IT サービスの存在感を高めビジネス 価値を向上する

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サービスカタログで
IT サービスの存在感を高めビジネス
価値を向上する
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サービスカタログで IT の存在感を高めビ
ジネス価値を向上する
今日の CIO はコストを
削減し、生産性を向上
して、収 益を生み出す
新しい方法を探ることを
求められています。
CIO マガジン
多くの企業の意思決定者は、IT 投資に対して疑問を抱いています。多くの場合その
理由は、IT サービス管理(ITSM)によってもたらされる価値や、IT インフラスト
ラクチャライブラリ(ITIL®)が推奨するベストプラクティスによってもたらされる
コンプライアンスの価値について、意思決定者たちが理解していないことによりま
す。多くの場合、このことは CIO にとって、ビジネスに対して IT の価値を示さな
くてはならないというプレッシャーになります。優れたサービスカタログを作成す
ることがどのようにこうしたプレッシャーを和らげるのか、また、なぜ多くの人た
ちがサービスカタログを IT 改善の取り組みの基盤として考えているのかについて考
えてみましょう。
効果的なサービスカタログを使用すると、IT 部門は、より顧客重視、サービス重視の
ビジネスサービスを提供することができます。この結果、顧客満足度が高まり、標準化
と一貫性が確立され、企業全体における IT の存在感を向上させることができます。
概要
「今日の CIO はコストを削減し、生産性を向上して、収益を生み出す
CIO マガジン誌によると、
新しい方法を見つけることを求められています。
」そのため、IT への投資から生まれる価値をビジ
ネスに示すことが CIO にますます求められてきています。
透明性を高め価値を示すために、IT のコストとサービスを完全に可視化する必要があります。
「透明性のあるガバナンスプロセス、予算と業績の監視は、事業部門の信頼を取り戻すうえで
重要な要因となります。
」とガートナー社は説明しています。
こうした問題に対処するため、ほとんどの CIO やシニアエグゼクティブはすでに相当の額を
自社の IT 部門に投資しています。しかし、こうした投資は土台ともなるサービスカタログが
不適切であったり、不足していたりするため、ITIL® や IT 運用の自動化によって実現される
価値をしっかりと理解せずに行われています。
優れたサービスカタログを構築すれば、ITSM の価値を示すことによってこのような CIO の
プレッシャーは弱められ、同時に、組織の IT に対する認識を高めることができます。
透明性による信頼の構築
多くの企業において IT 部門がどのように見られているのかを調べた調査によると、IT 部門は
重要なパートナーとみなされているものの、予算効果、事業に対する理解、コミュニケーション
などで低く評価されていることがはっきり分かります。
IT サービスマネージャの多くは信頼を築く必要性を認識していますが、多くの場合、この目
標に到達するうえで次に示すような大きな課題に直面します。
• 作業に優先順位を付け、行動を始める
• 一貫性のある企業戦略を立てつつ、事業に不可欠な継続的な実装を管理する
• IT 予算を事業目標・目的と一致させる強力なビジネスケースを作る
• 計画された目的に応じた、サービス管理ツールを確保する
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
サービスカタログはビ
ジネスに必要不可欠な
資産です。
イボー・マクファーレン、
ITIL v3 Service Transition
の作成者
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信頼を築くには、効果的なサービスカタログから始めるのがよいでしょう。経験豊かな
「サービスカタログは、サービスの対象となる顧客やユー
ITSM の担当者の言葉を引用すると、
ザーがいる場合にのみ必要であり、いなければ贅沢品」なのです。当然顧客やユーザーはい
るので、どんな組織でも優れたサービスカタログのメリットを受けることができます。
サービスカタログがない企業や、サービスカタログがあってもサービスの内容が不明確であった
り、一部しか定義されていないため効果的ではないケースも見受けられます。サービスカタログ
の多くは、次に示す一般的な問題を 1 つ以上抱えています。
• サービスそのものよりもサービスの提供に関する情報のほうが多い
