 知 見 で あ る。 水 分 活 性 応 初 速 度 が 低 下 す る。 そ れ に 対 し て 系及 系;SoyPCオmol, 酸緩 定 め た。 この反 応 条 件 に お け るphosphatidyl-geraniolの 合 成 率 は2相 あ っ た の に 対 し 水 系 で は9001%と 系では ず そ の 吸 水性 が 反応 速 度 に影 響 を 及 ぼ さな い 点 が利 点 で 5201%で あ る こ とが 示 され た 。 ル ペ ン ア ル コー ル の リ ン 脂 質 誘 導 化 で は 水 系 が 適 し て い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 一 方,フ 70 リ ン 脂 質 誘 導 化 は,Soypcを GU ル と0.2M酢 50 ェ ニル アル コール の 基 質 リン脂 質 と し酢酸 エ チ 酸 緩 衝 液(pHと の2相 ァ チ ジ ル 基 転 移 反 応 を 行 っ た 。Tyrosol8)の 0 ° 一 _ao 響 を 検 討 す る と と も に,合 7sn 結 果,至 い な り,テ 系 に よ りホ ス フ 添加 量 の影 成 率 の経 時 的変 化 を測 定 した 適 反 応 条 件 をSoyPCオmol,酢 酸 エ チ ル1. 2U ml,基 質 ア ル コ ー ルオmol,U,0.2M酢 10 酸 緩 衝 液(pH.8ml,370C,24の U O RO 204060 よ うに 定 め,こ の 反 応 条 件 に お い てphosphatidyl-Tyrosolの 合 成 率 は87 「1馳i曹11e(1馳) ±mol%に TimeurseynthesisdiatedyZ 次 い で,至 ine(closedymbol)absenceenedymbol) 達 した。 適 反 応 条件 にお い て各 種 基 質 アル コール を 用 い 合 成 率 を 比 較 し た と こ ろ,基 ・1 質 テル ペ ンアル コール 3.リ の 鎖 長 が 長 く な る 程 合 成 率 が 低 下 す る こ と, alcohol5やmyrtenol6の ン脂 質誘 導 隊 の機 能性 評 価 よ うな 分 子 内 に 環 状 構 造 を 有 す る テ ル ペ ンア ル コー ル もホ ス フ ァチ ジ ル 基 転 移 反 応 の 基 質 に な り得 る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た,フ 合 成 され た 各 種 リ ン 脂 質 誘 導 体 に つ い て 機 能 性 評 価 を ェニ 行 っ た 。 特 に ヒ ト癌 細 胞 株 を 用 い た 増 殖 抑 制 試 験 や ル ア ル コー ル の ベ ンゼ ン環 か らホ ス フ ァチ ジ ル 基 に 置 換 DPPHラ され る一 〇H基 ま で の 距 離 が 合 成 率 に 大 き く影 響 を 与 え る な らび に抗 酸 化 作用 を評 価 した。 の に 対 し,P一 位 の 置 換 基 は そ の 種 類 に よ らず ほ と ん ど反 ジ カ ル 捕 捉 能,酸 化 安 定 性 を 指 標 に,抗 ヒ ト白 血 病 細 胞(HL-60)の 細胞 増殖 に対す るテルペ ン アル コール 及 び そ の リン脂 質 誘 導 体 の影 響 を調 べ た と こ 応 に 影 響 を 及 ぼ さ な い こ と が 明 ら か に な っ た(Fig.。 ろ,母 (A)(B) 化 合 物 で あ るgeraniol,perilly(5), myrtenol,nerolは400μMで40%程 T}'rosol(1) BA(胃) hTy璽'osol(5) 1'±3.'11101°0 (luohヒahve 64±Ssnrol°o 果 で あ っ た の に 対 し,そ 度 の増 殖 抑 制効 の リ ン 脂 質 誘 導 体 で は100μM で 生 細 胞 数 が コ ン ト ロー ル の20-30%ま HO VO`^^'OH/v ◎ 〈OH ℃r>ox 4APE(a) 3PIA(3) 2.2rlPE(11) 90{'_3nml°o (luahヒatlve qualitative ◎ が 明 ら か と な っ た(Fig.。 ク ラPCを aPB.a(9) qualitative PE.a(G) S5±1.Onml°o σ 伊 へ>OH な く と も 部 分 的 に は ア ポ トー シ ス を 誘 導 す る こ と で これ ら の 増 殖 抑 制 が 起 こ され て い る こ と lV へ/pox キ ス ト染 色 に よ り ア ポ トー シ ス 細 胞 が 観 察 され た こ と か ら,少 /ox .