第12回化学概論
物質の三態
P40
●物質の状態と平衡
気体の法則
浸透圧
沸騰
P41
P42
氷枕、氷で冷やすだけではなく、氷が水に変わるときの融解熱を利用して体を冷
やしている。
氷の融解熱(6.01 kJ/mol)→334 kJ/ kgで
水で絞ったタオルも同様で水が蒸発するときの蒸発熱
水の蒸発熱2260 kJ/kg
わずかな水の量でたくさんの熱を奪うことができる。
暑い日にかく汗も、汗の水分が蒸発熱として身体の熱を奪い、体温調節に役
立っている。
• 液体内部から蒸発が起こる現象
融解熱と蒸発熱
融解熱:融解の際、熱を回りから吸収
蒸発熱:蒸発の際、熱を回りから吸収
気体の法則(単位)
氷枕と融解熱、汗と蒸発熱
P42
圧力の単位
1.01 x 105 Pa=1 atm=760 mmHg
絶対温度 T (K)
T(K) = 273 + t (℃)
ボイル・シャルルの法則
P42
一定量の気体:気体の体積は圧力に反比例し、
絶対温度に比例する。
pv
T
=
p'v’
T’
P(atm) = h (mm)/760 (mm)
気体定数 R
(0.082 atm・ℓ/mol・K = 8.3 ×103 Pa・ℓ・K-1・mol-1)
1
理想気体の状態方程式
P43
ドルトンの分圧の法則
全圧は各気体の分圧の和に等しい
P(全圧)=p1 (成分1の分圧)+ p2 +p3 + ・ ・ ・ ・ ・ ・
pv=nRT
p 圧力(atmまたはPa)、v 体積(L)
n モル数 (mol) = w/M (w: 質量 g、M:分子量 g/mol)
R 気体定数
(0.082 atm・L/mol・Kまたは8.3×103 Pa・L/mol・K)
T 温度 (K) 0 ℃=273 K
p1 = [n1 / (n1 + n2 + ・ ・ ・ ・ ・ ・)] ×P
p2 = [n2 / (n1 + n2 + ・ ・ ・ ・ ・ ・)] ×P
実在気体の状態方程式(ファン・デル・ワールス)
(p+n2a/v2)(v-nb)=nRT
a: 分子間引力に対する補正項
b:分子自身の大きさに対する補正項
呼吸ガスと分圧
1回 呼気 約0.5ℓ
1分15回として1日は
O2 吸気 21%、呼気15%
1日 650ℓ
CO2吸気 0.03%、呼気4.2%
1日 460ℓ
吸気
vol%
O2
CO2
N2
H 2O
vol%
乾燥空気
酸素 体積百分率 21%、
酸素の分圧0.21 atm = 760 x 0.21 = 160 mmHg
浸透圧
1日
CO2
460 ℓ
18 mol
P50
半透膜:溶媒分子は通すが,溶質分子は通さないような膜
(例)セロハン膜,腸壁膜,ボウコウ膜、血球、血管壁など
浸透:半透膜を通して溶媒分子が溶液中に拡散していくこと。
浸透圧:浸透する溶媒の圧力(液面を押し上げる圧力)
O2 650 ℓ
26 mol
呼気
分圧(mmHg)
P43
混合気体の分圧
肺胞気
分圧(mmHg)
vol%
分圧(mmHg)
20.95
159.2
15.3
116.0
13.1
0.03
0.2
4.2
32.0
5.3
40.0
79.02
600.6
74.3
565.0
75.4
573.0
0.00
0.0
6.2
47.0
6.2
47.0
ファントホッフの式
π=CRT=i CRT
100.0
P51
π:浸透圧 (Pa)
C:モル濃度(mol/L)
R:気体定数 (0.082 atm·L /(K·mol)または8.31×103 Pa·L/(K·mol))
T (K) :絶対温度
溶液の体積をV (L)、溶質の物質量をn (mol)
C=n/V
πV=nRT=(w/M)RT
人間の細胞外液(血漿)の浸透圧:7.7atm(37℃) P51
これと同じ浸透圧を示す食塩水溶液(生理食塩水)の
モル濃度を求めよ。
πV=i nRT→ π=i (n/V)RT=CRT
π=7.7, R=0.082, i=2, T=310
C=π/iRT=0.151(mol/ℓ)
C (mol/ℓ)
w: 溶質の質量(g)
M: 溶質のモル質量 (g/mol)
i: ファント・ホッフ係数(電離による溶媒粒子
の数)
例)電離度1とすると
NaClの場合 i = 2, CaCl2の場合 i = 3
2
高張液、低張液、等張液
P51
高張液 高い浸透圧を示す溶液
低張液 低い浸透圧を示す溶液
等張液 同じ浸透圧を示す溶液(生理食塩水、リンゲル液)
透析
P54
小さな分子やイオンなどの不純物を含むコロイド溶液をセロハンなど
の半透膜に包み、純水に浸すことによって、コロイドを精製する操作
血液の浸透圧
電解質(Na+, K+, Ca2+,
Mg2+, Cl-, HCO3-, SO42-,
HPO42-などに電離)やタン
パク質(アルブミン、グロブ
リン)が溶解
人工透析
P54
3
第12回化学概論
気体の法則
0℃=273 K, 1 atm=760 mmHg =1.01×105 Pa, 気体定数: R=8.3×103 Pa・L・mol-1・K-1