• 実際のサービスの使い手ではなく、IT 部門のために作られている
• サービスが多すぎて、役に立つ分類がほとんどされていない
• そもそも分からないサービスがある
定義が十分でないサービスは多くの場合正しく理解されません。このため効果的に管理する
ことができず、混乱を招きます。
効果的なサービスカタログを作成すれば、企業とそのユーザーのニーズを満たすサービスを
わかりやすく説明できます。サービスが広く普及し、分かりやすく、簡単にリクエストでき、
また一貫して配信されるものであれば、サービスカタログは IT の可視性と価値を高めるサー
ビス管理の土台となります。
サービスカタログでサービス管理の土台を築く
真のサービス管理を行うには、提供するサービスを把握し、理解しなくてはなりません。イン
シデントや問題の管理といった重要なプロセスを確立することは可能ですが、それらのプロ
セスによって実現されるサービスを理解していなければ、十分にサービスを管理することは
できません。
サービスカタログは、真のサービス管理を提供するうえで必要な理解を生む土台となります。
「サー
ITIL v3 Service Transition の作成者であるイボー・マクファーレンの言葉を引用すると、
ビスカタログはビジネスに必要不可欠な資産」なのです。
以下に示す ITIL v3 Service Design から得た全体像では、サービスカタログは円滑なサービ
ス管理に欠かせないさまざまな要素に重要な参考情報を提供します。
図 1. サービスデザイン - 全体図
強力なサービスカタログは、利用可能なサービスを明確に伝えることで ITSM の土台となる
と同時に、IT 部門が、社内のプロセスや、どのようにサービスを提供するかについての詳細
情報を管理することができます。
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
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顧客重視のサービスの定義
顧客は誰か、顧客の
求めているものは何
かをきちんと理解で
ITIL v3 では、「サービスとは、顧客が特定のコストやリスクを負うことなしに求める成果を
得られるようにサポートすることで、顧客に価値を届ける方法である」と説明しています。
顧客の考えや顧客が求める成果を理解することは、成功を導くにあたって非常に大切です。
ハーバードビジネススクールの名誉教授であるセオドア・レビット氏の名言にあるように、
「求
められているのは 1/4 インチドリルではなく 1/4 インチの穴なのです」
。
きれば、優れたサー
カタログ開発をシンプルにするためには、次のことが必要です。
ビスカタログを作る
• 利用者を特定する。正確に利用者を特定することで、サービスカタログのサービスを利用
者の要件に一致させることができます。しかし、通常 IT 部門の多くはサービスカタログの
ことができます。
実際の利用者から遠い位置にいるため、この作業が困難になることがあります。直接の利
用者と間接の利用者との間に明確な区別がないことも、正しく利用者を特定することを複
雑にします。
正確に利用者を特定できない場合、間違ったサービスを定義、構築、および文書化してしま
いサービス採用の障害となることがあります。
• 利用者の要件を定義する。利用者と話をして、その話に耳を傾け、ニーズを理解します。
社内外の両方のさまざまなレベルに利用者がいる場合があります。
「どんなサービスを使用
しているのか、そのサービスがビジネスプロセスの中でどのように位置付けられるのかを
利用者に尋ねることからまず始めましょう。多くの場合、利用者のほうがより明確に理解
しているものです。
」ITIL v3、Service Design、OGC。
利用者は誰か、利用者の求めているものは何かをきちんと理解できれば、優れたサービスカ
タログを作ることができます。
サービスカタログの開発
経験に裏打ちされた「The IT SKeptic」主宰のロブ ・ イングランド氏によると、
「カタログを
作ることは簡単である。高価なツールを買って、これを実装するのも同じくらい簡単である。
利用者と提供者の間で、実際のサービスの内容について合意することこそ大変なこと」なの
です。
最善のアプローチは、
利用者の目に見えるサービスを特定することから始めることです。次に、
こうしたサービスを提供するのに必要なコンポーネントとインフラストラクチャをトップダ
ウンで定義していきます。
別のアプローチでは、利用者が必要とするサービスのハイレベルなリストからはじめ、既存
のコンポーネントや物理的なインフラストラクチャに基づきボトムアップでデータを構築し
