第4章 バイオマスエネルギー利用に関する将来的な導入イメージ の設定 三重県新エネルギービジョンでは、風力発電のほか、太陽光発電、廃棄物発電、クリ ーンエネルギー自動車、コージェネレーション、燃料電池の6種類を施策により積極的 な導入を進める新エネルギーとして導入イメージを設定するとともに、2010 年度にお ける新エネルギー導入目標値を22万 kl(原油換算量)としています。これら6種類 の新エネルギーに新たにバイオマスエネルギーを加え、本ビジョンにおいてその導入イ メージを設定し、他の新エネルギーとあわせて導入を促進していくこととします。 (参考)三重県新エネルギービジョンの導入目標 2010 年度までに、石油、石炭等の従来型一次エネルギーを原油換算で22万 kl 削減することに相当する量の新エネルギーを県内に導入する。 2010 年度における本県のバイオマスエネルギー導入イメージは、国の新エネルギー 導入目標値を前提として、県内の導入実績、今後の導入計画といった地域性や支援の方 向性など独自の判断を加味して設定します。 1 前提条件 ∼我が国全体のバイオマスエネルギー導入目標∼ 国が設定する導入目標としては、 ① 国の長期エネルギー需給見通し(石油代替エネルギーの供給目標)に示された 2010 年度の新エネルギー導入目標値 ② バイオマス・ニッポン総合戦略に示された 2010 年の具体的目標値 が挙げられます。 ① 国の長期エネルギー需給見通し(石油代替エネルギーの供給目標)における新エネ ルギー導入目標値 ○ 新エネルギー全体:1,910 万 kl(原油換算) ○ バイオマス発電:33 万 kW(34 万 kl(原油換算)) ○ バイオマス熱利用:67 万 kl(原油換算) 4-1 ② バイオマス・ニッポン総合戦略における具体的目標値 ∼「バイオマス・ニッポン」実現に向けた具体的目標∼ (地域的視点) バイオマスの利活用は、地域が自主的に取り組むための目標を掲げて、地域の実情 に即したシステムを構築することが重要であり、地域の特性や利用方法に応じた様々 な展開が期待される。 この点を勘案し、地域的視点からの目標として、廃棄物系バイオマスを炭素量換算 で 90%以上又は未利用バイオマスを炭素量換算で 40%以上利活用するシステムを有す る市町村を、500 程度構築する。 (全国的視点) 廃棄物系バイオマスが炭素量換算で 80%以上利活用され、未利用バイオマスが炭素 量換算で 25%以上利活用される。 ○廃棄物系バイオマス:家畜排泄物、食品廃棄物、建設発生木材、下水汚泥(逆有償の対象となる資源) ○未利用バイオマス:農作物非食部、林地残材 2 三重県におけるバイオマスエネルギー導入イメージの算出 (1)三重県における導入イメージ算出の考え方 ∼バイオマスエネルギー導入イメージ算出のスキーム∼ ① 我が国におけるバイオマス資源毎の導入目標値を算出する ② バイオマス資源毎の適切な指標により三重県按分値を算出し、合計する ③ 合計値を本県のバイオマス資源賦存特性により再按分し、更に県内の導入実績、導 入計画、導入構想などを勘案して、バイオマスエネルギー導入イメージを算出する 上記の算出スキームに基づき、本県におけるバイオマス発電、熱利用によるバイオマ スエネルギー導入イメージを算出することとし、具体的には、図表4−1に示す方法で 算定を行いました。 4-2 ① 我が国におけるバイオマス資源毎の導入目標値の算出 バイオマス発電:34万kl 未利用バイオマスは利用の障 害が大きいので、割り引いて 目標値を設定する必要がある。 101万kl 国全体のバイオマスエネルギー導入目標 発電全体:838万kl バイオマス熱利用:67万kl 熱利用全体 熱:67万kl :1,072万kl 林地残材 廃棄物系木質 バイオマス バイオマス資源毎の 導入目標の設定 ×(林地残材エネルギー利用可能量×難易度係数 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) ×(廃棄物系木質バイオマスエネルギー利用 可能量÷全バイオマスエネルギー利用可能量) 家畜ふん尿 し尿・下水汚泥 ×(家畜ふん尿エネルギー利用可能量 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) ×(し尿・下水汚泥エネルギー利用可能量 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) 利用にあたっての難易度を加味して、 利用にあたっての難易度を加味して、 国全体の資源毎のエネルギー利用 国全体の資源毎のエネルギー利用 可能量により按分する。 可能量により按分する。 