1. 27℃,150 mL で 1.0×105 Pa の気体は,77℃,250 mL では何 Pa になるか。
2. 27℃,500 mL で 2.5×105 Pa の気体は,123℃,5.0×105 Pa では何 mL になるか。有効数字 2 桁。
3. 体積 10.0 L のボンベに 27℃で気体を封入したところ,5.0×105 Pa であった。この気体は 0℃,1.0×105 Pa
で何 L か。
4. 27℃,3.0×105 Pa で、5.0 L の体積を占める水素は何 mol か。有効数字 2 桁。
5. 内容積が 1.0 L のボンベに二酸化炭素が入っている。27℃で圧力が 1.0×106 Pa を示している。このボンベ
中の二酸化炭素のモル数(有効数字 2 桁)と質量(有効数字 3 桁)を求めよ。C=12, O=16
6. 窒素ボンベの内容積が 20 L,質量が 20 kg の高圧ガス容器がある。0℃で窒素ガスを 1.0×107 Pa になるまで充
填した。このとき窒素ボンベの総重量は何 kg になるか。N=14。有効数字 3 桁。
7. 27℃,8.3 L の容器に、気体 A を 0.30 mol,気体 B を 0.20 mol 入れた。混合気体中の A および B の分圧と全圧
を求めよ。
浸透圧
0℃=273 K, 1 atm=760 mmHg =1.01×105 Pa, 気体定数: R=8.3×103 Pa・L・mol-1・K-1
8.17℃において,1.75 g のショ糖(分子量;342)を含む 150 mL の水溶液の浸透圧(Pa)はいくらか。有
効数字 3 桁。
9.ヒトの血液の浸透圧は 37℃において 7.75×105 Pa である。これと等しい 150 mL のグルコース水溶液をつ
くるには何 g のグルコース C6H12O6(分子量 180)が必要か。有効数字 3 桁。
10.食塩 5 g を水に溶かして 500 mL にした水溶液がある。いま,0℃における食塩水の浸透圧(Pa)はいく
らか。但し,NaCl は水溶液中で完全に電離しているものとする。有効数字 3 桁。NaCl=58.5
11. 人間の正常の血液の浸透圧は 37℃において 7.75×105 Pa であることが測定された。この血液と同じ浸透
圧を示すグルコース C6H12O6 溶液 1 L をつくるには,何 g のグルコース C6H12O(
を要するか。
6 分子量 180)
また,同じ浸透圧の食塩水 1 ℓ をつくるには,何 g の塩化ナトリウム NaCl (分子量 58.5)を要するか。ただ
し,塩化ナトリウムの電離度を 1 とする。有効数字 3 桁。
第12回化学概論解答
気体の法則
1.PV/T=P’V’/T’
1.0×105×150/300=P’×250/350
P’=7.0×104 (Pa)
2. PV/T=P’V’/T’
2.5×105×500/300=5.0×105×V’/400
V’=330 (mL)
3. PV/T=P’V’/T’
5.0×105×10/300=1.0×105×V’/273
V’=45.5 (L)
4.P V=nRT
n=PV/RT
=(3.0×105×5.0)/(8.3×103×300)
=0.60 (mol)
5. P V=nRT
n=PV/RT
=(1.0×106×1.0)/(8.3×103×300)
=0.40 (mol)
44(g/mol)×0.40 (mol)=17.6 g
または
44(g/mol)×0.401 (mol)=17.7g
6. P V=nRT=(w/M)RT
w=PVM/RT
(1.0×107×20×28)/(8.3×103×273)=2470 g
20+2.470=22.470→22.5 (kg)
7. P V=nRT
PA=nRT/V=(0.30×8.3×103×300)/8.3=9.0×104 (Pa)
PB=nRT/V=(0.20×8.3×103×300)/8.3=6.0×104 (Pa)
P=PA+PB=1.5×105
浸透圧
8. π V=nRT
π =nRT/V
=(1.75/342) ×8.3×103 × 290/0.15
=8.21×104 (Pa)
9. πV=nRT=(w/M)RT= i (w/M)RT
w= πVM/(RT)
=7.75×105× 0.15× 180 / (8.3×103×310)
=8.13 (g)
10. πV=nRT=(w/M)RT= i (w/M)RT
π= i (w/M)RT/V
=2 × (5/58.5) ×8.3×103×273 / 0.5
=7.75×105 (Pa)
11. πV=nRT=(w/M)RT= i (w/M)RT
グルコース 7.75×105×1 = (w/180) × 8.3×103 × 310
w=54.2 g
食塩
7.75×105×1 = 2 × (w/58.5) × 8.3×103 × 310
w=8.81 g