ます。最後に、この 2 つを結びつけます。何が手元にあり、利用者のニーズにどうやってあ
わせていくかという、この結び付けのプロセスは困難なことが多いため、最後に行われる重
要な要素です。
ITSM への取り組みを開始している場合は、その他のプロセスと平行してサービスカタログを
構築します。サービス管理ツールが、カテゴライズといった基盤となるデータモデルの定義を
求めることはよくあります。これにより、インシデント、問題および変更といったプロセス
がサポートされます。サービスの内容を理解することは不可欠です。これを欠くとデータモ
デルが誤ったものになるか、サービス重視ではなく IT 部門重視型のものになってしまいます。
しかし実際には、使用されるサービスデスクといった基本的な機能を把握してから、サービ
スカタログに着手する必要がある場合があります。この場合は、次に示すような、最初に定
義されるサービスに依存する ITIL の機能に注目します。
• サービスリクエストの自動化
• サービスレベル管理
• サービスにモデル化された構成管理データベース(CMDB)
最重要かつ最もニーズの高い、また最もよく理解されているサービスを特定して、カタログ
の作成を始めます。たとえば、IT サービスと事業部門をマトリックスにマップします。次に、
どの事業部門がそれぞれのサービスを利用しているかを示します。ほとんどの事業部門で高
いニーズのあるサービスは、最も重要である可能性が高くなります。
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
サービスカタログを
提 示 す る 際 に は、
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各事業部門が使用するサービスを特定してから、各サービスへのさまざまなユーザーリクエ
ストを相互に関係付けます。たとえば、メールサービスには、パスワードのリセット、新し
いアカウントの作成、およびアカウントの削除が必要になるかもしれません。これらの要件
はそれぞれ、カタログにエントリされます。
シンプルかつ親切
に、また使いやすく、
広くアクセスできる
ようにするのが理想
です。
図 2. 各サービスへのユーザーリクエストを特定し、関連付ける
カタログエントリを定義する際に、どの利用者がそのサービスをリクエストできるか、サー
ビスが満たさなくてはならない要件は何かをそれぞれ特定してください。
複雑なサービスには、
「モバイルサービス」のような、非常に短いタイトルを付けることがで
きます。短いタイトルのサービスがきちんと定義されていることを確認し、利用者が、自分
たちがリクエストしている内容、および関係する業務に適切に課金されるかをきちんと理解
できるようにします。多くの場合、複雑なサービスを、別々のサービスとして提供されるよ
り小さなコンポーネントに分割することで、よりわかりやすくなることがあります。
最重要サービスを特定し、それらをわかりやすく定義したら、明確かつ説得力を持って利用
者にこれを提示できます。
サービスカタログの提示
サービスカタログを提示する際には、シンプルかつ分かりやすく、また使いやすく、広くア
クセスできるようにするのが理想です。ServiceNow プラットフォームで作成されるような
オンラインサービスカタログはアクセスしやすく、カスタマイズするのも簡単です。
図 3. サービスカタログの提示
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
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また、携帯端末を含む様々なデバイスで、カタログをサポートおよ
び表示可能なことも重要です。これは、ServiceNow を使うと数時
間で実現できます。
オンラインサービスカタログは、複数のデバイスタイプをサポート
するのに加え、使用するユーザー向けにカスタマイズすることも必
要となります。
完全図を描くこと
で、サービスの説明
車の販売を例に考えてみください。カタログは利用者とサービスを
提供する側の両方にとって、サービスの範囲と集中ポイントの特定
に役立ちます。いろいろな人がさまざまな理由で車を購入します。
やサービスの範囲に
関して顧客と効果的
な コ ミ ュ ニ ケ ー
ションを図ることが
できます。
•
車椅子を利用する人:広いドア、開閉が簡単
•
犬を飼っている人:シートやカーペットのクリーニングが簡単
•
買い物によく行く人:広々としたスペース、ショッピングセン
ターでの駐車が簡単
•
子供がいる人:後部座席への搭乗やチャイルドシートの装着が
簡単
•
車好きの人:エンジンサイズ、性能、仕様
図 4.
