モーションキャプチャシステムによる移動ロボットの運動計測事例

平成26年度 研究成果発表会
平成 26 年度
研究成果発表会
モーションキャプチャシステムによる移動ロボットの運動計測事例
○ 佐 々 木 智 典 *1)
1. は じ め に
本 稿 で は 、 モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ シ ス テ ム ( 図 1、
Eagle Digital Real Time System、 Motion Analysis Corp.
製)による計測データを、移動ロボットへの運動指令
と実際の運動を比較・検証するために利用する事例を
示す。
2. 計 測 方 法
図 2 に示す独立 2 輪駆動の移動ロボットの運動を計
測 す る 。前 進 速 度 v =250mm/s 及 び 機 体 中 心 ま わ り の 回
転 速 度  =0.625rad/s を 一 定 と し て 滑 り が な け れ ば 機 体
図 1.
p1t
中 心 の 軌 跡 は 、半 径 r  v /  =400mm の 円 と な る( 図 3、
軌 跡 “theoretical”)。 初 期 状 態 の 機 体 座 標 系 を 固 定 し た
座 標 系 を 基 準 と す る と 、円 の 中 心 は ( x, y ) = (0, r ) で あ る 。
外部の基準によらずに移動ロボットの位置・姿勢を
推定する方法として、左右のモータの回転角度をロー
タリエンコーダにより検出し、各部の機構の寸法に基
づき推定を行うオドメトリがある。図 3 の軌跡
モーションキャプチャシステム
x
p t2
y
p 3t
図 2.
p t4
マーカを取り付けた移動ロボット
“odometry” は 、 こ の 方 法 に よ り 推 定 計 算 の 繰 り 返 し 実
行 速 度 を 10 Hz と し て 推 定 さ れ た 軌 跡 で あ る 。 駆 動 輪
の滑りによる誤差が影響し、推定軌跡は理論上の軌跡
と異なる。
モーションキャプチャの実施にあたり、カメラ 4 台
を設置し、移動ロボットに再帰性反射マーカを 4 個取
り 付 け た( 図 2)。こ れ ら の マ ー カ の 中 心 位 置 が 計 測 さ
れ、モーションキャプチャ及びオドメトリそれぞれの
1
座 標 系 の 間 の 変 換 の 基 準 と な る 。す な わ ち( 1)点 p t と
p t4 の 中 点 が 機 体 の 中 心 に 一 致 し 、( 2) p 1t  p 3t が x 軸 に
3
4
平 行 か つ( 3) p t  p t が y 軸 に 平 行 で あ る 。こ の 前 提 の
下 に 、 時 刻 t0 に お け る 基 準 座 標 系 の 原 点 を
p 0c  (1 / 2) (p10  p 04 ) 、 軸 方 向 を 定 め る 基 底 {i, j, k} を
図 3.
計測した運動の軌跡
i  N (p 10  p 30 ) 、 j  N (p 30  p 04 ) 、 k  i  j 、 j  k  i と 求 め る( N (p) は 正 規 化 。手 順 上 、 p t2
は 使 用 せ ず 冗 長 で あ る が 、他 の マ ー カ が 隠 れ る 場 合 を 考 慮 し て 計 測 し て い る )。以 上 に よ り 、
~ c  [i j k ]T (p c  p c ) と 定 め る 。変 換 後 の p
~ c の 軌 跡 が 図 3 の 軌 跡 “motion capture”
座標変換を p
t
t
0
t
で あ る( 計 測 速 度 が 120Hz と オ ド メ ト リ よ り も 高 く 、点 数 が 多 い の で 1/12 に 間 引 い て 表 示 )。
3. ま と め
本 稿 で は 、モ ー シ ョ ン キ ャ プ チ ャ シ ス テ ム に よ る 計 測 事 例 を 示 し た 。確 率 統 計 に 基 づ く 、
よ り 高 度 な 位 置 推 定 や SLAM (simultaneous localization and mapping) で は 、オ ド メ ト リ と と
もに周囲を観測するセンサを併用し、位置や姿勢を推定するが、この場合でもモーション
キャプチャシステムによる計測データとの比較は、妥当な推定を行うために有益である。
*1)ロ ボ ッ ト 開 発 セ ク タ ー
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