二酸化炭素排出量及び 削減量の算定及び検証の手法

二酸化炭素排出量及び
削減量の算定及び検証の手法
2014年3月
1
温室効果ガス排出量の把握の目的



チャレンジエコアクション 21は二酸化炭素等
の温室効果ガスの排出量の把握とその削減
に焦点を絞って取り組みを行うもの。
一方、現在のエコアクション21では取り組ん
だ成果として、全体の温室効果ガス量を把握
する仕組みがない。
チャレンジエコアクション21では、活動に取り
組んだ成果として、温室効果ガス量を算定、
検証、報告し、全体での効果を測定する。
2
算定及び検証の前提


算定、検証の方法を整備し、データの統一性を持たせ
る。
法的要求から実施する温室効果ガス排出量の算定、
検証より中小企業向けに簡素化する。


法的要求例:東京都環境確保条例に基づく大規模事業所への温室効
果ガス排出総量削減義務の制度
バリューチェーン(サプライチェーン)における温室効
果ガス排出量の把握が強化されることが予想される。
バリューチェーン排出量(Scope1+2+3)として使用可能
なレベルの算定検証を行う。

参考「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本
ガイドライン」 2013年3月 環境省、経済産業省
3
バリューチェーンでの温室効果ガス量の把握

現在の「温対法」の算定・報告・公表制度、CSR報告書
等において把握している排出量の範囲は事業者自ら
の排出に留まっている場合が多い。
【課題】


省エネルギー型の製品等、温室効果ガス排出量が
少ない製品は排出量の評価に貢献しない。
バリューチェーンの大きな削減ポテンシャルがあっ
ても把握できておらず、削減行動につながらない。
バリューチェーン(取引先等)における温室効果ガ
ス排出量の把握の強化
4
バリューチェーンにおける温室効果ガス把握
の手法 Scope

ScopeはGHGプロトコル(米国の環境NGO)が発表した企業の
バリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の算定や報告
の方法。日本国内企業でもこの基準に従いバリューチェーンで
の温室効果ガス(Scope1+Scope2+Scope3)を把握する企業が
増えている。
Scope2
・他者供給の電気
・他者供給の熱
Scope1
・燃料の燃焼
・工業プロセスの
排出
Scope3
・原材料の採掘
・原材料等の製造
・原材料等の輸送
Scope3
・通勤
・出張
Scope3
・製品の輸送
・製品の使用
・製品の廃棄
5
ISO14001におけるバリューチェーンの
環境管理の強化
ISO14001 2015年改訂案
8.2 バリューチェーン計画及び管理

組織は著しい環境側面並びに組織のリスク及
び機会に関連を持ち、バリューチェーンに関連す
るプロセスをどのように管理し、影響を及ぼしてい
くのか、ライフサイクルの観点を考慮に入れて決
定すること。
・・・・
6
対象となる温室効果ガス 温対法
対象となる温室効果ガス
エネルギー起源二酸化炭素
(CO2)
非エネルギー起源二酸化
上 炭素(CO2)
記
以 メタン、N2O、HFC、PFC、
外 SF6
対象となる活動(資料1)
燃料の使用、電力の使用、
熱の利用
セメント製造、廃棄物等の
焼却など
廃棄物等の焼却、下水・し
尿等の処理、家畜の排せ
つ物管理、電気冷蔵庫廃
棄におけるHFC回収など
7
排出量算定の流れ
(1)排出活動の特定:事業者が行っている活動を特定(資料1)
(2)活動ごとの排出量の算定
温室効果ガス排出量(tガス)=活動量×排出係数=A
活動量 :使用量、生産量、焼却量など
排出係数:活動量当たりの排出量(資料2)
(3)排出量の合計量の算定:
温室効果ガスごとに、活動ごとに合算
(4)排出量のCO2換算値の算定
温室効果ガス排出量(tCO2)=A×地球温暖化係数
地球温暖化係数:地球温暖化をもたらす程度のCO2との比
(資料3)
8
エネルギー起源二酸化炭素(CO2)排出量
の算定方法
(1)燃料の使用
燃料の種類ごとに下記式で算定
CO2排出量(tCO2) =
燃料使用量×単位発熱量×排出係数×44/12
燃料使用量:t、kl、千Nm3
単位発熱量:GJ/t、GJ/kl、GJ/千Nm3 (資料4)
排出係数 :t/GJ (資料5)
排出量の算定例
1年間に使用したA重油の量
が15klの場合の排出量
15kl×39.1(GJ/kl)×
(単位発熱量)
0.0189(tC/GJ)×44/12
(排出係数)