モバイルデバイスサポート
こうした異なる顧客グループに別々のサービス(車)を作って、提供するのではなく、車の
カタログによって、こうした非常に異なる顧客グループの期待に応える方法で 1 つのサービ
ス(車)を提示します。
自動車メーカーには、車を作り、これを特定し、宣伝し、販売するための膨大なデータベー
スとメカニズムがあります。しかし、顧客はその車が車椅子でも乗れるか、シートやカーペッ
トをきれいにするのが簡単かどうかといった情報だけを必要としています。
同様に、IT 部門は土台となる IT サービスについて大量の情報を有しています。優れたサービ
スカタログには、さまざまなレベルの詳細な情報が含まれていなければなりません。最上位
レベルで顧客のニーズを特定します。これは、顧客とのコミュニケーションから得られる情
報です。
それぞれの顧客の要件をサポートして、さまざまなレベルの追加情報を取得する必要があり
ます。これらの情報は、土台となるテクニカルカタログや締結するサービスレベルアグリー
メント(SLA)から得られることもあります。また重要なコンポーネント、
関連するサービス、
エスカレーションパス、利用可能なトレーニングといったことに関する情報が必要になる場
合もあります。
全体像を描くことで、サービスの説明やサービスの範囲に関して顧客と効果的なコミュニケー
ションをとることができます。
図 5. 企業への電子メッセージ
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
各サービスが満たす必
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全体像によって、取り組みに対するリアルタイムの業績を示すためのダッシュボードを作成
できます。ServiceNow が作成した以下の例では、業績に関する情報が一目でわかります。
要のある顧客の要件を
特定し、選択と発注が
簡単にできるようにし
ます。
図 6.SLA の実行リクエスト
最終的に、サービスカタログはわかりやすく、人を引きつけ、アクセスしやすい方法で IT サー
ビスを提示する必要があります。各サービスが満たす必要のある利用者の要件を特定し、簡
単に選びだしオーダーができるようにします。
図 6. 企業への電子メッセージ
最も効果的なサービスカタログでは、利用者が簡単にサービスオーダーの進捗を把握したり、
サービスが提供される時期を予測したり、関連するコストの把握ができます。自社のサービ
スカタログを設計する際には、デザインのアイデアや実装の技術について他のカタログを見
てみることを検討してください。
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サービスカタログで IT を可視化し事業価値を高める
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ServiceNow などのツールがある場合は、サービスカタログに現在利用できるコンポーネン
多くの場合、優れた
オンラインサービス
カタログは、IT の実
際の事業価値および
認識される事業価
値を向上させるにあ
たって大きな影響を
もたらし、新しい方
法で IT の道を開くこ
とができます。
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トが示されるサービスポートフォリオの作成を検討してください。ポートフォリオでは、新
しいサービスの評価、判断、計画を実施することができます。サービスが適切に定義、承認
されたら、サービスカタログに載せることができます。
ソーシャルな側面
通常エンドユーザーは、変化の激しいビジネスの最前線にいるものです。ソーシャル IT を導
入すれば、企業は、業務に取り組み、協力し、知識を共有する人たちから学び、組織を強化
することができます。こうした本質的なソーシャルなコミュニティは、人、プロセスおよび
テクノロジを結びつけることで、コストを削減し、関係と対応を改善することができます。
このようなコミュニティを利用して、IT サービスとサービスカタログのコンテンツに対する
フィードバックを取得します。ライブチャットやライブフィードなどの機能を組み込んだコ
ラボレーションでは、エンドユーザーは IT 部門と一体化し、IT 部門から刺激を受けることが
できます。
結論
わかりやすく定義されたサービスと使いやすいサービスカタログは、サービス管理の成熟度を
示すものです。
「ここに来ればなんでもそろう」ようにすることで、
利用者は簡単にサービスを
探し、利用することができるようになります。多くの場合、優れたオンラインサービスカタ
ログは、IT の実際の事業価値および認識される事業価値を向上させるにあたって大きな影響を
もたらし、新しい方法で IT の道を開くことができます。
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