HP 作成の目的 近年,鋼構造分野において,コンピューター技術の発達と各種構造解析ソフトの開発によ り多くの鋼構造挙動の追跡が電算処理によって行われている.一般に,それらのソフトはブ ラックボックス化してきており,ユーザーにとっては具体的な構造計算や解析の内容の把握 が困難な状況になりつつある.それにもかかわらず,技術者はそれらのソフトによるアウト プットの妥当性を判断する必要に迫られる. 戦後から 1980 年代にかけて,鋼構造分野の解析技術は飛躍的に向上した.当初にはコンピ ューターは無く,技術者はひたすら学術的に誘導された構造公式を用い,机上計算により物 事を解決してきた.その後,電算の導入により机上計算を電算結果により確認する時代があ った.そして現在は机上計算によって鋼構造挙動の追跡を行う頻度は薄れ,設計計算の殆ど を電算に依存する時代が到来してきている.電算結果はその妥当性が検証されることなく, 鵜呑みにされる危険性も孕んでいる. 鋼構造物の設計技術者として設計力をブラッシュアップするためには,力学理論と構造公 式の理解が必要であろう.その知識があれば電算結果の妥当性を評価でき構造挙動の適切な 解釈が可能となろう.社会基盤構造物の設計計算は道路橋示方書,建築基準等の基準に従っ て実施されるが,基準に盛り込まれている照査式についても以上と同様である.コンピュー ター時代の鋼構造技術者といえども力学理論や構造公式の理解を怠ることはできない. 若手技術者が力学理論と構造公式,あるいは旧来の設計公式,照査式について理解するた めには,先人からの技術の継承が必要である.従来は,技術の継承のため,公式集や設計便 覧等をはじめとする,多くの参考図書が出版されてきた.しかし,この紙媒体による技術の 伝承には,我々の経験からして以下の問題があった. ①紙面数の制限から誘導式の全てを網羅することが難しく,読者が一たび誘導の追跡につま ずくと長時間の検討,堂々巡りが必要となる. ②できるだけ広範囲の技術継承を意図して網羅的,概略的な内容の紹介にとどまることが多 く,詳細を理解したい読者は多数の参考文献を調査するなど,困難に直面する. これらの問題点を容易に解決し,技術の伝承を行う一つの手段として,インターネット上 に掲載した電子媒体を用いて,逐一の誘導過程を詳細に解説した資料を公開することが考え られる.電子媒体のため字数の制限はほぼ無限大であるし,サーバーの管理を正しく行えば, 多くの技術者が公平にアクセスでき,時間的劣化の心配も不要である.また,完璧な資料で あれば非常に短時間に技術の習得が可能となる. 以上の主旨に能うべく,下記の項目について解説した資料をインターネット上に公開する こととした.扱う項目については今後,順次追加して行く予定である. 本ホームページ上に掲載した解説資料を鋼構造物の設計実務に携わっておられる技術者, 鋼構造物の力学や設計方法の基礎について勉強を始められた高専生,大学生等の自学自習に 有効に役立てて頂けるのであれば幸いである. 2014 年 6 月 11 日 三好 崇夫 加藤 久人 掲載予定項目 ①道示,補剛板の設計 ②道示,合成桁のクリープ ③骨組み解析 ④曲げ変形とせん断変形 ⑤純ねじりとそりねじり ⑥そりねじり定数の算定 ⑦三次元弾性体力学 ⑧仮想仕事の原理 ⑨断面変形論 ⑩曲線桁理論の基礎式 ⑪FEM 解析 ⑫振動解析 ⑬TMD の設計
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