〔γ>ox で 減 少 し,リ ン脂 質 誘 導 化 す る こ と で 抗 癌 作 用 が 増 強 され る こ と が 示 され HO た 。 ま た,ヘ H;N 癌 作用 23nlPE(12) qualitative さ らに 不飽 和脂 肪 酸 に 富 む イ 基 質 リ ン 脂 質 と し て 得 られ たTyrosol8)の 脂 質 誘 導 体 は,基 質 リ ン 脂 質 に は 無 いDPPHラ リン ジカ ル 捕 捉 活 性 な ら び に 酸 化 安 定 性 を 有 す る 新 規 リ ン脂 質 で あ る ox ox こ と が 明 ら か と な り,誘 導 体 が優 れ た供 給 形 態 で あ る こ と が 示 され た 。 qualitative ◎<< ㎝ 層(且3) げ .、 B ) ー 2PIP亘 qualitative ( 5PIPe(10} 一〇H (D) (c) 4HBA(2} 2nIlP2Pr(1{) quah吐ahve qualitative HO.◎ 〈ox 酬 OH 堅 HQ(;) 13±1.3tool°o HOox 1P2Pl'(14} quahta童i、'e Fig.escenceyeng treatedosphatidylated c∩/OH Specificity phosphatidylation.yield,A); yield,yield,"Qualitative" (PBS),SoyPC, enylalcohols phosphatidyl-perilly(E) ayield, phosphatidyl-nerol.ere mediatamingindi eanshatyield wastativelyatedyTL 一61一 alcoho yl-geranio yl-myrtenol, culture 4.む す び LR. Kinetic T. ion aluation ylethanolamine t e Different es.imi ysicacta 機 能性 成 分 を リン脂 質 へ誘 導 化 した研 究 例 は い くつ か あ るが,得 られ た誘 導 体 に 対 し,実 際 に機 能 性評 価 を した 研 究 は 少 な か った 。 本 研 究 に よ りPLA2及 びPLDを LR.eT.Kazuoka,oT.amane, Shimizu:Phosphatidylcho 用い た機 能性 化 合物 の リン脂 質誘 導化 法 を確 立 し,そ れ に よ Phosphatidylserineyarious ore.ys り得 られ た リ ン脂 質 誘 導 体 の 新 規機 能 性 を 見 出 した 。 Acta , Y.T.amane:senzy 参考文献 engineeringphospholipidsor C.mThompson: In"Lipidy"y ed linoleicanticarcinogen Tsung imala 417-431),celc.,eYork, sources.ancer74, 11Z.ikbjerand K.iyazaki, Evidenceatthei-obesityfect conjugate independenteffects phospholipidsall andantechnologya oyl-CoA desaturaselexpressionzyme andiophysical Nagano,ata, ang Yanagita: events essentialypertension hypertensivets.emicald eously ysicalesearch Communications Y., right,.Liu,M and fect body acid n Wang,e, Y.T. Noda, T.anagita: lOtrans, promotes aNutrition gyetabolism 19, KM. grave, Y conjugated coconut body loss deficiency. miindependent induced ialattacid chimicaysica LR. agT.a Shimizu: Y phosphatidylcholine atidylglycerol D Enzyme and ycabbage sy Technology 一62一 ylcholin y to 以 上,著 者 の 学位 論 文 に 関 して,概 略 を ご紹 介 させ て い た だ い た。 す ぐれ た 両 親 媒 性 と生 体 親 和 性 に 着 目 し, amane,
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