国全体の新エネルギー導入目標 :1910万kl(原油換算) バイオマスは、木質バイオマ ス、家畜ふん尿、動植物性残 渣、し尿・下水汚泥など様々 ② バイオマス資源毎の三重県按分値を算出 (三重県のバイオマスエネルギー導入目安値を算出) バイオマス資源毎の 導入目標の設定 バイオマス資源毎の 三重県按分値 廃棄物系木質 バイオマス 按分指標 「森林蓄積量」 + 按分指標 「製材品出荷量」等 + 家畜ふん尿 按分指標 「家畜頭羽数」 + 三重県 + し尿・下水汚泥 按分指標 「人口比率」 全国 バイオマス資源毎に、適切な指標を用いて 三重県導入目安値に按分する。 4-3 三重県のバイオマスエネルギー導入目安値 林地残材 1.3万kl ③ 三重県における導入イメージを算出 (導入目安値から三重県のバイオマス資源特性、導入計画等を加味したバイオマスエ ネルギー導入イメージへの補正) 導入実績、計画等の地域性を 考慮して導入イメージの補正 を行う。 バイオマス資源毎の 三重県按分値 + 三重県 + 2.7万 2.7万kl 林地残材 ×(林地残材エネルギー利用可能量×難易度係数 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) 廃棄物系木質 バイオマス ×(廃棄物系木質バイオマスエネルギー利用 可能量÷全バイオマスエネルギー利用可能量) 家畜ふん尿 ×(家畜ふん尿エネルギー利用可能量 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) し尿・下水汚泥 ×(し尿・下水汚泥エネルギー利用可能量 ÷全バイオマスエネルギー利用可能量) 三重県のバイオマスエネルギー導入イメージ + 1.3万kl 三重県のバイオマスエネルギー導入目安値 + バイオマス資源毎の 三重県導入イメージの目安 全国 全国の平均的な資源量特性で按分を 全国の平均的な資源量特性で按分を 行っているので、三重県の地域性が 行っているので、三重県の地域性が 全く考慮されていない 全く考慮されていない 図表4−1 三重県内のエネルギー利用可能量で 三重県内のエネルギー利用可能量で 再按分することで、三重県の地域性を 再按分することで、三重県の地域性を 考慮した資源毎の導入イメージの目安が 考慮した資源毎の導入イメージの目安が 設定される 設定される 三重県における資源毎のバイオマスエネルギー導入イメージ の算出方法の概念図 バイオマス資源のうち、木質バイオマスについては、熱利用の導入実績が国の目標値 から算出した本県における 2010 年度導入目安を既に上回っており、エネルギー利用が 進んでいる状況にあります。 また、民間企業や自治体においても利用計画が検討されており、これらを確実に実施 するよう支援していくことで、さらなるエネルギー利用が期待できます。 このため、木質バイオマスについては、現状の実績量に利用計画量を加えたものを導 入イメージとしました。 なお、木質バイオマス以外の資源については、エネルギー利用が進んでいないため、 国の目標値から算出した本県における導入目安を 2010 年度の導入イメージとしました。 4-4 (2)三重県におけるバイオマスエネルギー導入イメージの算出結果 上記で概説した導入イメージ算出の考え方に基づき、2010 年度における三重県のバ イオマスエネルギー導入イメージを以下のように設定しました。 図表4−2 2010 年度における三重県のバイオマスエネルギー導入イメージ 我が国の 導入目標値 バイオマス発電(kW) 原油換算(kl) バイオマス熱利用(kl) 一次エネルギー削減量 (原油換算 kl) (参考)CO2 排出削減効 果(万 t-CO2) *1 三重県におけ る導入目安 2002 年度まで の導入実績 2010 年度の導 入イメージ 330,000 340,000 670,000 4,100 4,200 8,500 60 84 9,700 6,000 約 100 倍 7,900 19,000 約 2 倍 1010,000 13,000 9,800 27,000 264 3.4 2.6 7.1 2010/2002 約 2.8 倍 算出値は有効桁 2 桁で丸めているため、各値の合計値と一次エネルギー削減量は一致しな い。 *2 原油の CO2 排出係数として、38.2[MJ/l]、0.0684[kg-CO2/MJ]より、2.612[kg-CO2/l]を利用 した。 *3 算出途中段階の数値を含めた詳細な導入イメージの算出方法は、参考資料第3章を参照。 4-5
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