化 学 1 / 6 [解答にあたっての注意] 必要があれば,原子量として次の値を用いること。 H 1.0, Ⅰ C 12, N 14, O 16, Ca 40 炭素,窒素,酸素,フッ素に関して,問1∼5に答えよ。 問1 炭素,窒素,酸素の水素化合物のうち,最も簡単な水素化合物の分子について名称と分子式 を書け。 問2 問1の水素化合物の中から無極性分子を一つ選び,それが無極性である理由を述べよ。 問3 フッ化水素,塩化水素,臭化水素,ヨウ化水素は17族元素(ハロゲン元素)の水素化合物で あるが,それらの沸点を比較してみると,フッ化水素が他のハロゲン化水素に比べて異常に高 い。この理由を述べよ。 問4 次の文を読んで,( a )∼( d )に該当する語句および( ア )・( イ )に該当する 数字を書け。 14族の炭素やケイ素は,多数の原子が結合して結晶を作ることがある。このような結晶を ( a )結合の結晶という。炭素原子が( ア )個の価電子をすべて使って次々に( a )結 合で結びついた正四面体を単位とする構造を持つ炭素の単体( b )は,結晶全体を一つの分 子(巨大分子)とみなすことができる。炭素の別の単体( c )は,炭素原子の( ア )個の価 電子のうち,( イ )個の価電子を使った( a )結合によって,正六角形の形を基本とする 平面状の構造になり,さらにそれが分子間力で結びついて層状構造を作っている。( b )や ( c )はともに,炭素からなる単体であるが,構造も性質も全く異なる。このような物質を 互いに( d )体という。 問5 次の熱化学方程式より C -H 結合の結合エネルギー(kJ/mol)を求めよ。ただし,下記のC (固体)は同じ物質である。 H(気) = 2H(気)− 436 kJ 2 C(固体)= C(気)− 715 kJ C(固体)+ 2H(気) = CH(気) + 74.9 kJ 2 4 ◆M理Z(2014) −10− 化 Ⅱ 学 2 / 6 次の文を読んで,問1∼5に答えよ。 過酸化水素(H 2O 2)の水溶液に触媒として少量の酸化マンガン(Ⅳ)MnO 2 を加えると,過酸化水 素が分解して水と酸素を生じる。温度 25 ℃において,濃度 0.175 mol/ 15.0 を圧力センサーを取り付けた体積 288 の過酸化水素の水溶液 の密閉可能な容器に入れ,少量の酸化マンガン (Ⅳ)を加えてすぐに密閉し圧力の変化を測定した。このとき容器の圧力は1分間で 1.73 kPa 増加 した。 問1 この反応の化学反応式を書け。 問2 この反応の反応速度 v は過酸化水素のモル濃度に正比例することが分かっている。反応速度 定数を k ,また H 2O 2 ,H 2O,O 2 それぞれのモル濃度を[H 2O 2],[H 2O],[O 2]で示すとき, 反応速度 v を表す式を書け。 問3 この1分間に過酸化水素が分解する平均反応速度を mol/ よ。ただし,気体定数を 8.31[kPa・ ・s 単位で,有効数字2桁で求め /(mol・K)]とし,水溶液の体積変化,温度変化,水蒸 気圧変化はないものとする。 問4 反応温度を 10 K 上げたところ反応速度が3倍になった。この反応で過酸化水素のモル濃度 を2倍にし,温度を 20 K 上げるとこの反応速度は最初の速度の何倍になるか。 問5 下記のア∼オのうちから,触媒に関して正しいものには ○ を,間違っているものには × を つけよ。 ア 同じ反応でも,触媒を使えば,反応熱の大きさを変えることができる。 イ 触媒は反応の活性化エネルギーを大きくするので反応速度が大きくなる。 ウ 可逆反応では触媒を使えば反応の平衡が移動する。 エ 可逆反応では,ある触媒が正反応の速度を大きくする場合,その触媒は逆反応の速度も大 きくする。 オ 固体触媒では,反応物は固体表面に吸着することにより触媒作用を受ける。 −11− ◆M理Z(2014) 化 Ⅲ 学 3 / 6 アンモニア水溶液に関して,問1∼4に答えよ。 計算に必要ならば次の値を用いよ。 1.8=1.3, 18=4.2,log1.3=0.11,log1.8=0.26,log2.4=0.38,log4.2=0.62, log5.6=0.75,log7.7=0.89 アンモニアは 25 ℃,101 kPa(1気圧)において 1.0 kgの水に最大 470 g 溶解する。この飽和ア ンモニア水溶液 1.00 問1 を水で希釈して 0.10 mol/ 加えた水の量は何 のアンモニア水溶液を得た。 か。有効数字2桁で答えよ。ただし,飽和アンモニア水溶液の密度は 0.890 kg/ である。ただし,混合に伴う体積変化はないものとする。 問2 このアンモニア水溶液では次のような電離平衡が成り立つ。 NH 3+H 2O NH 4++OH − このときのアンモニア水溶液の電離平衡の電離定数 K を各物質のモル濃度[NH 3],[NH 4+], [OH −]を用いて表せ。 問3 モル濃度 0.10 mol/ のアンモニア水溶液の電離定数を 1.8 × 10-5 mol/ オン指数 pH を小数点以下第1位まで求めよ。