sign with me に行ってきました。

奈良県立ろう学校
2014/05/29
sign with me
聴能部
第325号
に行ってきました。
中学部3年生は5月14 日(水)~16日(金)の3日間、東京横浜方面へ
修学旅行に行ってきました。短時間に雨がぱらつくこともありましたが活動の
支障はなく、楽しく過ごすことができました。
sign with me は東京都文京区にあるカフェで、スープ料理を専門に提供して
います。
〈「手話」という空間で紡ぎだされる言葉を通して「スープ」という温かみの
ある料理に彩りを添えながら「憩い」「学び」「相談」ができる〉ということを
コンセプトに、ろうの柳匡裕氏がオーナーとして起業されています。今回は社
会で活躍するろう者ということで生徒たちが何かを考えるきっかけになればと
思い、行程に組み込みました。
店内の公用語は手話と書記日本語ということで
生徒たちも自分でメニューを決め、柳氏とコミュニ
ケーションを取りながら自分で注文しました。店内
の構造は壁一面にホワイトボードがあり、お客さん
同士がコミュニケーションを取ったり、メッセージ
を残したりする場所として活用されています。全国
から訪れた方々がメッセージを残されていました。
奈良ろうの生徒たちも料理が来るまで修学旅行の意気込みやお店へのメッセー
ジ、イラストなどを楽しみながら書いていました。ろ
う者が多いのかなあと思っていたのですが、店内には
外国の方や学生さん、会社員の方など様々な年齢層の
方が利用されていました。落ち着いた雰囲気でセット
メニューのスープやパスタ、サラダを美味しくいただ
くことができました。
起業にいたる経緯や難しかったことなど、直接柳氏の
お話を伺いたかったのですが、今回は時間がなく話を
ゆっくりと伺うことができませんでした。インタビュ
ーなどできればよかったのですが、生徒たちは「美味
しかった!」「絶対また東京来た時に来る!」と言っ
て、”sign with me”の手話を教えてもらいました。
日本耳鼻咽喉科学会が2014年2月、公式サイトで難聴児の人工内耳適応基準の
見直しを発表しました。ここでは、新しい基準について一部抜粋して掲載し、今回の
改訂の概要についてお伝えします。
手術年齢
A)適応年齢は原則 1 歳以上(体重 8kg 以上)とする。上記適応条件を満たした上で、症例
によって適切な手術時期を決定する。
B)言語習得期以後の失聴例では、補聴器の効果が十分でない高度難聴であることが確
認された後には、獲得した言語を保持し失わないために早期に人工内耳を検討するこ
とが望ましい。
聴力、補聴効果と療育
A)各種の聴力検査の上、以下のいずれかに該当する場合。
裸耳での聴力検査で平均聴力レベルが 90dB 以上。
上記の条件が確認できない場合、6 カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用
下の平均聴力レベルが 45dB よりも改善しない場合。
上記の条件が確認できない場合、6 カ月以上の最適な補聴器装用を行った上で、装用
下の最高語音明瞭度が 50%未満の場合。
B)音声を用いてさまざまな学習を行う小児に対する補聴の基本は両耳聴であり、両耳聴
の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれを否定しない。
今回の見直しについて、日本耳鼻咽喉科学会は、
●聴覚障害児に対する人工内耳が一定の効果を示してきていることを踏まえて、そ
の適応年齢を原則 1 歳以上(体重 8kg 以上)と拡げ、補聴器装用下の聴力レベル・
最高語音明瞭度についても記載した。
●音声を用いてさまざまな学習を行う小児期には、難聴児に対する補聴の基本は両
耳聴であり、両耳聴の実現のために人工内耳の両耳装用が有用な場合にはこれ
を否定しない。しかし、両側人工内耳を強制することはあってはならない。
●重複先天性障害については、必ずしも禁忌にならない。合併する障害にもよるが、
両者の障害程度を総合的に判断すべきである。
などと解説を加えています。
これまで1歳半としていた手術年齢を1歳に引き下げたこと、補聴器装用下での聴
力レベル・最高語音明瞭度について具体的数値を示して明記したこと、両耳聴が基
