少子化の現代における子供服市場の将来性 10193GHU 塩 見 梨 奈 1. はじめに 現在日本では少子化が深刻な問題とされており、またそれに伴って人口の減少も進んで いる。2005 年には過去最低の出生数 106 万 2530 人を、同様に過去最低の出生率 1.26 を記 録した。2005 年以降、徐々に出生率は増加しているものの、全人口に占める 14 歳以下の割 合は 13.2%と依然として厳しい現状である。子ども服市場で生き残れる企業とは何なのか、 市場全体が今後どのような点に注意すべきなのかについて考察する。 2. 結果 市場規模は 2007 年から 2010 年にかけて減少傾向だったが、2011 年からは僅かながら拡 大を続けている。2012 年の規模は 6,990 億円だったのに対し、2013 年の子供服の市場規模 は前年比 102.6%の 7,175 億円まで伸びると推測される。以前は両親、両祖父母の 6 人を表 す 6 ポケットと呼ばれていた子供のスポンサーも、現在では未婚の叔父や叔母も含めて 10 ポケットと呼ばれるようになった。さらに、一世帯あたりの子どもの数が減少する一方で、 子ども一人あたりの消費支出は増加していることから子ども服市場は拡大が予感される。 また、JSと呼ばれるおしゃれに関心のある女子小学生が特に注目を浴びている。彼女 たちがお手本にするのはJSファッションブームを牽引してきた「ニコ☆プチ」や「JS ガール」をはじめとするファッション雑誌である。自分のセンスでコーディネートする楽 しみをつくるきっかけにもなり、小さいうちからファッション感覚を身に付けることがで きる。子ども服=親のセンスではなく、自分が着たい服を自分で選ぶ動きが強まっている。 子ども服市場を代表する3つのブランド戦略を取り上げると、高級志向のミキハウスは 乳児期からの顧客獲得とこだわりの高品質、低価格志向の西松屋は徹底したコストと手間 の削減、そして新たに登場したJS志向のシスタージェニィは子供視点の商品展開である。 共通しているのは、そのブランドにしか無い特徴を持ち合わせていることである。子供服 業界で勝ち組ブランドとして残ることが出来たのは、そこでしか購入できない品質、価格、 デザインにこだわり続けた結果だと言える。 3.考察 14 歳以下の人口が 1 割程度にしか満たないという現状ではあるが、子供 1 人あたりに支 出する金額は今後増加していく。大人からも子供からも支持され、子ども服市場で勝ち残 るブランドになるためには、少子化という市場の変化に対応しつつも、ブランドとしての 譲れない強いこだわりを持ち続けることが必要だと言える。 【参考文献】 矢野経済研究所(2012)『ベビー・こども服市場に関する調査結果 2012』ほか
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