リステリア菌を知っていますか?

(公社)福岡市食品衛生協会FAX情報サービス
平成26年12月 180号
リステリア菌を知っていますか?
リステリア属の菌は現在6種類が知られていますが、ヒトに危害を加えたり食中毒の
原因となるのは、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes: 以下
LMと略)が主で、土壌や河川水、動物の腸管内など環境中に広く分布する細菌です。
最近、デンマークでLMにより12名が死亡するというショッキングなニュースもあ
り、厚生労働省ではナチュラルチーズや発酵乳等の規格を見直す動きを始め、消費者庁
でも表示基準の見直しが計画されています。
今回は、このLMに焦点をあて、本菌の特徴や気をつけたい食品、予防法などについ
て解説してみました。
1.LM菌の特徴
・他の食中毒菌と同様、加熱には弱いですが、4℃以下の
低温や 12%食塩濃度下でも増殖できる点が特徴です。
(低温細菌、好塩菌と呼ばれます)
食品を冷蔵庫内で長期保存したり、塩漬けで保存すると、
食中毒菌は一般的に増えないと思われますが、LMはこ
のような条件でも増殖し、食中毒を起こします。
・ヒトがLMに罹った場合の症状は様々で、悪寒、発熱、筋
肉痛程度の軽症の場合から、重症化すると敗血症、髄膜炎、
中枢神経症状などを起こし死亡することもあります。
2.気をつけたい食品など
・ナチュラルチーズ、発酵乳、未殺菌乳などの乳製品(加熱せずに製造されたもの)
・生ハムなどの加熱していない食肉製品
・「スモークサーモン」などの魚介類加工品
・コールスローなどの野菜系サラダ
※冷蔵庫に長期保存し加熱せずに食べる食品は、LM食中毒のリスクがあります
3.LM食中毒を予防するには?
上記のような理由から、LM対策として次のことを守れば大丈夫です。
・冷蔵庫を過信しないこと(LMは冷蔵庫内でも少しずつ増える菌です)
・食品は賞味期限内に食べ、特に開封後は速やかに食べましょう
・なるべく生(未加熱)でなく、加熱してから食べましょう(LMは熱に弱い)
・生野菜や果物は食べる前によく洗いましょう
※LMの予防対策として、冷蔵庫の温度を現在の10℃以下から、管理目標として
6℃以下に変更する案も計画されています