使用する単位に注意が必要。
(参考) 1GJ=109J=103MJ、 1MJ=106J
都市ガスの標準状態への換算:計測時圧力又
は温度が不 明の場合、計測時体積を標準状態
体積とする。
(CO2換算)
=40.6(tCO2)
単位発熱量:資料4から
排出係数 :資料5から
9
エネルギー起源二酸化炭素(CO2)排出量
の算定方法
(2)購入電力の使用
下記式で算定
CO2排出量(tCO2)=
電気使用量(kWh)×排出係数
排出係数:tCO2/kWh (資料6)
電力会社ごとに、毎年、国が公表。
排出量の算定例
1年間の電気使用量が2万kWhの
場合の排出量

東京電力の場合
20,000kWh×0.000525(tCO2/kWh)
=10.50(tCO2)

関西電力の場合
20,000kWh×0.000514(tCO2/kWh)
=10.28(tCO2)

九州電力の場合
20,000kWh×0.000612(tCO2/kWh)
=12.24(tCO2)
10
エネルギー起源二酸化炭素(CO2)
排出量の算定方法
(3)熱供給会社から供給され
た熱の使用
排出量の算定例
熱の種類ごとに下記式で算定
CO2排出量(tCO2) =
熱使用量(GJ)×排出係数
排出係数:tCO2/GJ(資料2)
1年間に熱供給会社から供給を受
けた熱として、温水75GJ,冷水115
GJの場合の排出量
温水:75GJ×0.057=4.275tCO2
冷水:115GJ×0.057=6.555tCO2
計 10.830tCO2
11
チャレンジエコアクション21温室効果ガス
算定・検証の対象エネルギー

チャレンジエコアクション21実施事業者は、チャレンジ
エコアクション21の適用範囲における温室効果ガス排
出に関連するエネルギー使用量等を把握する。

その他温室効果ガスの把握は今後の検討事項
対象温室効果ガス
内容
エネルギー起源二酸化炭 燃料の使用(灯油、A重油、都市ガス、液化天然ガス(LNG)、
素(CO2)
液化石油ガス(LPG)、ガソリン、軽油 等)、電力の使用、熱の
使用(産業用蒸気、蒸気(産業用のものは除く)、温水、冷水)
その他温室効果ガス
非エネルギー起源二酸化炭素(廃棄物の焼却 等)
*工業プロセス排出等
メタン、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、
パーフルオロカーボン(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)
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対象となる事業活動の適用範囲
【含める活動】
 チャレンジエコアクション21の適用範囲におけるエネル
ギー使用量等は対象に含める。


自社所有の車両によるガソリン、軽油等の燃料を使用
設備工事等により自社の電気等のエネルギーを一時的に使
用 等
【含めない活動】
 以下の活動はチャレンジエコアクション21の適用範囲
外としてエネルギー使用量等からは除外する。


適用範囲外の事業所へ供給されるエネルギー
住宅用途で使用するエネルギー 等
13
エネルギー監視点の特定

使用するエネルギー使用量等を把握するために“エネ
ルギー監視点”を特定する。
対象
使用エネルギー等
エネルギー監視点
確認場所
灯油、A重油
確認方法
危険物貯蔵所又は取扱所、 購買伝票、実測
少量危険物貯蔵取扱所、そ
の他貯蔵場所
エネルギー起源 都市ガス
二 酸 化 炭 素 液化石油ガス(LPG)
(CO2)
都市ガスメーター
購買伝票
LPG供給メーター、LPGボンベ 購買伝票、実測
ガソリン、軽油
車両、保管場所
購買伝票
電力
電力メーター、受電設備
購買伝票
熱の使用
受入施設
購買伝票
14
エネルギー使用量等の確認方法

確認方法は外部が発行した購買伝票等を基
本とするが、以下の情報による確認も可能。




電力、ガスにおけるWEB情報の確認
燃料等の月次での購買伝票
燃料等の実測が必要な場合のレベル計等によ
る実測
メタン等その他温室効果ガスにおける「温室効
果ガス排出量算定・報告マニュアルVer3.4」での
算出
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エネルギー使用量等の把握対象期間