本であることから、両耳への人工内耳についても否定しないと明記したこと、など
大きな改訂と言えます。
詳しくは、 http://www.jibika.or.jp/members/iinkaikara/artificial_inner_ear.html をご覧
ください。
防水機能紹介
汗ばむ季節が近づいてきました。補聴器や人工内耳などの精密機器にとって湿
気は禁物です。皆さん周知の事と思いますが、使用後、就寝時などは、電池を取り
出して、乾燥剤の入ったケースに収納するようにしましょう。
万が一、お風呂に入ってしまったり、シャワーを浴びてしまったり・・という場合は、
すぐに電池を取り出し、柔らかい布で水分を拭き取り、ドライヤーの冷風で少しでも
風を送って乾燥させましょう。そのあとは聴能部の担当にご相談ください。チェック
します。
今回、人工内耳の防水カバー・防水機能を持った補聴器の一部をご紹介します。
Nucleus 5 用
アクア アクセサリ
Nucleus5 サウンドプロセッサ専用部品
です。使い捨てタイプの防水用カバーで、
サウンドプロセッサを入れて、シールチ
ャックをしっかり閉めると、密閉されて
防水でき、プールやお風呂、海でも人工
内耳で音声を聞くことができます。
Cochlear HP
PHONAK
ナイーダシリーズ
防水・防塵補聴器
フォナック ナイーダ Q-RIC
フォナック ナイーダ Q-SP/UP
パワー&防水補聴器
フォナック ナイーダ S
フォナック ナイーダ S-CRT
SIEMENS
水辺以外で
も、汗が気に
なるときに、
使用すること
ができます。
Aquaris
水没しても水が入らない密閉構造です。
その他の防水防塵対応補聴器
Nitro
ナノコート(撥水コーティング)加工
F201 F301
など
聴力検査室にパンフレットがあります。
聴力検査室にパンフレットがあります。
≪参考≫
IP68
各メーカーで防水防塵について国際保護等級を取得しています。IP67、
など ホームページやパンフレットに示されています。参考にしてください。
「ろうを生きる
難聴を生きる」(毎週日曜19:30~NHK)
この番組をご存じですか?一度ご覧下さい。
番組が始まるときのタイトルバックがとてもステキ
なんです。今年度のタイトルバックとして、毎週流れ
ているこの作品の作者は、本校の卒業生です。
NHK から依頼を受け、―――「個性」をポイントに
置きながら描きました。例えば一人ひとりの考え方
や生き方がそれぞれ違うように、自然にも個性が
あり、それらを色で主張させていただきました。
最後には、やはりお互い支え合いながら生きている
ことを再認識するメッセージを込めて、調和させる
ことを意識しながら全体をまとめました。――――
ということです。
さらに、この作者、「岡本真由美」さん
の作品が幼稚部棟西階段の踊り場にあります。聴力検査
「蕾の密」
真ん中に集まっているのは、子どもた
ちの蕾です。
色も形もひとつひとつ違う蕾が支え合
うように集まっています。
右上には子どもたちを導いていく大人
たちがいます。
心配いらないよ、堅いつぼみも必ず開
くときがくる。子どもたちの個性を大
切にして花開く時を待ちましょう。
そんなメッセージを伝えたくて描きま
した。
岡本 真由美
にお越しの際は、是非この作品に目を向けてみて下さい。
おとあそび紹介
本校では、各学部に聴能担当がいます。補聴器の管理、聴力検査、など聴覚面の管理を
中心になって進めています。今回は、幼稚部の取り組みを紹介します。
「かごめかごめ」
♪・・・・・うしろのしょうめんだあれ?
で、しゃがんだときの後ろのお友達が声を
かけます。名前を呼んだり、動物の鳴き真似をしたりして、その声の主を当てます。
「あぶくたったにえたった」
♪・・・もうにえた!のあとに「お寺の鐘がごーん、ごーん」
鐘の音数と同じ人数で
集まって早くしゃがむとセーフです。なかなか集まれないと鬼がやってきて逆に食べられ
ます。
鐘の音は、太鼓や、タンバリン、木魚など様々に変化させて楽しみます。
童歌などの伝承遊びに、音や声を聞き取る、聞き分ける、などの要素を加えて、
敏捷性や、周囲との連動などを意識できるような働きかけをしています。