1 SimLabによる 高精度かつ高速なIFEM用音響解析モデルの作成 トヨタ自動車(株) ドライブトレーンユニット設計部 デジタルエンジニアリング室 武川 2 目次 1.音響解析の目的 2.音響解析手法 3.音響解析への要求性能 4.音響解析モデルの課題 5.対策 6.結果 7.まとめ 3 1.音響解析の目的 【目的】 トランスミッション (以下、T/M) の静粛性向上 T/M放射音を短時間で高精度に予測 複雑 シンプル 振動解析 精度 音響解析 精度 × = シンプルな 「音響解析」 は万全にしておきたい 図1.T/M放射音の予測精度イメージ T/M放射音 精度 4 【ご参考】 T/M解析フロー 振動解析 モデル作成 振動解析 モデル Nastran 振動解析 結果 結果処理 振動解析 結果 振動解析+最適化 結果処理 音響解析 モデル 本日のプレゼン内容 Actran 音響解析 図1.T/M解析フロー 音響解析 結果 Actran VI T/M放射音 5 2.音響解析手法 IFEMを選択 BEM FEM 直接法 解 析 モ デ ル モード法 FMBEM <*1> APML <*2> IFEM <*3> 解析対象 解析対象 解析対象 BE FE FE PML <*4> 解析対象 FE 楕円体 楕円体 <*1> Fast Multipole Boundary Element Method <*3> Infinite Element Method <*2> Adaptive Perfectly Matched Layer <*4> Perfectly Matched Layer 6 3.音響解析への要求性能 「高精度化」 と 「高速化」 の両立 7 4.音響解析モデルの課題 (1/4) 「高精度化」 と 「高速化」 の両立 モデル の影響大 計算 精度 計算 速度 モデル ソルバ 8 4.音響解析モデルの課題 (2/4) IFEMにおける音響解析モデルとは? ① シェル要素@T/M形状 振動解析結果の反映 ② ソリッド要素 A 空気の領域を表現 ③ シェル要素(=無限要素)@楕円体 無反射面を定義。 モデル外側における回折等の影響も、厳密に計算。 A 図1 A-A 図2 9 4.音響解析モデルの課題 (2/4) 波長[mm]= IFEMにおける音響解析モデルとは? 340[m/s] 周波数[kHz] 【精度要件1】 ① シェル要素@T/M形状 振動解析結果の反映 波長@最大解析周波数 最大メッシュ長 ≦ 6 ソルバによって 推奨値異なる ② ソリッド要素 A 空気の領域を表現 【精度要件2】 ③ シェル要素(=無限要素) @楕円体 無反射面を定義。 モデル外側における回折等の影響も、厳密に計算。 【精度要件3】 A 図1 A-A 図2 シェル要素①③の距離 ≧ 波長@最大解析周波数 (ソリッド要素②の厚さ) 10 4.音響解析モデルの課題 (2/4) 波長[mm]= IFEMにおける音響解析モデルとは? 340[m/s] 周波数[kHz] 【精度要件1】 ① シェル要素@T/M形状 振動解析結果の反映 推奨値異なる ② ソリッド要素 A 波長@最大解析周波数 最大メッシュ長 ≦ 6 ソルバによって 空気の領域を表現 メッシュ詳細化 節点数増加 【精度要件2】 ③ シェル要素(=無限要素) @楕円体 無反射面を定義。 モデル外側における回折等の影響も、厳密に計算。 【精度要件3】 A 図1 A-A 図2 シェル要素①③の距離 ≧ 波長@最大解析周波数 (ソリッド要素②の厚さ) 楕円体拡大 節点数増加 11 4.音響解析モデルの課題 (3/4) メッシュサイズ(粗・細)と予測精度の関係 (【精度要件1】の必要性を理論解によって検証) 近傍 遠方 許容最大メッシュ長[mm] 球の一部が 単位速度(1.0m/s) で振動 遠方 近傍 × × 音圧観測点 81.0 500 63.0 51.5 43.6 メッシュ長 @CAE細 メッシュ長 450 @CAE粗 37.8 許容最大メッシュ長[mm] 33.3 CAE粗 81.0 90 誤差@ CAE粗 最大メッシュ長 精度保障周波数 CAE粗 60 [mm] 0.94 [kHz] CAE細 43 [mm] 1.32 [kHz] 340[m/s] 最大メッシュ長[mm]×6 精度保障周波数 @CAE粗 250 精度保障周波数 @CAE細 音圧[dB] 音圧[dB] 理論解 300 表1.2つの検証モデル 精度保障周波数[kHz]= CAE細 350 51.5 43.6 37.8 33.3 誤差@ CAE粗 メッシュ長 @CAE細 メッシュ長 80 @CAE粗 400 図1.検証モデル・解析条件 63.0 70 CAE粗 60 CAE細 理論解 50 精度保障周波数 @CAE粗 40 精度保障周波数 @CAE細 30 200 0.7 0.9 1.1 1.3 周波数[kHz] 1.5 1.7 0.7 0.9 1.1 1.3 1.5 1.7 周波数[kHz] 図2 図3 理論解と予測結果の比較 (メッシュサイズが精度に与える影響) ソルバによって推奨値異なる 【精度要件1】 は必要 (周波数に応じ、メッシュサイズ縮小が必要 ) 12 4.