チャレンジエコアクション21に取り組んだ前年を
基準年とし、前年及び当年の月次の使用量を把
握する。
基準年の温室効果ガスの量はチャレンジエコア
クション21の効果を測定する基準となる。
把握した数値は「エネルギー使用量等算定検証
表」に記載する。
運用開始後は毎年、毎月の使用量を把握し同
様に記載する。
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「エネルギー使用量等監視点」の作成
事業者はエネルギー監視点を帳票「エネルギー使
用量等監視点」に記載する。

監視点
1
2
3
4
排出活
動
電気の
使用
ガスの
使用
灯油の
使用
ガソリン
の使用
エネルギー
の種類
購入電力
都市ガス
灯油
ガソリン
エネルギー監視点
監視場所
確認方法
事務所2F ○○電力取 ○○電力「電気ご使用量
引メーター
のお知らせ」
工場棟1F ○○ガス取 ○○ガス「ご請求書兼ガ
引メーター
ス料金等払込金受領証」
工場棟1F 灯油燃料タ ○○GS(ガソリンスタンド)月
ンク
次請求書
○○GS(ガソリンスタンド)月
車両3台
次請求書
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「エネルギー使用量等検証チェックリスト」作成

検証人(コンサルタント=審査人)はエネルギー監
視点等を検証し適合性を判断する。
N
確認事項
O
全事業者に確認する項目
検証方法
適 適
用 合
検証結果
追加調査
*不明点がある場合は配電
(例)
図で追加調査する。
ヒアリング、受電設
受電設備・メーター
電気の供給点は監視点と
1
備・メーターの目視 ■ ○
が1箇所であること
して特定されているか。
で確認する。
を目視で確認した。
*不明点がある場合はガス
(例)
配管図で追加調査する。
都市ガスメーターが
都市ガスの供給点は監視 ヒアリング、メーター
2
■ ○
1箇所であることを
点として特定されているか。の目視で確認する。
目視で確認した。
*不明点がある場合は届出
(例)
書類等で追加調査する。
暖房用灯油タンクが
灯油、A重油等のタンク、 ヒアリング、貯蔵場
3 燃料置場等は監視点とし 所を目視で確認す ■ ○ 少量危険物として貯
蔵されていることを
て特定されているか。
る。
目視で確認した。
18
「エネルギー使用量等算定検証表」の作成

事業者はエネルギー使用量等を上段(測定数値)
に記載し、検証人は下段(検証数値)を記入し適合
性を確認する。
監
使用エネ
視
供給会社 把握方法 単位 対象月 4月
ルギー
点
測定数
値
1
○○電力発行の「電気ご使 検証数
根拠資料
用量のお知らせ」
値
判断結果
○
差異
都市ガス
測定数
○○ガス 購入伝票 N㎥
13A
値
電気
2
○○電力購入伝票 kWh
○○ガス発行の「ご請求書
検証数
根拠資料 兼ガス料金等払込金受領
値
証」およびWeb情報
判断結果
○
差異
5月
6月
・・・
1月
3月 合計
2月
100
120
130 ・・・
130
140
120 1,370
100
120
130 ・・・
130
140
120 1,370
0
0
0 ・・・
0
0
300
333
335 ・・・
345
378
332 3,749
300
333
335 ・・・
345
378
332 3,749
0
0
0 ・・・
0
0
0
0
0
0
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算定検証のQ&A 1
Q 同じ事業所で事業規模の変更、事業内容の変更、建物の変
更、設備の変更によるエネルギー等使用の増減はそのまま計
上しますか。
A 事業活動に伴う温室効果ガスを測定する必要がありますので
そのまま計上してください。
Q チャレンジエコアクション21で設定する環境目標の形式は従来
通り自由との理解で良いでしょうか。
A 温室効果ガスの排出量は絶対量で把握しますが、環境目標は
原単位を活用するなど自由に設定することができます。
Q 購買伝票等を紛失していることが判った場合、どう対応したら
良いでしょうか。
A 電力会社、ガス会社、燃料等供給会社に問い合わせて使用量
の情報を入手してください。
20
算定検証のQ&A 2
Q テナントビルで自社の電気の使用量が不明な場合はどうした
よいでしょうか。
A チャレンジエコアクション21では温室効果ガス削減効果が測定
できない場合、チャレンジエコアクション21の取組事業者として
は対象外になります。ただし、全体の一部の事業所のみ把握
ができない場合(例:営業所)、対象とすることができます。
Q 購買伝票等が膨大な数になった場合でも、全数検証をします
か。
A サンプリングのルールを検討中です。
Q 購入電力の排出係数は何を使用しますか。
A 算定、検証した年度における国が公表する電気事業者毎の排
出係数を用いて下さい。
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