ただし,電離度 として,水素イ は1に比べて無視できるほ ど小さいとみなす。 このモル濃度 0.10 mol/ のアンモニア水溶液 1.0 問4 に固体の塩化アンモニウム 0.10 mol を 加えて溶解させた。この混合溶液の水素イオン指数 pH を小数点以下第1位まで求めよ。ただ し,塩化アンモニウムの添加による溶液の体積の変化はないとする。 ◆M理Z(2014) −12− 化 Ⅳ 学 4 / 6 次の文を読んで,問1∼5に答えよ。 シュウ酸カルシウム一水和物(CaC 2O 4・ H 2O)100 mg を加熱し,徐々に温度を上昇 100 質量(mg) させながら質量変化を測定した。縦軸に質量 (mg),横軸に温度(℃)をとり,測定結果を グラフに描くと図1のようになった。図1の B−C,D−E,F−Gの質量変化はそれぞ A B C D 80 E F 70 G 60 れ 12.3 mg,19.2 mg,30.1 mgであった。 0 200 400 600 800 1000 温度(℃) 図1 問1 シュウ酸の構造式を書け。また,シュウ酸と水酸化カルシウムからシュウ酸カルシウムを得 る反応の化学反応式を示せ。 問2 質量変化をもとにB−C間で消失した物質を決定する。次の空欄a,bにふさわしい数値を, 空欄cには物質名を記入せよ。 消失した物質の式量あるいは分子量 シュウ酸カルシウム一水和物の式量 a mg = b mg 消失した物質の式量あるいは分子量から,その物質は c であると判断できる。 問3 C−D間に存在する物質を組成式で示せ。 問4 D−E間で失われる物質の式量あるいは分子量を求めよ。また,E−F間に存在する物質を 組成式で示せ。 問5 F−G間で起こる反応を化学反応式で示せ。 −13− ◆M理Z(2014) 化 Ⅴ 学 5 / 6 次の文を読んで,問1∼6に答えよ。 化合物Aは化合物Bにリン酸を触媒として水を付加させる方法で工業的に製造されている。また, 化合物Bから合成される多価アルコールCはポリエステルの原料やエンジンの不凍液を作るのに用 いられている。秬 化合物Aを濃硫酸とともに約 130 ℃ に熱すると,おもにDが生成する。 また, 化合物Aを酸化剤を用いて穏やかに酸化すると,還元性をもつ化合物Eが得られる。化合物Eをさ らに酸化すると刺激臭のある化合物Fが生成し,この化合物の水溶液は酸性を示す。 問1 化合物Aはデンプンや糖蜜を原料としても作られているが,この製法を何というか。 問2 化合物B,Cの構造式を書け。 問3 下線秬の化学反応式を書け。 問4 下線秬において,温度を 160∼170 ℃ で熱したとき,おもに生成する物質の物質名を答えよ。 問5 化合物Eの還元性を調べる方法の名称を二つあげ,それぞれ説明せよ。 問6 化合物Fの水溶液を 5.00 取り,0.100 mol/ とり,希釈して全量 100 の水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定したところ,36.0 トリウム水溶液を要した。最初の化合物Fの水溶液 100 めよ。 ◆M理Z(2014) とした。この水溶液を 50.0 −14− の水酸化ナ 中に含まれる化合物Fの質量を求 化 Ⅵ 学 6 / 6 次の文を読んで,問1∼8に答えよ。 濃硝酸と濃硫酸の混合物にベンゼンを加え,よく振り混ぜながら 60 ℃ で反応させた。反応終了 後,秬 反応混合物を多量の水に注ぐとニトロベンゼンが得られた。秡 得られたニトロベンゼンに濃 塩酸とスズを加えて加熱すると,均一な水溶液が得られた。この溶液に,秣 水酸化ナトリウム水溶 液を加えて塩基性にしたのち,有機溶媒を用いて抽出操作を行った。有機層を分離し,溶媒を蒸発 させると,化合物Aが得られた。化合物Aの希塩酸溶液を5℃ 以下に冷やしながら亜硝酸ナトリ ウム水溶液を加えると塩化ベンゼンジアゾニウムが得られた。さらに,稈 この水溶液にナトリウム フェノキシド水溶液を加えると,橙赤色の色素が得られた。 問1 ベンゼンからニトロベンゼンを得る反応を例にならって化学反応式で記せ。 Cl Fe 例 問2 + Cl 2 + HCl 下線秬の操作の後,生成したニトロベンゼンは①∼⑥のどの状態で存在するか。適切なもの を一つ選び,番号で答えよ。 ① 液体として水の上に浮いている ② 液体として水の底に沈んでいる ③ 固体として水の上に浮いている ④ 固体として水の底に沈んでいる ⑤ 水に溶けている ⑥ 気体になっている 問3 下線秡の反応で起こるスズの変化を,電子(e-)を含むイオン反応式で記せ。 問4 下線秣の操作で起こる変化を化学反応式で記せ。 問5 化合物Aの構造式を記せ。 問6 塩化ベンゼンジアゾニウムの構造式を記せ。 問7 塩化ベンゼンジアゾニウム水溶液は不安定で徐々に分解し,気体を発生しながら別の化合物 へと変化する。この変化を化学反応式で記せ。 問8 下線稈の操作で得られた化合物の構造式を記せ。 −15− ◆M理Z(2014)
© Copyright 2025 ExpyDoc