音響解析モデルの課題 (4/4) 音響解析モデルの高速化要件 (無駄を排除) ≪ 高速化要件A ≫ 楕円体の体積最小化 ※ 無駄な計算空間を設定しない ○:体積小 ≪ 高速化要件B ≫ 平均要素長の最大化 、節点数の最小化 ※ 無駄な節点を作成しない ×:要素数大 ○:要素数小 (節点数大) (節点数小) 要素数 [百万] 平均要素長増加 ×:体積大 図1.解析対象と楕円体の関係 4 3 2 1 0 0 2 4 6 8 10 メッシュ要素長[mm] 12 14 最大要素長の制約 図2.メッシュ要素長ヒストグラム 13 5.対策① SimLab新機能開発依頼 ≪高速化要件A≫ 体積最小楕円体の自動作成 (ベンチマーク問題を設定) ① ② z ③ z z イメージ図省略 y y y x ①をx軸周りに 45deg回転 x ④ ⑤ z ⑥をx軸周りに 45deg回転 x ⑥ z イメージ図省略 y y y x ⑦をy軸周りに 45deg回転 r3 r2 r1 z イメージ図省略 x ②をy軸周りに 45deg回転 ①②③を覆う 体積最小楕円体の 主軸半径r1、r2、r3は同一 x ④⑤⑥を覆う 体積最小楕円体の 主軸半径r1、r2、r3は同一 14 5.対策② SimLab新機能開発依頼 ≪高速化要件B≫ Hexa要素、Pyramid要素、Tetra要素から成るハイブリットメッシュの採用 ( Hexa要素による節点数削減を期待 ) ① シェル要素@T/M形状 ② ソリッド要素 ③ シェル要素@楕円体 (=無限要素) 図1 従来 新規 ① シェル要素 Tria (@T/M形状) ② ソリッド要素 Tetra Tria ③ シェル要素 Tria (@楕円体) Quad Tetra + Pyramid + Hexa 15 6.結果① SimLab新機能 ≪高速化要件A≫ 体積最小楕円体の自動作成 r3 ベンチマーク問題 ① ④ ② r1 ⑤ ①をx軸周りに 45deg回転 ③ ⑥をx軸周りに 45deg回転 ⑥ ②をy軸周りに 45deg回転 r2 ⑦をy軸周りに 45deg回転 r1 r2 r3 ① 43mm 43mm 43mm ② 43mm 43mm 43mm ③ 43mm 43mm 43mm ④ 100mm 48mm 46mm ⑤ 100mm 48mm 46mm ⑥ 100mm 48mm 46mm 主軸半径は同一 主軸半径は同一 注)本機能が自動作成するのは、厳密に数学的な体積最小楕円体とは異なる。 より複雑な形状に対しては、マニュアルによる微調整機能を利用できる。 16 6.結果② (1/2) 要素数 [万] SimLab新機能 ≪高速化要件B≫ Hexa要素を含むハイブリットメッシュ作成機能 従来機能 新機能 図1 図2 < ヒストグラム > 15 従来機能 10 新機能 表1.新機能の効果 5 0 0 5 10 15 メッシュ要素長[mm] 20 最大要素長の制約 図4.新機能による要素数削減効果 要素数 節点数 自由度<*1> 計算時間 新機能による 削減率 75% 24% 32% 65% <*1> 自由度の算出式 自由度 = ソリッド要素 + 無限要素 × 次数 の節点数 の節点数 (10) 17 6.結果② (2/2) SimLab新機能 ≪高速化要件B≫ Hexa要素を含むハイブリットメッシュ作成機能 従来手法・新規手法を9種類のT/M(A~I)に適用し、効果を確認 自由度削減率 計算時間削減率 (従来手法) (従来手法)-(新規手法) 80% 60% 40% 20% 0% A B C D E F T/M種類 図1.新機能の効果 G H I 18 6.結果② (2/2) SimLab新機能 ≪高速化要件B≫ Hexa要素を含むハイブリットメッシュ作成機能 従来手法・新規手法を9種類のT/M(A~I)に適用し、効果を確認 自由度削減率 計算時間削減率 計算時間削減率 (従来手法) (従来手法)-(新規手法) 80% 60% 42~74% (平均57%) 40% 17~44% (平均27%) 20% 自由度削減率 0% A B C D E F T/M種類 図1.新機能の効果 G H I 19 7.まとめ IFEMによる音響解析の「高精度化」と「高速化」の両立の為に、 SimLabで2つの機能を開発頂いた。 ① 体積最小楕円体作成機能 (+ マニュアル微調整機能) ② Hexa要素、Pyramid要素、Tetra要素から成るハイブリットメッシュ作成機能 9種類のT/Mに適用し、従来のTetra要素から成るメッシュに対し 計算時間を約6割削減可能(平均)である事を確認 新機能により、IFEMに最適な無駄節点の無いモデル作成が可能となり、 「高精度化」と「高速化」の両立が可能となった。 補足 振動解析 ソルバ (固有値解析) 音響解析 ソルバ (IFEM) 0% モデル モデル 50% 音響解析では メッシャー選択も より重要 100% 図1.計算速度に対する「ソルバ」と「モデル」の寄与度イメージ 20 謝辞 大変使い易い新機能を短期間で開発頂いた SimLab関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 トヨタ自動車(株) 武川 21 ご清聴ありがとうございました。
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